「あらゆる手段を使って自分の主観が正しいかを確かめたいんです」。ブライトンの三笘薫選手は、Number Webの独占インタビューでこう語っている。採血で疲労度を数値化し、個人で管理栄養士・パフォーマンスコーチ・トレーナーと独自に契約する「チーム三笘」を組む。世界最高峰のプレミアリーグで活躍する三笘選手のリカバリー管理は、クラブの枠を超えた徹底ぶりだ。
「主観だけでは不十分」。データで自分の感覚を証明するアプローチ
三笘選手のリカバリー哲学の核心は、「感覚を信じると同時に、それを疑う」という逆説にある。Number Webのインタビューで、三笘選手はこう語っている。
「もちろん僕も自分の感覚を大事にしていますし、最終的には信じます。でも、それが合っていないのに信じていたらバカじゃないですか。自分がいい動きをしたとしても、他の人にはそう見えないときもある。自分では速いと思ったけど、本当は速くないときもある。だから僕はあらゆる手段を使って自分の主観が正しいかを確かめたいんです」
この姿勢がリカバリー管理にも貫かれている。「疲れている」という感覚だけで休むのではなく、「なぜ疲れているのか」をデータで解明する。
採血で疲労度を数値化する
三笘選手がブライトンで特に活用しているのが、採血による疲労度の数値化だ。同インタビューでは次のように語っている。
「ブライトンでは週に1回、試合の出場時間が長い選手は疲労度などを測るために採血をするんです。でも、その結果は選手には共有されないんですね。ただ、僕は疲労度を正確に知りたいんで、自分から数値を聞きに行っています。今感じている疲れが、脳の疲れなのか、体の疲れなのか。それをはっきりさせたい。主観と客観を照らし合わせて、個人トレーニングの内容を変えています」
筋肉が損傷すると血液中のクレアチンキナーゼ値が上昇し、疲労度を数値として把握できる。クラブ通常はスタッフだけが把握するこの数値を、三笘選手は自ら聞きに行って確認する。「データマニアと言われたら、そうかもしれない」と本人も認める徹底ぶりだ。
出典:三笘薫26歳が明かす”トレーニングの中身”(Number Web 2023年6月)
「チーム三笘」。個人で組む専門家チームの全貌
クラブのサポートに加えて、三笘選手は個人で管理栄養士・パフォーマンスコーチ・トレーナーと独自に契約している。これが「チーム三笘」と呼ばれる体制だ。ブライトンが計測した身体データは即座に「チーム三笘」に共有され、専門家チームがフィードバックを返す仕組みになっている。
クラブと個人の二重チェック体制
通常、選手のコンディション管理はクラブスタッフが担う。三笘選手はそこに個人の専門家チームを加えることで、データへのアクセス速度とフィードバックの精度を高めている。鉄分不足など、見た目や感覚では気づけない栄養状態の問題も、採血データを「チーム三笘」に共有することで早期発見につなげている。
自ら動くことで生まれる差
クラブがデータを共有しなくても、三笘選手は自ら数値を聞きに行く。この「能動的なデータアクセス」が、他の選手との差別化につながっている。仕組みを待つのではなく、仕組みの外側から自分で情報を取りにいく姿勢が、世界最高峰の舞台でコンディションを維持する土台になっている。
「寝る前も試合の一場面が頭に出てくる」。24時間サッカー漬けの覚悟
三笘選手のリカバリーへの向き合いは、睡眠や食事だけにとどまらない。Number Webの取材によれば、「寝る前も、ふと試合の一場面が頭に出てきます」と語っており、「ぼうっとしている時間はない」という状態が日常だという。
リカバリーは「休む」ことではなく「準備し続けること」
24時間サッカーに向き合う姿勢は、リカバリーを「オフの時間に休むこと」ではなく「次のパフォーマンスに向けて常に準備し続けること」として捉えていることを示している。精神的・肉体的な緻密な管理がなければこの姿勢は持続しない。だからこそ「チーム三笘」による専門家サポートと、データに基づいた回復管理が不可欠なのだ。
三笘薫のリカバリーから学ぶ3つの実践ポイント
三笘選手のリカバリー術の根底にある「主観を疑い、客観で検証する」という考え方は、アスリート以外にも応用できる。
① 感覚を否定するのではなく、検証する習慣をもつ
「疲れている」と感じたとき、「脳の疲れか体の疲れか」を分ける視点が、適切な回復策の選択につながる。ウェアラブルデバイスや血液検査など、手軽に使えるデータツールを活用して、自分の感覚を定期的に検証する習慣が第一歩だ。
② 自分専用の専門家チームという発想をもつ
「チーム三笘」の発想は、自分の体をプロジェクトとして捉えることだ。栄養士・トレーナー・睡眠の専門家など、1人でも専門家との接点を作ることが、長期的なパフォーマンス向上につながる。
③ データへのアクセスを能動的に取りに行く
健康診断の結果を詳しく確認したり、計測したデータを継続的に記録・分析する能動的な姿勢が、回復の質を高める。「共有されるのを待つ」のではなく「自分から聞きに行く」という三笘選手の姿勢そのものが、実践できる最大のヒントだ。
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