大塚達宣のセリエA挑戦|体を変えた週1試合の練習環境

大塚達宣のセリエA挑戦と体づくりを解説する記事のアイキャッチ スポーツアスリート

半年前と同じ体育館の同じ場所に立ってもらい、同じ構図で写真を撮る。それなのに、シャツの胸の張り方が明らかに違っている。イタリア・セリエAに渡ったバレーボール日本代表の大塚達宣選手には、そういう変化が起きていました。

海外挑戦の話は語学や食事の苦労に寄りがちですが、大塚選手の場合は「体そのものが変わった」ことが最初に目に見える形で表れています。この記事では、本人が語った数値と、日本とイタリアのリーグ構造の違いを手がかりに、環境が変わったときに体づくりがどう変わるのかを整理します。読み終えたときに、自分の1週間の組み替え方まで持ち帰れる内容にしました。

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半年で胸周り3〜4cm|大塚達宣の体に起きた変化

大塚選手は京都出身のアウトサイドヒッターで、大学在学中からパナソニックパンサーズ(現・大阪ブルテオン)でプレーし、2024-25シーズンからイタリア・セリエAのパワーバレー・ミラノに移籍しました。変化が数字で語られたのは、渡伊から半年後の取材でのことです。

本人によると、胸周りは3〜4cm、腕周りも2〜3cm太くなったといいます。体重が何kg増えたという公表値はなく、あくまで本人が自分の体で感じ取った周径囲の変化です。それでも、同じ場所で撮影した渡伊直後と半年後の2枚を並べると、体の厚みの違いは写真からもはっきり分かる状態でした。

変化は見た目だけにとどまりません。スパイクを打ったときの音、ブロックやレシーバーを弾き飛ばす威力といった、コート上の現象としても現れています。本人は自己ベストが半年でイタリアの側から更新されていっている、という趣旨の言い方をしていました。数値と現象の両方がそろっている点が、この事例の説得力を支えています。

(参考)「あれ、ゴツくなってない?」大塚達宣が明かすイタリアでの変化 – Number Web(文藝春秋)

週1試合というセリエAの構造がVリーグとの練習量の差を生んでいる

なぜ半年でここまで変わったのか。本人が挙げた最大の理由は、努力量ではなくリーグの構造でした。試合の入り方が違えば、平日に置ける負荷の量も置ける場所も変わります。まず両リーグの1週間を比べてみます。

比べる観点 日本(Vリーグ時代) イタリア(セリエA・ミラノ)
試合数 土日に2連戦が基本 日曜に1試合が基本
平日練習 月はオフ、木は練習後に移動、金は会場練習 アウェイ週でも火水木金はフル練習
ウエイト シーズン中はコンディション維持が中心 毎週火曜に重い刺激を入れる

表:大塚達宣選手が語った日本とイタリアの1週間の違い

試合数|週末2連戦と日曜1試合という前提の差

日本では土日に2連戦を組むのが基本で、週の後半は試合の準備と移動に充てられます。一方セリエAは日曜1試合が基本のため、週の前半から中盤にかけて、試合から遠い時間帯が丸ごと空きます。この空いた時間が、そのまま練習に使える枠になりました。

平日練習|アウェイ週でも火曜から金曜までフルで動く

日本では月曜がオフ、木曜は練習後に移動、金曜は会場練習という組み方が一般的でした。ミラノではアウェイの週でも火水木金はフルで練習し、土曜も練習してから移動します。同じ「平日」でも、体にかかっている総量がまるで違うわけですね。

ウエイト|シーズン中も維持で終わらせない積み方

大塚選手が特に強調していたのが、毎週火曜のウエイトトレーニングです。日本ではリーグ戦中のウエイトは落とさないための「維持」が中心でしたが、ミラノではシーズン中であっても維持という感覚がないといいます。周径囲が伸びた直接の理由は、この積み方の違いにあると考えるのが自然です。

(参考)大塚達宣が語る日本とイタリアの練習スケジュールの違い – Number Web(文藝春秋)

練習でいっぱい失敗できる余裕が技術の伸びを支えている

週1試合の効果は、筋量だけではありませんでした。大塚選手は、練習でいっぱい失敗できる余裕があることを、この環境の価値として語っています。次の試合まで日数があるので、うまくいくか分からない試し方をしても、修正する時間が残っているという意味です。

その成果として本人が挙げているのが、速いトスに対してもパワーの乗ったスパイクを広いコースへ打ち分けられるようになったことです。パワーがついたことと打ち方を覚えたことの両方が理由で、いまは速いトスへの怖さがない、と話しています。積み重ねの結果だ、という言い方も繰り返していました。

もう一つ、本人が挙げた予想外の効果が言語です。イタリア語を理解するために口の動きやジェスチャーまで見る必要があり、その結果として練習中の集中度が上がったといいます。ミラノには2024年秋に加入し、序盤は怪我で途中出場が続きましたが、年明け1月下旬のピアチェンツァ戦でMVPを獲得して以降、結果を出せるようになりました。

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(参考)大塚達宣のミラノ加入からピアチェンツァ戦MVPまで – Number Web(文藝春秋)

海外移籍と体づくりの検索上位で公的データを引いた記事は0本だった

この話題がネット上でどう扱われているのかを確かめるため、筆者は「大塚達宣 セリエA」「バレーボール 海外移籍 体づくり」の検索上位から実際に本文を読めた13本を集め、6つの論点について言及の有無を数えました。結果は下のグラフのとおりです。

海外移籍と体づくりの検索上位13本を論点別に集計した棒グラフ

図:「大塚達宣 セリエA」「バレーボール 海外移籍 体づくり」の検索上位のうち本文を読めた13本を筆者が2026年8月に調査・分類

食事や栄養の話には13本中6本が触れており、身体面の準備にも3本が踏み込んでいました。つまり「体をどう作るか」というテーマ自体は扱われています。読者が困るのは、その先の部分です。

公的資料を引いた記事は13本中0本だった

最も差が出たのがここでした。増量や栄養の話をしていても、根拠はクラブの栄養士や専属トレーナーの証言までで止まっており、国や公的研究機関の資料に接続した記事は1本もありません。誰の話なのかは分かるのに、どこまで一般化できる話なのかが読者側で判断できない状態です。

練習環境の違いを具体的に説明した記事は1本だけ

海外は練習量が多い、という書き方はよく見かけます。しかし試合数や週のスケジュールまで下ろして説明していた記事は13本中1本でした。前章の表のように週単位で並べると、なぜ体が変わるのかが構造として見えてきます。

読者が真似できる手順を書いた記事も1本にとどまった

選手の変化を紹介して終わる記事がほとんどで、読んだ人が自分の生活に置き換えるための手順まで書いたものは1本でした。裏を返せば、この記事が最後に手順を置く意味もそこにあります。

国のスポーツ科学インフラがトップ選手の体づくりを支えている

海外に出る選手の体づくりは、本人の努力だけで成立しているわけではありません。日本には、それを科学的に支えるための公的な拠点が整備されています。

独立行政法人日本スポーツ振興センターが運営する国立スポーツ科学センター(JISS)は2001年に開設され、ハイパフォーマンス・ジムや風洞実験棟に加えて、生理学実験室、生化学実験室、体力科学実験室、バイオメカニクス実験室、栄養相談室、アスリートリハビリテーション室などで構成されています。体をどう作るかを感覚ではなく測定で扱う設備が、国の施設として用意されているということですね。

スポーツ庁もまた、日本オリンピック委員会や各競技団体と連携しながら、競技力向上事業やハイパフォーマンス・サポート事業を通じて選手強化の支援と環境整備を行っていると説明しています。海外挑戦を個人の冒険としてだけ見るのではなく、こうした支援の枠組みとセットで捉えると、社会人アスリートや企業の側にも参考になる部分が出てきます。

(参考)JISS(国立スポーツ科学センター)施設案内 – 独立行政法人日本スポーツ振興センター ハイパフォーマンススポーツセンター

(参考)高度なパフォーマンスを支えるために – スポーツ庁

環境が変わったときに体づくりを決める3つの順番

ここまでの内容を、競技者でなくても使える形にまとめます。大塚選手のケースから取り出せるのは、根性論ではなく順番の話です。新しい環境に入ったら、次の順番で決めていくと迷いが減ります。

環境が変わったときに体づくりを設計する3ステップの図解

図:環境が変わったときに体づくりを設計する3つの順番

STEP1 新しい1週間の型を紙に書き出す

最初にやるのは、トレーニング内容を決めることではありません。試合日、移動日、オフ、外せない予定を1週間分そのまま紙に並べ、どこが空いているかを見つけることです。大塚選手の変化も、努力の量ではなく空いた枠の位置が変わったことから始まっています。

STEP2 一番重い刺激を置く曜日を1日だけ固定する

空いた枠が見つかったら、その中の1日を選び、毎週そこに最も重い負荷を置くと決めます。ミラノでいえば火曜のウエイトがこれにあたります。曜日を固定すると、その週が忙しくても最低限の積み上げは残るので、体づくりが気分に左右されにくくなります。

STEP3 変化が見える数字を1つだけ持つ

最後に、積み上がっているかを確かめる指標を決めます。大塚選手が語ったのは体重ではなく胸周りと腕周りでした。体重は食事や水分ですぐ動くため、努力の結果が見えにくいことがあります。周径囲や挙上重量のように、変化が遅い代わりに積み上げが素直に出る数字を1つ持っておくと続けやすくなります。

この3ステップは、企業の海外赴任や異動にもそのまま当てはまります。転勤先で成果が出ないとき、多くの場合は本人の能力ではなく1週間の型が旧環境のままになっていることが原因です。人事や現場のマネージャーが最初に確認すべきなのは、頑張っているかどうかではなく、新しい環境で負荷を置ける枠がどこにあるかという点でしょう。

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よくある質問

大塚達宣選手のセリエA挑戦と体づくりについて、検索されることの多い疑問をまとめました。

大塚達宣選手はいつからセリエAでプレーしているのですか

2024-25シーズンからイタリア・セリエAのパワーバレー・ミラノでプレーしています。それ以前は大学在学中からパナソニックパンサーズ(現・大阪ブルテオン)に在籍していました。

半年でどのくらい体が変わったのですか

本人によると、胸周りが3〜4cm、腕周りが2〜3cm太くなったとのことです。体重の増加量は公表されていないため、周径囲の変化として理解するのが正確です。

セリエAとVリーグでは練習量がそれほど違うのですか

本人はどちらが良い悪いという話ではないと明言しています。ただしセリエAは日曜1試合が基本で、日本は週末2連戦が基本という試合数の前提が違うため、平日に置ける練習量に差が生まれる構造になっています。

競技者でなくても参考にできる部分はありますか

あります。本記事の3ステップは、まず1週間の型を書き出し、重い負荷を置く曜日を1日固定し、変化が見える数字を1つ持つという流れです。転職や異動で生活リズムが変わった人にも応用できます。

まとめ

大塚達宣選手の半年から読み取れることを、最後に整理しておきます。

  • 渡伊から半年で胸周りが3〜4cm、腕周りが2〜3cm太くなったと本人が語っている
  • 変化の背景にあるのは努力の量ではなく、日曜1試合というセリエAの構造が平日に生んだ余白
  • 毎週火曜に重い刺激を置き、シーズン中も維持で終わらせない積み方が周径囲の伸びにつながった
  • 検索上位13本のうち、公的資料に接続した記事は0本、練習環境と実践手順に踏み込んだ記事は各1本にとどまる
  • 環境が変わったときは、1週間の型を書き出す→重い負荷の曜日を固定する→変化が見える数字を1つ持つ、の順に決めると迷いが減る

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About The New株式会社 代表取締役 森永 昂
執筆者
About The New株式会社 代表取締役 森永 昂

新卒で東証プライム上場の社会人教育・コンサルティング企業に入社し、人材育成・組織開発に従事。その後、別企業にてメディア・プラットフォーム事業の責任者を務める。
現在は独立し、About The New株式会社を設立。教育コンテンツの研究・開発を行い、スポーツの知見を活かした人材育成プログラムを提供している。

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