アルビレックス新潟のスポンサー252社|協賛収入はJ1平均の53%だった

アルビレックス新潟のスポンサー252社 スポーツビジネス

アルビレックス新潟のパートナー一覧は、連載で見てきたなかでもっとも区分が細かいページです。ユニフォームからスタジアムグルメまで21の区分に分かれ、どこにロゴが出るのかが一目で分かるようになっています。

ところが決算を開くと、数の多さとは違う姿が出てきます。スポンサー収入はJ1平均の半分ほどでした。それでいて営業利益はJ1平均の4倍あります。数だけを見ていると読み違える例なので、一覧の数え方から順に追っていきます。

アルビレックス新潟のスポンサーは252社、掲載は延べ275枠

アルビレックス新潟の区分別の掲載枠数

クラブ公式サイトの「パートナー」ページを2026年9月23日に取得し、掲載されている枠を1つずつ数えました。結果は延べ275枠です。

同じ企業が複数の区分に出ている枠が19件ありました。たとえば新潟しんきんはオフィシャルクラブパートナーとサポートカンパニーの両方に、アークベルグループはオフィシャルクラブパートナーとアルビレッジパートナーの両方に載っています。さらにロゴのリンク先を突き合わせると、表記が違うだけで同じ企業のケースが4件見つかりました。NSG GROUPとNSGグループ、NAMICSとナミックス(株)、SAPPORO とサッポロビール(株)、そして株式会社ドコモCSと(株)NTTドコモです。

これらを差し引いて、実数は252社になります。なおドコモの2件は、社名表記が異なるもののリンク先が同一ドメインだったため1社として数えました。

Q. 自治体は入っていますか。

地域支援パートナーという区分に新潟県とネクスコ東日本の2者が入っています。新潟県はこのあと出てくるスタジアムの命名権契約の当事者でもあります。市町村の名前は一覧にありません。

(参考)パートナー(広告協賛のご案内) – アルビレックス新潟

21の区分のどこに載るかで、見えるものが変わる

区分ごとの枠数を並べます。名前を見るだけで、何に対する協賛なのかが分かる作りになっています。

アルビレックス新潟のパートナー区分と掲載枠数(2026年9月23日時点)
区分 枠数 区分 枠数
サポートカンパニー 88枠 アシストパートナー 9枠
オフィシャルクラブパートナー 51枠 アドボードパートナー 8枠
バナーパートナー 31枠 ユニフォームパートナー 5枠
スタジアムグルメパートナー 24枠 トレーニングウェアパートナー 5枠
メディアパートナー 19枠 オフィシャルサプライヤー 5枠
アルビレッジパートナー 17枠 スタジアムアシストパートナー 3枠
地域支援パートナー 2枠 その他8区分(各1枠) 8枠

出典:アルビレックス新潟「パートナー」ページ(2026年9月23日取得)を筆者集計。その他8区分はオフィシャルクラブパートナーS、エコロジーパートナー、デジタルマーケティングパートナー、オフィシャルパートナー、スタジアムアミューズメントパートナー、リカバリーパートナー、ビッグスワンネーミングライツパートナー、PRパートナー

数がいちばん多いのはサポートカンパニーの88枠で、全体の32%を占めます。次いでオフィシャルクラブパートナー51枠、バナーパートナー31枠。ユニフォームパートナーは5枠しかなく、亀田製菓、コメリ、オイシックス・ラ・大地、NSG GROUP、NAMICSが並んでいます。

この区分の細かさには実務的な意味があります。「アルビレッジパートナー」は聖籠町のクラブハウスへの協賛、「スタジアムグルメパートナー」はデンカビッグスワンで出店する事業者で、企業がクラブと関わる入口が複数用意されているということです。飲食店がグルメパートナーとして参加し、同時にサポートカンパニーにも名前を出す、といった重ね方もできます。実際、イタリア軒はスタジアムグルメパートナーとサポートカンパニーの両方に載っています。

Q. 区分の上下関係はどうなっていますか。

ページ上は上から順にユニフォーム、オフィシャルクラブパートナーS、トレーニングウェア……と並んでいますが、クラブはこれが金額の順だとは書いていません。区分の性格が違うもの(広告の種類別、場所別、機能別)が混在しているので、単純な階層としては読めない作りです。

(参考)パートナー(広告協賛のご案内) – アルビレックス新潟

金額は一切公開されていない。「広告枠」ページは準備中のまま

「アルビレックス新潟 スポンサー 金額」で調べる人のために先に書いておくと、公表されている金額はひとつもありません。

クラブの「パートナーシップのご案内」には「内容、金額に応じた様々なラインナップでご案内させていただいております」「種類・価格ともに様々なラインナップをご用意しております」とありますが、具体的な数字は出てきません。公式サイトのナビゲーションには「広告枠」というページが用意されているものの、開くと「coming soon」の画像が表示されるだけでした(2026年9月23日時点)。

公開されているパートナーメニューの内容(金額の記載はない)
区分 メニュー
各種広告・メリット ユニフォーム/トレーニングウェア広告/記者会見バックパネル/スタジアム広告(ゴール裏LED・アドボード・2層目バナー)/プロパティ活用
その他広告・メリット コンコースの記念撮影ボード/アルビレッジでの広告掲出/ホームゲームでのVIPラウンジ利用/パートナー同士のビジネス交流会
アクティビティ サンクスデー(冠試合)/PRブース/サンプリング/販促キャンペーン・イベント/商品開発/社内向けイベント

出典:アルビレックス新潟「パートナーシップのご案内」より筆者作成

特徴的なのは「アクティビティ」という括りです。「アクティビティは決められたフォーマットがあるわけではありません。人材採用や地域貢献的な活動など、貴社のご要望に応じたご提案を申し上げます」と書かれていて、広告の掲出とは別枠で企画をつくる前提になっています。社内向けイベントとして「社員様向けの研修の場としてホームゲームの場をご活用」という例まで挙げられています。

Q. 問い合わせの前に用意しておくものはありますか。

価格表がない以上、「何にいくら払えるか」ではなく「何を実現したいか」から入る形になります。クラブは資料請求フォームを用意しているので、まずそこからでしょう。区分が21もあるということは、露出の種類も21通りあるということです。ユニフォームなのか、スタジアムのバナーなのか、クラブハウスなのか、出店なのかを決めておくと話が早く進みます。

(参考)パートナーシップのご案内 – アルビレックス新潟

(参考)広告枠 – アルビレックス新潟

スポンサー収入14億2600万円は、J1平均の53%しかない

アルビレックス新潟とJ1平均の売上構成

ここからが本題です。Jリーグが開示した2025年度の決算で、アルビレックス新潟のスポンサー収入は14億2600万円でした。同じ年のJ1平均は26億7900万円ですから、平均の53%にとどまります。

252社という掲載数は連載のなかでも多いほうです。それでいて金額が平均の半分というのは、1社あたりの単価が低い構成だということを意味します。実際、サポートカンパニー88枠とバナーパートナー31枠だけで全体の43%を占めていて、小口の枠が数を押し上げている形です。

対照的なのが入場料収入で、12億4700万円はJ1平均12億900万円をわずかに上回ります。お客さんは平均どおり入っていて、スポンサー収入だけが半分という、はっきりした偏りです。

もうひとつ目を引くのが移籍補償金等収入の5億8500万円で、J1平均4億4300万円の1.3倍あります。選手を育てて売ることが、収入の柱のひとつになっているクラブです。

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Q. 新潟という土地の企業規模の問題でしょうか。

断定できる材料はありません。ただし同じ2025年度の開示で、新潟のスポンサー収入は数値が開示された19クラブ中17位でした。上位には地方都市を本拠とするクラブも並んでいて、サンフレッチェ広島は27億9200万円、清水エスパルスは26億7200万円、京都サンガF.C.は23億7100万円です。地域の企業規模だけで説明できる差ではない、とは言えます。クラブから理由の説明はありません。

(参考)2025年度 J1 クラブ決算一覧(PDF) – 公益社団法人日本プロサッカーリーグ

人件費はJ1平均の47%、それでも営業利益はJ1平均の4倍

決算全体を並べると、このクラブの経営の形が見えてきます。

アルビレックス新潟の2025年度決算とJ1平均
項目 アルビレックス新潟 J1平均
売上高 45億1400万円 64億9200万円
スポンサー収入 14億2600万円 26億7900万円
入場料収入 12億4700万円 12億900万円
物販収入 5億8800万円 6億5000万円
移籍補償金等収入 5億8500万円 4億4300万円
Jリーグ配分金 3億3200万円 4億2600万円
トップチーム人件費 10億7800万円 23億500万円
営業利益 4億5300万円 1億1200万円
当期純利益 2億7600万円 1500万円

出典:公益社団法人日本プロサッカーリーグ「2025年度 J1 クラブ決算一覧」より筆者作成

トップチーム人件費10億7800万円は、J1平均23億500万円の47%です。売上高がJ1平均の70%であることを考えても、人件費の抑え方は際立っています。その結果、営業利益4億5300万円はJ1平均1億1200万円の4.0倍、当期純利益2億7600万円は同1500万円の18倍になりました。

ただし競技成績のほうは、2025年のJ1で20位。Jリーグ公式サイトの成績ページによれば最下位で、2026/27シーズンはJ2で戦っています(2026年9月23日時点でJ2首位)。財務は黒字、順位は最下位という1年でした。因果関係を断定する材料はありませんが、スポンサー収入と人件費がともにJ1平均の半分前後だったという事実は、数字として並べておく価値があります。

Q. スポンサーの立場からは、これをどう見ればよいですか。

露出の量でいえば、入場料収入がJ1平均並みということは来場者数も相応にあるということです。一方でカテゴリーはJ2になったので、試合中継の露出は変わります。協賛の条件を考えるときは、掲載先がどのカテゴリーの試合なのかを確認しておくのが実務的です。

(参考)2025年度 J1 クラブ決算一覧(PDF) – 公益社団法人日本プロサッカーリーグ

(参考)アルビレックス新潟の順位・成績 – Jリーグ公式サイト

スポンサー1社あたりは約566万円

本連載で調べたクラブのスポンサー1社あたり単純平均

スポンサー収入14億2600万円を252社で割ると、単純平均で1社あたり約566万円です。この連載で同じ計算をしてきたクラブのなかでは6番目になります。

この数字は、J1クラブとしては低い部類です。同じ計算でサンフレッチェ広島は約763万円、モンテディオ山形は約636万円でした。山形はJ2のクラブですから、新潟のほうが下という結果になります。掲載社数が多いぶん分母が大きくなるという事情はありますが、それを差し引いても小口中心の構成であることは動きません。

いつもどおり注意書きを添えておくと、実際には上位数社が大半を占めるので、大多数の企業はこの平均よりずっと下です。また、クラブによって「どの階層まで一覧に載せるか」の方針が違うため、社数の分母は完全にはそろっていません。

Q. 協賛金は経費としてどう扱われますか。

国税庁は、不特定多数への宣伝的効果を意図した費用は広告宣伝費、特定の取引先などを接待・供応する費用は交際費等にあたるという区分を示しています。スタジアムのバナーやユニフォームへの掲出は前者に近く、VIPラウンジに取引先を招く使い方は後者に近づきます。同じ協賛でも使い方で扱いが変わりうるので、実際の処理は顧問税理士に確認してください。

(参考)No.5260 交際費等と広告宣伝費との区分 – 国税庁

スタジアムの命名権は、新潟県・デンカ・クラブの3者契約

ホームスタジアムのデンカビッグスワンスタジアムは、正式には新潟県が所有する新潟スタジアムです。この命名権の契約には、連載で初めて見る形がありました。

新潟県の公表資料によれば、この契約はデンカ株式会社、株式会社アルビレックス新潟、新潟県の3者契約です。前回の契約期間は令和5年1月1日から令和7年12月31日までの3年間で、ネーミングライツ料は年額4730万円(消費税及び地方消費税を含む)でした。

そしてクラブの発表によれば、2025年11月に更新が合意され、新しい契約期間は2026年1月1日から2028年12月31日までの3年間。金額は年額4730万円で据え置きです。

ここまで見てきたクラブでは、命名権は自治体と企業の2者契約でした。鹿児島県と薩摩酒造、宇都宮市と栃木銀行がそうです。クラブ自身が契約の当事者に入っているのは新潟だけで、スタジアムの名前をめぐる交渉にクラブが加わる形になっています。パートナー一覧でも、デンカは「ビッグスワンネーミングライツパートナー」という専用の区分に単独で置かれています。

金額を横に並べると、鹿児島県の白波スタジアムが年880万円、宇都宮市の市体育館が年2300万円ですから、年4730万円はこの連載で最も高い命名権料です。デンカは2013年からこの名称のパートナーを務めています。

Q. デンカはユニフォームにも入っていますか。

現在のユニフォームパートナー5社に、デンカの名前はありません。ただし公式サイトのHTMLには、かつてユニフォームパートナー欄にデンカのロゴが置かれていた記述がコメントとして残っています。この点は最後の章で扱います。

(参考)新潟スタジアムのネーミングライツ契約を更新 – 新潟県

(参考)デンカ株式会社 新潟スタジアムのネーミングライツパートナー契約更新に合意のお知らせ – アルビレックス新潟

「歴代」をたどると、地元企業はスポンサーである前に株主だった

アルビレックス新潟のスポンサーの歴史を調べようとすると、広告の話より先に出資の話が出てきます。クラブが公開している企業沿革に、資本金と出資者数の推移が残っているのです。

アルビレックス新潟の資本金と出資企業・団体数の推移
時期 資本金 出資した企業・団体
1996年4月(法人設立) 2億9500万円→4億9800万円 地元を中心に151企業・団体
1999年3月 5億6200万円 166企業・団体
1999年12月 6億6000万円 171企業・団体
2003年10月 7億1275万円 170企業・団体

出典:アルビレックス新潟「企業沿革」より筆者作成

法人化した1996年の時点で、すでに151の企業・団体が株主でした。J2に上がった1999年には166、その年末には171。J1昇格を決めた2003年には170企業・団体で資本金7億1275万円です。

この数字が意味するのは、新潟の地元企業にとってクラブとの関わりが「広告を出す」より先に「出資する」から始まったということです。1994年には後援会も創設されていて、企業・自治体・県民が少しずつ出し合ってクラブをつくった経緯が沿革から読み取れます。現在も「後援会」に財政支援募金のページがあり、企業と個人の両方から資金を集める仕組みが続いています。

21区分に細かく分かれたパートナー制度と、小口中心で1社あたり566万円という構成は、この成り立ちと地続きだと見るのが自然です。数多くの企業が少額ずつ支えるという形が、30年たっても残っているわけです。

Q. 歴代のユニフォームスポンサーは分かりますか。

公表資料からは、年ごとの一覧を復元できません。クラブの企業沿革は監督人事や成績が中心で、スポンサー契約の締結・終了は記載されていないためです。過去の一覧ページも残っていません。現在のユニフォームパートナーが5社であること以上は、外から確かめられませんでした。

(参考)企業沿革 – アルビレックス新潟

「撤退」は一覧からは分からない。HTMLに残る68件のコメントも証拠にならない

スポンサーを調べる人がもうひとつ知りたがるのが、どの企業が抜けたのかという点です。結論から書くと、公表資料からは特定できません。理由を3つに分けます。

過去の一覧ページが残っていない

アルビレックス新潟のパートナーページはシーズンごとに別URLで保存される作りになっておらず、現在の1ページが上書きされていく形です。前のシーズンに誰が載っていたかを比べる材料が、そもそもありません。

HTMLに残るコメントは「撤退」を意味しない

現在のパートナーページのHTMLを見ると、かつて掲載されていたロゴの記述が、コメントアウトされた状態で68件残っています。ユニフォームパートナー欄には新潟米、Denka、nextmeatsの3件が、オフィシャルクラブパートナー欄にはAIG損保、味の素ゼネラルフーヅ、コープデリ新潟など16件、サポートカンパニー欄には17件が眠っています。

ただし、これを撤退の証拠として使うことはできません。コメントアウトされている企業のなかに、いま別の区分で現役の枠を持っている企業が混ざっているからです。TradFitはオフィシャルクラブパートナー欄でコメントアウトされていますが、トレーニングウェアパートナーとして現在も掲載されています。東北電力も同様で、いまはアドボードパートナーにいます。新潟クボタはトレーニングウェアパートナーとして現役です。

つまり68件のコメントは、契約終了・区分の移動・ページ改修の名残が混ざったものです。どれがどれなのかは外からは区別できません。

クラブが契約終了を個別に発表していない

新規契約についてはニュースリリースが出ますが、契約終了の発表は見当たりません。企業側が自社サイトやプレスリリースで「協賛を終えた」と公表する例もほとんどないため、突き合わせる材料が集まりません。

したがってこの記事では、撤退企業の特定を行いません。ある企業がいまも協賛しているかを確かめたい場合は、公式のパートナーページで現在の掲載を見るのが唯一確実な方法です。

Q. コメントアウトが残っているのは問題ではないですか。

表示上は見えないので、掲載の誤りではありません。長く運用されているページでよく起きることです。ただ、自社のロゴがどう扱われるかを気にする企業にとっては、契約終了後にデータがどう残るのかを確認しておく価値はあります。この点は契約時に聞いておける事柄です。

(参考)パートナー(広告協賛のご案内) – アルビレックス新潟

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About The New株式会社 代表取締役 森永 昂
執筆者
About The New株式会社 代表取締役 森永 昂

新卒で東証プライム上場の社会人教育・コンサルティング企業に入社し、人材育成・組織開発に従事。その後、別企業でメディア・プラットフォーム事業の責任者を務める。

2025年5月に About The New株式会社 を設立。スポーツの現場で培われた知見を組織開発・人材育成の文脈に翻訳し、研修・チームビルディング・イベントの企画運営を行っています。

「知識を得る」で終わらせず「行動が変わる」ところまでを設計することを大切にしています。ご相談は contact@aboutthenew.co.jp まで。

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