研修の終盤、参加者の目がスライドではなく手元のスマートフォンに向いている。そんな光景に心当たりがある研修企画担当者は少なくないはずです。座学だけの研修は、どれだけ内容を練り込んでも、聞いているうちに集中力が切れて記憶に残らないという壁にぶつかりがちですよね。
この記事では、体を動かす要素を取り入れた研修が注目される背景、効果が高い科学的な理由、そして効果を最大化する研修設計のポイントを解説します。
座学中心の研修が抱える限界
従来型の座学研修は、知識のインプットには適していますが、長時間座ったままだと集中力の維持が難しくなります。特に半日〜1日の研修では、午後になるにつれて参加者の反応が鈍くなる、というのはよくある悩みです。
この課題を解決する手段として、近年注目されているのが「体を動かす要素」を組み込んだ研修設計です。単なる息抜きのレクリエーションではなく、学習効果そのものを高める仕掛けとして運動を位置づける動きが広がっています。
体を動かす研修が効果的な科学的な理由
「体を動かすと頭がスッキリする」という感覚的な話ではなく、運動が学習効果を高めるメカニズムは科学的にも説明されています。ここでは代表的な2つの根拠を紹介します。
脳内物質の分泌が集中力・記憶力を高める
運動をすると、BDNF(脳由来神経栄養因子)やドーパミンといった脳内物質の分泌が促されることが分かっています。これらの物質は、記憶の中枢である海馬の働きを高め、集中力や記憶力といった認知機能に直接影響すると考えられています。研修の合間に軽い運動を挟むことで、その後のインプットの定着率が変わってくる可能性があるということです。
血流改善が眠気とパフォーマンス低下を防ぐ
長時間座り続けると血流が滞り、脳への酸素供給が低下して眠気や集中力の低下を招きます。数分間立ち上がって体を動かすだけでも血流が改善し、頭がリフレッシュされる感覚を得やすくなります。厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」でも、日常の中でこまめに体を動かすことの重要性が示されており、研修の合間の軽い運動はこの考え方と合致しています。
(参考)健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023(概要) – 厚生労働省
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効果を最大化する研修設計の視点
体を動かす要素を研修に取り入れる際、やみくもに体操を挟めばよいわけではありません。設計次第で効果に差が出ます。
| タイミング | 狙い |
|---|---|
| 研修冒頭 | 緊張をほぐし、参加者どうしの心理的な距離を縮める |
| セッションの合間 | 集中力の切れ目をリセットし、後半の内容の定着率を上げる |
体を動かす要素を入れるタイミングと狙い
研修冒頭でアイスブレイクとして使う
初対面の参加者が多い研修では、冒頭に軽い体を動かすワークを入れることで緊張がほぐれ、その後のグループワークが活発になりやすくなります。目的は運動そのものではなく、心理的な壁を下げることにあります。
セッションの合間にリフレッシュとして使う
90分を超えるセッションが続く場合、合間に数分間立ち上がって体を動かす時間を挟むと、後半の集中力の落ち込みを緩和できます。座ったまま行えるストレッチでも、まったく体を動かさない場合と比べて参加者の反応が変わってくることがあります。
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研修担当者がまず試せる小さな一歩
大がかりな運動プログラムを組む必要はありません。既存の研修プログラムに無理なく組み込める工夫から始められます。
導入企業が注意したいポイント
体を動かす要素を取り入れる際に気をつけたいのは、参加者の身体的な負担への配慮です。服装や体力に個人差があることを前提に、無理に激しい運動を強制しない設計にすることが大切です。
あわせて事前に準備しておきたいのが、服装や会場のスペースです。スーツやオフィスカジュアルのままでも実施できる軽い動きを選び、椅子や机を大きく動かさなくても行える範囲に留めると、当日の運営がスムーズになります。動きを伴う研修に抵抗感を持つ参加者もいるため、最初から全員必須にせず、任意参加の形で始めて実績を積み上げていくのも一つの方法です。
まとめ
- 座学だけの研修は、時間が長くなるほど集中力の維持が難しくなる
- 運動による脳内物質の分泌と血流改善が、集中力・記憶力の向上を後押しする
- 体を動かす要素は、冒頭のアイスブレイクとセッション合間のリフレッシュで使い分ける
- 休憩時間の使い方を変えるだけでも、無理なく取り入れられる第一歩になる
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