「うちは従業員50人未満だからストレスチェックは関係ない」と思っていませんか?実は50人未満の事業場には「努力義務」が課されており、2026年以降の法改正でその位置づけが大きく変わります。この記事では、努力義務と義務(法的強制)の違いを整理し、小規模事業者が今すべき準備をわかりやすく解説します。
「義務」と「努力義務」:法的な意味の違い
まず言葉の定義を整理します。「義務」とは法律によって強制される行為であり、違反すると罰則(罰金・指導・公表等)が適用されます。一方「努力義務」は「〜するよう努めなければならない」という表現で規定され、罰則はないものの法律上の規定として存在します。
ストレスチェック制度においては、現行の労働安全衛生法第66条の10で「常時50人以上の労働者を使用する事業場」に年1回のストレスチェック実施が義務づけられています。50人未満の事業場については「当分の間」努力義務とされてきました。
重要なのは「努力義務だから何もしなくてよい」ではないこと。努力義務であっても、労働者のメンタルヘルス保護のために合理的な対策を取ることが雇用主には期待されており、安全配慮義務(民法・労契法)の観点からも無策でいることはリスクになります。
(参考)ストレスチェック制度・メンタルヘルス対策 – 厚生労働省
2026年法改正:小規模事業者への義務化が迫る
2025年4月に成立した「労働安全衛生法等の一部を改正する法律」により、ストレスチェックの義務対象が拡大されます。改正後は従業員数にかかわらず、すべての事業場でストレスチェックの実施が義務となる方向で議論が進んでおり、具体的な施行時期・経過措置についての政省令整備が続いています(2026年時点)。
中小企業・小規模事業者にとっては、これまで努力義務だったものが法的義務に変わる大きな転換点です。「まだ先の話」と先送りせず、今から体制づくりを始めることが、法施行後のスムーズな対応につながります。
(参考)小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル – 厚生労働省
小規模事業者が直面する3つの課題
大企業と違い、小規模事業者がストレスチェックを導入する際には固有の課題があります。
①実施者(産業医・保健師)の確保
ストレスチェックは医師・保健師・一定の研修を修了した看護師のいずれかが「実施者」として関与する必要があります。50人未満では産業医の選任義務がなく、社内に実施者がいないケースがほとんどです。この場合、外部の実施機関(EAP機関、医療機関、専門業者)への委託が現実的な選択肢になります。費用は1人あたり500〜1,500円程度の外部委託サービスも普及しており、中小企業でも導入しやすくなっています。
②個人情報保護と匿名性の担保
少人数の職場ではスコアが個人を特定されやすく、「高ストレス者として特定されると不利益を受けるのでは」という不安から受検率が下がりがちです。法律では事業者が労働者の同意なくストレスチェック結果を入手することは禁じられており、この点を社員に丁寧に説明することが受検率向上のカギです。外部委託機関を使うことで、情報が直接事業者に渡らない安心感を与えられます。
③集団分析の活用可能性
ストレスチェックの集団分析は、10人以上のグループを対象に実施することが原則です。10人未満のチームや事業場全体での分析には工夫が必要で、特定できないようにまとめてデータを見るか、事業場全体での傾向把握にとどめるかを事前に決めておきます。
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今すぐ始める準備ステップ
法改正の施行を待たずに、今できる準備を進めておきましょう。
STEP 1:外部委託先の選定・相見積もり
実施機関のサービス内容・価格・サポート体制を比較します。厚生労働省の「ストレスチェック実施プログラム」は無料で提供されており、費用を最小限に抑えながら実施できます。外部委託の場合は、実施者が在籍しているか、集団分析レポートが提供されるか、高ストレス者への面談対応を含むかを確認します。
STEP 2:社内説明と心理的安全性の醸成
「なぜ実施するのか」「結果はどう扱われるのか」を全社員に丁寧に説明します。「受検を拒否しても不利益はない」「高ストレス判定でも評価には影響しない」ことを明示し、自発的な参加を促します。管理職向けの事前研修も効果的です。
STEP 3:年間スケジュールの設計
ストレスチェックは年1回以上の実施が求められます。年度始め(4〜5月)に実施し、集団分析結果を夏前に把握→下期の職場改善施策に反映するサイクルが定番です。繁忙期を避けることも受検率向上につながります。
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まとめ
ストレスチェックの努力義務と義務の違い、そして小規模事業者が今すべき準備について解説しました。
- 「努力義務」は罰則こそないが、安全配慮義務の観点から無策でいることはリスク
- 2026年以降の法改正で義務化の対象が拡大する見通しで、早期準備が重要
- 外部委託(EAP機関等)を活用すれば、産業医不在の小規模事業者でも実施可能
- 匿名性の確保と丁寧な社内説明が、受検率向上のカギ
- 年度始めに実施→集団分析→下期施策反映のPDCAサイクルを設計しておく
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