「最近、社員の健康診断の結果が気になる」「デスクワーク中心で、みんな体を動かしていないかも」と感じている経営層や人事の方は多いと思います。運動不足は個人の問題に見えて、実は企業のコストにも直結しているんですよね。
この記事では、運動不足の従業員が抱える健康リスクと、それが企業にもたらすコストを整理します。なぜ企業が介入すべきなのか、どんな打ち手があるのかまで、公的データをもとにまとめました。
働く世代に広がる運動不足の現状
まずは現状を数字で見てみましょう。スポーツ庁の令和5年度「スポーツの実施状況等に関する世論調査」によると、20歳以上で週1日以上運動・スポーツをする人の割合は52.0%でした。裏を返せば、約半数は週に1日も運動していないことになります。
とくに働く世代は、仕事や家事に時間を取られ、運動の優先順位が下がりがちです。デスクワーク中心の職場では、座っている時間が長くなり、知らないうちに運動不足が積み重なっていきます。本人に自覚がないまま進行するのが、運動不足のこわいところなんですね。
(参考)令和5年度「スポーツの実施状況等に関する世論調査」の結果を公表します – スポーツ庁
運動不足が従業員にもたらす3つの健康リスク
運動不足は、体だけでなく心にも影響します。ここでは代表的な3つのリスクを取り上げます。どれも、放っておくと従業員の働く力をじわじわ削っていくものです。
① 生活習慣病のリスク
1つ目は、生活習慣病のリスクです。運動不足は肥満や高血圧、糖尿病などにつながりやすいとされています。厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」でも、身体活動を増やすことが生活習慣病の予防に役立つと整理されています。生活習慣病は通院や入院につながり、本人の負担はもちろん、欠勤や休職という形で職場にも影響します。
(参考)身体活動・運動の推進(健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023) – 厚生労働省
② メンタル不調のリスク
2つ目は、メンタル面のリスクです。運動には気分をやわらげ、ストレスを軽くする働きがあるとされています。逆に運動不足が続くと、ストレスがたまりやすく、気分の落ち込みにもつながりやすくなります。メンタル不調は本人がつらいだけでなく、出勤していても集中できない状態を生み、職場全体のパフォーマンスを下げてしまいます。
③ 身体機能の低下
3つ目は、身体機能そのものの低下です。運動しない状態が続くと、筋力や柔軟性が落ち、疲れやすくなったり、肩こり・腰痛が悪化したりします。慢性的な不調は、仕事への集中をさまたげる原因になります。年齢を重ねるほど影響が出やすいので、早めに体を動かす習慣をつくることが大切ですね。
運動不足は企業のコストにもなる
運動不足の影響は、個人にとどまりません。経済産業省は健康投資管理会計ガイドラインのなかで、出勤していても本来の力を発揮できないプレゼンティーズムや、欠勤を意味するアブセンティーズムを、健康投資の効果を測る指標として位置づけています。健康リスクの高い従業員ほど生産性の損失が大きくなる傾向があり、運動不足はその一因になり得ます。つまり、社員の運動不足を放置することは、見えにくい形で企業のコストを増やしているわけです。
(参考)「健康投資管理会計ガイドライン」について – 経済産業省
企業が介入すべき理由と打ち手
運動は本人任せにすると続きにくいものです。だからこそ、会社が仕組みで後押しする意味があります。歩数を競うイベント、ジムの法人契約、始業前の体操など、参加のハードルが低い施策から始めると効果的です。制度の作り方は従業員の運動習慣を支援する制度設計ガイドで詳しく解説しています。運動が生産性に効く根拠は運動習慣が生産性を上げる研究データまとめもあわせてご覧ください。
まとめ
- 20歳以上で週1日以上運動する人は52.0%で、約半数は運動習慣がない
- 運動不足は生活習慣病・メンタル不調・身体機能低下という3つのリスクを高める
- 経産省はプレゼンティーズムなどを健康投資の効果指標として位置づけている
- 健康リスクの高さは生産性の損失につながり、企業のコストにもなる
- 歩数イベントや法人契約など、ハードルの低い施策から介入を始めるとよい
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