プレゼンティーズムとは?改善施策と運動の効果

プレゼンティーズムとは?改善施策と運動の効果 スポーツウェルビーイング

「出勤はしているのに、なんだか集中できていない社員が多い気がする」と感じたことはありませんか。その状態は「プレゼンティーズム」と呼ばれ、企業の生産性を静かに下げている要因かもしれません。

この記事では、プレゼンティーズムの意味と、改善のための施策を整理します。生産性損失の考え方や測定方法、そして運動・健康投資による改善まで、人事担当者がすぐ動ける形でまとめました。

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プレゼンティーズムとは?意味と注目される背景

プレゼンティーズムとは、出勤はしているものの、心身の不調によって本来のパフォーマンスを発揮できていない状態を指します。欠勤や休職を意味する「アブセンティーズム」と対になる言葉です。欠勤と違って表に出にくいため、見過ごされやすいのが特徴です。

注目される背景には、健康経営の広がりがあります。経済産業省は健康投資管理会計ガイドラインのなかで、プレゼンティーズムとアブセンティーズムを、健康投資の効果を測る指標として位置づけています。健康への取り組みを「成果」として語るうえで、欠かせない考え方になっているんですね。

健康経営への取り組みは年々広がっており、経済産業省は2026年3月、「健康経営優良法人2026」として大規模法人部門3,765法人・中小規模法人部門23,085法人を認定したと発表しました。プレゼンティーズムのような見えにくい生産性損失への対策は、もはや一部の先進企業だけの取り組みではなく、業種・規模を問わず標準的な経営課題になりつつあります。

(参考)「健康投資管理会計ガイドライン」について – 経済産業省

(参考)「健康経営優良法人2026」認定法人が決定しました – 経済産業省

プレゼンティーズムによる損失はどれくらい?

プレゼンティーズムは、見えにくいぶん損失が大きくなりやすい問題です。欠勤のように「休んだ日数」で数えられないため、気づかないうちにじわじわとコストが積み上がります。一般に、プレゼンティーズムは健康関連の総コストのなかで大きな割合を占めるとされており、欠勤による損失よりも影響が大きいと指摘されています。

たとえば、肩こりや頭痛、睡眠不足、気分の落ち込みなどを抱えたまま働くと、一日あたりの効率は少しずつ下がります。その小さな低下が、人数と日数を掛け合わせると無視できない金額になるわけです。だからこそ、早めの対策が大切になります。運動不足と健康リスクの関係は運動不足の従業員が抱える健康リスクとコストでも解説しています。

プレゼンティーズムを測る方法

改善するには、まず現状を測ることが出発点になります。プレゼンティーズムは、アンケート形式の調査票を使って測るのが一般的です。「健康上の問題で仕事がどの程度はかどらなかったか」を本人に振り返ってもらい、数値化します。定期的に測ることで、施策の前後で変化を比べられるようになります。いきなり完璧を目指さず、簡単な調査から始めて、継続して記録することがポイントです。

スポーツ・運動がプレゼンティーズムを改善するメカニズム

なぜスポーツ・運動習慣がプレゼンティーズムの改善につながるのでしょうか。科学的なメカニズムを4つの観点から整理します。

改善メカニズム 具体的な効果
①脳機能の向上 認知機能・集中力・記憶力の改善
②メンタルヘルスの安定 ストレス軽減・抑うつ感の低下
③睡眠の質の向上 深い睡眠→翌日の集中力アップ
④身体的不調の予防・改善 腰痛・肩こり・疲労感の軽減

表|スポーツ・運動がプレゼンティーズムを改善する4つのメカニズム

①脳機能の向上

有酸素運動は脳への血流を増加させ、神経成長因子(BDNF)の分泌を促進します。BDNFは記憶・学習・集中力に関わる神経回路の強化に働き、運動後は認知パフォーマンスが向上することが複数の研究で示されています。「昼休みに少し歩くだけで午後の集中力が上がった」という体感は、こうした生理的メカニズムに基づいています。

②メンタルヘルスの安定

運動はエンドルフィン・セロトニン・ドーパミンの分泌を促し、ストレス反応を緩和します。定期的な運動習慣はうつ症状・不安症状の改善に効果があることが多くの研究で確認されており、精神的なプレゼンティーズムの低減に直接つながります。週2〜3回の有酸素運動が精神的不調の予防に有効とされています。

③睡眠の質の向上

適度な運動は体温調節・自律神経のバランスを整え、深い睡眠(ノンレム睡眠)の時間を増やします。良質な睡眠は翌日の集中力・判断力・感情コントロールに直結しており、睡眠不足によるプレゼンティーズムを根本から改善します。ただし、就寝直前の激しい運動は逆効果になるため、夕方以前の実施が推奨されます。

④身体的不調の予防・改善

デスクワーク中心の働き方では、長時間同じ姿勢による腰痛・肩こり・眼精疲労が生産性を蝕みます。定期的な運動は筋力・柔軟性・血行を改善し、こうした身体的プレゼンティーズムの原因を根本から解消します。特に体幹トレーニング・ストレッチ・軽いウォーキングは職場でも取り入れやすい改善策です。

(参考)労働安全衛生調査(実態調査)– 厚生労働省

企業でのプレゼンティーズム対策|スポーツ導入の具体的な方法

プレゼンティーズムをスポーツ・運動で改善するための企業施策を紹介します。

昼休みウォーキングの仕組み化

昼休みの15〜20分のウォーキングを組織的に推進する施策は、コストを抑えながらプレゼンティーズム改善効果が高い取り組みです。部門ごとにウォーキング記録アプリを使ったチャレンジ形式にすると参加率が上がります。「個人の健康習慣」を「組織の文化」に変えることがポイントです。

フィットネス補助制度の導入

ジム・フィットネスクラブの費用を月額3,000〜5,000円補助する制度は、従業員の運動習慣を後押しします。特にリモートワーク中心の職場では、運動機会が減少してプレゼンティーズムが深刻化しやすいため、こうした補助制度の効果が高まっています。

プレゼンティーズムを改善する3つの施策

測定で課題が見えたら、次は改善です。ここでは効果が見込める3つの施策を紹介します。「把握」「健康投資」「環境」という順番で進めると取り組みやすいです。

① 健康課題の把握

まずは、どんな不調が多いのかを把握します。健康診断やストレスチェック、アンケートの結果を組み合わせると、職場に多い課題が見えてきます。肩こりや腰痛が多いのか、メンタル不調が目立つのかで、打つべき手は変わります。課題を特定せずに施策を打っても、効果は出にくいんですね。

② 運動・健康投資

次に、運動を中心とした健康投資です。運動には、体調を整え、気分をやわらげ、集中力を高める働きがあるとされています。ウォーキングイベントや体操、ジムの法人契約などで体を動かす機会を増やすと、不調を抱えたまま働く状態の改善が期待できます。運動と生産性の関係は運動習慣が生産性を上げる研究データまとめで詳しく扱っています。

③ 働き方・職場環境の見直し

3つ目は、働き方や職場環境の見直しです。長時間労働の是正、休憩の取りやすさ、座りっぱなしを防ぐ工夫などが当てはまります。経済産業省も、これからの健康経営として働く環境を含めた健康づくりを後押ししています。体を動かしやすく、休みやすい環境そのものが、プレゼンティーズムの予防につながります。

(参考)これからの健康経営について(2025年4月) – 経済産業省

まとめ

プレゼンティーズムは、欠勤と違って表に出にくいぶん、測って初めて手が打てる指標です。運動習慣は睡眠・自律神経・メンタルの3方向から同時に効くため、健康投資の入り口として取り組みやすい施策になります。本記事の要点を整理しておきます。

  • プレゼンティーズムは、出勤していても不調で力を発揮できない状態を指す
  • 経産省は健康投資の効果指標としてプレゼンティーズムを位置づけている
  • 欠勤より見えにくく、健康関連コストの大きな割合を占めるとされる
  • アンケート形式の調査票で測定し、施策前後の変化を比べることが基本
  • 改善は「健康課題の把握」「運動・健康投資」「職場環境の見直し」の3つが軸
  • 運動は睡眠の質・自律神経・メンタルの3経路からプレゼンティーズムに効く

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About The New株式会社 代表取締役 森永 昂
執筆者
About The New株式会社 代表取締役 森永 昂

新卒で東証プライム上場の社会人教育・コンサルティング企業に入社し、人材育成・組織開発に従事。その後、別企業でメディア・プラットフォーム事業の責任者を務める。

2025年5月に About The New株式会社 を設立。スポーツの現場で培われた知見を組織開発・人材育成の文脈に翻訳し、研修・チームビルディング・イベントの企画運営を行っています。

「知識を得る」で終わらせず「行動が変わる」ところまでを設計することを大切にしています。ご相談は contact@aboutthenew.co.jp まで。

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