「健康経営の取り組みを対外的にアピールできる認定が欲しい」「スポーツエール企業って聞くけど、どうすれば認定されるの?」——人事や総務の担当者から、こんな声をよく聞きます。
従業員の運動を後押しする取り組みは、実は国の認定制度につながっています。それが、スポーツ庁の「スポーツエールカンパニー」、通称スポーツエール企業なんですよね。
この記事では、スポーツエールカンパニーとは何かを、認定要件・認定ランク・メリット・2027年度の申請スケジュールまで整理します。自社が認定を目指せるか判断する材料にしてもらえると思います。
スポーツエールカンパニーとは?制度の概要
スポーツエールカンパニーは、従業員の健康増進のためにスポーツ活動の促進に積極的に取り組む企業・団体を、スポーツ庁が認定する制度です。正式名称は「スポーツエールカンパニー」(英語名:Sports Yell Company)で、「スポーツエール企業」と呼ばれることもあります。
制度の目的と背景
働き盛りの20〜50代は、仕事や家事・育児によりスポーツを実施する時間がないと感じる人が多く、スポーツ庁の世論調査でも、この世代のスポーツ実施率は全体平均を下回る傾向が続いています。国は職場を通じて運動の機会を増やすことを狙いとして、2017年度に本制度を創設しました。
対象となる取り組みは、社内運動施設の補助やウォーキングイベント、社内部活動のほか、朝のストレッチ、階段利用の奨励、スタンディングミーティングなど、スポーツ競技に限らない幅広い健康活動を含みます。スポーツを通じた健康投資の効果については、スポーツ福利厚生の効果でも詳しくまとめています。
2026年度の認定実績|1,635団体・大学と国の機関も初認定
認定数は年々増加しており、直近の2026年度は過去最多の1,635団体が認定されました(令和8年1月30日発表)。2024年度が1,246団体、2025年度が1,491団体と着実に拡大しており、スポーツ施策への取り組みが広がっていることがわかります。通算5回以上の継続認定(ブロンズ・シルバー)も500団体を突破し、こちらも過去最多となりました。
また2026年度からは認定対象が企業だけでなく、大学(大阪大学・芝浦工業大学が初認定)と国の機関(スポーツ庁が国機関として初認定)にも拡大されました。2027年度もこの対象範囲は維持されています。スポーツ施策に活用できる支援制度についても把握しておくと、申請準備をよりスムーズに進められます。
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(参考)「スポーツエールカンパニー2026」過去最多の1,635団体を認定 – スポーツ庁
認定の5つの要件
認定を受けるには、スポーツ庁が示す5つの要件をすべて満たす必要があります。まず全体を表で確認してから、各要件の詳細を見ていきましょう。
| 要件 | 概要 |
|---|---|
| ① 組織全体を対象 | 特定の従業員だけでなく、組織全体を対象とした取り組みであること |
| ② 経営層の理解 | 経営層が取り組みを理解し、社内で明確に位置づけていること |
| ③ 社内周知と実施 | 取り組みが社内に周知され、実際に実施されていること |
| ④ 対外公開が可能 | 取り組みの内容を対外的に公開できること |
| ⑤ 反社会的勢力と無関係 | 暴力団等の反社会的勢力と関係がないこと |
スポーツ庁が定める認定要件5項目の概要
① 全従業員を対象とした組織的な取り組みであること
一部の部署や有志のみを対象とした取り組みではなく、全従業員が参加できる仕組みであることが求められます。「健康増進に関心がある人だけが参加するサークル」ではなく、組織として全員に機会を提供する形が前提です。「特定の人だけ」ではなく「会社全体で」運動を後押ししているかどうかがポイントです。
② 経営層の理解と社内での明確な位置づけ
代表取締役や役員レベルでの理解があり、単なる任意の福利厚生ではなく、会社の施策として位置づけられていることが必要です。経営方針や健康経営宣言などに明示されていると、申請の際に説得力が増します。
③ 取り組みの社内周知と実際の実施
施策を整えるだけでなく、実際に社内に告知・周知され、従業員が参加できる状態になっていることが重要です。「計画だけあって実施していない」「一部の人しか知らない」状態では要件を満たしません。取り組みの実施記録や参加者数のデータを残しておくと、申請書類の作成がスムーズです。
④ 取り組みの内容を対外的に公開できること
認定後、スポーツ庁が認定企業として公表します。そのため、自社の取り組み内容が公表されることへの同意と、実際に開示できる状態にあることが必要です。ホームページへの掲載や、ハローワークの求人票への認定PRロゴ表示にも活用できます。
⑤ 反社会的勢力との関係がないこと
暴力団など反社会的勢力との関係がないことが申請の前提条件です。他の認定制度でも標準的に設けられている要件ですが、申請書類上でも確認事項として記載が必要です。
認定ランクの種類|2027年度も基準は変更なし
スポーツエールカンパニーの認定には、取り組みの継続年数や従業員のスポーツ実施率に応じた複数のランクがあります。認定を積み重ねることで、より高いランクの評価が得られる仕組みで、この呼称・条件は2027年度も2026年度から変更されていません(スポーツ庁 令和8年9月1日発表)。
| ランク | 条件 |
|---|---|
| 通常認定 | 5つの要件を満たしていること |
| +(プラス)認定 | 通常認定の要件を満たし、従業員の週1回以上のスポーツ実施率が70%以上であること |
| ブロンズ認定 | 通算5〜6回の認定を取得していること |
| シルバー認定 | 通算7〜9回の認定を取得していること |
| ゴールド認定 | 通算10回以上の認定を取得していること |
スポーツエールカンパニーの認定ランク一覧(2027年度時点。ブロンズ・シルバー・ゴールドの通算回数区分は2026年度から変更なし)
5つの要件を満たすと「通常認定」
前段で紹介した5つの要件をすべて満たすと、まず「通常認定」を取得できます。すべてのランクの土台になる認定です。
スポーツ実施率70%以上で「+(プラス)認定」
「+(プラス)認定」は、従業員のスポーツ実施率が70%以上であることを条件に付与される上位評価です。取り組みが実際に従業員の行動変容につながっているかを示す指標で、2026年度は+認定の団体数も過去最多を更新しました。実施率の計測・記録の仕組みを整えておくと、プラス認定を目指しやすくなります。
通算5〜6回で「ブロンズ認定」
通算5〜6回の認定取得で「ブロンズ認定」が与えられます。単年の取り組みで終わらせず、継続して申請することが評価の第一段階です。
通算7〜9回で「シルバー認定」
通算7〜9回の認定取得で「シルバー認定」に上がります。2026年度はブロンズ・シルバー認定の合計が500団体を突破しており、長期継続によるスポーツ施策の定着が広がっています。
通算10回以上で「ゴールド認定」
通算10回以上の認定取得で最上位の「ゴールド認定」が与えられます。毎年継続して申請することで、採用・PR面でも長期的なブランド価値の向上が期待できます。
認定で得られる3つのメリット
認定には、対外的なアピール以外にも複数のメリットがあります。主なものは次の3つです。
1. 採用ブランディングへの効果
認定マークは、求職者に「従業員を大切にする会社」という印象を与えます。健康やワークライフバランスを重視する若い世代にとって、企業選びのプラス材料になりますよね。認定企業へのアンケートでも「採用の志望者数が増えた」という声が寄せられています。ハローワーク(公共職業安定所)の求人票にも認定PRロゴを表示できるため、採用チャネルでの露出を高められます。
2. 従業員の健康増進と定着率向上
運動習慣の形成は、メンタルヘルスの改善や疾病リスクの低減につながります。スポーツエールカンパニー認定企業へのアンケートでは、「従業員が自分の身体を意識するようになった」「職場のコミュニケーションがよくなった」という回答が多数あり、「休職率が減った」という声も寄せられています。健康的な職場環境は、定着率の向上にも貢献します。
3. 社会的信頼とブランド価値向上
国の認定を受けているという事実は、取引先や地域社会からの信頼にもつながります。従業員を大切にする姿勢は、企業の評判やブランド価値を高める要素になりますよね。健康経営の取り組みの一環として、IR資料や会社案内への掲載など、対外的な発信材料としても活用できます。
申請の流れと2027年度スケジュール
スポーツエールカンパニー2027の申請受付は、2026年9月1日(火)にスタートしました。申請期間は2026年11月2日(月)まで、認定企業(団体)の決定は2027年1月上旬頃を予定しています。ここでは2027年度の具体的なスケジュールと、前年度からの変更点を整理します。
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 2026年9月1日(火)〜2026年11月2日(月) | 2027年度 募集・申請期間 |
| 2027年1月上旬頃(予定) | 2027年度 認定企業(団体)決定 |
| 〜2027年12月31日 | 2027年度 認定期間 |
スポーツエールカンパニー2027 申請・認定スケジュール(スポーツ庁 令和8年9月1日発表。認定企業決定日は予定)
申請期間は2026年11月2日まで
2027年度の申請受付は2026年9月1日に始まり、11月2日で締め切られます。申請対象・認定要件(5つの要件)は2026年度から変更ありません。すでに社内でスポーツ・運動の取り組みを行っている企業・団体は、実施記録や参加者数のデータを早めに整理しておくと、申請書類の作成がスムーズです。
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認定企業の決定は2027年1月上旬頃の予定
認定企業(団体)の決定は2027年1月上旬頃が予定されていますが、確定日ではない点に注意してください。2026年度は2026年1月30日に発表されており、時期はおおむね例年どおりですが、正式な発表日はスポーツ庁からの公表を待つ必要があります。
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申請フォームURL・問い合わせ先が変更
2027年度は申請フォームのURLが変更されています。新しい申請フォームはスポーツエールカンパニー2027 認定申請フォームで、2026年度に使われていた旧URL(form.sportinlife.go.jp/certification-form)とは別のフォームになっているため、過去のブックマークを使っている場合は差し替えが必要です。
個人情報の保管・委託先も、2026年度の株式会社コクーンエイトから株式会社JTBコミュニケーションデザインに変更されました。申請・制度に関する問い合わせ先は、Sport in Life運営事務局(スポーツエールカンパニー専用窓口)のメールアドレス(syc@sil100.com)と、募集期間専用の電話番号(070-3601-5417)です。いずれも2026年度から変更されているため、過去の連絡先を保存していた場合は更新してください。
なお、スポーツ庁が同時に公表した最新の調査(第3期スポーツ基本計画に基づく20歳以上の運動・スポーツ実施率)では、週1回以上の運動・スポーツ実施率は51.7%でした。2026年度の公募時点(52.5%)からは低下しており、職場を通じた運動機会づくりの重要性はむしろ高まっていると言えます。
(参考)「スポーツエールカンパニー2027」の申請受付について – スポーツ庁
Q. スポーツエールカンパニー2027の申請はいつまでできますか?
2026年11月2日(月)までです。申請受付は2026年9月1日に始まっており、認定企業(団体)の決定は2027年1月上旬頃を予定しています。
Q. 認定企業の決定はいつ発表されますか?
2027年1月上旬頃の予定です。ただし確定日ではないため、正式発表はスポーツ庁の発表を待つ必要があります(2026年度は2026年1月30日に発表されました)。
申請前に整えておきたい社内の準備
申請そのものは無料で、書類審査だけで完結します。差がつくのは申請前の社内の状態です。認定企業が実際に何をしているかを見ると、特別な設備投資をしている企業は少数派でした。
| 取り組み | 言及した団体数 |
|---|---|
| ウォーキング・歩数の企画 | 148件 |
| ストレッチ・体操 | 140件 |
| 社内イベント・大会 | 131件 |
| ラジオ体操 | 70件 |
| 施設・設備の提供 | 26件 |
2026年の認定団体1,635件の紹介文を分類した結果より抜粋。1件が複数に該当する場合があります。集計の全体像は認定1,635団体の全数調査にまとめています。
設備の提供に触れた団体は26件にとどまり、上位は歩数と体操でした。まず必要なのは投資ではなく、続く形にすることだと読めます。そのうえで、申請前にやっておくと通りやすくなる準備が3つあります。
スポーツ実施率を計測しておく
週1回以上運動している従業員が社内に何%いるかを把握します。これが申請のベースラインになり、施策の前後を比べる材料にもなります。匿名アンケートで10問以下の簡易版から始めれば十分です。
スポーツ推進の担当者を決めておく
専任である必要はありません。人事や総務が兼任し、企画・実施・記録を担当する形が一般的です。業務負担は月数時間程度で、担当者がいるだけで申請書類の作成が一気に楽になります。
健康経営優良法人の準備と同時に進める
スポーツエールカンパニーの要件は、経済産業省の健康経営優良法人でも評価される項目と重なります。重複する要件を先に洗い出しておくと、2つの認定を1回分に近い工数で狙えます。
Q. 申請にはどれくらいの準備期間が必要ですか?
既に運動の取り組みがあるなら1〜2か月で足ります。実施率の計測と担当者の決定に数週間、書類作成に数週間が目安です。ゼロから施策を作る場合は、実施の記録が必要になるため半年程度を見込んでください。
認定を取った後にやること
認定はゴールではなく通過点です。取得後に社内の取り組みが止まってしまうと、翌年の継続申請で書くことがなくなります。やるべきことは発信と記録の2つだけです。
認定マークを社内外へ発信する
採用ページ、社内報、SNS、プレスリリース、取引先への案内で認定を伝えます。社外向けの効果はもちろんですが、社内への発信も同じくらい効きます。自社の取り組みが国に評価されたと共有することが、翌年の参加率を押し上げます。
取り組みを記録して継続申請に備える
年度初めにスポーツ推進のカレンダーを作り、四半期ごとに実績を振り返る形にしておくと続きます。通算5〜6回で「ブロンズ」、7〜9回で「シルバー」、10回以上で「ゴールド」の区分があり、継続そのものが評価される制度設計になっているためです。
Q. 認定は毎年申請し直す必要がありますか?
必要です。認定は年度ごとで、翌年も認定を受けるには改めて申請します。通算5〜6回で「ブロンズ」、7〜9回で「シルバー」、10回以上で「ゴールド」の区分があり、続けるほど評価が上がる仕組みです。
Q. 中小企業でも認定を取れますか?
取れます。認定団体の86.7%は株式会社で、規模の下限は設けられていません。上位の取り組みはウォーキングやラジオ体操など設備投資を伴わないものが中心で、人数の少ない企業ほど全社での実施率を上げやすい面もあります。
まとめ
スポーツエールカンパニーは、健康への取り組みを国が認める制度です。最後に要点を整理します。
- スポーツエールカンパニー(スポーツエール企業)は、従業員のスポーツ活動を後押しする企業・団体をスポーツ庁が認定する制度(2017年度創設)
- 直近の2026年度は過去最多の1,635団体を認定。大学・国の機関も新たに認定対象に追加された
- 認定には5つの要件(組織全体での取り組み・経営層の理解・社内周知・対外公開・反社排除)が必要
- スポーツ実施率70%以上は「+認定」、通算5〜6回でブロンズ、7〜9回でシルバー、10回以上でゴールドのランク制度がある
- スポーツエールカンパニー2027の申請受付は2026年9月1日〜11月2日。認定企業の決定は2027年1月上旬頃の予定で、申請フォームURL・問い合わせ先・個人情報の委託先が2026年度から変更されている
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