2023年から上場企業に義務づけられた有価証券報告書の「人的資本」開示。スポーツ・健康増進への投資を「人的資本投資」として開示している企業が増えています。「スポーツ投資を有価証券報告書にどう記載すればいいのか」「開示の具体的な方法と他社事例を知りたい」という声に応え、この記事ではスポーツ投資と人的資本開示の関係・開示方法・企業の活用事例を解説します。
人的資本開示とスポーツ投資の関係
2023年3月期以降、上場企業は有価証券報告書に「人材育成方針」と「社内環境整備方針」の開示が義務づけられました。この「社内環境整備」にスポーツ・健康増進への取り組みが含まれ、ウェルビーイングやメンタルヘルス対策とともに開示する企業が増えています。
人的資本経営とウェルビーイングの接点
経済産業省が2022年に公表した「人材版伊藤レポート2.0」では、従業員のウェルビーイング(幸福感)が企業の持続的成長に不可欠な「人的資本」であることが明示されています。スポーツ・運動習慣の促進はウェルビーイング向上の具体的な手段として認識されており、「投資対効果(ROI)が示せる人的資本施策」として注目を集めています。
ISO 30414との接続
人的資本開示の国際規格ISO 30414では、従業員の健康・安全・ウェルビーイングに関する指標の開示が推奨されています。スポーツエールカンパニー認定の取得・従業員のスポーツ実施率データ・健康関連支出の可視化は、ISO 30414の枠組みに沿った人的資本開示の素材として活用できます。
有価証券報告書でのスポーツ投資開示の方法
スポーツ・健康投資を有価証券報告書に開示する際の具体的な記載方法を整理します。
| 開示項目 | 記載内容の例 |
|---|---|
| ①方針・戦略 | スポーツ・健康増進を人材戦略の柱として位置づける方針文言 |
| ②指標・目標 | 従業員スポーツ実施率・健康増進プログラム参加率の目標値 |
| ③実績・成果 | スポーツエールカンパニー認定取得・実施率の実績値 |
| ④リスク管理との接続 | プレゼンティーズム・メンタルヘルスリスクへの対応策として記載 |
表:有価証券報告書におけるスポーツ投資の主な開示項目
①方針・戦略として記載する
「従業員の健康・ウェルビーイングへの投資を人材戦略の核に据える」という方針を人事戦略の文脈で記載します。スポーツ推進・健康経営優良法人取得・スポーツエールカンパニー認定などを方針の具体例として盛り込むことで、取り組みの一貫性が投資家に伝わります。
②指標・目標として数値化する
「従業員の週1回以上のスポーツ実施率を○○%(2025年)→○○%(2027年)に引き上げる」のように、具体的な目標値と達成期限を設定して開示することが求められます。定性的な方針だけでなく定量的なKPIを示すことで、開示の信頼性が高まります。
③実績・成果で投資効果を示す
スポーツエールカンパニー認定取得・スポーツ実施率の変化・プレゼンティーズム改善率・欠勤率の低下など、スポーツ投資の成果を定量データで示します。「ROIが示せる健康投資」として投資家・機関投資家からの評価が高まります。
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④リスク管理との接続で戦略的位置づけを示す
プレゼンティーズム・メンタルヘルス問題・少子高齢化による人材不足をリスクとして認識し、スポーツ投資がそのリスク低減策であることを明示します。「従業員の健康リスクを管理している企業」として、ESG投資家へのアピールにもつながります。
人的資本開示でスポーツ投資を活用する3つのメリット
人的資本開示にスポーツ投資を盛り込むことで、企業には3つの戦略的メリットがあります。
ESG・サステナビリティ評価の向上
従業員のウェルビーイングへの取り組みはESG評価の「S(Social)」指標に直結します。スポーツ投資を定量データとともに開示することで、ESG評価機関からの評点向上・機関投資家からの評価改善が期待できます。人的資本を「コスト」ではなく「投資」として開示する姿勢が、長期的な企業価値向上のシグナルになります。
採用・リテンションへの活用
人的資本開示の内容は採用サイトや会社説明会でも活用できます。「従業員の健康・ウェルビーイングに投資している会社」というメッセージは、特に若い世代の優秀な人材の採用競争力を高めます。スポーツエールカンパニー認定ロゴとセットで訴求すると効果が高まります。
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まとめ:スポーツ投資を人的資本開示の武器に
有価証券報告書の人的資本開示において、スポーツ・健康投資は「方針→指標→実績」の流れで体系的に開示できます。今日からできるポイントをまとめます。
- 人的資本経営においてウェルビーイングとスポーツ投資は重要な開示項目
- スポーツ実施率・プレゼンティーズム改善率など定量KPIの設定・開示が鍵
- スポーツエールカンパニー認定はそのまま開示実績として活用できる
- ESG「S」評価向上・採用競争力強化・リスク管理という3つの戦略的メリット
- ISO 30414の枠組みに沿って整理すると開示の一貫性が高まる
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