「体育会系出身者は仕事ができる」という感覚的な評価は昔からありますが、実際に経営トップの層でスポーツ経験がどの程度共通しているのか、数字で見たことがある人は多くありません。この記事では、海外の調査データと日本国内のデータを突き合わせ、アスリート経験を持つ経営者に共通する傾向と、その背景にある要因を整理します。
アスリート経験がCEOのリーダーシップに与える影響
米コーネル大学の調査では、フォーチュン500企業の経営幹部の80%、女性エグゼクティブに限ると94%が大学時代に競技スポーツの経験を持つという結果が報告されています。また大手コンサルティングファームのデロイトの調査でも、企業幹部の7割以上が元大学アスリートだったとされています。海外の大企業経営層において、競技スポーツの経験者が偏って多いという傾向は、複数の調査で一貫して確認されています。
日本国内でも同様の傾向がうかがえます。東京商工リサーチが130万人超の社長データを分析した調査では、売上高100億円以上の大企業の社長の趣味は「読書」に次いで「スポーツ」が3位に入り、全企業の社長(趣味5位)よりも上位でした。企業規模が大きくなるほど、経営者とスポーツの結びつきが強くなる傾向は、海外・国内の両方のデータに共通して見られます。
共通する行動特性を4つに整理する
なぜスポーツ経験者が経営層に多いのか。海外の研究では、競技スポーツを通じて培われる特性が、経営に求められる資質と重なる点が指摘されています。代表的な4つの特性を、Human Soarが独自に整理しました。
| 特性 | 競技での現れ方 | 経営での活かし方 |
|---|---|---|
| 粘り強さ | 結果が出なくても練習・改善を継続する | 不確実な事業環境でも意思決定を止めない |
| チームワーク | 個人の役割をチームの勝利に結びつける | 部門横断の合意形成、組織全体の連携 |
| 適応力 | 相手や状況に応じて戦術を変える | 市場環境の変化に応じた戦略転換 |
| 敗北からの学習 | 負けを分析し次の試合に反映する | 失敗を恐れず検証・改善サイクルを回す |
※コーネル大学、デロイトの調査等で指摘される特性をもとに、Human Soarが競技での現れ方と経営での活かし方を独自に整理。
結果が出るまでの「継続力」は多くの調査で共通して挙がる
複数の海外調査に共通して挙がるのが「粘り強さ」です。競技スポーツでは、結果が出ない期間でも練習を継続する経験を積み重ねます。経営においても、成果が見えるまでに時間がかかる投資判断を続けられるかどうかは、経営者の資質として重視される部分です。
「チームでの勝ち方」を知っていることが組織運営に活きる
個人競技であっても、チームでの役割分担や連携を経験している選手は少なくありません。この「チームでどう勝つか」という発想は、部門を横断した合意形成が求められる経営の現場で活かされやすい特性です。
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※前掲4特性を見極めるための質問の切り口を、Human Soarが独自に整理。
企業研修への応用
ここまでの傾向を踏まえると、企業がスポーツ経験を人材育成に取り入れる際は、「経験の有無」を評価するだけでなく、経験から培われる特性をどう業務行動に翻訳するかが重要になります。
採用選考で経験談を聞く際は「乗り越え方」に注目する
面接で競技経験を聞く場合、勝敗の実績そのものより、結果が出ない時期にどう考え、何を変えたかという「乗り越え方」の語り方に注目すると、粘り強さや適応力の実際の水準を見極めやすくなります。
非スポーツ経験者にも同じ特性を育成する機会を用意する
スポーツ経験者だけを優遇する採用・育成方針は、対象者を不必要に狭めてしまいます。人的資本投資の一環として、スポーツで培われる特性(粘り強さ・チームワーク・適応力)を疑似体験できる研修を設計すれば、競技経験の有無にかかわらず同じ資質を育成できます。
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(参考)「130万人の社長データ」調査 – 東京商工リサーチ
よくある質問
スポーツ経験がない経営者はリーダーシップで不利になりますか
不利にはなりません。スポーツ経験は特性を身につける経路の一つに過ぎず、粘り強さやチームワークは他の経験(長期プロジェクトの完遂、部活動以外の課外活動など)からも同様に培われます。
この記事のデータはどの程度信頼できますか
コーネル大学やデロイトの調査は海外の大企業を対象にしたもので、日本企業にそのまま当てはまるとは限りません。国内データとして東京商工リサーチの調査を併記していますが、調査年や対象範囲が異なる点には留意が必要です。
まとめ
- コーネル大学の調査ではフォーチュン500企業幹部の80%が大学競技スポーツの経験者という結果が報告されている
- 日本でも大企業社長の趣味に「スポーツ」が上位に入る傾向が、東京商工リサーチの調査で確認できる
- 共通する行動特性は「粘り強さ」「チームワーク」「適応力」「敗北からの学習」の4つに整理できる
- 採用選考では経験の有無より、結果が出ない時期をどう乗り越えたかという語り方に注目すると特性を見極めやすい
- スポーツ経験者だけを優遇せず、同じ特性を育成できる研修を設計することが人的資本投資として有効
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