健康経営優良法人のスポーツ取組事例と導入ポイント

健康経営優良法人のスポーツ取組事例 スポーツウェルビーイング

健康経営優良法人の認定要件で、スポーツ施策がそのまま当てはまるのは選択項目「⑬運動機会の増進に向けた取り組み」です。ただし研修や情報提供は⑬に数えられないなど、申請書の設問には施策ごとの線引きがあります。この記事では、認定制度の概要と、スポーツ施策を認定要件に沿って設計・記録するポイントを整理します。

健康経営優良法人制度とスポーツ施策の位置づけ

健康経営優良法人は、従業員の健康管理を経営の視点で実践する法人を認定する制度で、大規模法人部門と中小規模法人部門に分かれています。スポーツ施策が当てはまる評価項目は次のとおりです。

評価項目(2027認定の選択項目) 当てはまるスポーツ施策の例 申請書での扱い
⑬運動機会の増進に向けた取り組み スポーツクラブ等との提携・利用補助、ウォーキング大会、スポーツイベントの開催・参加補助、運動を目的とした同好会・サークルへの支援、スポーツエールカンパニーの認定取得 教育・研修や保健指導、情報提供(ポスター掲示等)は除く
⑦コミュニケーションの促進に向けた取り組み 同好会・サークル等の設置・金銭支援や場所の提供 組織としての取り組みが対象で、一部の有志のみの取り組みは該当しない。スポーツイベントの補助等は⑬の設問で答える

出典:健康経営優良法人認定事務局「健康経営優良法人2027 認定要件(大規模法人部門・中小規模法人部門)」「健康経営優良法人2027(中小規模法人部門)認定申請書 サンプル(Q19・Q26)」をもとに Human Soar 作成。⑦⑬の番号は両部門で共通です。

認定取得のメリットと企業へのインパクト

健康経営優良法人2026では、大規模法人部門に3,765法人、中小規模法人部門に23,085法人が認定されました。各部門の上位には冠が付き、大規模法人部門の上位法人は「ホワイト500」、中小規模法人部門の上位500法人は「ブライト500」、501〜1500位の法人は「ネクストブライト1000」と呼ばれます。

認定法人は認定ロゴマークを使えるため、採用サイトなどで健康への取り組みを示す材料になります。上場企業の場合、大規模法人部門の申請法人のうち上位500位以内の上場企業が「健康経営銘柄」の候補になり、特に優れた取り組みを行っている法人が選ばれます。中小規模法人部門の認定は、銘柄の選定とは別の仕組みです。

中小規模法人部門の上位にあたるブライト500・ネクストブライト1000は、①〜⑰のうち16項目以上を満たすことが条件で、通常の認定より基準が高く設定されています。ブライト500に申請して1500位以内に入らなかった場合も、認定基準を満たしていれば通常の認定になり、不認定にはなりません。

(参考)健康経営優良法人2027「認定申請に関する事務局からのお知らせ」 – 健康経営優良法人認定事務局

(参考)健康経営優良法人2027(大規模法人部門)認定要件 – 健康経営優良法人認定事務局

(参考)健康経営優良法人2027(中小規模法人部門)認定要件 – 健康経営優良法人認定事務局

(参考)健康経営優良法人2027(中小規模法人部門)Q&A – 健康経営優良法人認定事務局

(参考)大規模法人部門の申請 – ACTION!健康経営(健康経営優良法人認定事務局)

スポーツ施策が評価される具体的な要件

健康経営優良法人の認定要件では、「⑬運動機会の増進に向けた取り組み」が大規模法人部門・中小規模法人部門の両方で選択項目になっています。中小規模法人部門の認定申請書(2027認定のサンプル)では、職場外のスポーツクラブ等との提携・利用補助、ウォーキング大会などのイベント、スポーツイベントの開催・参加補助、運動を目的とした同好会・サークルへの支援、スポーツ庁「スポーツエールカンパニー」の認定取得などが選択肢に並んでいます。

一方で、この設問には「教育・研修や保健指導、情報提供(ポスター掲示等)は除きます」と書かれており、スポーツ体験型の研修は⑬の実績には数えられません。⑬の選択肢に入っているスポーツエールカンパニーの基準は、スポーツエールカンパニーの認定基準で整理しています。スポーツ庁は2026年1月30日に、「スポーツエールカンパニー2026」として過去最多の1,635団体を認定しました(認定期間は2026年12月31日まで)。

2027認定の申請は、大規模法人部門が2026年10月9日、中小規模法人部門が10月16日に締め切られたため、ここで挙げた施策は次回以降の申請に向けて実績を積んでおく形になります。

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(参考)健康経営優良法人2027(大規模法人部門)認定要件 – 健康経営優良法人認定事務局

(参考)健康経営優良法人2027(中小規模法人部門)認定要件 – 健康経営優良法人認定事務局

(参考)健康経営優良法人2027(中小規模法人部門)認定申請書 サンプル – 健康経営優良法人認定事務局

(参考)大規模法人部門の申請 – ACTION!健康経営(健康経営優良法人認定事務局)

(参考)中小規模法人部門の申請 – ACTION!健康経営(健康経営優良法人認定事務局)

(参考)「スポーツエールカンパニー2026」過去最多の1,635団体を認定 – スポーツ庁

Q. ブライト500に申請して1500位以内に入らなかったら不認定になりますか?

不認定にはなりません。中小規模法人部門のQ&Aでは、1500位以内に入らなかった場合も、認定基準を満たしていれば通常の認定になるとしています。ブライト500・ネクストブライト1000の条件は①〜⑰のうち16項目以上で、通常の認定より基準が高く設定されています。

健康経営優良法人のスポーツ取り組み事例

スポーツ施策が健康経営優良法人の申請書でどの設問に当たるかを分けた図解。体を動かす施策は⑬運動機会の増進、講話や研修は⑬に数えず、組織としての交流の場は⑦コミュニケーションの促進

⑬の申請書の選択肢を手がかりにすると、スポーツ施策は規模や業種を問わず取り入れやすい型に分けられます。以下は代表的な取り組みのパターンです。

スポーツクラブ補助と部活動支援

職場外のスポーツクラブやジムとの提携・利用補助、運動を目的とした同好会・サークルへの金銭支援や場所の提供は、いずれも⑬の申請書の選択肢にあります。フットサル・テニス・ランニング・バドミントンなど、従業員が選べる種目の幅を持たせると参加の入口が広がります。

部活動を「⑦コミュニケーションの促進」の実績として答える場合は、申請書が組織としての取り組みを求めており、一部の有志のみによる取り組みは該当しません。また⑦は⑬と重複しないように答える決まりで、スポーツイベントの補助等は⑬の設問で答えます。

(参考)健康経営優良法人2027(中小規模法人部門)認定申請書 サンプル – 健康経営優良法人認定事務局

ウォーキングイベント・歩数チャレンジの全社展開

スマートフォンやウェアラブルデバイスを活用した「全社歩数チャレンジ」は、⑬の選択肢にあるウォーキング大会などのイベント、歩行や階段使用の奨励・表彰、歩数計の配布やアプリ提供に当たります。月間・四半期の歩数目標を設定し、達成者や部門を表彰する形にすれば、1つの施策で複数の選択肢を満たせます。テレワークの従業員も参加しやすいため、勤務形態にかかわらず展開できる点も利点です。

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(参考)健康経営優良法人2027(中小規模法人部門)認定申請書 サンプル – 健康経営優良法人認定事務局

プロスポーツクラブとの連携プログラム

地域のJリーグ・Bリーグクラブなどと連携し、選手を招いたイベントを従業員向けに開く方法もあります。スポーツイベントの開催や、従業員に合わせた運動メニューの作成などの運動指導は⑬の選択肢にあります。

ただし選手による講話や研修は、⑬の設問が除いている「教育・研修」に当たります。連携プログラムは、体を動かす内容と学ぶ内容を分けて記録しておくと、申請書のどの設問に書けるかを判断しやすくなります。

(参考)健康経営優良法人2027(中小規模法人部門)認定申請書 サンプル – 健康経営優良法人認定事務局

Q. 社内の部活動は⑬と⑦のどちらで答えればよいですか?

運動機会の増進を目的とした同好会・サークルへの支援は⑬の選択肢にあり、⑦にも同好会・サークル等の設置・金銭支援の選択肢があります。⑦は⑬と重複しないように答える決まりで、スポーツイベントの補助等は⑬の設問で答えます。⑦として答える場合は組織としての取り組みであることが条件で、一部の有志のみの活動は該当しません。

Q. スポーツ体験型の研修は⑬運動機会の増進の実績になりますか?

⑬の実績にはなりません。中小規模法人部門の認定申請書では、⑬の設問が教育・研修や保健指導、ポスター掲示などの情報提供を除いています。⑬として答えるには、スポーツイベントの開催・参加補助やウォーキング大会など、体を動かす機会そのものを用意します。

スポーツ施策を健康経営に組み込む際の設計ポイント

スポーツイベントを開催するだけでは、認定要件の一部を満たすにとどまります。効果を確かめて次に生かす仕組みと、経営層の関与を示す仕組みを合わせて整えます。

KPI設定と効果測定の実施

認定要件では、施策の効果を確かめる「評価・改善」が大規模法人部門・中小規模法人部門のどちらでも必須項目です。スポーツ施策のKPIとして「運動習慣保有率」「施策参加率」「欠勤日数の変化」「生活習慣病検診結果」などを定量的に設定し、年1回の従業員アンケートと合わせて追跡することが重要です。費用と効果を金額で比べる方法は、健康経営のROI測定の手順で解説しています。経済産業省の「健康投資管理会計ガイドライン」も、健康投資の費用と効果を整理する際の参考になります。

(参考)健康経営優良法人2027(大規模法人部門)認定要件 – 健康経営優良法人認定事務局

(参考)健康経営優良法人2027(中小規模法人部門)認定要件 – 健康経営優良法人認定事務局

(参考)健康投資管理会計ガイドライン – 経済産業省

経営層のコミットメントを示す仕組みづくり

健康宣言の社内外への発信は、上位認定に限らず両部門の必須項目です(中小規模法人部門は経営者自身の健診受診とあわせて必須)。スポーツ施策を健康宣言や経営方針の中に位置づけ、社長メッセージ・中期経営計画・採用ページで発信すると、施策の目的が社内外に伝わります。役員・管理職がスポーツイベントに参加する姿を社内外に発信することも有効です。施策全体の組み立て方はウェルビーイング経営の考え方も参考になります。

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(参考)健康経営優良法人2027(大規模法人部門)認定要件 – 健康経営優良法人認定事務局

(参考)健康経営優良法人2027(中小規模法人部門)認定要件 – 健康経営優良法人認定事務局

まとめ

スポーツ施策は、認定要件の⑬運動機会の増進に直接当てはまります。申請書の線引きに沿って設計し、効果まで記録すれば、認定の取得と従業員の健康づくりを両立できます。

  • スポーツ施策が直接当てはまるのは選択項目「⑬運動機会の増進に向けた取り組み」
  • ⑬では教育・研修や情報提供は除かれるため、スポーツ体験型の研修は⑬の実績にならない
  • クラブ補助・ウォーキングイベント・スポーツイベントの補助・スポーツエールカンパニーの認定取得は⑬の申請書の選択肢にある
  • 評価・改善と健康宣言の社内外への発信は、上位認定に限らず両部門の必須項目
  • ブライト500・ネクストブライト1000は①〜⑰のうち16項目以上が条件で、通常の認定より基準が高い

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About The New株式会社 代表取締役 森永 昂
執筆者
About The New株式会社 代表取締役 森永 昂

新卒で東証プライム上場の社会人教育・コンサルティング企業に入社し、人材育成・組織開発に従事。その後、別企業でメディア・プラットフォーム事業の責任者を務める。

2025年5月に About The New株式会社 を設立。スポーツの現場で培われた知見を組織開発・人材育成の文脈に翻訳し、研修・チームビルディング・イベントの企画運営を行っています。

「知識を得る」で終わらせず「行動が変わる」ところまでを設計することを大切にしています。ご相談は contact@aboutthenew.co.jp まで。

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