岡村卓弥騎手に学ぶ減量期のストレスとの向き合い方

岡村卓弥騎手の減量とメンタル管理を象徴する競馬騎手のイメージ スポーツアスリート

体重管理が最優先になる騎手という職業の特性

競馬の騎手にとって、体重管理は競技力そのものに直結する。高知競馬場に所属する岡村卓弥騎手は、開催時と非開催時で4から5キロほど体重が増減するといい、レース前日には食事を減らし、風呂で汗をかいて体重を一気に落とすという方法を続けている。デビュー13年目を迎えた岡村騎手のインタビューからは、単なる我慢比べではない減量との向き合い方が見えてくる。

普段の食事については、朝の調教が終わった9時過ぎに1食目、18時から19時頃に2食目という2食のリズムを基本にしているという。開催前日は朝を抜き、水分と軽い果物程度に留め、日曜の夜には胃が小さくなっていてほとんど食べられなくなるとも語っている。飲酒はほとんどしないといい、体質的にアルコールを受け付けにくいことも影響しているようだ。

特別な食事制限をしているわけではなく、好きなものを気分に任せて食べているという点も特徴的だ。牛丼やカレーなど、その時々で食べたいものを選び、特定の食品を避けるといった細かいルールは設けていない。むしろ、ルールを増やしすぎないことが継続の秘訣になっている可能性がある。

ストレスと体重増加の関係についての騎手自身の見方

岡村騎手が語った内容の中でとりわけ示唆に富むのが、体重が増える一番の原因をストレスだと捉えている点だ。「体重を落とさないといけない」とそればかり意識していると、かえって体重は落ちにくくなるという。だからこそ、普段は体重を一切気にせず好きなものを食べ、落とす時に一気に落とすというスタイルを取っている。

この感覚は、ストレスが体重増加に影響するという一般的な知見とも重なる。ストレスがかかると抗ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌が増え、血糖値の上昇とインスリン分泌が繰り返されることで脂肪を溜め込みやすい状態が作られるとされる。さらに、ストレスや睡眠不足によって空腹ホルモンとされるグレリンの分泌が増え、食欲が高まりやすくなることも知られている。反対に満腹感を伝えるホルモンの働きが弱まることも指摘されており、ストレス下では食欲のコントロールそのものが利きにくくなる。岡村騎手が「気にしすぎないこと」を選んでいるのは、感覚的な工夫でありながら、こうしたホルモンの働きとも符合する考え方だといえる。

加えて、コルチゾールにはエネルギーを確保するために筋肉のタンパク質を分解する作用があるとされ、過度なストレス状態が続くと筋肉量そのものが落ちやすくなる可能性もある。騎手にとって筋肉量の低下は体力面での不利にもつながりかねない。体重の数字だけでなく、ストレスの状態そのものを管理する視点が求められる理由はここにある。

気にしすぎないという選択が生むもの

体重管理の方法として「節制を突き詰める」道もあるが、岡村騎手はそれを選んでいない。日常的に体重を気にして好きなものを食べられない生活は、攻め馬に向かう元気すら奪ってしまうと語っている。減量そのものよりも、日々のコンディションを保つことを優先する判断だ。

本人も「僕の減量は一般の方には真似できないし、お勧めはできません」と笑いながら語っているが、ここには重要な視点が含まれている。減量方法そのものよりも、自分にとって続けやすいスタイルを見極め、それを崩さないという姿勢である。

開催前日の具体的な減量方法

岡村騎手は、レース前日から食事を減らし、熱い湯船に浸かって汗をかくことで体重を落とすという。サウナではなく湯船を使う理由は、サウナは暑すぎて耐えられず、残り1キロになると汗が出にくくなるからだという。夏場は調教だけで1日2キロ近く体重が落ちることもあったと振り返っている。馬に乗ること自体が体力を消耗する運動であるため、季節や気温によって落ちる体重にも差が出るという実感も語られている。

(参考)ジョッキーに学ぶ ダイエット~岡村卓弥騎手編~ – 高知けいば

一般のダイエットにも応用できる視点

岡村騎手自身は「僕の減量は一般の方には真似できない」と語っているが、そこから応用できる考え方はある。過度な節制を続けることは、我慢によるストレスを高め、かえって継続のハードルを上げてしまう可能性があるという指摘は、ダイエットに取り組む多くの人に当てはまる。

減量や体重管理に関する情報は数多く出回っているが、方法の正しさ以上に「自分がストレスなく続けられるかどうか」を基準に選ぶことの重要性を、岡村騎手のインタビューは示している。

ストレスを溜めない工夫を先に置く

体重の増減ばかりに意識を向けるのではなく、まずは日々のストレスを溜めない生活リズムを優先する。無理な我慢を重ねるよりも、気持ちの余裕を保つことの方が、結果的に体重管理を続けやすくすることがある。

集中力を保つための切り替え

岡村騎手は、日常的に体重のことを気にしすぎないことで、攻め馬に向かう気力を保っていると語る。仕事や運動のパフォーマンスを保つためには、体重管理と気持ちの余裕を両立させる視点が欠かせない。

減量に取り組む多くの人は、体重計の数字が思うように動かないこと自体がストレスの原因になりやすい。岡村騎手のように「開催と非開催」で明確にモードを切り替える発想を取り入れれば、常に体重を気にし続ける状態から抜け出しやすくなる。オンとオフの切り替えを意識的に作ることが、長く続けるための鍵になる。


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よくある質問

体重は本当にストレスで増えるのですか

ストレスによってコルチゾールなどのホルモン分泌が変化し、脂肪の蓄積や食欲の増加につながることが知られている。岡村騎手が語る「気にしすぎない」という感覚は、こうした仕組みとも重なる考え方だ。

岡村騎手の減量法は一般の人にも真似できますか

本人も述べている通り、前日に一気に汗をかいて体重を落とす方法は騎手特有のものであり、一般の人にそのまま勧められるものではない。応用できるのは、ストレスを溜めすぎない姿勢の部分である。

減量中に気力を保つコツはありますか

体重のことを気にしすぎず、必要な時に集中して対応するという切り替えが、日々のパフォーマンスを保つ助けになる。

まとめ

  • 岡村卓弥騎手は体重増加の一番の原因をストレスだと捉えている
  • 普段は体重を気にせず食べ、前日に一気に落とすスタイルを続けている
  • 過度な節制はストレスを高め、継続のハードルを上げる可能性がある
  • ストレスホルモンの働きは、体重増加のメカニズムとも関係している
  • 体重管理と気持ちの余裕を両立させる視点が、パフォーマンス維持につながる

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About The New株式会社 代表取締役 森永 昂
執筆者
About The New株式会社 代表取締役 森永 昂

新卒で東証プライム上場の社会人教育・コンサルティング企業に入社し、人材育成・組織開発に従事。その後、別企業にてメディア・プラットフォーム事業の責任者を務める。
現在は独立し、About The New株式会社を設立。教育コンテンツの研究・開発を行い、スポーツの知見を活かした人材育成プログラムを提供している。

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