アスリートに共通するルーティンの3つの型

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「試合前に必ず同じ動作をする」「毎朝決まった回数のトレーニングをこなす」——アスリートのルーティンと聞くと、多くの人は験担ぎのような儀式を思い浮かべるかもしれません。しかし実際に一流と呼ばれる選手たちの習慣を見ていくと、その中身は大きく3つのタイプに分かれることが見えてきます。共通しているのは、気分に左右されず「同じ状態を再現する仕組み」として習慣を設計している点です。

本記事では、卓球・野球・テニス・マラソンなど競技の異なる8人のアスリートのルーティンを横断し、共通する型を整理しました。それぞれの型が、私たちの日常や仕事にどう応用できるかも合わせて見ていきます。

ルーティンに共通する3つのパターン

8人のルーティンを見比べると、大きく「反復と量で土台を作るタイプ」「思考を型化して心を整えるタイプ」「環境や逆境に適応し続けるタイプ」の3つに整理できます。

パターン 特徴
反復と量で土台を作る 特別な儀式ではなく、決まった練習量を淡々と積み重ねることで安定した精度を生む
思考を型化して心を整える 試合前後の呼吸・自己対話・受け止め方を、あらかじめ決まった手順として持っておく
環境や逆境に適応し続ける 長い競技人生の中で、先輩から学ぶ姿勢やチームの変化に合わせて習慣自体を更新し続ける

表:アスリートのルーティンに共通する3つのパターン

反復と量で土台を作るタイプ

派手な儀式ではなく、練習そのものの「量」と「同じ手順の繰り返し」を積み重ねることで、本番でも普段通りの動作を引き出すタイプです。

思考を型化して心を整えるタイプ

緊張する場面でも崩れないよう、呼吸や自己対話、受け止め方をあらかじめ決まった手順として持っておくタイプです。

環境や逆境に適応し続けるタイプ

長いキャリアの中で一つのやり方に固執せず、周囲から学びながら習慣自体をアップデートし続けるタイプです。

反復と量を積み重ねるタイプ

特別なことをしているわけではない——このタイプに共通するのは、練習量そのものを裏切らない土台として扱っている点です。

篠塚大登|練習を積み重ねること自体がルーティン

世界卓球選手権の男子ダブルス決勝、日本にとって64年ぶりとなる金メダルがかかった一戦でも、篠塚大登選手はコートに入る前、いつもと変わらない量のフットワーク練習とサービス練習をこなしていました。彼にとってのルーティンとは「練習を積み重ねること」そのものであり、その積み重ねが本番での安定した精度を生んでいます。

高橋尚子|数字で裏付けられた朝の反復

2000年シドニー五輪金メダリストの高橋尚子選手は、現役時代「毎日腹筋2000回。朝1000回、夕方1000回がルーティン」だったことをSNSで明かしています。反復の「量」そのものが、本番での自信の裏付けになっていたことがうかがえます。

張本智和|人より早く来て、人より遅く残る

中学2年生で全日本選手権史上最年少優勝を果たした張本智和選手は、日本オリンピック委員会のインタビューで「練習時間よりも少し早く来て自主練習に励み、誰よりも遅くまでトレーニングをする」という習慣を語っています。この積み重ねが、歴史的な記録の土台になりました。

心を整える思考の型を持つタイプ

技術だけでなく、緊張下でも心を崩さないための「思考の手順」を持っているのがこのタイプの特徴です。

コーコー・ガウフ|呼吸と自己対話を意識的に使う

10代でグランドスラムを制したコーコー・ガウフ選手を支えているのは、強打やスピードだけでなく、試合中に心を整えるルーティンです。プレッシャーの大きい場面で崩れないよう、呼吸や自己対話を意識的に使いこなしています。

南野拓実|批判を受け止め直す言葉を持つ

欧州トップリーグを渡り歩く南野拓実選手は、壁に当たり苦しんだ時期を「自分自身に絶望して」という言葉で振り返っています。それでも「どれだけ批判されようと、ナンボのもんだ」という自分なりの言葉で立て直してきた経験を明かしており、思考を型として持っておくことの強さがうかがえます。

白鵬|弱さを受け入れることを習慣にする

史上最多45回の幕内最多優勝を誇る白鵬を9年間サポートしたトレーナーは、その強さの源について「弱さを受け入れること、繊細な感覚にあった」と証言しています。強さを誇示するのではなく、弱さを受け止める姿勢そのものが習慣化されていたのです。

環境や逆境に適応し続けるタイプ

一つのやり方に固執せず、周囲から学び続けながら、長いキャリアの中で習慣そのものを更新し続けるタイプです。若手時代に作った習慣をそのまま持ち続けるのではなく、体力やチーム内での役割の変化に合わせて微調整を重ねている点が共通しています。

坂本勇人|先輩から学び続ける姿勢を保つ

遊撃手として長くチームの中心を担い、三塁へ転向してからも評価され続けている坂本勇人選手。20年近い現役生活を支えているのは、派手なプレーの裏にある地道な反復と、先輩から学び続ける姿勢です。

山田哲人|打てない時期をどう乗り切るかの型を持つ

トリプルスリーを三度達成した山田哲人選手を支えているのは天性の才能だけではありません。毎日の練習前に繰り返される決まった動作に加えて、「打てない時期」をどう乗り切るかという思考の型を、10年以上かけて磨いてきました。

まとめ|ルーティンは「型」であって「儀式」ではない

8人のアスリートに共通していたのは、ルーティンを特別な儀式としてではなく、再現性を生むための「型」として扱っていた点です。要点を振り返ります。

  • ルーティンは験担ぎではなく、緊張下でも普段通りの動作を引き出すための仕組みである
  • 「反復と量」「思考の型化」「環境適応」の3タイプに大きく整理できる
  • 反復型は練習量そのものを裏切らない土台として扱う
  • 思考型は緊張場面での受け止め方をあらかじめ決めておく
  • 適応型は一つのやり方に固執せず、学びながら習慣を更新し続ける

自分の仕事や生活の中で「同じ手順を繰り返せている場面」を探してみると、案外すでに小さなルーティンを持っていることに気づくかもしれません。

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About The New株式会社 代表取締役 森永 昂
執筆者
About The New株式会社 代表取締役 森永 昂

新卒で東証プライム上場の社会人教育・コンサルティング企業に入社し、人材育成・組織開発に従事。その後、別企業にてメディア・プラットフォーム事業の責任者を務める。
現在は独立し、About The New株式会社を設立。教育コンテンツの研究・開発を行い、スポーツの知見を活かした人材育成プログラムを提供している。

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