人的資本開示でウェルビーイングをどう示す?指標と書き方

人的資本開示でウェルビーイング指標を示す企業イメージ ウェルビーイング

「人的資本開示が義務化されたが、ウェルビーイングの指標をどうやって数値化・開示すればいいかわからない」——そんな悩みを持つ経営企画・IR担当者の方は多いのではないでしょうか。この記事では、人的資本開示においてウェルビーイングをどのような指標で示すべきか、実践的な書き方とともに解説します。

人的資本開示とウェルビーイングの関係

2023年3月期有価証券報告書(大手上場企業)から、人的資本情報の開示が義務付けられました(内閣府令改正)。開示が求められる主な項目は「人材育成方針」「社内環境整備方針」とその指標・目標であり、従業員の健康・ウェルビーイングに関する情報はその中核を担います。

(参考)人的資本経営の実現に向けた検討会 報告書(人材版伊藤レポート2.0) – 経済産業省

なぜウェルビーイングが人的資本開示に含まれるのか

ウェルビーイング(Well-being)は「身体的・精神的・社会的に良好な状態」を指す概念で、従業員が持続的に高いパフォーマンスを発揮するための土台です。投資家・ESG評価機関がウェルビーイング関連指標を重視するようになっており、人的資本開示においてウェルビーイングの取り組みを具体的な数値で示すことが、資本市場からの評価に直結します。経済産業省が示す「人材版伊藤レポート2.0」でも、従業員エンゲージメントや健康経営が人的資本の重要な要素として位置づけられています。

ウェルビーイングをどう示す?指標の選び方

人的資本開示でウェルビーイングを示す際は、以下の3種類の指標を組み合わせることが推奨されます。

インプット指標:施策・投資額の開示

「ウェルビーイングのために何に投資しているか」を示す指標です。具体的には、①健康経営関連の年間投資額(一人当たり)、②スポーツ・フィットネス補助費用の総額、③健康診断受診率、④ストレスチェック実施率などが挙げられます。これらは比較的測定しやすく、開示の入口として活用しやすい指標です。

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アウトカム指標:成果・変化の開示

「施策の結果として何が改善したか」を示す指標です。①従業員エンゲージメントスコア(年次調査)、②プレゼンティーズム・アブセンティーズムの変化(健康経営調査票との連動)、③離職率・定着率の推移、④メンタルヘルス休職者数の推移などが代表的です。これらはISO 30414(人的資本に関する国際基準)にも含まれており、グローバルな比較可能性を持つ指標として評価されます。

(参考)健康投資管理会計ガイドライン – 経済産業省

プロセス指標:取り組みの継続性を示す

「どのようにウェルビーイングを推進しているか」を示す指標で、①健康経営優良法人認定の取得・維持、②スポーツエールカンパニー認定、③社内ウェルビーイング委員会の設置、④産業医・保健師との面談実施率などがあります。プロセス指標は取り組みの本気度を示し、インプット・アウトカム指標と組み合わせることでストーリーとして投資家・ステークホルダーに伝わります。

ウェルビーイング開示の書き方:実践的なポイント

開示資料(有価証券報告書・統合報告書・サステナビリティレポート)にウェルビーイングを記載する際の実践的なポイントを紹介します。

定量指標と定性情報を組み合わせる

数値だけでは「なぜその施策をしているか」の文脈が伝わりません。例えば「エンゲージメントスコアXX点(前年比+Y点)」という定量情報に加え、「スポーツ施策の導入背景・実施内容・社員の反応」という定性情報を組み合わせることで、投資家や評価機関に施策の信頼性と継続性を示せます。

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経年比較で改善トレンドを示す

単年度の数値だけでなく、3〜5年の経年推移を示すことで「継続的な改善」のストーリーが生まれます。開示初年度はベースラインの設定として、次年度以降の比較基準を明確にしておきましょう。

まとめ

  • 人的資本開示においてウェルビーイングは、投資家・ESG評価機関が注目する重要な開示項目です
  • インプット(投資・施策)・アウトカム(成果)・プロセス(推進体制)の3種類の指標を組み合わせることが効果的です
  • 健康診断受診率・エンゲージメントスコア・プレゼンティーズム改善率などが主要な指標として活用されます
  • 定量指標と定性情報(施策の背景・社員の反応)を組み合わせることで開示の信頼性が高まります
  • 経年比較で改善トレンドを示すことが、資本市場への説得力につながります

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