eスポーツのスポンサー企業一覧|金額の目安と撤退・探し方

eスポーツのスポンサー企業一覧と金額の目安・撤退・探し方を解説する記事のアイキャッチ スポーツマーケティング

eスポーツのスポンサーを検討してほしい、と役員会で言われた翌朝。チームの公式サイトを開くと、自動車や銀行、菓子メーカーのロゴが並んでいるのに、金額はどこにも書かれていません。稟議書の「費用」の欄が埋まらないまま、手が止まります。

先に答えを書くと、国内のeスポーツ市場は2023年に146.85億円で、そのうちスポンサーの項目が36.6%を占めます。一方で1社あたりのスポンサー料の相場は公表されておらず、金額はチームや大会から資料を取り寄せて確かめるしかありません。

この記事では、公式ページで確認できたスポンサー企業一覧、金額の手がかりになる数字、撤退や契約終了の実例、協賛先の探し方を順に整理します。

eスポーツのスポンサー金額は市場の36.6%を占める

eスポーツのスポンサーが国内市場に占める割合の円グラフ(2023年はスポンサー36.6%・イベント運営37.6%)

スポンサーは、国内eスポーツ市場でイベント運営と並ぶ最大級の収入源です。『日本eスポーツ白書2024』(制作・販売は角川アスキー総合研究所)によると、2023年の国内市場は前年比117%の146.85億円で、項目別の割合は「イベント運営」が37.6%、「スポンサー」が36.6%でした。

この割合を市場規模に掛けると、スポンサーの項目は約53.7億円になります。白書のリリースに金額そのものは載っていないので、これは146.85億円×36.6%で編集部が算出した目安です。

少しさかのぼると、経済産業省の委託事業としてまとめられた報告書「日本のeスポーツの発展に向けて」(令和2年3月)は、2018年時点の国内の資金の流れのうち、スポンサー・広告費を37億円と示しています。同じ報告書は、大会賞金が「基本的にスポンサー費から拠出されて」いるとも書いています。協賛金は露出の対価であると同時に、大会そのものを成り立たせる資金でもあるわけですね。

注意したいのは、1社あたりの相場です。チームやリーグの公式ページに金額の記載はなく、公的な資料にも相場は見当たりませんでした。また白書は2022年分から「イベント運営」の項目を新しく設けているため、スポンサーの割合を年ごとに比べて「増えた」「減った」と言うことはできません。金額を知りたいときは、候補のチームや大会に媒体資料と見積もりを依頼するのが確実です。市場全体の推移はeスポーツ市場規模の解説にまとめています。

(参考)データ年鑑『日本eスポーツ白書2024』発売(2025年3月31日付リリース) – 角川アスキー総合研究所

(参考)日本のeスポーツの発展に向けて~更なる市場成長、社会的意義の観点から~(令和2年3月・経済産業省委託事業) – eスポーツを活性化させるための方策に関する検討会

Q. eスポーツのスポンサー料の相場はいくらですか?

1社あたりの相場は公表されていません。手がかりになるのは市場全体の数字で、2023年の国内eスポーツ市場146.85億円のうちスポンサーの項目は36.6%です。具体的な金額は、チームや大会の窓口に資料と見積もりを依頼して確かめます。

eスポーツのスポンサー企業一覧|ゲーム以外の13社

eスポーツのスポンサーには、ゲームと直接かかわらない業種の企業が数多く並んでいます。国内の3チームと1リーグの公式ページを開き、ゲーム・PC周辺機器以外の業種で社名を確認できた13社を一覧にしました。

企業 業種 協賛先
トヨタ・コニック・プロ 自動車グループのマーケティング会社 ZETA DIVISION(チーム)
JCB クレジットカード ZETA DIVISION(チーム)
NTT東日本 通信 ZETA DIVISION(チーム)
KDDI 通信 DetonatioN FocusMe(チーム)
エディオン 家電量販 DetonatioN FocusMe(チーム)
足利銀行 地方銀行 DetonatioN FocusMe(チーム)
明治 食品 DetonatioN FocusMe(チーム)
スズキ 自動車 ストリートファイターリーグ(リーグ)
REGZA テレビ ストリートファイターリーグ(リーグ)
ロート製薬 製薬 REJECT(チーム・事例として掲載)
森永製菓 食品 REJECT(チーム・事例として掲載)
ヤマハ発動機 輸送機器 REJECT(チーム・事例として掲載)
タイガー魔法瓶 家庭用品 REJECT(チーム・事例として掲載)

各チーム・リーグの公式ページ(パートナー/スポンサー掲載欄)で2026年10月8日に確認した13社。REJECTの4社は「パートナーシップ・プログラムの事例」としての掲載で、現在の契約状況はページからは判別できません。出典:ZETA DIVISION、DetonatioN FocusMe、ストリートファイターリーグ、REJECT 各公式サイト

並べてみると、自動車、金融、通信、食品、製薬と、業種に偏りがありません。地方銀行の足利銀行や家電量販のエディオンのように、生活に近い企業も入っています。ゲームの関連企業だけの世界、という見方はもう当てはまらないんですよね。

もう一つ読み取れるのは、協賛の中身がロゴの掲載だけではないことです。REJECTは事例を「部門協賛」「商品コラボ」「イベント協賛」「動画」といった施策の型で整理していて、自社のパートナーシップを「単なるロゴの掲載にとどまりません」と説明しています。KDDIはDetonatioN FocusMeへの協賛について、日本におけるeスポーツの普及を支援していくとコメントを寄せています。

候補のチームが決まったら、自社と同じ業種の企業がすでに入っているかを最初に見比べてみてください。入っている場合は、協賛できるかどうかを窓口に先に確かめておくと、話が早く進みます。

(参考)PARTNERS – ZETA DIVISION

(参考)スポンサー – DetonatioN FocusMe

(参考)ストリートファイターリーグ – CAPCOM

(参考)Partners – REJECT

Q. eスポーツのスポンサーにはどんな企業がいますか?

自動車、金融、通信、食品、製薬など、ゲーム以外の業種の企業が協賛しています。公式ページでは、ZETA DIVISIONにJCBやNTT東日本、DetonatioN FocusMeにKDDIや明治、ストリートファイターリーグにスズキの掲載を確認できます。

eスポーツのスポンサー先の探し方は3つの入口から

eスポーツのスポンサー先の探し方を示す図(チーム・リーグや大会・個人の選手や配信者の3つの入口)

協賛先を探す入口は、チーム、リーグ・大会、個人の選手や配信者の3つです。入口ごとに問い合わせ先も、契約前に確かめることも変わります。

チームに協賛する|公式サイトのパートナー窓口に問い合わせる

チームへの協賛は、公式サイトのパートナーページにある窓口から始めます。REJECTは、パートナーシップや所属選手・ストリーマーを起用したPR依頼の問い合わせを受け付けており、要望に応じて概要資料も送ると案内しています。

いきなり年間契約を結ぶ以外の関わり方もあります。ZETA DIVISIONには「ZETA DIVISION BUSINESS CLAN」という、活動に賛同した企業による会員制の組織があります。まず小さく関わって相性を確かめたい企業には、こうした枠が入口になります。

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リーグ・大会に協賛する|パートナー枠の階層と賞金の出し方を見る

リーグや大会への協賛では、パートナー枠の階層を最初に確かめます。ストリートファイターリーグの公式サイトは、協賛企業を「TOP PARTNER」と「OFFICIAL PARTNER」に分けて掲載しています。階層ごとに何が含まれるのかは、主催者の資料で確かめます。

自社で大会を開いて賞金を出す場合は、法律の整理も必要です。消費者庁は景品に関するQ&Aで、eスポーツ大会の賞金について「仕事の報酬等と認められるのであれば、景品類の提供に当たらず、景品規制の対象とはなりません」と答えています。また競技団体のJESU(日本eスポーツ協会)は、参加料を取る大会で賭博罪に当たらないための条件として、賞金が参加者や主催者以外の第三者、つまりスポンサーから提供されることを挙げています。

(参考)景品類ではないもの(景品に関するQ&A) – 消費者庁

(参考)eスポーツに関する法的課題への取組み状況のご報告 – 一般社団法人日本eスポーツ協会

個人の選手・配信者に協賛する|ライセンスと広告表示を確かめる

個人に協賛するときは、相手の立場と広告表示の2点を確かめます。JESUの公認プロライセンス制度は、目的の一つに「スポンサー等からの支援を受けやすい体制を整備すること」を掲げています。ライセンスの対象は、2026年2月16日に年齢制限が撤廃されました。相手が未成年の場合は、保護者や所属チームを交えて契約を進めることになります。

商品の紹介を依頼するなら、ステルスマーケティングの規制が関わります。消費者庁は、2023年10月1日から、広告であることが一般の消費者に分からない表示を景品表示法違反としています。規制の対象は依頼した企業側で、依頼を受けたインフルエンサーなどの第三者は対象になりません。配信や投稿に「PR」などの表示を入れてもらうところまで、契約書に書いておきましょう。

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(参考)プロライセンスについて – 一般社団法人日本eスポーツ協会

(参考)令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります。 – 消費者庁

Q. 個人の選手や配信者にスポンサーとして商品紹介を頼むときの注意点は何ですか?

広告であることが視聴者に分かる表示を必ず入れてもらうことです。消費者庁は2023年10月1日からステルスマーケティングを景品表示法違反としており、規制の対象は依頼した企業側です。表示の入れ方は契約書に明記します。

スポンサー撤退や契約終了は3つの場面で起きる

スポンサーの撤退や契約終了は、選手の言動、協賛先の活動休止、効果が見えないまま迎える更新、の3つの場面で起きます。企業が撤退の理由を自ら文書で公表した国内の事例は、今回調べた範囲では確認できませんでした。そこで、チーム側の公式発表から分かる事実と、契約で備える項目を表にまとめます。

起きる場面 公表されている事実 契約で備える項目
選手の言動 2022年2月、大阪のプロチームが所属選手の配信中の発言を受けて選手契約を解除し、スポンサー各社へ謝罪 言動を理由にした解除条項
協賛先の活動休止 2026年3月、同じチームがリーグへの参加辞退と格闘ゲーム部門の活動休止を発表 活動休止・不参加のときの返金や振り替え
効果が見えないままの更新 企業が撤退理由を公表した国内事例は確認できず 測る指標と見直しの時期

CAG OSAKA(ブロードメディアeスポーツ)の公式発表(2022年2月、2026年3月4日)をもとにHuman Soar編集部が作成。3行目は公表事例が無いため、備える項目のみ記載

選手の言動|解除できる条件を契約書に書く

選手の言動による契約終了は、数日のうちに起きます。2022年2月、大阪を拠点とするプロチームは、所属選手の配信中の発言を「決して容認できるものではなく」として、発言の2日後に選手契約を解除しました。発表文の冒頭では、ファンとあわせて「スポンサー各社の皆様」に謝罪しています。

この選手を個人で支援していた飲料メーカーも、J-CASTニュースの取材に対して、契約はすでに終了していると回答しました。配信は生放送で、発言はその場で広がります。どんな言動があったら解除できるのか、ロゴや商品の露出をいつまでに外すのかを、契約書に書いておくことが備えになります。

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(参考)「たぬかな」選手との選手契約解除のお知らせ – CAG OSAKA(ブロードメディアeスポーツ)

(参考)不適切発言のプロゲーマー、所属チームが契約解除(2022年2月17日) – J-CASTニュース

協賛先の活動休止|返金と振り替えを先に決める

協賛先のほうが競技の場から降りることもあります。同じチームは2026年3月4日、ストリートファイターリーグの2026年シーズンへの参加を辞退し、格闘ゲーム部門の活動を同年3月末で休止すると発表しました。発表文に理由は書かれていません。

部門が休止すれば、ユニフォームのロゴも配信での露出もなくなります。契約期間の途中で部門の休止やリーグへの不参加が起きたとき、協賛金を返すのか、別の部門や企画に振り替えるのかを、契約の時点で決めておきましょう。

(参考)SFL 2026シーズン参加辞退および格闘ゲーム部門活動休止のお知らせ – CAG OSAKA(ブロードメディアeスポーツ)

効果が見えないままの更新|指標と見直しの時期を決める

撤退の理由が公表されない以上、外から原因を決めつけることはできません。ただ、自社の側で防げることはあります。契約前に、何を測るのか(配信の視聴数、キャンペーンの応募数、採用への応募など)と、いつ見直すのかを決めておくことです。

指標が無いまま1年が過ぎると、続ける理由も、やめる理由も説明できなくなります。測り方の手順はスポーツスポンサーシップの効果測定方法で紹介しています。

Q. eスポーツのスポンサーが撤退するのはなぜですか?

企業が撤退の理由を自ら公表した国内の事例は確認できていません。公式発表から分かるのは、選手の配信中の発言が2日後の契約解除につながった例や、チームが部門の活動を休止した例です。解除条項と活動休止時の扱いを契約で決めておくことが備えになります。

eスポーツ協賛の稟議は届く人数と競技団体の位置づけで書く

社内の稟議は、「伸びている市場だから」ではなく、「誰に届くか」と「どんな団体が統括しているか」で書くほうが通りやすくなります。市場の伸びだけを根拠にすると、数字の読み方でつまずくからです。

経済産業省の委託事業の報告書(令和2年3月)は、eスポーツの直接市場の長期目標を2025年に600~700億円としていました。これに対して『日本eスポーツ白書2024』の実績は、2023年で146.85億円です。両者は市場の定義が同じとは限らないので単純には比べられませんが、少なくとも「目標どおりに急拡大した」とは書けません。

代わりに使えるのが、届く人数です。同じ白書は、2023年の国内eスポーツファン数を856万人と推定しています。ここでのファンは、試合の観戦や動画の視聴、関連する放送の視聴を経験した人を指します。

競技団体の位置づけも材料になります。JESUは2024年6月に日本オリンピック委員会(JOC)に準加盟し、2025年6月に日本スポーツ協会(JSPO)に加盟しました。「eスポーツはスポーツなのか」と聞かれたときに、そのまま答えになる事実です。協賛を施策全体のなかでどう位置づけるかは、スポーツマーケティングの全体像とあわせて整理してみてください。中小企業での費用対効果の考え方は、スポーツスポンサーシップの始め方も参考になります。

(参考)データ年鑑『日本eスポーツ白書2024』発売(2025年3月31日付リリース) – 角川アスキー総合研究所

(参考)日本のeスポーツの発展に向けて~更なる市場成長、社会的意義の観点から~(令和2年3月・経済産業省委託事業) – eスポーツを活性化させるための方策に関する検討会

まとめ|eスポーツのスポンサーは一覧と契約条項から検討する

eスポーツのスポンサーは、金額の相場が公表されていないぶん、公式ページの情報と契約の中身で判断することになります。要点を振り返ります。

  • 2023年の国内eスポーツ市場は146.85億円で、スポンサーの項目は36.6%(約53.7億円は編集部の算出)
  • 1社あたりのスポンサー料の相場は公表されていないため、金額は資料と見積もりで確かめる
  • スポンサー企業一覧には、自動車・金融・通信・食品・製薬などゲーム以外の業種が並ぶ
  • 協賛先の探し方は、チーム・リーグや大会・個人の3つの入口から。個人への依頼は広告表示が必要
  • 撤退や契約終了に備えて、解除条項・活動休止時の扱い・測る指標を契約前に決める

最初の一歩は、気になるチームのパートナーページを開き、自社と同じ業種の企業がすでに入っているかを確かめることです。入っていなければ、窓口に概要資料を依頼してみてください。

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About The New株式会社 代表取締役 森永 昂
執筆者
About The New株式会社 代表取締役 森永 昂

新卒で東証プライム上場の社会人教育・コンサルティング企業に入社し、人材育成・組織開発に従事。その後、別企業でメディア・プラットフォーム事業の責任者を務める。

2025年5月に About The New株式会社 を設立。スポーツの現場で培われた知見を組織開発・人材育成の文脈に翻訳し、研修・チームビルディング・イベントの企画運営を行っています。

「知識を得る」で終わらせず「行動が変わる」ところまでを設計することを大切にしています。ご相談は contact@aboutthenew.co.jp まで。

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