健康経営に取り組んでいても、「効果が見えにくくて、経営層に続ける価値を説明できない」と悩む担当者は多いですよね。施策をやりっぱなしにせず、投資対効果を数字で示せるかどうかが、健康経営を続けられるかの分かれ目になります。
この記事では、健康経営の効果測定とKPI設計について、主要KPIの選び方・測定方法・経営層への報告のコツを順に解説します。「投資として経営に示せる形にしたい」という方の参考になればと思います。
なぜ健康経営に効果測定が必要なのか
健康経営は「やさしい福利厚生」ではなく、人への投資です。投資である以上、どんな効果が出ているかを測って示すことが欠かせません。測定があってはじめて、施策の改善も予算の確保もできるんですよね。
「コスト」から「投資」へ見方を変える
効果測定の最大の意味は、健康への支出を「コスト」ではなく「投資」として語れるようにすることです。経済産業省は健康投資の効果を可視化する考え方として、健康投資管理会計ガイドラインを示しています。これは、健康への投資・取り組み・効果のつながりを整理して見える化する枠組みなんですよね。やみくもに数字を集めるのではなく、「何のために何を測るか」を設計することが出発点になります。測定の型を持つことで、経営の意思決定に乗せやすくなります。
健康経営の主要KPI
KPIは大きく3つの階層で考えると整理しやすくなります。投資・行動・成果です。順に見ていきますね。
1. 投資・実施のKPI
まずは「どれだけ取り組んだか」を表す指標です。健康施策への投資額、健診・ストレスチェックの受診率、運動プログラムやイベントの参加率などが当てはまります。これらは取り組みの土台がどれだけ整っているかを示すんですよね。参加率が低ければ、効果が出る以前に施策が届いていない、ということが分かります。まずはこの実施レベルのKPIを押さえることが基本です。
2. 行動・状態変容のKPI
次に、施策によって従業員の行動や状態がどう変わったかを表す指標です。運動習慣のある人の割合、睡眠や食事の改善、適正体重の割合、ストレス状態の変化などが含まれます。投資が実際の変化につながっているかを示す、中間の指標なんですよね。ここが動いていれば、施策が形だけでなく実を結びつつあると判断できます。アンケートやウェアラブルのデータを組み合わせると、変化を捉えやすくなります。
3. 成果・経営インパクトのKPI
最後に、経営にどう跳ね返ったかを表す指標です。アブセンティーズム(欠勤)やプレゼンティーズム(出勤しているが不調で生産性が落ちる状態)、離職率、従業員満足度などが代表例です。最終的にはこの成果KPIが、健康投資の価値を経営に示す決め手になるんですよね。行動変容のKPIと組み合わせて「投資→行動→成果」の流れで語ると、説得力が高まります。
測定と経営報告のポイント
KPIを決めたら、どう測り、どう経営層に伝えるかが勝負です。ここを工夫すると、健康経営が続けやすくなります。
ストーリーで「投資→成果」をつなぐ
報告のコツは、数字を羅列するのではなく、「投資→行動→成果」のストーリーでつなぐことです。たとえば「運動支援に投資した結果、運動習慣者が増え、プレゼンティーズムが改善した」という流れで示すと、経営層にも価値が伝わるんですよね。比較のために前年や同業の水準を併記すると、現在地が分かりやすくなります。健康経営とウェルビーイングの違いや、運動と生産性の関係を押さえると、報告の説得力がさらに増します。
(参考)これからの健康経営について(2025年4月) – 経済産業省
具体例:参加率と欠勤率をつなげて経営会議で報告
あるメーカーの人事部は、運動支援プログラムの参加率と、欠勤日数・残業時間の推移を一枚の資料にまとめて経営会議に出しました。「参加率が上がった部署ほど欠勤が減っている」という関係を示したところ、経営層から追加予算の承認を得られたそうです。完璧な因果を証明できなくても、投資・行動・成果の指標を並べて傾向を語るだけで、説得力はぐっと上がるんですよね。測定を経営の言葉に翻訳した好例だと思います。
まとめ:測って語れる健康経営へ
健康経営の効果測定は、投資の価値を経営に示し、施策を続けるための土台です。要点を整理します。
- 健康経営は人への投資。効果測定があってはじめて改善と予算確保ができる
- KPIは「投資・実施」「行動・状態変容」「成果・経営インパクト」の3階層で設計する
- 健康投資管理会計などの枠組みを使い、「何のために何を測るか」を先に決める
- 報告は数字の羅列でなく「投資→行動→成果」のストーリーでつなぐと伝わる
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