「従業員の欠勤が増えていて、業務に支障が出ている」「体調不良による休職者が多く、コストがかさんでいる」という悩みを抱える企業担当者の方は多いです。アブセンティーイズム(欠勤・休業)は見えやすいコストですが、その削減に「スポーツ」が効果的であることをご存知でしょうか。本記事では、アブセンティーイズムとは何か、スポーツが削減に効く理由と実践方法を解説します。
アブセンティーイズムとは?企業が抱える欠勤コストの実態
アブセンティーイズム(absenteeism)とは、体調不良・メンタル不調・傷病などによって従業員が業務を欠勤・休業している状態です。欠勤による直接コスト(人件費の損失)に加え、代替要員のコスト・周囲の従業員への業務集中・モチベーション低下など、波及コストも大きいです。
アブセンティーイズムのコスト算出方法
基本的な算出式は「欠勤日数 × 1日あたり人件費」です。たとえば従業員100人の企業で年間平均欠勤日数が5日、1日あたり人件費3万円の場合、直接コストは1,500万円になります。さらに代替要員や業務遅延の間接コストを含めると、実際のコストはこの1.5〜2倍になることが多いです。厚生労働省の調査では、メンタルヘルス不調が欠勤の主要因の一つであることが示されています。
スポーツ・運動が欠勤削減に効く科学的背景
定期的な運動は免疫機能の向上・ストレスホルモンの低下・睡眠の質の改善を通じて、疾病リスクを下げることが研究で示されています。特にメンタルヘルス面では、有酸素運動がコルチゾール(ストレスホルモン)を低下させ、セロトニン・エンドルフィンの分泌を促します。欠勤の主因であるメンタル不調に対して、スポーツは薬物療法と同等以上の効果を示す研究もあります。
(参考)ストレスチェック制度・メンタルヘルス対策 – 厚生労働省
アブセンティーイズム削減に効果的な3つのスポーツアプローチ
企業がアブセンティーイズムを削減するためのスポーツ活用アプローチは、主に3つに分類できます。それぞれの特徴と導入ポイントを整理します。
| アプローチ | 主な対象 | 効果の出やすさ |
|---|---|---|
| 集団型プログラム(社内イベント・運動会) | 組織全体の一体感向上 | 短期(3〜6か月) |
| 個人向けデジタル運動支援(アプリ・ウェアラブル) | 個人の運動習慣形成 | 中期(6〜12か月) |
| メンタルヘルス連動型スポーツ研修 | ストレス管理の根本改善 | 中〜長期(6か月〜) |
表:アブセンティーイズム削減に効果的な3つのスポーツアプローチ
集団型プログラム(社内スポーツイベント・チームスポーツ)
社内運動会・ウォーキングキャンペーン・社内スポーツ大会などの集団型プログラムは、参加しやすさと社会的つながりの形成が特徴です。孤立感の解消・帰属意識の向上はメンタルヘルスにも直結し、欠勤の原因となる精神的なストレスを和らげる効果があります。導入のポイントは「業務時間内に組み込む」「参加を強制しない」「多様な体力レベルで参加できる種目を選ぶ」の3点です。
個人向けデジタル運動支援(アプリ・ウェアラブル連携)
健康管理アプリやウェアラブルデバイスを活用して、従業員個人の運動習慣を継続的に支援するアプローチです。歩数・消費カロリー・睡眠の質をトラッキングし、目標達成でポイントが付与されるインセンティブ型のサービスが多数登場しています。テレワーク環境でも実施できるため、全従業員を対象にした施策として有効です。運動習慣の形成は体力向上→病欠減少→医療費削減の好循環を生みます。
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メンタルヘルス連動型スポーツ研修
ストレスマネジメントとスポーツ科学を組み合わせた研修プログラムです。認知行動療法的なアプローチと定期的な運動習慣の形成を組み合わせることで、欠勤の主因であるメンタル不調に根本から対処します。管理職向けに「部下のメンタルヘルスを守るための運動活用法」を学ぶプログラムも普及しています。
スポーツ活用による欠勤削減の実践ステップ
実際に企業でスポーツを活用したアブセンティーイズム削減に取り組む際のステップを解説します。
現状の欠勤コストとメンタルヘルス状況を把握する
最初のステップは「現状把握」です。過去3年分の欠勤日数・傷病休業件数・ストレスチェック結果を分析し、欠勤の主な原因(身体的疾患・メンタル不調・その他)を特定します。原因が特定できれば、最も効果的なスポーツアプローチを選択できます。ストレスチェックの集団分析結果は、高ストレス集団が多い部門の特定にも活用できます。
施策を設計し、KPIを設定する
欠勤削減を目的としたスポーツ施策を設計する際は、ターゲット(全員か高リスク層か)・形式(集団か個人か)・頻度(週次か月次か)を決定します。KPIには「欠勤率の変化(%)」「ストレスチェック高ストレス者率の変化」「プレゼンティーズム値の変化」を設定することが多いです。施策開始前に現状値を記録しておくことが評価の前提です。
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継続率を高めるインセンティブ設計をする
スポーツ施策の最大の課題は「継続率」です。最初の1〜2か月で参加率が下がることが多く、継続インセンティブの設計が重要です。ポイント制度・社内ランキング・チーム対抗形式・上司の参加など、競争や仲間意識を活用した仕掛けが効果的です。また、施策の「意義・目的」を繰り返し発信し、従業員が「なぜこれに参加するのか」を理解できるよう丁寧なコミュニケーションを行いましょう。
導入時の注意点と失敗しないためのポイント
スポーツを活用したアブセンティーイズム削減は、設計を間違えると逆効果になることもあります。注意すべき点を押さえておきましょう。
強制参加にしない・多様な体力差に配慮する
スポーツ施策の強制参加はハラスメントリスクになります。また、体力・運動経験・既存の健康状態に個人差があるため、強度や種目の選択に配慮が必要です。「参加しない選択肢も尊重する」というメッセージを明確にしつつ、参加した場合のメリット(インセンティブ・楽しさ・健康効果)を丁寧に伝えることが参加率向上につながります。
短期成果だけを追わず中長期で評価する
スポーツによる健康効果は、継続的な取り組みによって3〜6か月後から現れることが多いです。短期で効果が見えないからといって施策を打ち切ると、効果が出始めたタイミングで中止するという悪循環に陥ります。最低でも1年間は継続し、四半期ごとに中間評価を行いながら施策を改善していくことをおすすめします。
(参考)身体活動・運動の推進(身体活動・運動ガイド2023) – 厚生労働省
まとめ|スポーツでアブセンティーイズムを減らすために
アブセンティーイズムはプレゼンティーズムと並ぶ企業の大きな見えないコストです。スポーツ・運動は医療費削減・メンタルヘルス改善・欠勤削減に直接つながる投資です。
- アブセンティーイズムの直接コストは「欠勤日数×1日あたり人件費」で算出でき、間接コストを含めると1.5〜2倍になる
- スポーツは免疫向上・ストレス低下・睡眠改善を通じて欠勤の根本原因を改善する
- 集団型プログラム・デジタル支援・メンタル連動型研修の3アプローチを組み合わせると効果的
- 現状の欠勤コスト把握→KPI設定→継続率重視の設計、が成功の鍵
- 最低1年継続して中長期で評価することが重要
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