「うちのジム、平日の10時から16時はガラガラなんです」と、あるフィットネスクラブの運営責任者が漏らした一言を、想像してみてください。設備もトレーナーも揃っているのに、その時間帯だけ収益を生んでいない。一方で、同じ時間に近くのオフィスでは、人事担当者が「健康経営優良法人」の認定基準を満たすための施策探しに頭を悩ませています。この二つの悩みが、実は同じ場所・同じ時間に解決できるとしたら、話を聞いてみたくなりませんか。
経済産業省が発表した「健康経営優良法人2025」では、大規模法人部門で3,400法人、中小規模法人部門で19,796法人が認定され、いずれも前年から大幅に増加しました。企業が従業員の健康投資を”やらされ仕事”ではなく経営指標として扱う流れは、もはや一時的なブームではなく構造的な変化です。人的資本経営の情報開示が広がるほど、企業は「健康投資の実績」を数字で示す必要に迫られます。そして、その実績づくりの受け皿を、まだ多くのスポーツ施設が用意できていません。
(参考)「健康経営優良法人2025」認定法人が決定しました – 経済産業省
プランの概要
- 対象:平日日中の稼働率に課題を持つフィットネスクラブ・スポーツ施設運営会社、および健康経営の実績づくりに悩む法人の人事・総務部門
- 課題:施設側の遊休時間帯の収益化と、企業側の健康経営投資の”見える実績”づくりを同時に解決する
- 導入期間の目安:契約から本格運用まで2〜3ヶ月
本プランは、スポーツ施設の空き時間帯を「法人向け健康経営プログラムの提供枠」として再設計し、施設運営者と提携企業の双方に成果をもたらす仕組みです。施設は新たな収益源を、企業は健康経営の実績を、従業員は運動習慣そのものを手に入れます。
課題解決の流れ

現状の課題
- 【稼働率の偏り】平日日中の会員利用が少なく、設備とスタッフの稼働率に大きな谷ができている
- 【健康経営の実績不足】企業側は制度は整えたものの、従業員が実際に運動する機会や場所を用意できていない
- 【接点の欠如】スポーツ施設と企業の人事部門は業界慣習も情報源も異なり、互いの存在に気づく機会がほとんどない
問題の要因
- フィットネス業界の営業対象が個人会員に偏っており、法人向け商品設計のノウハウが蓄積されていない
- 企業側は健康経営を人事部門の施策として捉えがちで、外部のスポーツ施設をパートナーとして探す発想自体が薄い
- 従業員の運動継続率は企業単独の呼びかけでは上がりにくく、専門施設のプログラム設計力が必要とされている
解決策
- 施設の空き時間帯を「法人プログラム枠」として商品化し、企業と直接契約する窓口を新設する
- 健康経営の実績づくりに直結するKPI(参加率・継続率・簡易体力測定の変化など)を提供データとして企業に還元する
- スポーツ施設が持つ運動指導の専門性を、企業の健康経営担当者が使いやすい”レポート”の形に翻訳する
価格では真似できない理由

このプランが値引き競争に巻き込まれにくいのは、提供しているものが「時間貸し」ではなく「実績データ」だからです。単に空き時間を開放するだけなら近隣施設にもできますが、参加率・継続率・体力測定の変化を健康経営報告に使える形で継続提供するには、運動指導の設計力とデータ運用力の両方が必要になります。
ある企業が役員会で運動継続率の変化を説明しようとしたとき、頼れるのは”なんとなく増えた”という感覚ではなく、毎月届く具体的な数字です。この積み重ねは、価格を安くしただけでは代替できません。
プランの具体的な内容
提供する法人プログラムは、企業規模や利用したい時間帯に応じて3つの枠から選べる構成にしています。いずれも平日日中の空き時間帯を活用するため、施設の既存会員体験を損なわずに導入できます。
| 枠 | 利用頻度 | 主な内容 |
|---|---|---|
| トライアル枠 | 月2回 | 運動習慣づくりの体験プログラム+簡易体力測定 |
| スタンダード枠 | 週1回 | 定期プログラム+四半期ごとの継続率レポート |
| フルサポート枠 | 週2回以上 | 個別プログラム+月次レポート+産業保健スタッフ向け相談窓口 |
トライアル枠
まず「本当に社員が続けられるか」を見極めたい企業向けの入口です。月2回の体験プログラムと簡易体力測定をセットにし、導入判断に必要な最初のデータを揃えます。
スタンダード枠
週1回の定期利用を軸に、四半期ごとの継続率レポートを提供します。健康経営優良法人の申請資料にそのまま使える形式で数字を整理するのがポイントです。
フルサポート枠
利用頻度を高めたい企業向けに、個別プログラムと月次レポート、さらに産業保健スタッフが疑問点を相談できる窓口までをセットにします。単なる場所貸しではなく、継続的な運用パートナーとしての位置づけです。
導入ロードマップ

いきなりフルサポート枠から始めると、施設側の運用体制が追いつかず、企業側も効果を判断する材料が揃わないまま契約が形骸化しがちです。段階を踏むことで、双方が無理なく実績を積み上げられます。
0〜3ヶ月:検証フェーズ
1〜2社とトライアル枠で契約し、参加率と継続率の基礎データを取得します。この段階では収益化よりも、レポート作成の運用フローを固めることを優先します。
3〜6ヶ月:標準化フェーズ
検証で得たレポート形式を標準テンプレート化し、スタンダード枠として複数社への提案を開始します。営業トークも「稼働率を貸す」から「実績データを提供する」へ切り替えます。
6〜12ヶ月:収益化フェーズ
フルサポート枠を含む複数プランを並行運用し、平日日中の稼働率を主要な収益源の一つとして位置づけます。継続率の高い企業には長期契約への切り替えも提案します。
効果が効いてくる理由
この効果は契約した瞬間ではなく、レポートが継続的に届き始めてから効いてきます。参加率の向上が継続率の向上につながり、それが施設側の安定利用(=安定収益)へと循環していく構造です。導入初月の成果を期待するより、フォロー体制が回り始める2〜3ヶ月目以降を見据えておくことが重要です。
KPIの設計(仮説としての目安)
以下はあくまで仮説としての目安であり、自社の会員データや現在の平日稼働率をベースラインとして把握した上で、フェーズごとの目標値を調整することが前提になります。
| フェーズ | 見るべき指標 | 目安 |
|---|---|---|
| 検証フェーズ | トライアル参加率 | 案内対象者の30〜40% |
| 標準化フェーズ | 3ヶ月継続率 | 参加者の60%以上 |
| 収益化フェーズ | 平日日中の稼働率改善幅 | 導入前比+10〜15ポイント |
リスクと対応策
| 想定されるリスク | 対応策 |
|---|---|
| 既存会員の利用時間帯と法人プログラムが重なり、混雑感が生まれる | 法人枠専用のエリア・時間帯をあらかじめ区切って運用する |
| 企業側の担当者が異動し、継続の合意形成が途切れる | 契約時点で人事部門と現場管理職の双方を窓口として登録しておく |
| レポート作成の手間が想定より大きく、現場の負担になる | 標準化フェーズでテンプレート化し、データ入力を最小限の項目に絞る |
料金モデルという選択肢
従来の「時間貸し」のような固定料金・買い切り型では、企業側が最も欲しい”効果が出ているか”という情報と支払う対価が結びつきません。効果は数ヶ月かけて現れるものだからこそ、固定報酬だけでは施設側の改善努力が価格に反映されにくいのです。
そこで提案したいのが、基本利用料に加え、稼働率や法人利用率の改善幅に応じて報酬が変動する成果報酬型の設計です。企業側は「効果が出た分だけ支払う」納得感を得られ、施設側は改善努力がそのまま収益に反映されます。ただし成果指標の設計には手間がかかるため、検証フェーズは固定料金のみで運用し、標準化フェーズ以降に段階的に組み込むのが現実的です。
対象となる組織・読者
平日日中の稼働率に悩むフィットネスクラブ運営者
時間帯によって稼働にムラがあり、新たな収益源を模索している方に向いています。既存会員向けサービスを変えずに空き時間だけを切り出せる点が、導入のハードルを下げます。
健康経営の実績づくりに悩む人事・総務担当者
制度は整えたものの手応えのある実績が作れず、申請資料の説明に苦労している方に向いています。専門施設のプログラムとレポートを、そのまま実績として使えます。
複数拠点を持つスポーツ施設グループの経営層
1拠点での成功パターンを他拠点へ横展開したい方にも向いています。標準化フェーズで固めたレポート形式は、拠点をまたいで再利用しやすい資産になります。
期待できる効果
施設側の収益構造の変化
平日日中という”埋まりにくい時間帯”が新たな収益源に変わります。既存投資を追加せず、遊休時間の価値を引き出せる点が経営面での意味を持ちます。
企業側の健康経営実績の可視化
参加率や継続率という数字が定期的に届くことで、健康経営投資の説明責任を果たしやすくなります。役員会での説明が、感覚論から数字に基づく説明へ変わります。
従業員の運動習慣そのものの変化
専門施設のプログラムを通じて、自己流では続かなかった運動習慣が形になります。短期的には表れにくいものの、中長期的な離職防止やエンゲージメント向上の土台になります。
よくある質問
Q. 既存会員への影響が心配です
法人枠専用の時間帯・エリアを区切って運用するため、既存会員の体験を変えずに導入できます。
Q. どのくらいの規模の施設から始められますか
1拠点・1〜2社のトライアル契約から始められます。まず検証フェーズで運用フローを固めることが最初のステップです。
Q. 成果報酬型はどのタイミングで導入すればいいですか
検証フェーズは固定料金のみで運用し、標準化フェーズでレポート形式が固まった段階から組み込むのが現実的です。
まとめ
- 平日日中の稼働率という施設側の課題と、健康経営の実績づくりという企業側の課題は、同じ解決策で同時に解消できる
- 価格競争に巻き込まれにくいのは、提供価値が「場所」ではなく「継続的な実績データ」だから
- 導入は検証→標準化→収益化の3段階で進め、成果報酬型の料金設計は標準化フェーズ以降に組み込むのが現実的
- 自社のベースラインとなる稼働率・参加率をまず把握することが、KPI設計の前提になる
「うちの空き時間、何かに使えないか」という疑問が浮かんだ時点が、相談のタイミングです。
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