素根輝の筋力強化法|東京五輪金メダリストの「3倍努力」が生んだ柔道の強さ

柔道選手のトレーニング アスリート

身長162cm、体重90kg——柔道の78kg超級にしては相手より小柄な体格にもかかわらず、2020年東京オリンピックで金メダルを獲得した素根輝。「3倍努力」という座右の銘のもと、自宅ガレージに設けたトレーニングルームで積み重ねた鍛錬が、彼女を世界チャンピオンへと押し上げた体づくりの真髄だ。

小さな巨人を生んだ筋力強化の哲学

78kg超の階級では、身長180cm超の相手と対戦することも珍しくない。体格差が大きなハンディとなる格闘技において、素根が選んだ解答は「量と質を3倍にする」という圧倒的な練習量だった。特に自宅車庫を改装して作ったプライベートトレーニングルームは、道場の練習時間外にも鍛えることを可能にする重要な環境だ。

自宅ガレージのトレーニングルームで自主練

多くのアスリートが道場や体育館でのチーム練習をメインとする中、素根は自宅に専用の練習・トレーニングスペースを確保している。この環境により、チームのスケジュールに縛られず、自分のペースで弱点を補強する自主練を積み重ねることができる。道場での乱取り(実践練習)では磨けない細かい技の動き、寝技のバリエーション、そして体幹・筋力の補強を自宅で行う。

男子強豪・修徳高への出稽古で限界を超える

2020年12月、素根は東京での代表合宿後に男子の強豪校・修徳高校への出稽古に赴いた。そこで達成したのは、男子選手を14人連続で投げ込むという驚異的な練習量だ。男子選手は女子選手より平均的に体重が重く、投げるだけでも相当な筋力と技術が必要だ。この「格上の相手との反復練習」が、体格差のある相手に対しても臆せず技をかけられる実戦的な強さを養った。

(参考)東京五輪注目選手 素根輝 – 柔道チャンネル

柔道に必要な筋力とトレーニング

柔道は全身の筋肉を総動員するスポーツだ。相手を崩す体幹の回旋力、相手をつかむ手指・前腕の握力、技をかける際の爆発的な下半身パワー、そして長い試合を通じて技を繰り出し続ける筋持久力——これらすべてを高いレベルで維持する必要がある。

体幹と背部の爆発力強化

柔道の投げ技(背負い投げ・内股・大外刈り等)は、腰部・背部の回旋力と爆発的な股関節伸展から生まれる。素根のトレーニングの核心は、デッドリフト系の動作(ルーマニアンデッドリフト・クリーン)と体幹の回旋強化(ロシアンツイスト・ケーブルチョップ)だ。小柄でも相手を一気に崩せる力を、「技の切れ」として体現している。

握力と前腕の強化

柔道の技の多くは相手の道着をつかむ「組み手」から始まる。組み手争いで主導権を握るには、持久的な握力と前腕の持続的な筋力が不可欠だ。ファーマーズウォーク(重い重りを持って歩く)・リストカール・タオルを使った懸垂などが前腕強化に有効で、素根も反復的な打ち込み(技の繰り返し練習)の中でこの能力を磨いている。

競技特有の筋力強化についてはウェンバニャマのリカバリー術でも科学的な視点から解説されている。

多彩な技と創意工夫のトレーニング

素根は道場の稽古で寝技・打ち込み・乱取りという基本の流れを踏まえながら、スピード打ち込みや3人打ち込みなど、変化に富んだメニューを臨機応変に取り入れる。単調な反復を避け、常に新しい刺激を体に与えることで、神経系の適応と技術の多様性を同時に高めている。

「3倍努力」の実践とメンタル

「3倍努力」という座右の銘は、単なるスローガンではない。「他の選手が1時間練習するなら自分は3時間、他の選手が10本投げるなら自分は30本」——この数値的な目標設定が、限られた体格を才能で補う確かな方法論となっている。同時に、この量をこなせる体を維持するため、睡眠・栄養・メンタルケアへの投資も欠かさない。

(参考)素根輝 プロフィール – 全日本柔道連盟

まとめ:素根輝の筋力強化から学ぶ3原則

  • 体格差は「3倍の努力」で覆せる:ハンディキャップを量と創意工夫のトレーニングで埋めるアプローチは、あらゆるスポーツに通じる普遍的な方法論だ。
  • 格上との練習が最速の成長を生む:男子強豪への出稽古に象徴される「自分より強い相手との実戦」が、試合本番での真の強さを作る。
  • 自主練環境への投資:自宅トレーニングルームのような「いつでも練習できる環境」を作ることが、チーム練習を超えた成長の鍵だ。

よくある質問(FAQ)

素根輝はどの柔道階級の選手ですか?

女子78kg超級の選手です。身長162cmという比較的小柄な体格ながら、東京2020五輪で金メダルを獲得しました。

素根輝の「3倍努力」とはどういう意味ですか?

他の選手より3倍の練習量をこなすことで、才能の差や体格のハンディを克服するという哲学です。道場練習後も自宅ガレージで自主練を続けるのがその実践です。

柔道選手に最も重要な筋力トレーニングは?

体幹の回旋力(投げ技の核心)・デッドリフト系の爆発力(相手を崩す力)・握力・前腕持久力の4要素が柔道特有の重点項目です。

素根輝はなぜ男子高校生と出稽古をするのですか?

女子の対戦相手より体重が重い男子との練習が、実際の試合での体格差を感じさせないメンタルとフィジカルの強さを養うためです。男子14人連続投げという記録も、この実践の成果です。

小柄なアスリートが筋力を補うための方法は?

体格差を爆発的な瞬発力・技の切れ・自身の重心の低さを活かしたバランスで補うアプローチが有効です。特に体幹の回旋力と股関節の爆発的伸展を高めるトレーニングで、小柄でも強い投げを実現できます。

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