健康経営度調査スコアを上げる方法|審査項目別の改善ポイント

健康経営度調査スコアを上げる方法 スポーツウェルビーイング

「健康経営優良法人の認定を目指しているけれど、どの審査項目から手を付ければいいのか分からない」。2026認定で選択項目が増えて必要な数も上がるなど、制度の改訂が続いているので迷いやすいですよね。健康経営度調査は大規模法人部門の申請に使う調査で、回答すると総合評価(偏差値)と、経営理念・方針/組織体制/制度・施策実行/評価・改善の4つの側面ごとの評価がフィードバックシートで返ってきます。

中小規模法人部門は調査票ではなく「認定申請書」で申請し、上位のブライト500はブライト500用の設問の配点で順位が決まります。この記事では、審査項目の構造を整理したうえで、認定要件に沿った具体的な改善ポイントを解説します。

健康経営度調査とは何か

健康経営度調査は、経済産業省が実施している、法人の健康経営の取り組み状況を問う調査です。回答数の集計は2014年度から公表されており、設問数は約180問あります。いまは健康経営優良法人(大規模法人部門)の認定と、健康経営銘柄の選定に使われています。

注意したいのは、中小規模法人部門の申請には健康経営度調査を使わないことです。中小規模法人部門は「健康経営優良法人認定申請書」に回答して申請し、その内容をもとに認定・選定されます。

認定制度の仕組みと認定数の推移

健康経営優良法人認定制度は、健康経営に取り組む優良な法人を見える化するための表彰制度で、経済産業省と連携しながら、認定機関である日本健康会議のもとで健康経営優良法人認定事務局が運営しています。健康経営優良法人2026の認定数は、令和8年(2026年)3月時点で大規模法人部門3,765法人(前年度より385件増)、中小規模法人部門23,085法人(前年度より3,289件増)でした。同じ年度の健康経営度調査の回答数は4,175法人です。

認定を受けた法人は、認定ロゴを採用広報や取引先へのアピールに使えます。

(参考)健康経営優良法人2027「認定申請に関する事務局からのお知らせ」 – 健康経営優良法人認定事務局(日本経済新聞社)

(参考)健康経営優良法人認定制度 – 経済産業省

スコアが重要視される理由

認定を取るだけでなく、上位の冠を目指す法人もあります。大規模法人部門の認定法人のうち上位500法人には「ホワイト500」、中小規模法人部門のブライト500申請法人のうち上位500法人には「ブライト500」、501〜1500位には「ネクストブライト1000」の冠が付きます。ホワイト500・ブライト500は部門の名前ではなく、各部門の上位法人に付く冠です。

大規模法人部門では、申請法人のうち上位500位以内の上場企業が健康経営銘柄の候補として抽出されます。経済産業省の資料には、機関投資家の間で健康経営優良法人の認定の有無をESGの評価基準に組み入れる動きも見られると書かれています。調査に回答した法人には自社の立ち位置を示すフィードバックシートが送られるので、スコアは自社の弱点を知る材料にもなります。

(参考)大規模法人部門の申請 – 健康経営優良法人認定事務局(ACTION!健康経営)

(参考)健康経営優良法人2027(中小規模法人部門)申請に係るQ&A – 健康経営優良法人認定事務局

(参考)これからの健康経営について(2025年4月) – 経済産業省

審査項目の全体構成を理解する

認定要件は5つの大項目で組まれています。このうち経営理念・方針、組織体制、制度・施策実行、評価・改善の4つは、健康経営度調査のフィードバックシートで側面ごとに評価が示されます。法令遵守・リスクマネジメントは自主申告の必須要件です。

大項目 主な評価内容 2027認定要件での扱い(大規模法人部門)
①経営理念・方針 健康宣言の発信・経営トップの関与 健康宣言の社内外への発信が必須
②組織体制 経営層の体制・専門職の関与・保険者との連携 健康づくり責任者が役員以上であることが必須
③制度・施策実行 推進計画と具体的な施策の実施 推進計画が必須、選択項目①〜⑰のうち14項目以上
④評価・改善 取り組みの効果検証・改善 効果検証が必須
⑤法令遵守・リスクマネジメント 定期健診・ストレスチェックの実施、送検されていないこと等 自主申告で必須

表:健康経営優良法人2027(大規模法人部門)認定要件の大項目(出典:健康経営優良法人認定事務局「健康経営優良法人2027(大規模法人部門)認定要件」)

①経営理念・方針

健康経営を経営の方針として打ち出しているかが問われます。大規模法人部門では「健康宣言の社内外への発信(アニュアルレポートや統合報告書等での発信)」が必須項目です。ホワイト500では、これに加えて「従業員パフォーマンス指標及び測定方法の開示」なども必須になります。

「やらされている感」のある施策ではなく、経営トップが本気で取り組んでいることを文書と発信で示すことが大切です。

②組織体制

誰が責任を持って健康経営を進めるのかが問われます。大規模法人部門では「健康づくり責任者が役員以上」であることが必須項目で、ほかに産業医・保健師の関与や、健保組合等保険者との協議・連携も評価項目に含まれます。中小規模法人部門では「健康づくり担当者の設置」が必須です。

③制度・施策実行

実際に何をやったかを問う部分です。健康経営の具体的な推進計画が必須で、そのうえで選択項目①〜⑰のうち、大規模法人部門は14項目以上(ホワイト500は①が必須で、②〜⑰のうち14項目以上)を満たす必要があります。2026認定から選択項目が17項目になり、必要な数も16項目中13項目から17項目中14項目に上がりました。

参加率を測っていることが条件になる項目もあります。大規模法人部門では、⑤「管理職または従業員に対する教育機会の設定」のうち従業員の健康保持・増進に関する教育と、⑪の保健指導のうち生活習慣病予備群者への特定保健指導以外の保健指導について、参加率(実施率)を測っていることが求められています。

④評価・改善

施策の効果を確かめ、改善のPDCAを回せているかが問われます。大規模法人部門では「健康経営の実施についての効果検証」、中小規模法人部門では「健康経営の取り組みに対する評価・改善」が必須項目です。

任意の加点ではなく必須項目なので、従業員の健康状態の変化や施策の見直しを記録として残しておくことが欠かせません。

⑤法令遵守・リスクマネジメント

法令遵守・リスクマネジメントは自主申告の必須項目で、両部門とも「定期健診を実施していること、50人以上の事業場においてストレスチェックを実施していること、労働基準法または労働安全衛生法に係る違反により送検されていないこと、等」が求められます。ここを満たしていないと、ほかの項目をいくら積み上げても認定されません。

(参考)健康経営優良法人2027(大規模法人部門)認定要件 – 健康経営優良法人認定事務局

(参考)健康経営優良法人2027(中小規模法人部門)認定要件 – 健康経営優良法人認定事務局

(参考)健康経営優良法人2026 認定・申請に関するご説明 – 健康経営優良法人認定事務局(日本経済新聞社)

(参考)これからの健康経営について(2025年4月) – 経済産業省

スコアアップに直結する5つの改善ポイント

選択項目①〜⑰の中から、多くの法人が手を付けやすい取り組みを5つ紹介します。いずれも認定要件の選択項目や必須項目に対応しているので、自社が満たしていない項目から着手しましょう。

定期健診受診率を100%に近づける

定期健診の受診率は独立した選択項目で、大規模法人部門では②「定期健診受診率(受診率100%)」、中小規模法人部門では①「定期健診受診率(実質100%)」が基準です。受診率が届いていない場合は、受診を妨げている要因(日程・場所・時間)を特定し、受診機会を増やしましょう。

あわせて、健診後に再検査や精密検査を促す「受診勧奨の取り組み」も別の選択項目(大規模は③、中小規模は②)になっています。受診率と受診勧奨はセットで整えると、2つの項目を同時に満たせます。

(参考)健康経営優良法人2027(大規模法人部門)認定要件 – 健康経営優良法人認定事務局

(参考)健康経営優良法人2027(中小規模法人部門)認定要件 – 健康経営優良法人認定事務局

ストレスチェックと高ストレス者のフォロー体制

50人以上の事業場でのストレスチェックは法定義務で、認定要件では法令遵守(必須)として扱われます。選択項目として評価されるのは、努力義務とされてきた「50人未満の事業場におけるストレスチェックの実施」(大規模は④、中小規模は③)です。中小規模法人部門の認定申請書では、労働安全衛生法に定められた制度に従い、50人未満の事業場を含む全ての事業場で実施していることが条件になっています。

50人未満の事業場でのストレスチェックは、令和10年(2028年)4月1日から義務になります。高ストレス者への面接指導を含め、法律の手順どおりに実施できる体制を今のうちから整えておきましょう。

(参考)ストレスチェック制度・メンタルヘルス対策 – 厚生労働省

(参考)健康経営優良法人2027(中小規模法人部門)認定申請書 – 健康経営優良法人認定事務局

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運動習慣・身体活動促進プログラムの導入

「歩数計やアプリの配布」「ウォーキング大会」「同好会・サークルへの支援」など、従業員の身体活動を促す取り組みは、選択項目⑬「運動機会の増進に向けた取り組み」に当てはまります。中小規模法人部門の認定申請書では、これらがそれぞれ⑬の選択肢として並んでいます。

⑬は施策をいくつ増やしても1項目として数えられるので、ほかの選択項目とあわせて必要数を満たす前提で考えましょう。

スポーツ施策を申請書のどこに書けるかは、健康経営優良法人の申請準備とスポーツ施策の記録方法で詳しく解説しています。

(参考)健康経営優良法人2027(中小規模法人部門)認定申請書 – 健康経営優良法人認定事務局

女性特有の健康課題への対応

女性の健康は、選択項目⑨「女性の健康保持・増進に向けた取り組み」として独立して評価されます。2026認定では、女性や高齢の従業員が働きやすい職場づくりを進めるため、この⑨と⑩「高年齢従業員の健康や体力の状況に応じた取り組み」が小項目「性差・年齢に配慮した職場づくり」としてまとめられました。

中小規模法人部門の認定申請書では、婦人科がん検診への金銭補助、保健師等による女性の健康専門の社外相談窓口の設置、更年期症状の改善に向けた支援などが⑨の選択肢として挙げられています。なお、育児と仕事の両立支援は⑨ではなく、⑥(中小規模は「仕事と育児または介護の両立支援の取り組み」)で評価されます。

(参考)健康経営優良法人2026 認定・申請に関するご説明 – 健康経営優良法人認定事務局(日本経済新聞社)

(参考)健康経営優良法人2027(中小規模法人部門)認定申請書 – 健康経営優良法人認定事務局

健康経営の効果測定と開示

施策の実施だけでなく、どんな効果が出たかを確かめることは、評価・改善の必須項目そのものです。フィードバックシートでも「評価・改善」は4つの側面の1つとして評価が示されます。

大規模法人部門でホワイト500を目指すなら、「従業員パフォーマンス指標及び測定方法の開示」が必須になります。プレゼンティーズムやアブセンティーズムなど、自社が追う指標と測り方を決めて社外に開示できる形にしておきましょう。効果検証の進め方は健康経営優良法人の認定基準と評価項目の解説でも取り上げています。

(参考)健康経営優良法人2027(大規模法人部門)認定要件 – 健康経営優良法人認定事務局

中小企業がブライト500を目指すための戦略

中小規模法人部門は健康経営度調査ではなく認定申請書で審査され、ブライト500はその申請書の中のブライト500認定設問で順位が決まります。通常の認定とは求められる項目数も評価の仕方も違うので、仕組みを押さえてから準備しましょう。

中小企業が取り組みやすい理由

社長との距離が近いため経営理念・方針の文書化を進めやすく、社員同士の距離が近いぶん施策を全社に広げやすいのが中小企業の強みです。健保組合などの保険者が主体の取り組みも、自社が関与し従業員に周知していれば実績として書けるので、外部の力を借りればリソースが少なくても対応できます。

優先着手の3項目

まず、選択項目の数を満たすことです。通常の認定は①〜③から2項目以上、④〜⑩から2項目以上、⑪〜⑰から4項目以上が条件ですが、ブライト500・ネクストブライト1000は①〜⑰のうち16項目以上が必要です。17項目のほぼすべてに取り組む前提になります。

次に、ブライト500認定設問の配点を意識することです。配点ウェイトは「PDCAに関する取り組み状況」35、「経営者・役員の関与の度合い」20、「健康経営の推進による企業の健康風土の把握」20、「健康経営の組織への浸透に向けた取り組み」10、「自社からの発信状況」10、「外部からの依頼による発信状況」5で、施策を評価・改善した記録が最も重く見られます。

最後に、申請書でブライト500への申請を明示することです。Q33で「1」を回答し、Q34で評価結果の開示に関する選択肢1〜3のいずれかを選ばないと、ブライト500・ネクストブライト1000の対象になりません。1500位以内に入らなかった場合も、認定基準を満たしていれば通常の認定になり、不認定にはなりません。

(参考)健康経営優良法人2027(中小規模法人部門)申請書・認定要件・改定ポイント解説 – 健康経営優良法人認定事務局(株式会社日本総合研究所)

(参考)健康経営優良法人2027(中小規模法人部門)認定要件 – 健康経営優良法人認定事務局

(参考)健康経営優良法人2027(中小規模法人部門)申請に係るQ&A – 健康経営優良法人認定事務局

まとめ

健康経営度調査は大規模法人部門の申請に使う調査で、中小規模法人部門は認定申請書で審査されます。どちらも、認定要件の必須項目を押さえたうえで、満たしていない選択項目から順に埋めていくのが近道です。

  • 認定要件の大項目は「経営理念・方針」「組織体制」「制度・施策実行」「評価・改善」「法令遵守・リスクマネジメント」の5つ
  • 2026認定から選択項目は17項目になり、大規模は14項目以上、中小規模は区分ごとに計8項目以上が必要
  • 定期健診は受診率100%(中小規模は実質100%)が選択項目の基準で、受診勧奨も別の項目として数えられる
  • ホワイト500・ブライト500は部門名ではなく上位の冠で、ブライト500は16項目以上を満たしたうえで配点の大きいPDCAの記録が鍵になる
  • 50人未満の事業場のストレスチェックは2028年4月から義務になるので、選択項目としても早めに整えておく

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About The New株式会社 代表取締役 森永 昂
執筆者
About The New株式会社 代表取締役 森永 昂

新卒で東証プライム上場の社会人教育・コンサルティング企業に入社し、人材育成・組織開発に従事。その後、別企業でメディア・プラットフォーム事業の責任者を務める。

2025年5月に About The New株式会社 を設立。スポーツの現場で培われた知見を組織開発・人材育成の文脈に翻訳し、研修・チームビルディング・イベントの企画運営を行っています。

「知識を得る」で終わらせず「行動が変わる」ところまでを設計することを大切にしています。ご相談は contact@aboutthenew.co.jp まで。

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