芝生に立つと、まわりの選手より頭ひとつ年上のフォワードがいる。周囲は「もっと休んだ方がいい」と勧めるが、本人は休むとかえって体調を崩すという。三浦知良選手は55歳を過ぎてもプロのピッチに立ち続け、独自のコンディショニングを積み重ねてきた。
本記事では、三浦選手自身が受けたインタビューをもとに、交代浴やアイスバス、食事のタイミングまで、その体づくりの工夫を整理する。年齢を重ねながらパフォーマンスを維持するための考え方は、スポーツに限らず働き方全般にも通じるヒントを含んでいる。
三浦知良が40歳以降に体調管理を重視するようになった理由
三浦選手は、疲れを取るコンディショニングを重視し始めたのは40歳以降だと語っている。若いときはそれほど意識していなかったが、年齢を重ねてからは疲労回復のために体調管理に気を配り、休息も計画的に取るようになった。日々のトレーニングも量より質を重視しているという。
疲労度を判断する基準は「よく眠れたかどうか」だと本人は述べる。ただし、睡眠が浅い日でも気持ちが充実していればグラウンドで良いパフォーマンスが出せることもあり、「いまだ何が正解かわかっていない」とも語っており、単純な数値化だけでは測りきれない難しさがうかがえる。
交代浴とアイスバスを軸にしたケアルーティンを整理する
三浦選手のケア習慣のなかでも、入浴を使った疲労回復は特に徹底している。インタビューで語られた内容を、筆者が項目別に整理すると次のようになる。
| 項目 | 内容 | 頻度・タイミング |
|---|---|---|
| 交代浴 | 温水41度・6分と冷水18度・4分を2〜3セット、最後は必ず冷水で終える | シーズン中も休日も夕食後に毎日 |
| アイスバス | 水温1度前後で通常15分、炎症を感じたときは20分 | トレーニング直後 |
| 体重測定 | トレーニング前後で計測し、増減に応じてタンパク質や炭水化物の量を調整 | トレーニングのたびに |
| 健康診断 | 人間ドックに加えて脳ドックも受診し、内臓や脳の状態も確認 | 43歳以降、定期的に |
※Tarzan Web「三浦知良選手に聞いたコンディショニングにまつわる55の質問」の回答をもとに筆者が項目別に整理・作成
お湯と冷水を交互に繰り返す交代浴のメニュー
交代浴は温水と冷水を交互に浸かる方法で、三浦選手はスパの温度設定によって複数の組み合わせを使い分けている。もっとも多いのはお湯41度・水18度の組み合わせで、ハードな日にはお湯42.5度・水9度まで冷やすこともあるという。どのパターンでも、最後は必ず冷水で終えるのがルールだと語っている。
アイスバスは23年以上続けている炎症対策
トレーニング直後には、氷水を張ったアイスバスに両足を浸ける方法を20年以上続けている。水温は1度前後で、通常は15分、炎症を感じたときは20分まで延ばす。一般的には氷水入りのビニール袋によるアイシングが普及しているが、三浦選手はより本格的な方法を継続している点が特徴的だ。
疲労度を判断してから練習強度を決めるまでの考え方
三浦選手のコメントを整理すると、疲労への向き合い方には一定の判断プロセスがあることがわかる。筆者は発言内容をもとに、そのプロセスを次の図のように分類した。

図:筆者が三浦知良選手のインタビューをもとに整理した疲労判断から練習強度決定までの流れ
70〜80パーセントの力で継続することの大切さ
三浦選手は、トレーニングをサボりたくなる読者に向けて「100パーセントやろうと思わず、70〜80パーセントでいいと思うべき」とアドバイスしている。本人自身は年齢的に全力でぶつからなければ若い選手と同じ土俵に立てないというが、一般の人にとっては70〜80パーセントのレベルで継続する方が、長い目で見れば効果的だという考え方を示している。
気持ちの充実度を疲労回復の判断材料に加える
疲労回復には8時間睡眠を目安としながらも、三浦選手は主観的な感覚を重視したいと語っている。テクノロジーを使えばコンディションはより客観的に分析できるとしつつ、「カラダが答えを知っている」という感覚を大切にしている点は、データと感覚の両方を組み合わせる姿勢として参考になる。
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時間栄養学を意識した食事タイミングの工夫
三浦選手は、何をどう食べるかだけでなく「いつ食べるか」にもこだわっている。同じ時刻に食事を取ることで消化吸収にゆとりを持たせ、効率的にエネルギーと栄養を利用できるようにしているという。運動開始の2時間半から3時間半前までに食べ終えることを意識し、夕食はできるだけ早い時間に済ませるようにしている。
厚生労働省の検討会資料でも「摂食のタイミング」をテーマにした時間栄養に関する報告がまとめられており、いつ食べるかが体内時計や代謝に影響を与えることが議論されている。三浦選手の食習慣は、こうした時間栄養学の考え方を実践に落とし込んだ一例だといえる。
企業のコンディション管理・健康経営に活かせる視点
三浦選手の「当たり前のことを当たり前に続ける」という姿勢は、企業のコンディション管理にもそのまま応用できる。トレーニング・休養・栄養のバランスを整え、70〜80パーセントの力で継続する発想は、燃え尽きを防ぎながら長期的にパフォーマンスを維持したいビジネスパーソンにも通じる考え方だ。
批評やプレッシャーを受け流す心の余裕を持つ
三浦選手は若い頃には批評に反発していたが、いまは「彼らは批評するのが仕事だから、僕は僕の仕事をすればいい」と受け止める余裕があるという。他人をあまり気にせず、コントロールできることに集中する姿勢はメンタル面のコンディショニングにも直結しており、組織のマネジメントにおいても評価やプレッシャーとの向き合い方として参考になる。
目標設定を100パーセントから70〜80パーセントへ調整する
三浦選手が読者に勧めるように、常に全力を求めるのではなく、無理のない強度で継続する目標設定に切り替えることは、企業研修やチームマネジメントの現場でも取り入れやすい発想だ。継続を最優先にすることで、燃え尽きによる離脱を防ぎやすくなる。
よくある質問
三浦知良選手は何歳までプレーを続けているのか
三浦選手は50代後半に入ってもJリーグでプレーを続けており、長年にわたり独自のコンディショニングでコンディションを維持してきた選手として知られている。
三浦知良選手が最も重視しているコンディショニングは何か
本人はトレーニング・休養・栄養のバランスを最も大事にしていると語り、当たり前のことを当たり前に続けることの難しさと重要性を強調している。
三浦知良選手の入浴によるケアはどのような内容か
夕食後の交代浴と、トレーニング直後のアイスバスを組み合わせており、いずれも長年にわたって継続している習慣である。
三浦知良選手の食事で特徴的な点は何か
時間栄養学を意識し、運動の2.5〜3.5時間前までに食べ終えること、毎日ほぼ同じ時刻に食事を取ることでリズムを崩さないようにしている点が特徴である。
まとめ
- 三浦知良選手は40歳以降、疲労回復のための体調管理を重視し、休息も計画的に取るようになった。
- 交代浴とアイスバスを毎日・トレーニング直後に継続し、体重測定や定期的な人間ドックで内臓の状態も確認している。
- 「70〜80パーセントの力で継続する」という考え方は、一般の読者にも実践しやすいアドバイスとして語られている。
- 時間栄養学を意識した食事タイミングの管理が、コンディション維持を支えている。
- 「当たり前を当たり前に続ける」姿勢は、企業のコンディション管理・健康経営にも応用できる視点である。
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