小谷光毅がJリーガーと起業家を両立させて挑む思考プロセスの科学化

小谷光毅の現役選手と起業家を両立する思考を象徴するサッカー選手のイメージ スポーツアスリート

ガンバ大阪のアカデミー出身で、ジュニアユース時代には全国優勝を2度経験した小谷光毅氏。当時のガンバ大阪はAFCチャンピオンズリーグを制したチームで、同じポジションには遠藤保仁や二川孝広ら代表クラスの選手がひしめいており、トップ昇格は叶わなかった。明治大学を経て野村證券に入社した後、再びサッカーの道へと戻り、現役選手を続けながら2023年に株式会社Athdemyを創業した。

証券会社での安定したキャリアを手放してまで競技へ回帰した決断と、いまも現役でありながら経営者でもあるという二足のわらじの背景には、小谷氏が積み重ねてきた独自の思考プロセスがある。

小谷氏はガンバ大阪のジュニアユース時代に全国優勝を2度経験し、クラブユース選手権U-15では大会得点王に輝いている。同大会の歴代得点王には齋藤学や宇佐美貴史、南野拓実といった顔ぶれが並び、U18日本代表候補にも選出された実力者だった。

証券会社の内定を経て再びサッカーへ向き合った瞬間

明治大学卒業後、小谷氏は野村證券に入社し新潟支店に配属された。ホワイトな社風で教育も熱心、休日も勉強する先輩の姿に感銘を受けるなど、順調な滑り出しだったという。それでも、小谷氏を再びサッカーへと向き合わせる出来事が立て続けに起きた。

ロンドン出張中に先輩から「なんでそんな経歴なのに、いまサッカーしてないの」と言われた一言が脳裏に焼きついた。さらに、リスクを取って転職してきた男性社員の活躍を見て「どこにいるかも大事だけど、結局は自分次第」という学びを得たことも、決断を後押しした。

逆算思考で選んだドイツ5部リーグという判断基準

リオ五輪でかつての代表候補仲間がオリンピックの舞台で躍動する姿を見て「ネクタイを締めるのはまだ早いかもしれない」と感じた小谷氏は、退職時に「プロサッカー選手になります」と宣言し、最短でJリーグに立つための逆算を始めた。

あえて最下位チームを選ぶという発想

ドイツ人エージェントを通じて4部リーグ2チーム、5部リーグ3チームからオファーを得た小谷氏は、あえて5部リーグ最下位のチームを選んだ。上位カテゴリーに入っても出場機会を得にくく、成績が悪ければ真っ先に外されるのは外国人選手だと冷静に見極めた末の判断だった。

なぜ現役続行とビジネスの両立という道を選んだのか

5部リーグで結果を残し4部への移籍を実現させたものの、その後は怪我にも悩まされた。当時FCアウクスブルクに在籍していたガンバ大阪アカデミーの先輩・宇佐美貴史にも、怪我やキャリアについてたびたび相談していたという。最終的にいわてグルージャ盛岡でJ3に加入し、ブラウブリッツ秋田ではキャプテンも務めるなど3年間プレーした後、プロサッカーの舞台から退いている。

「サッカーとは人生の幸福度を高める1つのツール」という結論に至った小谷氏は、野村證券で感じたビジネスの面白さも同じ意味を持つと語る。サッカーとビジネスを両立するスタイルこそ自分にとって一番幸せだという判断が、現在も神奈川県社会人1部リーグの鎌倉インテルでプレーしながら経営に携わる働き方につながっている。

活躍の思考プロセスを科学化するという構造

2023年に創業したAthdemyが掲げるのは「アスリートが挑戦し続けられる、輝き続けられる世界を創りたい」というビジョンだ。選手である間に活躍の思考プロセスを科学し、活躍の確度を高めることが、結果的に次のキャリアの成功確度も高めるという発想である。

マネーフォワードでのセールス社内ギネス

小谷氏自身、マネーフォワード入社当初はパソコンの電源ボタンの場所すら分からなかったが、3週間後にはセミナーに登壇し、半年後には社内ギネスを更新した。上手い選手のプレーを分析し模倣するというサッカーで培ったプロセスを、そのままビジネスに転用した結果だという。

セカンドキャリア論との違いという比較

従来の「引退後のセカンドキャリアのために、いまのうちに行動しましょう」というアプローチに対し、小谷氏は違和感を持っていた。アスリートにとっては「選手としてのいまの成功」の方が優先度が高く、なかなか行動につながらないという課題があるからだ。

そこでAthdemyは、選手として成功する思考プロセスそのものを言語化し、身につけてしまえば、場所が変わってもその人らしく活躍できるという逆のアプローチを取る。セカンドキャリアの準備としてではなく、いまの競技力を高める延長線上にキャリアの成功を位置づける点が、一般的なキャリア支援との違いだ。

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思考プロセスを言語化するためにAIを活用する方法

小谷氏が掲げる「思考プロセスの科学化」は、感覚的にやっていたことを言葉や構造に落とし込む作業だ。自分の得意な場面と苦手な場面を書き出し、AIに「どのような判断パターンが繰り返されているか」を分析させると、無意識の強みや癖が見えてくることがある。

スポーツでもビジネスでも、結果を出す人の思考には再現性がある。その再現性をAIとの対話を通じて言語化しておけば、環境が変わっても同じ質の判断を再現しやすくなる。

Q. 小谷光毅はなぜ野村證券を辞めてサッカーに戻ったのですか

先輩からの一言や、リスクを取って活躍する同僚の姿を見た経験、そしてリオ五輪で仲間が活躍する姿を目の当たりにしたことが重なり、もう一度サッカーに挑戦する決意を固めました。

Q. なぜドイツの5部リーグ最下位チームを選んだのですか

上位カテゴリーに入っても出場機会を得にくく、成績不振の際に真っ先に外されるのは外国人選手だと考え、出場機会を確保しやすいチームをあえて選びました。

Q. Athdemyはどのような事業を展開していますか

脳医科学に基づいた脳タイプ診断とカスタマイズプログラム「B-navi」、そして現役アスリート向けのマーケティング戦略講座を提供しています。

Q. なぜ引退せずに現役を続けながら経営をしているのですか

サッカーとビジネスの両立が自分にとって一番幸せだと判断したためです。挑戦し続けている状態こそが小谷氏の考える「現役」だと語っています。

Q. 「引退のない世界」とはどのような考え方ですか

競技を辞める、ビジネスに専念するという二者択一ではなく、自分で限界を決めずに挑戦し続けられる選択肢を広げるという考え方です。

まとめ

小谷光毅氏のキャリアは、証券会社という安定を手放して競技へ回帰し、その後も現役選手とビジネスパーソンという二つの立場を両立させ続けてきた歩みだ。逆算して最下位チームを選ぶ判断力や、サッカーで培った分析と模倣のプロセスをビジネスに転用する柔軟さが、Athdemyという事業構想の土台になっている。

「引退のない世界を創る」というビジョンは、競技を離れることを前提にしない生き方の選択肢を示しており、現役世代のアスリートだけでなく、挑戦を続けたいと考えるすべての人にとって示唆に富む。実力ある同世代がひしめく環境でトップ昇格が叶わなかった経験すらも、後の逆算思考や現在の事業構想に生かされている点が印象的だ。

参考:FERGUS「『アスリートと共に日本に漂う閉塞感を打破したい』起業家・現役フットボーラー小谷光毅の挑戦」(https://fergus.jp/interview/interview-3461/)

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About The New株式会社 代表取締役 森永 昂
執筆者
About The New株式会社 代表取締役 森永 昂

新卒で東証プライム上場の社会人教育・コンサルティング企業に入社し、人材育成・組織開発に従事。その後、別企業にてメディア・プラットフォーム事業の責任者を務める。
現在は独立し、About The New株式会社を設立。教育コンテンツの研究・開発を行い、スポーツの知見を活かした人材育成プログラムを提供している。

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