ウェルビーイング指標のISOと国際基準

データ分析と国際基準に基づくウェルビーイング指標の開示イメージ ウェルビーイング

人的資本開示が企業に求められるようになり、「ウェルビーイングをどう測り、どう開示すればいいのか」と悩む担当者が増えています。とくに国際基準やISO規格との関係は情報が断片的で、全体像をつかみにくいですよね。

この記事では、ウェルビーイング指標に関わるISO規格や国際的な開示基準を整理し、人的資本開示にどう活かせるかを解説します。ISO 45003やGRI・ISSBといった用語の関係を押さえ、自社の指標設定や統合報告書への反映に役立てていただける内容です。

ウェルビーイング指標が国際基準で注目される背景

従業員の心身の健康や働きがいは、これまで定性的に語られることが多いテーマでした。ですが、投資家が企業の持続可能性を評価するうえで、人的資本に関する情報を重視するようになり、ウェルビーイングを定量的に示す必要性が高まっています。

日本でも、経済産業省が健康投資管理会計ガイドラインを示し、健康への投資とその効果を見える化する枠組みを提供しています。こうした国内の動きと、ISOやISSBなどの国際基準が連動することで、ウェルビーイングは「測って開示するもの」へと位置づけが変わってきました。

つまり、ウェルビーイング指標の整備は、人的資本経営と情報開示の両面で避けられないテーマになっているわけですね。

(参考)健康投資管理会計ガイドライン – 経済産業省

ウェルビーイングに関わる主要な国際基準・規格

ウェルビーイング指標に関係する国際的な枠組みは複数あり、役割が異なります。混同しやすいので、主要な4つを整理しました。

基準・規格 位置づけと役割
ISO 45001 労働安全衛生のマネジメントシステム規格。安全な職場の土台
ISO 45003 心理的健康・安全を扱う指針。メンタル面のリスク管理に対応
GRI・SASB サステナビリティ情報の開示基準。社会・人材領域の項目を含む
ISSB(IFRS) 国際的なサステナビリティ開示基準。投資家向け情報の標準化を担う

表:ウェルビーイング指標に関わる主要な国際基準・規格

ISO 45001:安全衛生マネジメントの基盤

ISO 45001は労働安全衛生のマネジメントシステムに関する国際規格です。事故や健康障害を防ぐ仕組みを整えるもので、ウェルビーイングの土台となる「安全な職場」を担保します。まずこの基盤があってこそ、心理面の取り組みが意味を持つという関係です。

ISO 45003:心理的健康・安全への対応

ISO 45003は、職場における心理社会的リスク(ストレスやハラスメントなど)の管理を扱う指針です。メンタルヘルスや心理的安全性といった、ウェルビーイングの中核に近いテーマに対応しています。心の健康を組織として管理する枠組みとして注目されています。

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GRI・SASB:サステナビリティ開示の基準

GRIやSASBは、企業のサステナビリティ情報を開示するための基準で、人材や社会に関する項目を含みます。ウェルビーイングに関する取り組みや成果を、投資家やステークホルダーに伝える際の共通言語になります。どの項目をどう報告するかの指針として活用されます。

ISSB:国際的な開示基準の標準化

ISSB(国際サステナビリティ基準審議会)は、サステナビリティ開示の国際的な標準づくりを進めています。各国・各制度でばらばらだった開示を統一する流れのなかで、人的資本やウェルビーイングの情報も整理されていきます。グローバルに事業を展開する企業ほど、この動向を押さえておく必要があります。

国際基準に基づくウェルビーイング指標の設定方法

基準を理解したら、次は自社でどの指標を測るかです。やみくもに数を増やすより、目的に沿った指標を選ぶことが大切です。設定のステップを整理します。

1目的を明確にする:「何のために測るのか」を定め、開示と改善の両軸で指標を選ぶ
2基準と照らし合わせる:ISO 45003やISSB等の項目を参照し、開示で求められる観点を取り込む
3測れる指標に落とす:エンゲージメント・ストレス度・離職率など、継続的に取得できる指標にする
4改善につなげる:測定結果を施策に反映し、翌期の指標で効果を確認する

指標は「開示のため」だけでなく「改善のため」に使ってこそ意味があります。国際基準を参照しつつ、自社の課題に合った指標を選ぶことで、形だけの開示に終わらない運用ができます。

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統合報告書・人的資本開示への反映

設定した指標は、統合報告書や人的資本開示の文脈で活用されます。投資家や求職者に向けて、自社の取り組みを説得力を持って伝えることがゴールです。

開示では、数値だけを並べるのではなく、「なぜその指標を重視するのか」「どんな施策と結びついているのか」というストーリーが重要です。国際基準に沿った指標を使うことで、他社との比較可能性が高まり、情報の信頼性も増します。ウェルビーイングへの投資が企業価値につながることを示せれば、開示が採用や資金調達の追い風にもなります。

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まとめ:基準を活かして「測って改善する」開示へ

ウェルビーイング指標は、国際基準を理解したうえで自社の目的に沿って設定することが大切です。最後に要点を整理します。

  • ウェルビーイングは「測って開示するもの」へと位置づけが変化している
  • ISO 45001は安全衛生の基盤、ISO 45003は心理的健康に対応する
  • GRI・SASB・ISSBは開示の共通言語であり比較可能性を高める
  • 指標は開示だけでなく改善のために使ってこそ意味がある
  • 統合報告書では数値とストーリーをセットで示すと説得力が増す

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