スポーツツーリズムとは|主要10社と合宿誘致の仕組み

スポーツツーリズム・合宿誘致業界の主要企業10社 スポーツビジネス

地方の人口減少に悩む自治体にとって、スポーツ合宿の誘致は交流人口を増やす有力な手段になっています。結論から言うと、スポーツ庁は2021年度の国内スポーツツーリズム関連消費額を2015年度比72.4%増の3,800億円に伸ばす目標を掲げ、旅行会社と自治体が連携する仕組みづくりが全国で進んでいます。本記事では、この市場を支える主要10社と、企業が関わる視点を解説します。

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スポーツツーリズムとは何か|国が目標を掲げる理由

スポーツツーリズムとは、スポーツ大会・合宿・イベントへの参加や観戦を目的に地域を訪れたり、地域資源とスポーツを組み合わせた観光を楽しんだりする観光形態です。スポーツ庁は平成29年にスポーツツーリズム関連企業14社と「スポーツツーリズム需要拡大のための官民連携協議会」を開催し、国内外7か国・地域を対象にした消費者調査を踏まえて「スポーツツーリズム需要拡大戦略」を策定しました。同戦略では2021年度の国内スポーツツーリズム関連消費額を、2015年度比72.4%増の3,800億円へ伸ばす数値目標を掲げています。

Q. スポーツツーリズムとは何ですか?

スポーツ大会・合宿・イベントへの参加や観戦を目的に地域を訪れたり、地域資源とスポーツを組み合わせた観光を楽しんだりする観光形態です。地方誘客による交流人口拡大や関連産業の活性化に寄与するとして、スポーツ庁が需要拡大戦略を策定しています。

(参考)「スポーツツーリズム需要拡大戦略」及び「スポーツツーリズムに関する国内外マーケティング調査」結果の公表について – スポーツ庁

スポーツ合宿誘致の基本プロセス|4つのステップで理解する

自治体が旅行会社と連携してスポーツ合宿を誘致する際には、共通する4つのステップがあります。ここではその流れを解説します。

スポーツ合宿誘致の4ステッププロセス図

STEP1|誘致計画の策定

まず対象とする競技やターゲットとするチーム・団体を選定し、地域の強み(施設・気候・宿泊キャパシティ)に合った受け入れ方針を決めます。既存の観光資源とスポーツをどう組み合わせるかが計画段階の要になります。

STEP2|受け入れ体制の整備

宿泊施設・練習会場・輸送手段を旅行会社と連携して整備します。JTBのような大手旅行会社は、宿泊手配から輸送計画、会場整備までを一括してサポートする体制を持っており、単独の自治体では難しい調整をワンストップで担います。

STEP3|合宿受け入れ・大会運営

滞在期間中の運営サポートに加え、地域住民との交流イベントなどを組み合わせることで、単なる合宿地としてだけでなく地域のファンになってもらう機会を作ります。

STEP4|リピート誘致・関係人口化

合宿終了後には満足度調査を行い、翌年以降も継続して選ばれる地域になるための改善を重ねます。単発の誘致で終わらせず、チーム・選手・関係者が繰り返し訪れる「関係人口」として定着させることが最終的なゴールです。

国内主要10社の一覧比較|スポーツツーリズム・合宿誘致を支える企業

スポーツツーリズム・合宿誘致市場は、大手旅行会社が中心的な役割を担っています。まずは10社を一覧で比較します。

企業 特徴
JTB(スポーツ・エンタテイメント共創部) 大会運営・輸送・宿泊手配までを一括サポート
JTBコミュニケーションデザイン 自治体・企業向けスポーツ×地域イベントの企画
日本旅行 地域と連携したスポーツツーリズム商品を展開
近畿日本ツーリスト 合宿・大会参加ツアーの企画実績が豊富
東武トップツアーズ 地方自治体との連携でスポーツ誘客を支援
阪急交通社 観戦ツアー・合宿ツアーを商品化
エイチ・アイ・エス(HIS) 海外スポーツツーリズムとの連携に強み
セレスポ スポーツイベント運営を専業とする企業
ANAセールス 航空輸送を軸にした合宿・大会参加商品
JR東日本(びゅうトラベルサービス) 鉄道輸送と組み合わせた合宿企画

各社公式発表・報道情報をもとにHuman Soarが作成(2026年9月時点)。

JTB・JTBコミュニケーションデザイン|大会運営から地域イベントまで一貫サポート

株式会社JTBはスポーツ・エンタテイメント共創部を通じて、大会参加者の宿泊手配・輸送計画・会場整備まで運営業務全般をサポートしています。グループ会社の株式会社JTBコミュニケーションデザインは、自治体や企業向けにスポーツコンテンツを活用した地域イベントの企画・開催を担っており、オホーツク地域での合宿誘致連携のように、地域連携協議会と組んだ実績があります。

日本旅行・近畿日本ツーリスト|地域密着の合宿企画に強み

日本旅行、近畿日本ツーリストはいずれも地域の観光資源と組み合わせたスポーツツーリズム商品の企画実績を持ち、地方自治体との連携を通じて合宿・大会参加ツアーを提供しています。

東武トップツアーズ・阪急交通社・HIS|広域ネットワークを活かした誘致支援

東武トップツアーズは地方自治体との連携でスポーツ誘客を支援し、阪急交通社は観戦・合宿ツアーの商品化に強みを持ちます。エイチ・アイ・エス(HIS)は海外との連携ネットワークを活かし、海外チームの合宿誘致など国際的なスポーツツーリズムに対応しています。

セレスポ・ANAセールス・JR東日本|専業運営会社と輸送事業者の役割

セレスポはスポーツイベント運営を専業とする企業で、大会運営のオペレーション面を支えています。ANAセールスは航空輸送、JR東日本のびゅうトラベルサービスは鉄道輸送を軸に、遠方からの合宿・大会参加を後押しする商品を展開しています。

Q. スポーツ合宿誘致は主にどのような企業が支えていますか?

JTBをはじめとする大手旅行会社が、宿泊・輸送・会場整備をワンストップで提供する形で市場を支えています。スポーツイベント運営を専業とする企業や、航空・鉄道といった輸送事業者も重要な役割を担っています。

(参考)スポーツ|事業紹介 – 株式会社JTBコミュニケーションデザイン

企業がスポーツツーリズム市場と関わる2つの視点

Human Soarの読者である企業の経営者・地域連携担当者にとって、スポーツツーリズムは自治体だけの取り組みではなく、企業が協賛・提携で関われる領域です。

合宿・大会運営への協賛・物資提供

地元企業が食品や用品を提供する形で合宿受け入れに協賛することは、地域貢献と自社商品のPRを同時に実現できる機会になります。長期滞在する選手・チーム関係者への露出は、通常の広告以上に印象に残りやすいという特徴があります。

社員研修・チームビルディングとしての活用

スポーツ合宿向けに整備された施設は、企業の合宿型研修やチームビルディング研修の会場としても活用できます。スポーツチームと同じ環境を使うことで、非日常的な体験を通じた研修効果を高められます。

あわせて読みたい日本スポーツ業界の8つの課題|15兆円市場とDX動向

Q. 企業がスポーツ合宿誘致に協賛するメリットは何ですか?

長期滞在する選手・チーム関係者への露出機会が得られるほか、地域貢献企業としての認知向上にもつながります。食品や用品の提供という形であれば、大きな投資をせずに関わりを持てます。

まとめ|スポーツツーリズムは自治体と企業が連携する地域活性化策

スポーツツーリズム・合宿誘致は、旅行会社のノウハウを軸に自治体と企業が連携して進める地域活性化策です。ポイントを振り返ります。

  • スポーツ庁は2021年度のスポーツツーリズム関連消費額を2015年度比72.4%増の3,800億円とする目標を掲げた
  • 合宿誘致は「計画→体制整備→受け入れ・運営→リピート誘致」の4ステップで進む
  • JTBをはじめとする大手旅行会社が宿泊・輸送・会場整備を一括支援している
  • 専業のイベント運営会社や航空・鉄道事業者も市場を支える重要な役割を担う
  • 企業は協賛・物資提供や、社員研修・チームビルディングの場としてこの市場に関われる

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About The New株式会社 代表取締役 森永 昂
執筆者
About The New株式会社 代表取締役 森永 昂

新卒で東証プライム上場の社会人教育・コンサルティング企業に入社し、人材育成・組織開発に従事。その後、別企業でメディア・プラットフォーム事業の責任者を務める。

2025年5月に About The New株式会社 を設立。スポーツの現場で培われた知見を組織開発・人材育成の文脈に翻訳し、研修・チームビルディング・イベントの企画運営を行っています。

「知識を得る」で終わらせず「行動が変わる」ところまでを設計することを大切にしています。ご相談は contact@aboutthenew.co.jp まで。

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