国内のスキー人口はピーク時の4分の1以下に落ち込む一方、ニセコなど一部エリアには海外資本の投資が加速するという二極化が進んでいます。結論から言うと、国内需要縮小に対応する「再生型」の企業と、インバウンド需要を取り込む「開発型」の企業という、性格の異なる2つのプレイヤー群が業界を形作っています。本記事では主要10社の動向と、企業がこの市場に関わる視点を解説します。
スキー人口はピーク比4分の1以下|国内市場縮小の実態
公益財団法人日本生産性本部の「レジャー白書」によると、国内のスキー・スノーボード参加人口は1993年の約1,860万人をピークに、2021年には約280万人まで落ち込みました。最盛期比で約73.9%の減少です。索道(リフト)のあるスキー場数も、1999年から2022年にかけて中部地方で53.6%減、北陸信越で34.7%減など全国的に減少し、かつて700カ所以上あったスキー場の約4割が閉鎖・休業しています。
Q. 日本のスキー人口はどれくらい減少しましたか?
レジャー白書によると、1993年に約1,860万人だったスキー・スノーボード参加人口は、2021年には約280万人まで減少しました。最盛期比で約73.9%の減少にあたります。
(参考)レジャー白書短信 第11号 – 公益財団法人日本生産性本部
ニセコに象徴されるインバウンド投資という逆流
国内需要が縮小する一方、ニセコエリアには海外資本による大型開発が相次いでいます。星野リゾートは2026年秋にもニセコエリアへ進出すると発表し、客室を分譲する手法を同社として初めて導入することで開発資金を早期回収しつつ長期滞在の訪日客需要を取り込む計画です。中国系をはじめとする海外企業による不動産投資も拡大しており、パウダースノーを求める世界中の観光客と、世界的な資金流入がニセコの開発を後押ししています。

この商流の起点は海外富裕層観光客の需要であり、それを見込んだ投資ファンドが資金を投じ、国内のリゾート運営会社が開発・運営を担い、地元自治体がインフラ整備と地域住民との調整を行うという役割分担になっています。国内マーケットだけを見ていた従来のスキー場経営とは、資金の出どころも顧客層もまったく異なる構造です。
(参考)星野リゾート、ニセコに進出 長期滞在取り込み – 日本経済新聞
国内主要10社の一覧比較|スキー場・マリン施設運営企業の勢力図
再生型のスキー場運営会社から、インバウンド開発型、マリンレジャー施設運営まで、性格の異なる10社を一覧にしました。そのあとで各社の特徴をH3で個別に解説します。
| 企業 | 領域 | 特徴 |
|---|---|---|
| 星野リゾート | インバウンド開発型 | 2026年秋ニセコ進出、客室分譲モデルを初導入 |
| マックアース | 再生型 | ピーク時34場から現在15場程度に整理し再生を継続 |
| 加森観光 | 複合リゾート型 | ルスツリゾート・キロロリゾートを運営 |
| 日本駐車場開発(NPC) | 異業種参入型 | 駐車場事業から苗場・かぐら等の運営に参入 |
| 西武・プリンスホテルズワールドワイド | ホテル一体型 | 苗場プリンス等をホテル事業と一体運営 |
| 東急リゾーツ&ステイ | 不動産一体型 | たんばらスキーパーク等を運営 |
| 阪急阪神ホールディングス(六甲山観光) | 都市近郊型 | 大都市圏から近い六甲山スキー場を運営 |
| ヤマハ発動機 | マリン施設 | マリン事業でマリーナ・ボート関連施設を展開 |
| 横浜八景島 | マリンレジャー施設 | 横浜・八景島シーパラダイス等を全国で運営 |
| 横浜ベイサイドマリーナ | マリーナ運営 | 大型マリーナ施設を専業で運営 |
各社公式発表・報道情報をもとにHuman Soarが作成(2026年9月時点)。
星野リゾート|分譲モデルでニセコに参入
株式会社星野リゾートは2026年秋にもニセコエリアへ進出する計画を発表しており、客室を分譲する手法を同社として初めて導入します。開発資金を早期に回収しながら、長期滞在型の訪日客需要を取り込む狙いです。
マックアース|国内スキー場の再生を専業とする企業
株式会社マックアースは2008年からスキー場再生事業に参入し、ピーク時の2015年には34場を運営していましたが、経営効率化のため2020年時点で16場、現在は15場程度まで整理しています。経営難に陥ったスキー場を引き受けて再生する専業企業として知られています。
加森観光|複合リゾートとして通年集客するモデル
加森観光株式会社は、ルスツリゾートやキロロリゾートを運営し、スキー場に加えて遊園地・ゴルフ場・温泉施設を組み合わせた複合リゾートとして通年での集客を図っています。
日本駐車場開発|異業種から参入したスキー場運営
日本駐車場開発株式会社(NPC)は、本業の駐車場事業で培った収益管理のノウハウを活かし、苗場スキー場やかぐらスキー場などの運営に参入しました。異業種からの参入企業として業界の再編に関わっています。
西武・プリンスホテルズワールドワイド、東急リゾーツ&ステイ|ホテル事業と一体運営
西武・プリンスホテルズワールドワイドは苗場プリンスホテル等、東急リゾーツ&ステイはたんばらスキーパーク等を、いずれも自社ホテル・不動産事業と一体で運営しています。宿泊とゲレンデをセットで提供できる点が、専業スキー場運営会社にはない強みです。
阪急阪神ホールディングス|大都市近郊型スキー場の運営
阪急阪神ホールディングスのグループ会社である六甲山観光は、関西の大都市圏から近い六甲山スキー場を運営しています。長距離移動を伴わずに立ち寄れる立地を活かし、遠方のスキーリゾートとは異なる顧客層を確保しています。
ヤマハ発動機・横浜八景島・横浜ベイサイドマリーナ|マリン施設を担う企業群
ヤマハ発動機株式会社はマリン事業としてマリーナ・ボート関連施設を展開し、株式会社横浜八景島は横浜・八景島シーパラダイスをはじめとする水族館・マリンレジャー複合施設を全国で運営しています。横浜ベイサイドマリーナ株式会社は大型マリーナ施設を専業で運営しており、いずれも夏季の海洋レジャー需要を支える存在です。
Q. なぜニセコに海外資本の投資が集中しているのですか?
世界的に評価の高いパウダースノーを求めて海外富裕層が長期滞在する需要があること、そして世界的な金融緩和で行き場を探す投資資金が不動産市場に流入しやすい環境があることの2点が主な理由です。
(参考)全国30以上のスキー場再生を手掛けた企業とは – グローカルミッションタイムズ
企業がこの市場と関わる2つの視点|社員旅行と地域連携
Human Soarの読者である企業の経営者・人事担当者にとって、スキー場・マリン施設は保養所利用にとどまらず、社員のリフレッシュ施策や地域連携の対象にもなります。
福利厚生としての保養所・法人プラン活用
ホテル一体型の運営企業が提供する法人向け宿泊プランを福利厚生に組み込むことで、コストを抑えながら社員のリフレッシュ機会を確保できます。都市近郊型のスキー場であれば日帰りでの利用もしやすく、参加のハードルを下げられます。
地域創生・CSRとしての再生スキー場支援
マックアースのような再生型企業が運営するスキー場は、地域経済にとって重要な雇用の受け皿になっています。企業が協賛やボランティア派遣で再生支援に関わることは、地域貢献・CSRの一環として社会的な評価にもつながります。
Q. 企業がスキー場の福利厚生利用で気をつけることは何ですか?
シーズンや天候によって稼働状況が変わるため、法人プランの予約時期や悪天候時のキャンセル規定を事前に確認しておく必要があります。都市近郊型のスキー場を選べば日帰り利用がしやすく、参加率も高めやすくなります。
まとめ|国内縮小とインバウンド投資が併存するスキー場・マリン施設業界
スキー場・マリン施設業界は、国内需要の縮小と海外資本による投資拡大という相反する動きが同時に進む業界です。ポイントを振り返ります。
- 国内スキー人口は1993年の約1,860万人から2021年に約280万人まで減少し、スキー場の約4割が閉鎖・休業した
- ニセコを中心に星野リゾート等の開発と海外資本の投資が加速している
- マックアースのような再生専業企業、日本駐車場開発のような異業種参入企業など多様なプレイヤーが存在する
- マリン施設ではヤマハ発動機、横浜八景島などが海洋レジャー需要を支えている
- 企業は福利厚生としての活用と、再生スキー場への地域貢献という2つの視点で関われる
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