メンタルコーチング企業導入事例

企業のメンタルコーチング導入研修のイメージ スポーツ心理学

「ストレスチェックは実施しているが、その先の対策まで手が回っていない」。人事・研修担当者からよく聞く悩みです。制度としてのメンタルヘルス対策と、選手・社員が実際にパフォーマンスを発揮できる状態づくりの間には、まだ距離があります。

この記事では、国の労働安全衛生調査のデータをもとに企業のメンタルヘルス対策の実態を押さえたうえで、スポーツ心理学の知見を応用したメンタルコーチングを導入する際のポイントを解説します。

スポーツをビジネスに使うなら、どこから手をつけるべきか

「自社の場合どこから始めればいいか分からない」という段階のご相談を受け付けています。

当てはまる課題を4つから1つ選んでいただくと、最初に決めることよくある失敗をお送りします。

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企業のメンタルヘルス対策は「規模差」が課題

厚生労働省の令和6年労働安全衛生調査(実態調査)によると、メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所の割合は63.2%(令和5年調査63.8%)でした。事業所規模別にみると、労働者数50人以上の事業所では94.3%が取り組んでいる一方、30〜49人の事業所では69.1%、10〜29人の事業所では55.3%にとどまっています。

取り組んでいる事業所のうちストレスチェックを実施している割合は65.3%で、規模別では50人以上が89.8%、30〜49人が57.8%、10〜29人が58.1%です。つまり、法定義務のある50人以上の事業所では制度対応が進む一方、中小規模ではまだ「取り組めていない」企業が半数近く残っているのが実態です。

(参考)令和6年 労働安全衛生調査(実態調査)結果の概況 – 厚生労働省

スポーツ心理学が企業研修に持ち込める視点

研修担当者にとって重要なのは、メンタルコーチングを「特別な人向けの施策」にしないことです。全員が対象になり得る技術として設計すると、参加のハードルが下がり、継続率も高まります。

ストレスチェックのような制度対応と、メンタルコーチングは目的が異なります。前者は不調の早期発見、後者はプレッシャー下でも実力を発揮できる状態を能動的に作るためのスキル習得です。スポーツ心理学の分野では、緊張場面での注意の向け方や、失敗直後に切り替える手順を体系化したメンタルトレーニングが発展してきました。

これを企業研修に応用する場合、「不調にならないための対策」だけでなく、「プレッシャー下で成果を出すための技術」として位置づけ直すことで、管理職研修や商談前のルーティン構築など、幅広い場面に展開できます。

導入形態を比較する

メンタルコーチングの企業導入には主に3つの形態があります。予算規模と対象人数に応じて選び分けるのが基本です。

形態 対象規模 特徴
全社研修型 50人以上の事業所 既存のメンタルヘルス対策と接続しやすく、制度化しやすい
管理職限定型 中小規模の事業所 少人数から始められ、部下のマネジメントにも波及効果がある
個別セッション型 経営層・重要ポジション 意思決定のプレッシャーが大きい層への個別対応に向く

一般的な企業研修の実施形態をもとにHuman Soarが整理。

全社研修型を選ぶ判断基準

すでにストレスチェックなど制度対応が進んでいる50人以上の事業所では、その延長として全社研修に位置づけると導入の合意形成がしやすくなります。

管理職限定型を選ぶ判断基準

中小規模の事業所では、まず管理職から始めて効果を確認し、段階的に対象を広げる進め方が現実的です。

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スポーツ心理学の技術を4段階に整理する

スポーツ心理学のメンタルトレーニングの構造を踏まえ、企業研修に落とし込みやすいよう、メンタルコーチングの技術を次の4段階に整理しました。

1状態の言語化:緊張や不安を数値・言葉で自己申告できるようにする
2ルーティンの設計:重要な場面の直前に行う一定の動作・呼吸法を決めておく
3失敗後の切り替え:ミスの直後に次の行動へ意識を戻す手順を練習する
4振り返りの定着:定期的に状態の変化を記録し、次のルーティン改善に生かす

この4段階は、アスリートが試合前後に行うメンタルトレーニングの構造とほぼ同じです。競技の代わりに商談やプレゼンなど、企業のプレッシャー場面に置き換えるだけで応用できます。

状態の言語化|対策の出発点になる理由

緊張や不安を自覚しないまま研修を進めても、何を改善すべきか本人にも分かりません。まず状態を数値や言葉で自己申告できるようにすることで、後続のルーティン設計や振り返りを具体的な材料をもとに進められます。

ルーティンの設計|再現性のある対応をつくる理由

重要な場面のたびに対応が変わると、プレッシャー下で余計な判断コストがかかります。事前に一定の動作・呼吸法を決めておくことで、本番でも同じ手順を再現でき、緊張状態でも安定したパフォーマンスにつながります。

失敗後の切り替え|ミスの連鎖を防ぐ理由

1つのミスを引きずると、次の判断や行動の質が下がりやすくなります。失敗直後に次の行動へ意識を戻す手順をあらかじめ練習しておくことで、ミスの連鎖を防ぎ、商談や試合の後半でも実力を発揮しやすくなります。

振り返りの定着|継続的な改善につなげる理由

1回の研修だけでは効果が定着しにくいため、状態の変化を定期的に記録し、ルーティンを見直す仕組みが必要です。記事前半で触れた通り、中小規模の事業所ではメンタルヘルス対策の実施率が低い傾向があり、振り返りを仕組み化することが継続の鍵になります。

よくある質問

Q. 効果測定はどう行えばいいですか

研修前後でストレス自己評価のスコアを比較する方法が基本です。数値だけでなく、管理職からの行動変化の観察報告を組み合わせると、定量・定性の両面で効果を把握できます。

Q. 中小企業でも導入コストは見合いますか

管理職限定型から始めれば対象人数を絞れるため、初期投資を抑えられます。まずは1つの部署でパイロット導入し、効果を確認してから全社展開する進め方が現実的です。

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まとめ

  • メンタルヘルス対策の実施率は事業所規模で大きな差があり、中小規模はまだ発展途上
  • メンタルコーチングは不調の予防だけでなく、プレッシャー下で成果を出す技術として位置づけられる
  • 全社研修型・管理職限定型・個別セッション型を規模に応じて使い分ける
  • 状態の言語化からルーティン設計、振り返りまでの4段階で技術を定着させる

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About The New株式会社 代表取締役 森永 昂
執筆者
About The New株式会社 代表取締役 森永 昂

新卒で東証プライム上場の社会人教育・コンサルティング企業に入社し、人材育成・組織開発に従事。その後、別企業にてメディア・プラットフォーム事業の責任者を務める。
現在は独立し、About The New株式会社を設立。教育コンテンツの研究・開発を行い、スポーツの知見を活かした人材育成プログラムを提供している。

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