中村俊輔の体のケア習慣|40代まで現役を続けた理由

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横浜FCの練習後半、ベテランMFが軽くもも裏を押さえ、トレーナーに歩み寄る。「今日はここが張っている」ーーそのひと言から、試合前とは違う入念なケアが始まる。中村俊輔選手は40代に入ってもJリーグでピッチに立ち続け、大きなケガなくコンディションを保ってきた。

ケガをせずキャリアを重ねる裏には、本人が語る「体との付き合い方」がある。本記事では、中村選手自身のインタビューをもとに、そのケア習慣を時系列で整理し、企業のコンディション管理にも応用できる視点を探る。

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中村俊輔がケガをせず現役を続けられた最大の理由は体への気づき

中村選手は自身のコンディション維持について、技術やフィジカルの強化以上に「メンタルの部分が大きい」と語っている。本当に集中して自分の体に気を遣っていれば、ケガはしにくいものだという。逆に、筋肉や足首の状態を意識することを怠れば、ケガにつながりかねないと本人は指摘する。

例えば「ハムストリングスが張っているな」と感じたら、練習前にトレーナーに温めてもらったり揉んでもらったりする。その後、軽く筋トレをするなど状況を見て、ランニングをしてから練習に入る。現役生活が長くなるほど、自分の体とのつきあい方がわかってくるという。

若手時代からセルティック時代まで体のケアはこう変わった

中村選手のケア習慣は、キャリアの各段階で環境や気づきに応じて大きく変化してきた。本人のインタビュー内容を、筆者が時系列で整理すると次のようになる。

時期 主なケア内容 きっかけ・変化
若手時代 試合後はすぐ帰宅しDVDを見る ケアへの意識はまだ薄かった
イタリア移籍1年目(レッジーナ) 現地トレーナーによるさする程度のマッサージ 「ジャパニーズ指圧」との違いに疲労を実感
イタリア2年目〜セルティック時代 日本人トレーナーを招聘し交代浴とオイルマッサージを導入 硬く粘土質のピッチでポイントスパイクを常用し体への負担が増加
現在(40代・横浜FC) 試合後すぐランニング→プールで交代浴→リンパのオイルマッサージ 準備にかける時間が若い頃の倍以上に

※中村俊輔選手インタビュー(くぼたスポーツ接骨院)の発言をもとに筆者が時期別に整理・作成

若手時代は試合後にDVDを見るだけだった

キャリア初期の中村選手は、試合が終わればグラウンドから帰宅し、サッカーの映像を見て過ごすのが日課だった。体のケアという発想自体がまだ薄く、コンディショニングは技術や戦術の習得の陰に隠れていたという。

イタリア移籍1年目 マッサージ文化の違いに戸惑う

レッジーナに渡った1年目は、施設面でもシャワーのパイプに穴が空いているような環境で、満足なケアができなかった。現地トレーナーのマッサージも「さすって温める程度」で、揉みほぐす「ジャパニーズ指圧」に慣れていた中村選手は、疲労がたまりやすくベストなコンディションを保ちづらいと感じたという。

日本人トレーナー招聘で交代浴とオイルマッサージを導入

その反省から2年目以降は日本からトレーナーを招き、交代浴やオイルマッサージを取り入れた。イタリアのピッチは日本と違って硬く粘土質で、ポイント付きのスパイクを練習から履く必要があり、足や腰への負担が増えたことも、ストレッチを増やす直接のきっかけになったと語っている。

40代の現在は準備に若い頃の倍以上の時間をかける

現在は、ナイターの試合であればケアを終えてクラブハウスを出るのが23時になることも珍しくないという。年齢を重ねたことで疲れや体の張りを感じやすくなった分、練習前後のケアや準備には若い頃より倍以上の時間をかけるようにしている。万全でなければ質の高い練習は望めず、上達もしないというのが本人の考え方だ。

(参考)中村俊輔選手インタビュー – くぼたスポーツ接骨院

疲労のサインに気づいてから練習に戻るまでの判断フロー

中村選手のケア習慣を整理すると、体の異変への「気づき」から「対処」「調整」までを一貫したプロセスとして捉えていることがわかる。筆者はインタビュー内容から、そのプロセスを次の図のように分類した。

中村俊輔選手の体調管理判断フロー図解

図:筆者が中村俊輔選手のインタビューをもとに整理した体調管理の判断フロー

練習からグラウンドに出る合言葉は100パーセントに近い状態

中村選手は「万全の状態で練習もゲームもできなければ、質の高い練習は望めませんし、伸びない」と語る。だからこそ、練習の段階から100パーセントに近いコンディションでグラウンドに出るようにしているという。ケアはあくまで質の高い練習・試合をするための土台であり、ケアそのものが目的化しないという考え方が根底にある。

2010年W杯直前 乳酸値データで気づいた隠れた疲労

このプロセスが機能しなかった数少ない例として、中村選手は2010年南アフリカワールドカップ直前の経験を挙げている。Jリーグで足首をケガしていたが、それをごまかしつつプレーを続けた結果、大会直前になっても調子が上がらないことに気づいたという。

トレーナーやフィジカルコーチと相談し、ランニングマシンで3分×4セットのメニューに取り組み、セット間に採血して乳酸値を測定したところ、数値は非常に高かった。データの裏付けを得て初めて「体が疲れていたのか」と気づけたと振り返っている。自分の感覚だけに頼らず、データや周囲の指摘を組み合わせることの大切さを示すエピソードだ。

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トレーナーとの二人三脚が体との対話を支える仕組み

中村選手は、信頼できるトレーナーの条件について「うまくコミュニケーションが図れること」だと語っている。知識では自分よりトレーナーの方が上だからこそ、質問を重ねて納得しながら治療方針を選ぶことを大切にしているという。

トレーナーの意見をただ受け入れるだけでなく、自分の体のコンディションを相談できる関係であることが望ましいと本人は考えている。トレーナーに自分の筋肉の動きを外から見てどうだったかを聞き、「今日は針にしようか、それとも別の施術にしようか」と一緒に方針を決めることもあるという。

様々な選手の方法や食事から学び続ける姿勢

ケアの引き出しを増やすため、中村選手はこれまで多くの選手の方法を参考にしてきたという。食事の面も含め「常に何かを学ぼうとしていかないと」というのが本人の姿勢で、サッカーの技術と同様に、ケアの分野でも上積みを重ね向上させていくものだと捉えている。

納得して治療方針を選ぶことで回復が早くなる

トレーナーから説明を受けて自分が納得しながら治すのと、言われるままに治すのとでは結果がまったく違うと中村選手は語る。トレーナーと「一番良い治療は何か」を模索しながら二人三脚で治していく方が、結果的に回復も早くなるという。監督やコーチと同等の存在として、選手にとってトレーナーとの信頼関係がいかに重要かがうかがえる。

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個人の習慣を組織のコンディション管理に応用する視点

中村選手の「体のサインに早く気づき、専門家に相談し、調整して次に備える」というサイクルは、企業のコンディション管理や健康経営にもそのまま応用できる考え方だ。スポーツ庁は運動・スポーツを実施する人向けの資料のなかで、外傷・障害の予防のために定期的な身体診断「セルフチェック」と、可動性・筋力・バランスを改善する「改善エクササイズ」の実施を推奨している。

企業研修の現場でも、従業員が自分の疲労やコンディションの変化に早めに気づき、産業医や専門スタッフに相談できる仕組みを整えることが、パフォーマンス維持とケガ・不調の予防の両方につながる。中村選手のように「専門家をうまく活用できるかどうか」という視点は、アスリートに限らずビジネスパーソンのコンディション管理にも通じるポイントだといえる。

(参考)運動・スポーツを実施する皆さまへ(資料2-1) – スポーツ庁

よくある質問

中村俊輔選手は何歳まで現役を続けているのか

中村選手は40代に入ってもJリーグの横浜FCでプレーを続けており、長年にわたり大きなケガなくコンディションを維持してきた選手として知られている。

中村俊輔選手のケアルーティンで特に重要なポイントは何か

試合後すぐにランニングとプールでの交代浴を行い、その間にトレーナーによるリンパのオイルマッサージを受ける一連の流れが、本人が長年続けてきた中心的なルーティンである。

体のケアにかける時間は年齢とともにどう変化したのか

本人の発言によれば、若い頃と比べて現在は準備やケアにかける時間が倍以上になっているという。ナイター試合の後にクラブハウスを出るのが23時になることも珍しくない。

トレーナーとの関係で中村選手が大切にしていることは何か

トレーナーの説明に納得しながら治療方針を選ぶこと、そして自分の状態を積極的に相談できる関係を築くことを大切にしている。

まとめ

  • 中村俊輔選手は技術や戦術以上に「体への気づき」を重視し、ケガをしにくいコンディションを保ってきた。
  • ケア習慣はキャリアの各段階で変化し、現在は試合後のランニング・交代浴・オイルマッサージを中心的なルーティンとしている。
  • 2010年W杯直前には、感覚だけに頼らず乳酸値データによって隠れた疲労に気づいた経験がある。
  • 信頼できるトレーナーとの二人三脚の関係が、納得感のある治療と早い回復を支えている。
  • 「早く気づき、相談し、調整する」というサイクルは、企業のコンディション管理・健康経営にも応用できる視点である。

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About The New株式会社 代表取締役 森永 昂
執筆者
About The New株式会社 代表取締役 森永 昂

新卒で東証プライム上場の社会人教育・コンサルティング企業に入社し、人材育成・組織開発に従事。その後、別企業にてメディア・プラットフォーム事業の責任者を務める。
現在は独立し、About The New株式会社を設立。教育コンテンツの研究・開発を行い、スポーツの知見を活かした人材育成プログラムを提供している。

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