AI動作解析で読むスポーツパフォーマンス|経営者の導入視点

AI動作解析によるスポーツパフォーマンス分析の仕組みを示すHuman Soarのアイキャッチ画像 スポーツAI

「スマートフォン1台で選手のフォームを分析できる」。数年前まで高額な専用機材が必要だったモーション分析が、AIの進化によって身近になりつつあります。とはいえ、経営者やDX/AI導入担当者にとっては「結局どういう仕組みで何が分かるのか」「自社の事業にどう応用できるのか」が見えにくいテーマでもあります。

この記事では、国立スポーツ科学センター(JISS)が実際に行っている動作測定の考え方と、スポーツ庁の産業連携事業(SOIP)に見る企業活用のパターンをもとに、AI動作解析の仕組みと応用可能性を整理します。

スポーツをビジネスに使うなら、どこから手をつけるべきか

「自社の場合どこから始めればいいか分からない」という段階のご相談を受け付けています。

当てはまる課題を4つから1つ選んでいただくと、最初に決めることよくある失敗をお送りします。

LINEで相談する

いただいた情報の取り扱いはプライバシーポリシーをご確認ください。

AI動作解析の技術的な仕組み

AI動作解析は大きく分けて「センサー型」と「映像型」の2つのアプローチがあります。センサー型は、身体に装着したセンサーや専用のマットスイッチなどで筋力・跳躍力といった物理量を直接測定する方式です。国立スポーツ科学センター(JISS)のバイオメカニクス実験室では、筋力測定装置やジャンプ能力測定用マットスイッチを用いて、膝関節・股関節・体幹など部位ごとの筋力バランスや左右差を評価しています。

一方の映像型は、通常のカメラで撮影した映像から、AI(深層学習モデル)が関節の位置を推定し、フォームや姿勢の変化を数値化する方式です。専用機材を必要とせず、スマートフォン1台でも分析できる手軽さから、近年急速に普及が進んでいます。

(参考)バイオメカニクス実験室 – 国立スポーツ科学センター(JISS)/ハイパフォーマンススポーツセンター(日本スポーツ振興センター)

センサー型と映像型|自社に合う方式を選ぶ視点

導入を検討する際は、どちらが優れているかではなく、目的に応じて使い分ける視点が重要です。Human Soarで両方式の特徴を独自に整理したのが下表です。

方式 得意なこと 導入コスト感
センサー型 筋力・左右差など物理量の精密測定 高め(専用機材が必要)
映像型(AI推定) フォームの可視化・多人数の同時分析 低め(スマホ・クラウドで対応)

JISSの測定設備の性質とAI映像解析サービスの一般的特徴をもとにHuman Soarが独自に比較整理したものです。

センサー型が向くケース

けがの予防や競技力の精密な向上を目的とする場合、筋力の左右差や関節ごとの出力を数値で正確に把握できるセンサー型に分があります。プロチームや強化指定選手のように、精度が最優先される現場に向いています。

映像型が向くケース

導入のしやすさやコストを重視する中小規模のチーム・企業研修の現場では、特別な機材を必要としない映像型が現実的です。多人数を同時に撮影して比較できる点も、集合研修やスクール事業との相性がよい理由です。

導入企業の活用パターン|スポーツオープンイノベーションに見る事例

スポーツ庁の「スポーツオープンイノベーション推進事業(地域版SOIP)」では、プロスポーツチームと他産業の企業が連携し、テクノロジーを活用した実証事業に取り組んでいます。北海道の事例では、経済産業省北海道経済産業局とプロスポーツチームが連携し、企業のデータ・技術をスポーツの現場に持ち込む実証が行われました。

この枠組みが示すのは、AI動作解析のような技術を「スポーツチームだけが使うもの」として囲い込むのではなく、他業種の企業がスポーツの現場と組むことで、自社の技術の新しい活用先を見つけられるという点です。動作解析データを健康経営や人材育成の研修プログラムに応用する動きも広がっています。

(参考)スポーツオープンイノベーション推進事業の成果を報告します – 経済産業省北海道経済産業局

あわせて読みたいAIパフォーマンス分析を導入する企業の活用パターン

自社への応用可能性|スポーツ以外の現場でも使える視点

AI動作解析の技術は、選手のパフォーマンス分析だけでなく、工場の作業動作の効率化や、介護・医療現場でのリハビリ支援、研修における姿勢指導など、スポーツ以外の現場にも応用が進んでいます。経営者・DX/AI導入担当者がまず検討すべきは、自社のどの業務に「動きの数値化」が価値を生むかという視点です。

例えば、体を使う研修プログラムを実施している企業であれば、参加者のフォームをAIで可視化し、改善点をその場でフィードバックする仕組みは、座学中心の研修よりも高い定着率が期待できます。まずは映像型のような低コストな方式で小規模に試し、効果が確認できればセンサー型による精密測定へ拡張する、という段階的な導入が現実的です。

あわせて読みたい機械学習でACL傷害を予防するバイオメカニクス分析

まとめ

  • AI動作解析はセンサー型(精密測定)と映像型(AI推定・低コスト)の2方式がある
  • JISSのような研究機関はセンサー型で筋力・左右差を精密に評価している
  • スポーツ庁のSOIPに見られるように、他業種企業がスポーツ現場と組むことで技術の新しい活用先が生まれる
  • 自社への応用は、まず映像型で小規模に試し、効果を見てセンサー型へ拡張する段階設計が現実的
  • 動作解析は選手だけでなく、研修・リハビリ・作業効率化などスポーツ以外にも応用できる

ご質問・ご相談はお気軽にどうぞ

お問い合わせはこちら →
About The New株式会社 代表取締役 森永 昂
執筆者
About The New株式会社 代表取締役 森永 昂

新卒で東証プライム上場の社会人教育・コンサルティング企業に入社し、人材育成・組織開発に従事。その後、別企業にてメディア・プラットフォーム事業の責任者を務める。
現在は独立し、About The New株式会社を設立。教育コンテンツの研究・開発を行い、スポーツの知見を活かした人材育成プログラムを提供している。

コメント

タイトルとURLをコピーしました