鹿児島ユナイテッドのスポンサー446社|5階層の協賛金は招待券1枚1万1000円

鹿児島ユナイテッドFCのスポンサー446社 スポーツビジネス

鹿児島ユナイテッドFCのスポンサーを調べようとすると、まず一覧の長さに驚きます。区分が15に分かれ、ロゴと社名が延々と並びます。この連載で調べてきたクラブのなかでも、掲載の数はJ3で突出しています。

そしてこのクラブは、小口の協賛について金額と特典の枚数を両方とも公開しています。両方そろっている例はほとんどありません。両方あると、価格の決め方そのものが読めます。実際に計算してみたところ、5階層の金額はきれいに直線上へ並びました。この記事では、掲載を数えるところから、その直線が何を意味するのかまでを順に見ていきます。

鹿児島ユナイテッドFCのスポンサーは446社、掲載は延べ454枠

鹿児島ユナイテッドFCの区分別の掲載枠数

クラブ公式サイトの「2026/27シーズンスポンサー企業の皆さま」を2026年9月23日に取得し、掲載されている枠を1つずつ数えました。ページ末尾のSNSシェアボタン3件は当然ながら企業ではないので除いています。結果は延べ454枠でした。

区分別では、クラブサポーターのブロンズが143枠でもっとも多く、次いでゴールド83枠、オフィシャルスポンサー80枠、シルバー61枠、プラチナ29枠、サプライヤー15枠、ダイヤモンド11枠、オフィシャルトップパートナー10枠と続きます。残る7区分(オフィシャルパートナー、アカデミーパートナー、オフィシャルサプライヤー、地域連携パートナー、チケッティングパートナー、グローバルコミュニケーションパートナー、トータルパフォーマンスパートナー)を合わせて22枠です。

ここから重複を外します。同じ会社が2か所以上に出ている枠が8件ありました。内訳は、同じ区分のなかで2回ずつ載っている2件(クラブサポーターゴールドの「社会福祉法人生見福祉会 生見保育園」と「同 じげんじ保育園」)と、区分をまたいで載っている6件です。

区分をまたぐ6件は、鹿児島トヨタ(オフィシャルパートナーとアカデミーパートナー)、南日本酪農(オフィシャルスポンサーと、ブランド名「デーリィ」でオフィシャルサプライヤー)、今村総合病院(オフィシャルスポンサーとアカデミーパートナー)、エイコー(クラブサポーターゴールドに「週刊 求人かごしま」、サプライヤーに「えいこう」)、株式会社ヘルプ(クラブサポーターゴールドとサプライヤー)、Men’s hair Ole(クラブサポーターブロンズとサプライヤー)でした。社名の表記が違っていても、リンク先が同じなら同じ会社です。

454枠から8件を引いて、実数は446社です。

1件だけ判断を保留しました。クラブサポーターゴールドに「株式会社クラフティア 鹿児島支店」と「株式会社クラフティア 鹿児島支社」が並んでいて、リンク先が前者はクラフティア公式、後者は九電工公式に分かれています。2025シーズンの一覧では後者が「㈱九電工」でした。別の拠点なのか、社名変更にともなう二重掲載なのかは外からは決められないので、446社では2社として数えています。1社なら445社です。

Q. クラブ自身は何社と言っていますか。

2026/27シーズンの一覧ページには社数の記載がありません。ただし直前の2025シーズンについては、クラブが募集資料のなかで492社と公表しています(後述します)。私が2025シーズンの一覧を同じ方法で数えると延べ494枠でしたから、クラブの公表値は「重複を除いた実数」ではなく「掲載の件数」に近い数え方だと考えられます。

(参考)2026/27シーズンスポンサー企業の皆さま – 鹿児島ユナイテッドFC オフィシャルサイト

(参考)2025シーズンスポンサー企業の皆さま – 鹿児島ユナイテッドFC オフィシャルサイト

クラブサポーターは5階層、年6万6000円から66万円まで公開されている

鹿児島ユナイテッドFCのクラブサポーター5階層と年額

クラブは毎年、クラブサポーターの募集案内を出しています。2026/27シーズン版には、5つの階層の金額が税込で明記されています。上からダイヤモンド66万円、プラチナ39万6000円、ゴールド19万8000円、シルバー11万円、ブロンズ6万6000円です。いちばん上といちばん下で10倍の開きがあります。

契約期間は2026年7月1日から2027年6月30日まで。期の途中で入っても終わりは同じ2027年6月30日です。支払いは銀行振込、コンビニ払込用紙、クレジットのいずれか。ただしクレジットはダイヤモンドを除き、かつ一括払いのみです。分割は2回または3回まで選べます。

掲出する名前は、社名か商品名で10文字以内という条件が申込書に書かれています。長い社名の会社は、スタジアムのボードに載る表記をあらかじめ考えておく必要があります。

特典は6つに整理されています。応援フレーズの使用権、ロゴ・エンブレム・マスコットの使用権、スポンサービジネス交流会への参加権、企業名(商品名)の掲載、招待引換券の進呈、そして非売品ラベルの「さつま島美人(900ml)」の進呈です。階層で差がつくのは、ロゴを広告物にも使えるのはダイヤモンドだけ、交流会でトップチームが帯同するのはゴールド以上、公式サイトにロゴで載るのはダイヤモンドとプラチナ、という3点です。

最後の「さつま島美人」は長島研醸の焼酎で、その長島研醸はオフィシャルトップパートナーに名を連ねています。最上位のスポンサーの商品が、全スポンサーへの特典になっているという構造です。

Q. 上位区分の金額も公開されていますか。

されていません。公開されているのはクラブサポーターの5階層だけで、オフィシャルトップパートナー、オフィシャルパートナー、オフィシャルスポンサーの金額は公表資料に見当たりません。募集案内にも「クラブサポーターのカテゴリは上記の限りではございません。様々なご提案を用意しております」とあり、上位は個別見積もりだと読めます。問い合わせ先は事業本部営業部(TEL 099-812-6370)です。

(参考)2026/27シーズン クラブサポーター募集のご案内 – 鹿児島ユナイテッドFC オフィシャルサイト

(参考)クラブサポーター申込書(2026/27シーズン)PDF – 鹿児島ユナイテッドFC

5階層すべて、招待券1枚あたり1万1000円ちょうどで並んでいる

このクラブが珍しいのは、金額と一緒に招待引換券の枚数まで公開している点です。ダイヤモンド60枚、プラチナ36枚、ゴールド18枚、シルバー10枚、ブロンズ6枚。席種はメイン指定席(北側)とメインサイド自由席(北側)です。

金額を枚数で割ってみました。

クラブサポーター5階層の年額と招待引換券(2026/27シーズン・税込)
階層 年額 招待引換券 券1枚あたり 掲載枠数
ダイヤモンド 66万円 60枚 1万1000円 11枠
プラチナ 39万6000円 36枚 1万1000円 29枠
ゴールド 19万8000円 18枚 1万1000円 83枠
シルバー 11万円 10枚 1万1000円 61枠
ブロンズ 6万6000円 6枚 1万1000円 143枠

出典:鹿児島ユナイテッドFC「2026/27シーズン クラブサポーター募集のご案内」および同申込書(PDF)、「2026/27シーズンスポンサー企業の皆さま」より筆者作成。枠数は2026年9月23日時点の掲載を数えたもの

5階層すべてが、券1枚あたり1万1000円ちょうどでした。端数がありません。つまりこの価格表は、招待券の枚数を先に決めて、そこに一定の単価を掛けて作られていると考えるのが自然です。階層が上がると露出も増えるはずですが、価格の上では露出の差が値段に反映されていないことになります。

では券1枚1万1000円は高いのか安いのか。同じクラブが公開している2026/27シーズンのチケット価格を見ると、メインサイド自由席(北側・南側ミックス)が大人3000円、メインS指定席(北側・南側ミックス)が大人4000円です。招待引換券の対象席種はこの2つにあたりますから、額面3000円から4000円の席を1万1000円で買っている計算になります。額面のおよそ2.8倍から3.7倍です。

差額の7000円から8000円が、掲載・ロゴ使用・交流会といった権利の対価だと読めます。逆にいえば、券を使いきれない会社にとっては、その分だけ実質的な単価が上がります。ブロンズの6枚は年間の試合数から見れば少ないので使いきれる範囲でしょうが、ダイヤモンドの60枚を毎試合きちんと配れるかどうかは、申し込む前に社内で確かめておく価値があります。

Q. 協賛金は広告宣伝費として処理できますか。

国税庁は、交際費等と広告宣伝費の区分について、不特定多数への宣伝的効果を意図した費用は広告宣伝費になると示しています。一方で、特定の取引先などを接待・供応する費用は交際費等にあたります。スタジアムのボードや公式サイトへの掲載は前者に近く、招待券を得意先に配る使い方は後者に近づきます。同じ1口でも使い方で扱いが変わりうるので、実際の処理は顧問税理士に確認してください。

(参考)【2026/27シーズン】明治安田J3リーグチケット情報 – 鹿児島ユナイテッドFC オフィシャルサイト

(参考)No.5260 交際費等と広告宣伝費との区分 – 国税庁

掲載枠の72%を占めるクラブサポーターは、金額では1割ほど

公開されている価格が分かると、金額の合計を出せます。掲載枠から同一区分内の重複2枠を除いたクラブサポーターの枠数に、それぞれの定価を掛けました。

クラブサポーター325枠を定価で積み上げた場合の金額
階層 枠数 年額(税込) 小計(税込)
ダイヤモンド 11枠 66万円 726万円
プラチナ 29枠 39万6000円 1148万4000円
ゴールド 81枠 19万8000円 1603万8000円
シルバー 61枠 11万円 671万円
ブロンズ 143枠 6万6000円 943万8000円
合計 325枠 — 5093万円

出典:鹿児島ユナイテッドFCの公表価格と掲載枠数から筆者が計算。ゴールドは同一区分内で2回掲載されている2枠を除いて81枠とした

税込5093万円は、税抜に直すと4630万円です。

これを直近の決算と並べます。Jリーグが開示している2025年度のクラブ決算によれば、鹿児島ユナイテッドFCのスポンサー収入は5億2300万円でした。クラブサポーターの定価合計4630万円は、そのおよそ9%にあたります。

一方、掲載枠でみるとクラブサポーターは454枠のうち325枠、全体の72%を占めます。枠数の7割を占める層が、金額では1割に届かないという構図です。

残りを割り戻すと、上位区分の127枠で4億7670万円ほどを担っている計算になり、1枠あたりおよそ375万円です。クラブサポーターのいちばん上であるダイヤモンド66万円と比べても、上位区分は桁が1つ違うことが分かります。

ただしこの計算には2つの前提があります。第一に、決算は2025年の1年間、掲載と価格は2026/27シーズンのもので、対象期間がずれています。第二に、全社が定価で契約している保証はありません。あくまで公表値どうしを突き合わせた概算として読んでください。

Q. 金額が小さいなら、小口のスポンサーは意味が薄いのでしょうか。

金額の話と役割の話は別です。クラブは募集案内で「支援企業の数はクラブの誇りであり、力となります」と書いていて、数そのものを地域とのつながりの指標として扱っています。企業の側から見ても、年6万6000円で社名が掲示され、招待券6枚が届き、スポンサー交流会に出られるのであれば、地元での接点づくりとしては現実的な単価です。上位区分と同じ土俵で金額を比べるものではありません。

(参考)2025年度 J3 クラブ決算一覧(PDF) – 公益社団法人日本プロサッカーリーグ

決算で見ると、鹿児島は物販がJ3平均の2.1倍のクラブ

スポンサー収入だけでなく、決算全体を見ておきます。2025年度の数字をJ3の平均と並べました。

鹿児島ユナイテッドFCの2025年度決算とJ3平均
項目 鹿児島 J3平均
売上高 11億900万円 8億8200万円
スポンサー収入 5億2300万円 4億9800万円
入場料収入 1億5000万円 9100万円
物販収入 1億6600万円 7800万円
Jリーグ配分金 3100万円 2800万円
トップチーム人件費 3億2300万円 2億7600万円
営業利益 600万円 ▲3300万円
当期純利益 ▲100万円 ▲2800万円

出典:公益社団法人日本プロサッカーリーグ「2025年度 J3 クラブ決算一覧」より筆者作成

売上高はJ3平均を2億2700万円上回ります。目を引くのは物販で、1億6600万円はJ3平均7800万円の約2.1倍。売上高に占める割合も約15%で、J3平均の約9%より高い水準です。入場料も平均の1.6倍あります。

つまりこのクラブは、スポンサー収入が飛び抜けているというより、観客が落とすお金(入場料と物販)でJ3平均との差を作っているタイプです。スポンサー収入自体は5億2300万円で、J3平均の4億9800万円に対して5%ほど上回るにとどまります。446社という掲載数の多さと、スポンサー収入の平均との差が釣り合っていない点は、次の節の計算につながります。

もう一つ気になるのが利益です。営業利益は600万円の黒字ですが、当期純損益は▲100万円の赤字でした。J3平均は営業損失▲3300万円、当期純損失▲2800万円なので赤字幅は小さいものの、売上規模のわりに利益は残っていません。トップチーム人件費3億2300万円はJ3平均より4700万円多く、売上の大きさが利益にはあまり残っていません。

Q. スポンサー1社あたりの金額はいくらですか。

2025年度のスポンサー収入5億2300万円を、クラブが同じ年について公表している492社で割ると、単純平均で約106万円です。この連載で同じ計算をしてきたなかでは、ロアッソ熊本の約110万円とほぼ同じ水準で、カマタマーレ讃岐の約72万円やガイナーレ鳥取の約69万円より高く、アビスパ福岡の約291万円より低い位置にあります。ただし実際には上位の数社が大半を占めるので、大多数の企業はこの平均よりずっと下です。

(参考)2025年度 J3 クラブ決算一覧(PDF) – 公益社団法人日本プロサッカーリーグ

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スポンサー数は2024年の565社から492社へ、73社減っている

鹿児島ユナイテッドFCが公表したスポンサー数の推移

クラブサポーターの募集案内には、スポンサー数の推移を示した棒グラフが載っています。2021年396社、2022年451社、2023年522社、2024年565社、2025年492社。2024年から2025年にかけて73社減っています。

注目したいのは、減った年のグラフをクラブが自分で募集資料に載せている点です。右肩上がりの4年分だけを見せることもできたはずですが、下がった1年も同じグラフに入れたうえで「支援企業の数はクラブの誇りであり、力となります」「1社でも多くの皆さまに『ユナイテッドファミリー』の仲間として加わっていただくことが私たちの願いです」と書いています。数を増やしたいという意思表示としては、むしろ説得力のある見せ方です。

減少の理由はクラブから説明されていません。2024年はクラブがJ2で戦った年で、2025年はJ3に降格した年にあたります。カテゴリーの変化と重なってはいますが、因果関係を示す資料は見当たらないので、ここでは事実の並びとして示すにとどめます。

Q. 2026/27シーズンは何社になりそうですか。

2026年9月23日時点の一覧は延べ454枠で、2025シーズンの一覧(延べ494枠)より40枠少ない状態です。ただしシーズンは2026年8月に開幕したばかりで、契約期間も2027年6月30日までですから、期中に加わる企業がまだ出てきます。現時点の枠数を最終的な着地と読むのは早すぎます。

(参考)2026/27シーズン クラブサポーター募集のご案内 – 鹿児島ユナイテッドFC オフィシャルサイト

「どこが撤退したか」は、一覧の突き合わせでは分からない

スポンサーを調べる人がよく知りたがるのが、どの企業が抜けたのかという点です。鹿児島ユナイテッドFCは2025シーズンと2026/27シーズンの一覧を両方とも公開しているので、突き合わせれば分かりそうに見えます。実際にやってみましたが、結論としては特定できません。理由を3つに分けて書きます。

社名の表記が変わっているだけの例が多数ある

機械的に社名を突き合わせると、2025シーズンの一覧にあって2026/27の一覧に見当たらない枠が109件出てきます。しかしこの109件には、単に表記が変わっただけのものが確実に混じっています。実際に確認できた例だけでも、「城山観光ホテル」が「城山ホテル」に、「㈱Y’sカンパニー」が「ワイズカンパニー」に、「信用保証協会」が「鹿児島県信用保証協会」に、「竹元病院」が「指宿竹元病院」に、「鹿児島温泉時之栖」が「鹿児島温泉時の栖」に変わっています。ロゴ画像の代替テキストが空欄だった枠に、今シーズンは社名が入った例もあります。これらを「撤退」と数えれば、そのまま誤報になります。

リンクの無い枠は照合できない

一覧のうち54枠は、社名だけが並んでいて企業サイトへのリンクがありません。社名の表記が変わった場合、リンクがあれば同じ会社だと判定できますが、リンクが無い枠については判定できません。突き合わせで「消えた」とされた109件のうち40件がこの状態でした。

区分の移動がある

同じ企業が、前のシーズンとは違う区分に載っていることがあります。たとえばクラブサポーターのゴールドからシルバーへ、あるいはオフィシャルスポンサーからアカデミーパートナーへ、といった移動です。区分ごとに数えると「ゴールドから減った」ように見えますが、クラブとの関係は続いています。

以上から、この記事では撤退企業の特定を行いません。外から確実に言えるのは、クラブ自身が公表した「2024年565社、2025年492社」という数の推移だけです。個別の企業について知りたい場合は、その企業のニュースリリースを直接あたるのが確実です。

Q. 逆に、新しく加わった企業は分かりますか。

こちらも同じ理由で確定できません。2026/27の一覧にあって2025の一覧に見当たらない枠は69件ありましたが、表記の変更が混じっている点は同じです。ただし区分そのものが新設されたケースは分かります。2026/27シーズンには「トータルパフォーマンスパートナー」という区分が1枠でき、NORMが入りました。この区分は2025シーズンの一覧には存在しません。

(参考)2025シーズンスポンサー企業の皆さま – 鹿児島ユナイテッドFC オフィシャルサイト

(参考)2026/27シーズンスポンサー企業の皆さま – 鹿児島ユナイテッドFC オフィシャルサイト

スポンサーの72.6%は鹿児島市内、県外は43社

クラブは募集案内に、スポンサーの所在地の内訳も載せています。2025年の492社を地区別に分けたものです。

2025年のスポンサー492社の地区別内訳
地区 社数 構成比
鹿児島市 357社 72.6%
県外 43社 8.7%
北薩 26社 5.3%
姶良伊佐 21社 4.3%
南薩 18社 3.7%
日置 14社 2.8%
霧島 6社 1.2%
大隅 5社 1.0%
離島 2社 0.4%

出典:鹿児島ユナイテッドFC「2026/27シーズン クラブサポーター募集のご案内」掲載の円グラフより筆者作成。構成比は492社に対する割合を筆者が算出

鹿児島市が357社で7割強を占めます。ホームタウンが鹿児島市ですから当然とも言えますが、裏を返せば県内のほかの地区はまだ薄いということでもあります。大隅は5社、離島は2社です。

クラブのスローガンは「鹿児島をもっとひとつに。」で、募集案内には「本土、離島、そして県外、世界中の鹿児島にゆかりのある人たちの鹿児島愛をひとつに」とあります。県外43社は、離島2社・大隅5社より多いという数字は、このスローガンの「県外」の部分がすでに一定の形になっていることを示しています。県外から地元クラブを支えるという枠組みは、鹿児島出身者が多い地域の企業にとって入口になりうるところです。

Q. 県外の企業でもスポンサーになれますか。

なれます。実際に43社が県外です。上位区分にもGMOペパボ(本社は渋谷区)や明治安田生命といった全国企業が入っています。申込書に所在地の条件は書かれておらず、申込みはFAXまたはメールで受け付けています。

(参考)2026/27シーズン クラブサポーター募集のご案内 – 鹿児島ユナイテッドFC オフィシャルサイト

鹿児島県と鹿児島市は、最上位区分のスポンサーでもある

オフィシャルトップパートナー10枠の顔ぶれを見ると、企業に混じって鹿児島県と鹿児島市が並んでいます。自治体が最上位区分に入っているクラブはこの連載でも珍しく、しかも2つそろっているのは鹿児島だけでした。この2つの自治体は、スポンサーであると同時にスタジアムの当事者でもあります。

県はスタジアムの命名権を別に売っている

鹿児島県と鹿児島市のクラブおよびスタジアムとの関わり

ホームスタジアムの白波スタジアムは、正式には鹿児島県立鴨池陸上競技場です。県はこの施設の命名権を薩摩酒造に売っており、鹿児島県教育委員会の公表資料によれば年額880万円(税込。税抜800万円、消費税および地方消費税80万円)、契約期間は令和6年4月1日から令和9年3月31日までの3年間です。前回契約は令和3年4月1日から令和6年3月31日までで、薩摩酒造から更新の申し入れがあって継続になったと書かれています。

つまり県は、クラブのスポンサーとしてお金を出す側であると同時に、スタジアムの名称を売ってお金を受け取る側でもあります。年880万円という金額は、クラブのクラブサポーターでいえばダイヤモンド13社分あまりにあたります。

市は新しいスタジアムを検討している

鹿児島市は「多機能複合型スタジアムの整備検討」を進めています。市の公表ページによれば、候補地調査の結果を受けて、令和8年8月の市議会報告で県立鴨池庭球場の敷地等を候補地として検討を進めることになりました。もう一つの候補だった鹿児島サンロイヤルホテル敷地等は対象から外れています。財源としては国庫補助制度や企業版ふるさと納税の活用、民間資金やノウハウの活用が挙げられています。

興味深いのは、候補から外れた鹿児島サンロイヤルホテルも、対抗馬だった鴨池庭球場の隣にあるスタジアムを使うクラブも、どちらもこの一覧に名前があることです。サンロイヤルホテルはオフィシャルスポンサーに入っています。地域のなかで、同じ顔ぶれが違う立場で関わっているわけです。

白波スタジアムはJリーグの施設基準を満たしていない

市の公表ページには、もう一つ重要な記載があります。白波スタジアムはJリーグ施設基準における座席数と屋根のカバー率が不足しているという点です。現在は特例でライセンスが交付されている状態で、スタジアム整備が進まなければライセンス取得に影響が出る可能性があると市自身が書いています。

クラブは2026/27シーズンの募集案内で、J2リーグ昇格を目指すと明記しています。スポンサーになる企業の側から見ると、この「昇格を目指す」という言葉の背後に、スタジアムという条件が控えていることになります。掲載先の露出量は、クラブがどのカテゴリーで、どの規模のスタジアムで戦うかに左右されます。スポンサー料の判断材料としては、価格表よりもこちらのほうが効いてくるかもしれません。

Q. クラブの運営会社はどこですか。

株式会社鹿児島プロスポーツプロジェクトです。2013年12月の設立で、所在地は鹿児島市与次郎1丁目10-21-5F。クラブは2014年に「ヴォルカ鹿児島」と「FC KAGOSHIMA」が統合して発足しました。スポンサーの窓口は同じ住所の事業本部営業部(TEL 099-812-6370、FAX 099-812-6371)です。

(参考)ネーミングライツ契約(白波スタジアム)の更新について – 鹿児島県教育委員会

(参考)多機能複合型スタジアムの整備検討 – 鹿児島市

(参考)鹿児島市のプロスポーツチーム – 鹿児島市

(参考)鹿児島ユナイテッドFCについて – 鹿児島ユナイテッドFC オフィシャルサイト

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About The New株式会社 代表取締役 森永 昂
執筆者
About The New株式会社 代表取締役 森永 昂

新卒で東証プライム上場の社会人教育・コンサルティング企業に入社し、人材育成・組織開発に従事。その後、別企業でメディア・プラットフォーム事業の責任者を務める。

2025年5月に About The New株式会社 を設立。スポーツの現場で培われた知見を組織開発・人材育成の文脈に翻訳し、研修・チームビルディング・イベントの企画運営を行っています。

「知識を得る」で終わらせず「行動が変わる」ところまでを設計することを大切にしています。ご相談は contact@aboutthenew.co.jp まで。

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