2026年6月、第110回日本陸上競技選手権大会5000mで自己ベストを大幅に更新する14分59秒89で優勝した山本有真。日本女子長距離界の新鋭として頭角を現した彼女の強さの秘密は、朝5時30分に始まる「二部練習」と、科学的なリカバリーへの徹底したこだわりにある。
5000m日本一を支える二部練習の実態
山本の日常は朝5時30分に起床することから始まる。朝6時から約1時間、仲間と共にロードやトラックを走り、午後は大学の寮内ジムでトレーニングを行う。週6日という高頻度のトレーニングスケジュールを維持しながら、それぞれの練習に明確な目的を持たせることで、単なる「練習量」でなく「練習の質」を高めている。
朝練:有酸素能力と走行技術の向上
朝の約1時間の走り込みは、有酸素性エネルギーシステムの向上が主目的だ。長距離選手の心肺機能の基盤となる「最大酸素摂取量(VO₂max)」は、週に150〜180分以上の有酸素運動を継続的に積み重ねることで向上する。山本の朝練は、この有酸素基盤の構築に直接貢献している。
加えて、朝の練習では正しいランニングフォームの確認も行う。骨盤の前傾維持・腕振りのリズム・着地衝撃の分散——これらを意識した走りが、長距離での無駄なエネルギー消費を減らし、タイムの向上に直結する。
午後ジム:補強と体幹強化
午後のジムセッションでは、走りを支える筋力強化が中心だ。長距離選手における筋力トレーニングは、スプリンターほどの高重量は使わないが、レース後半の「フォーム崩れを防ぐ体幹」と「接地時の衝撃を受け止める下半身」の強化が重点項目だ。
スクワット・ランジ・シングルレッグデッドリフトで脚の安定性を高め、プランク・バードドッグ・デッドバグで体幹の深部筋を活性化する。これにより、5000m(12〜13周以上)の後半でも崩れないフォームを維持できる「持続的な筋持久力」が養われる。
14分59秒89という自己ベストを生んだ要因
2026年日本選手権での14分59秒89は、山本にとって大幅な自己ベスト更新となる記録だ。この記録を生んだ要因を分解すると、トレーニングの積み上げだけでなく、複数の科学的要素が絡み合っていることがわかる。
VO₂maxと乳酸閾値の向上
5000mのタイムを縮めるには、最大酸素摂取量(VO₂max)の向上と、乳酸閾値(LT)の引き上げが核心だ。LTが高いほど、より速いペースでも「有酸素的に」走り続けられる。週6日・二部制の練習がこの両指標を着実に引き上げた結果が、14分台突入という形で現れた。
メンタルコンディショニングと集中力
大学での合宿や遠征を経て「毎日充実した日々を過ごせた」と語る山本の言葉には、心理的な充実感がある。スポーツ心理学の研究では、「有能感(self-efficacy)」の高さがパフォーマンス向上と正の相関があることが示されている。自分の練習に充実感を持てることが、本番での高いパフォーマンスを生む。
他の女性長距離選手のリカバリー術については、宮崎友花のリカバリー法も参考になる。
科学的リカバリーで週6日を乗り切る
高頻度トレーニングを維持するには、積極的なリカバリーが必須だ。山本が「心を休めること」を重視するのも、その一環だ。オフの時間を意識的に確保し、精神的なエネルギーを回復させることが、翌日の練習の質を保証する。
睡眠の優先と栄養補給のタイミング
長距離選手の回復において睡眠は最も重要な要素だ。成長ホルモンが最も多く分泌される22時〜2時の「ゴールデンタイム」に深い睡眠を取るため、朝早い練習開始時間に合わせた就寝時間の管理が欠かせない。また、練習後30分以内のタンパク質+炭水化物の補給が、筋グリコーゲンの回復と筋タンパク合成を最大化する。
まとめ:山本有真のトレーニングから学ぶ3原則
- 二部制で練習密度を高める:朝の有酸素走り込みと午後の補強ジムの組み合わせが、VO₂max向上と体幹強化を同時に実現する。
- 週6日の継続が基盤:高頻度のトレーニングを維持するためのリカバリー管理(睡眠・栄養・メンタルケア)への投資が、長期的な成長を支える。
- 「充実感」がパフォーマンスに直結:練習に主体的な意味を見出す心理的アプローチが、実戦での高いパフォーマンスを生む。
よくある質問(FAQ)
山本有真はどんなスポーツの選手ですか?
陸上競技の長距離(5000m)専門選手です。2026年の日本選手権5000mで自己ベスト14分59秒89を記録して優勝し、アジア選手権代表に内定しました。
長距離選手に筋トレは必要ですか?
はい。体幹安定性(フォーム維持)と下半身の筋持久力(接地衝撃の吸収)を高めるため、週2〜3回の補強トレーニングが推奨されます。ただし高重量より体幹・単関節の安定性強化が優先されます。
5000mのタイムを縮めるには何が最も重要ですか?
最大酸素摂取量(VO₂max)の向上と乳酸閾値(LT)の引き上げです。週150〜180分以上の有酸素トレーニングを継続しながら、インターバル走でLTの強化も行うことが効果的です。
山本有真の練習スケジュールを教えてください。
朝5時30分起床→6時から約1時間の走り込み、午後に寮内ジムでの補強トレーニング。週6日のスケジュールを基本としています。
長距離選手のリカバリーで最も重要なことは?
睡眠(ゴールデンタイムの確保)・練習後30分以内のタンパク質+炭水化物補給・心理的なオフタイムの確保が三大要素です。高頻度トレーニングを持続するには積極的なリカバリーへの投資が不可欠です。
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