アドベンチャーツーリズムとは|アウトドアスポーツ旅と企業の役割

アドベンチャーツーリズムとは|アウトドアスポーツ旅と企業の役割 スポーツビジネス

アドベンチャーツーリズムは、アクティビティ・自然・文化体験の3要素のうち2つ以上で構成される旅行です。業界団体のAdventure Travel Trade Association(ATTA)は、海外旅行をするアドベンチャー旅行者の市場を2024年に1.16兆ドルと推計しており、日本では2023年9月に北海道で開かれた世界最大の商談会に、64の国と地域から773人が集まりました。

朝は英語を話すガイドと山を歩き、昼は漁師町で地元の料理を習い、夕方はカヤックで湖に出る。登山、カヌー、サイクリング、スキーといったアウトドアスポーツを入り口に、その土地の暮らしまで深く味わう旅を求めて、海外から人が訪れています。ここでは定義と市場規模、国内の事例、受け入れの課題、そしてガイド・宿泊・用品・旅行商品の各分野で企業がどう関われるかを、観光庁や北海道などの公表資料をもとに見ていきます。

アドベンチャーツーリズムの定義|自然・アクティビティ・文化体験の3要素

アドベンチャーツーリズムの定義を示す図。アクティビティ・自然・文化体験の3要素のうち2つ以上が重なる旅行をアドベンチャーツーリズムと呼ぶ

アドベンチャーツーリズム(AT)は、「自然」「アクティビティ」「文化体験」の3要素のうち2つ以上で構成される旅行を指します。観光庁がこの説明を使っており、もとになっているのは米国の業界団体ATTAの定義です。観光庁は、AT旅行者が旅を通じて自分自身の変化や視野の拡大、学びを得ることを目的にしている点を特徴に挙げています。

3要素の中身について、観光庁の「アドベンチャーツーリズム ナレッジ集」は、アクティビティの例としてサイクリング、トレッキング、ラフティング、カヌー、バックカントリースキーを、自然の例として海・川・山・湖を、文化体験の例として風習や歴史、農業や水産業を含む生業、食文化を挙げています。山を歩くだけ、郷土料理を食べるだけでは1要素ですが、山を歩いて山里の暮らしに触れれば2要素がそろいます。

(参考)アドベンチャーツーリズムの推進 – 観光庁

(参考)アドベンチャーツーリズム ナレッジ集(2022年3月) – 観光庁

アドベンチャートラベルとの違い|指している旅行は同じ

「アドベンチャーツーリズム」と「アドベンチャートラベル」は、同じ旅行を指す呼び方の違いです。観光庁は前者を使い、日本政府観光局(JNTO)は「アクティビティ」「自然体験」「文化体験」のうち2つ以上で構成される旅行を「アドベンチャートラベル」と呼んで、海外向けのプロモーションをしています。どちらも略すと「AT」です。

JNTOの担当者は、海外の旅行会社の中にはこうした商品を「nature experience」や、単に「outdoor activity」と呼ぶところもあると話しています。海外の取引先と話すときは、名前よりも「何を体験する旅か」で合わせるほうが通じやすいということです。

(参考)広域連携で取り組むアドベンチャートラベル─2度のAdventureWEEKからみえてきたこれからの日本におけるATの在り方(2025年12月9日) – 日本政府観光局(JNTO)

アウトドアスポーツとの関係|スポーツツーリズムと重なる

ATの「アクティビティ」の多くは、登山やカヌー、サイクリング、スキーといったアウトドアスポーツです。2026年3月27日に閣議決定された観光立国推進基本計画も、「スポーツの観光活用」の項目で、ゴルフ、スキー、トレッキング、武道などへの志向が高い訪日外国人旅行者を呼び込むとし、各地の自然資源を活用したアウトドアスポーツの観光コンテンツづくりと、スポーツツーリズムやATの情報をJNTOを通じて海外へ発信することを掲げています。

同じ計画は「自然資源の観光活用」の項目でもATの推進を挙げ、観光コンテンツの造成・磨き上げや、国内外のAT関係者と連携した販路拡大を支援するとしています。スポーツを目的にした旅行全体の考え方はスポーツツーリズムと合宿誘致の仕組みで、スポーツビジネスが抱える課題の全体像はスポーツビジネスの課題でまとめています。

あわせて読みたいスポーツツーリズムの成功事例|地域活性と企業の接点›

(参考)観光立国推進基本計画(令和8年3月27日閣議決定) – 観光庁

Q. アドベンチャーツーリズムとアドベンチャートラベルの違いは何ですか?

指している旅行は同じで、呼び方が違うだけです。観光庁は「アドベンチャーツーリズム」、日本政府観光局(JNTO)や北海道は「アドベンチャートラベル」と呼んでいますが、どちらもアクティビティ・自然・文化体験の3要素のうち2つ以上で構成される旅行を指しています。

アドベンチャーツーリズムの市場規模|世界1.16兆ドルと長い滞在

ATTAは、海外旅行をするアドベンチャー旅行者の市場を2024年に1.16兆ドルと推計しています。2025年1〜3月に日本を含む13か国の海外旅行者約5,000人を調べた結果をもとにした推計で、2024年の世界の旅行支出の数字が出た2025年9月10日に、それまでの9,660億ドルから改められました。旅行で冒険を最優先する層は海外旅行者の30%から40%に増え、67%がアドベンチャーに前向きな旅行者だとしています。

アドベンチャーに前向きな旅行者は、1回の旅行が平均11日、1人1泊あたりの支出が265ドル、1回の旅行で1人約3,000ドルを使うというのがATTAの推計です。日本を訪れる旅行者全体の数字と並べると、次のようになります。

指標 アドベンチャー旅行者 訪日外国人全体
1回の旅行の長さ 平均11日(世界の海外旅行者のうち「アドベンチャーに前向きな人」、ATTA推計) 観光・レジャー目的で平均7.1泊(2025年)
1人当たりの支出 日本での平均3,728ドル(約54.8万円。ATWS2023の報告書で使われた値) 21万2,764円(2023年、一般客)

出典:ATTA「Adventure Travel Market Sizing and the New Adventure Traveler」(2025年)、観光庁「ATWS2023を契機としたアドベンチャーツーリズムの推進に向けたヒアリング・アンケート調査結果」(2024年3月)、観光庁「インバウンド消費動向調査」2023年・2025年の年次報告書をもとに Human Soar 作成。円換算は1ドル=147.075円(同報告書が使った2023年9月11〜14日の平均)

観光庁の報告書は、ATWS2023に参加した海外のバイヤーが送り込む見込みの旅行者について、日本での1人当たり平均消費額を3,728ドルとして旅行支出を見積もっています。報告書と同じ1ドル=147.075円で計算すると約54.8万円で、2023年の訪日外国人(一般客)の1人当たり旅行支出21万2,764円の約2.6倍にあたります。ただし、片方はAT旅行者の見込み額、もう片方は訪日客全員の調査結果で、集め方が違うため、目安として読む数字です。

日本を訪れる人の「次にしたいこと」にも伸びしろが表れています。観光庁の2025年の調査では、今回スキー・スノーボードをした人は2.9%でしたが、次回したい人は17.9%いました。自然体験ツアー・農山漁村体験も、今回8.7%に対し次回20.4%です。体験した人のうち満足した人の割合は、スキー・スノーボードが97.1%、自然体験ツアー・農山漁村体験が96.3%でした。スポーツ観戦について同じ調査を国籍別に見た結果は観戦したい訪日客の国籍別データにあります。

(参考)Adventure Travel Market Sizing and the New Adventure Traveler(2025年) – Adventure Travel Trade Association

(参考)ATWS2023を契機としたアドベンチャーツーリズムの推進に向けたヒアリング・アンケート調査結果(2024年3月) – 観光庁

(参考)インバウンド消費動向調査 2023年年次報告書 – 観光庁

(参考)インバウンド消費動向調査 2025年年次報告書 – 観光庁

Q. アドベンチャーツーリズムの市場規模はどのくらいですか?

業界団体のATTAは、海外旅行をするアドベンチャー旅行者の市場を2024年に1.16兆ドルと推計しています。2025年1〜3月に13か国の約5,000人を調べた結果をもとにした推計で、国や公的機関の統計ではありません。

日本のアドベンチャーツーリズム事例|北海道から沖縄・東北へ

日本のアドベンチャーツーリズム事例の流れ。2023年の北海道でのATWS、2024年の沖縄、2025年の東北6県でのAdventureWEEK、2026年の山陰・せとうちへと広がる

日本のATは、2023年に北海道で開かれた世界サミットを起点に、ATTAとJNTOが組む「AdventureWEEK」として沖縄、東北へと場所を移して続いています。AdventureWEEKは、海外のバイヤーやメディアを招いて地域のツアーを体験してもらい、商談会につなげる催しです。

北海道|ATWS2023に64の国と地域から773人

アドベンチャートラベル・ワールドサミット(ATWS)はATTAが主催する世界最大のAT商談会で、2023年9月11日から14日まで札幌コンベンションセンターを主会場に開かれました。アジアで初めての実地開催で、64の国と地域から773人が参加しました。開催前には全国22コースのツアーに177人、初日の日帰りツアーには31コースで約550人が参加しています。

観光庁の報告書は、参加者の消費による直接効果を約1.4億円、波及を含む間接効果を約2.4億円と試算しています。さらに、参加した80のバイヤーの送客見込みから、2024年から2026年に新たに日本を訪れるAT旅行者を累計2万702人、旅行支出を累計約115億円と推定しました。バイヤーの83%が北海道の新しいプランを扱うことを検討しており、約206件の新しいAT商品ができる見込みとしています。

開催を支えたのは、北海道、札幌市、釧路市、北海道観光振興機構などでつくる「アドベンチャートラベル・ワールドサミット北海道実行委員会」です。ATTAと実行委員会は閉幕後の共同ステートメントで、参加者チケットが完売したことに触れ、北海道・日本をATの有望な目的地と位置づけました。

(参考)Adventure Travel World Summit(ATWS)2023 – 観光庁

(参考)ATWS2023を契機としたアドベンチャーツーリズムの推進に向けたヒアリング・アンケート調査結果(2024年3月) – 観光庁

(参考)アドベンチャートラベル・ワールドサミット北海道・日本(ATWS2023)開催に係る共同ステートメントについて – 北海道

沖縄|AdventureWEEK 2024で欧米の15人が視察

JNTOは2024年に「AdventureWEEK 2024沖縄」を開き、欧米の15人のバイヤーとメディアを招いて視察旅行と商談会を行いました。琉球薬膳の料理体験や、地元で「ユタ」と呼ばれる人とのやんばるの御嶽訪問など、リゾート旅行の枠を超えた体験が高く評価されたとJNTOは報告しています。

一方で、前日の記録的な大雨で屋外アクティビティが中止になり、いくつもの代わりの案を用意しておく必要が見えました。リゾートホテルでドリンクや大浴場、ジムの料金が別にかかることに参加者が戸惑う声もあり、一部のサービスを宿泊料金に含めることを検討するホテルも出てきたといいます。AT旅行者は沖縄だけでなく長野のスノーモンキーなど複数の地域を回りたがるため、広い範囲をつなぐプランが必要だという学びも得ています。

(参考)広域連携で取り組むアドベンチャートラベル(2025年12月9日) – 日本政府観光局(JNTO)

東北|6県を7日で巡るAdventureWEEK2025

2025年9月15日から22日には、JNTO、ATTA、東北観光推進機構が「AdventureWEEK2025 東北」を開きました。米国、カナダ、オーストラリア、英国、イタリアの5か国からバイヤー12人とメディア3人が参加し、福島の浄土平ボルケーノトレイル、山形の羽黒山2446段の石段と湯殿山の滝行、秋田のマタギトレイル、青森・岩手のみちのく潮風トレイル、岩手の浄土ヶ浜のシーカヤックを巡って、最終日に宮城で商談会を行いました。

沖縄での学びを受けて、どの日程にも荒天時の第2案、第3案を用意したといいます。商談会の前には東北のセラー14社が集まり、互いの商品やエリア、強みを確かめ合いました。ATTAは2026年に中国地方の山陰・せとうちでAdventureWEEKを開くことを案内しています。

(参考)広域連携で取り組むアドベンチャートラベル(2025年12月9日) – 日本政府観光局(JNTO)

(参考)AdventureWEEK San'in and Setouchi 2026 – Adventure Travel Trade Association

Q. 北海道でアドベンチャーツーリズムが進んでいるのはなぜですか?

2023年9月に世界最大のAT商談会であるアドベンチャートラベル・ワールドサミットが、アジアで初めて北海道で実地開催されたことが大きなきっかけです。北海道は同じ2023年度に独自のATガイド認定制度をつくり、ガイドの育成や研修も続けています。

アドベンチャーツーリズムの課題|難易度・宿泊・ガイドの不足

アドベンチャーツーリズムの課題は、海外の参加者の評価では「ツアーの難易度」と「宿泊施設」が期待を下回った点、受け入れ側の声では英語で解説できるガイドの不足に表れています。観光庁は2024年3月の報告書で、ATTAがまとめたATWS2023の参加者アンケート(5点満点)を、前回2022年のスイス・ルガーノ大会と比べています。開催前に行われた数日間の体験ツアーの評価から、主な項目を抜き出したのが次の表です。

評価項目 2023年 日本 2022年 スイス 差
食事の質は期待どおりだった 4.65 3.87 +0.78
地域についての知識が増えた 4.64 4.55 +0.09
ガイドの語学力は期待通りだった 4.63 4.74 -0.11
このツアーオペレーターを他の人に勧めたい 4.40 4.19 +0.21
宿泊施設は期待通りだった 4.30 4.36 -0.06
ツアーの難易度は期待通りだった 4.21 4.23 -0.02

出典:観光庁「ATWS2023を契機としたアドベンチャーツーリズムの推進に向けたヒアリング・アンケート調査結果」(2024年3月。ATTA作成のFinal Reportをもとにした集計)をもとに Human Soar 作成。差は日本からスイスを引いた値

海外の参加者が評価した点と期待との差

日本のツアーで最も評価が高かったのは食事で、4.65点と前回大会の3.87点を大きく上回りました。地域についての知識が増えた、このツアー会社を人に勧めたい、という項目も前回を上回っています。一方で最も低かったのは「ツアーの難易度は期待通りだった」の4.21点と「宿泊施設は期待通りだった」の4.30点で、どちらも前回を下回りました。

初日の日帰りツアーでも、最も低かったのは難易度の3.71点(前回4.23点)、次いでツアー会社を人に勧めたいの3.74点(同4.40点)でした。きつすぎる、または物足りないと感じさせないよう、ツアーの難しさを事前にどう伝え、合わせるかが問われています。

(参考)ATWS2023を契機としたアドベンチャーツーリズムの推進に向けたヒアリング・アンケート調査結果(2024年3月) – 観光庁

催行者とガイドが挙げた受け入れの課題

同じ報告書は、2023年9〜11月にツアーの催行会社やガイドから話を聞き、受け入れの課題をまとめています。最も大きいのは、アクティビティができて、英語が話せて、地域の文化や歴史、自然を解説できるガイドが少ないことです。ガイドの高齢化や、ガイドの需要と収入が見えにくいことも背景に挙げられています。

受け入れ側の設備にも課題があります。英語で接客できる人や宗教・文化上の食事制限に詳しい人が飲食店や宿にいない、1人部屋を複数確保できる宿や大きな荷物(自転車)を預かれる宿が少ない、外国人の体格に合う自転車が足りない、登山道の英語表示が足りない、といった声です。地域をまたいで手配をまとめる会社(DMC)がなく、海外のバイヤーから見ると全国での手配が煩雑だという指摘もあります。

(参考)ATWS2023を契機としたアドベンチャーツーリズムの推進に向けたヒアリング・アンケート調査結果(2024年3月) – 観光庁

アドベンチャーツーリズムのガイドと資格|北海道ATガイド54人の内訳

アドベンチャーツーリズムのガイドは、都道府県では北海道が2023年度から知事による認定制度を運用しており、2026年8月6日現在の一覧には54人が載っています。一覧を認定分野ごとに数えると、次のとおりです。1人が複数の分野で認定されていることがあるため、人数は分野ごとののべ数です。

種類 認定分野 人数
アクティビティガイド 自然 20人
アクティビティガイド 山岳(夏山) 16人
アクティビティガイド 山岳(冬山) 12人
アクティビティガイド カヌー 12人
アクティビティガイド サイクリング 7人
アクティビティガイド ラフティング 6人
アクティビティガイド サイドカントリー 6人
アクティビティガイド SUP 3人
アクティビティガイド バックカントリー 2人
アクティビティガイド トレイルライディング 0人
スルーガイド スルーガイド 7人

出典:北海道「北海道アドベンチャートラベルガイド一覧(2026年8月6日現在)」をもとに Human Soar 作成。分野ごとにのべ人数で数えた

北海道アドベンチャートラベルガイド認定等制度の仕組み

北海道の制度は、ATTAがつくったガイドの基準「Adventure Travel Guide Standards(ATGS)」を踏まえたガイドを育て、欧米からの旅行者を受け入れる体制を整えるために、2023年度に創設されました。認定は、山岳・自然・カヌー・ラフティング・トレイルライディング・サイクリング・バックカントリースキー・サイドカントリースキー・SUPの9分野の「アクティビティガイド」と、旅行者と一緒に動きながら案内や調整を担う「スルーガイド」に分かれます。

認定には、上級救命講習の修了などに加え、分野ごとに決められた資格と、直近2年間のガイド従事日数(山岳の夏山や自然では200日以上、冬山では100日以上)などが必要です。スルーガイドは、北海道アウトドア検定または北海道アウトドアガイド資格、旅程管理主任者資格、通訳案内士かCEFR B2相当以上の英語資格を持ち、毎年度の指定研修を修了していることが条件です。認定の有効期間は、認定日から3年を過ぎた後の最初の3月31日までです。

(参考)北海道ATガイド認定等制度 – 北海道

(参考)北海道アドベンチャートラベルガイド認定等制度実施要綱(令和8年4月1日改正) – 北海道

分野別の人数から見えるガイドの偏り

分野別では自然が20人、山岳(夏山)が16人と多く、冬山とカヌーが12人で続きます。サイクリングは7人、SUPは3人、バックカントリーは2人で、トレイルライディングで認定された人は一覧にいません。旅行者に付き添って地域とアクティビティをつなぐスルーガイドは7人で、観光庁の報告書が指摘した「アクティビティ、英語、解説を兼ね備えたガイドの不足」は、北海道でもまだ埋まりきっていないと読めます。

北海道は宿泊税を使って、2026年度に「稼げるガイドの育成に向けたキャリア構築支援事業」を行っています。8月25日に札幌、8月27日に釧路でガイド事業の経営や資金調達を扱うセミナーを開き、9月20日から23日には然別湖ネイチャーセンターで実地研修を行い、ガイドとアウトドア事業所や観光協会をつなぐ相談会も予定しています。ガイドがそろえる装備の作り手と売り手は登山用品メーカーの一覧で整理しています。

(参考)北海道アドベンチャートラベルガイド一覧(2026年8月6日現在) – 北海道

(参考)【北海道宿泊税活用事業】『稼げるガイドの育成に向けたキャリア構築支援事業』のご案内 – 北海道

Q. アドベンチャーツーリズムのガイドに資格は必要ですか?

北海道で知事が認定するATガイドになるには、分野ごとに決められた資格と救命講習の修了、一定のガイド従事日数などが必要です。国の段階では、観光庁の2024年3月の報告書が、国際標準に沿ったATガイドの資格制度の整備を今後必要な対策に挙げています。

アドベンチャーツーリズムで企業が関われる4つの領域|ガイド・宿泊・用品・旅行商品

アドベンチャーツーリズムの受け入れの課題と企業の関わり方の対応図。解説できるガイドの不足にはガイドの雇用と育成、宿泊の受け入れには1人部屋と荷物の預かり、体格に合う道具の不足には用品の貸し出し、地域をまたぐ手配には広域の旅行商品で応える

企業がアドベンチャーツーリズムに関わる場所は、観光庁の報告書が挙げた受け入れの課題の裏返しにあります。ガイド、宿泊と飲食、アウトドア用品、旅行商品の4つの領域で、それぞれ報告書が今後必要な対策として示したことを見ていきます。

ガイドの雇用と育成|収入の見える仕事にする

報告書は、ガイドの不足に対して、ATガイドに見合った報酬の設定、若い世代に「稼げる仕事」として示す仕組みづくり、事故やけがの賠償リスクからガイドを守る保険制度などを対策に挙げています。ツアー会社やアウトドア事業者がガイドを雇う、資格取得や研修の費用を負担する、といった関わり方がここに当たります。

北海道のように自治体が研修やマッチングの場を用意している地域では、それを人材の採用や育成の入り口として使えます。認定ガイドの一覧は公開されているので、ツアーを組む側が依頼先を探すときの手がかりにもなります。

(参考)ATWS2023を契機としたアドベンチャーツーリズムの推進に向けたヒアリング・アンケート調査結果(2024年3月) – 観光庁

宿泊と飲食|1人部屋と自転車の預かりに応える

宿泊と飲食では、英語での接客、宗教や文化による食事制限への対応、1人部屋を複数用意すること、自転車のような大きな荷物を預かることが求められています。報告書は、英語対応の人材を確保するための支援や、受け入れに必要な設備の条件をまとめて改修を支援することを対策に挙げています。

沖縄のAdventureWEEKで、別料金の多さに戸惑う声を受けて一部のサービスを宿泊料金に含めることを検討したホテルがあったように、料金の示し方を変えるだけでも受け入れやすさは変わります。山や湖の近くで宿泊やレジャー施設を運営する会社の動きは、次の記事にまとめています。

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(参考)ATWS2023を契機としたアドベンチャーツーリズムの推進に向けたヒアリング・アンケート調査結果(2024年3月) – 観光庁

アウトドア用品|体格に合う道具を貸し出す

報告書には、外国人の体格に合う自転車が足りないという声が載っています。旅行者は長い移動の中で自分の道具をすべて持ち込めるとは限らないため、自転車やパドル、雪山の装備を貸し出す仕組みは、ツアーを組む側にとって欠かせない部品になります。アウトドア用品の会社にとっては、レンタルや現地の拠点づくりが接点です。キャンプ場のように用品と場所を一緒に運営する形はキャンプ場運営会社の事業モデルで比べています。

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(参考)ATWS2023を契機としたアドベンチャーツーリズムの推進に向けたヒアリング・アンケート調査結果(2024年3月) – 観光庁

旅行商品とDMC|地域をまたいで組む

旅行会社や地域の手配会社にとっての課題は、商品づくりに手間がかかることと、地域をまたいだ手配です。報告書は、通常のツアーの一部の行程にAT要素を入れるなど手間の少ない商品から始めることや、海外のバイヤーと地域をつなぐDMCを組むことを対策に挙げています。東北のAdventureWEEKで6県が一緒にコースを組み、セラー14社が事前に強みを確かめ合ったのは、この動きの具体例です。

国の補助については、観光庁が2021年度にAT向けの施設改修や設備購入を対象にした補助金を公募しましたが、募集はすでに終わっています。2026年3月に閣議決定された観光立国推進基本計画は、ATのコンテンツの造成・磨き上げや販路拡大を支援するとしているので、新しい公募は観光庁や都道府県の発表で確かめてください。

(参考)アドベンチャーツーリズムの推進 – 観光庁

(参考)ATWS2023を契機としたアドベンチャーツーリズムの推進に向けたヒアリング・アンケート調査結果(2024年3月) – 観光庁

アドベンチャーツーリズムのまとめ

アドベンチャーツーリズムは、アウトドアスポーツを入り口に、自然と文化を深く体験する旅行です。海外の旅行者は長く滞在してよく使う一方、日本の受け入れ側にはガイドや宿、手配の担い手が足りていません。数値の出典は本文の各セクションに記載しています。

  • 定義はアクティビティ・自然・文化体験の3要素のうち2つ以上で構成される旅行(ATTAの定義を観光庁も使う)
  • ATTAは市場を2024年に1.16兆ドルと推計し、アドベンチャーに前向きな旅行者は1回平均11日の旅をする
  • 日本では2023年の北海道のATWSから、2024年沖縄、2025年東北、2026年山陰・せとうちへと国際的な催しが続く
  • 課題は、ツアーの難易度の伝え方、宿泊施設、英語で解説できるガイドの不足、地域をまたぐ手配
  • 企業はガイドの雇用と育成、宿泊と飲食の受け入れ、用品の貸し出し、広域の旅行商品の4つの領域で関われる

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About The New株式会社 代表取締役 森永 昂
執筆者
About The New株式会社 代表取締役 森永 昂

新卒で東証プライム上場の社会人教育・コンサルティング企業に入社し、人材育成・組織開発に従事。その後、別企業でメディア・プラットフォーム事業の責任者を務める。

2025年5月に About The New株式会社 を設立。スポーツの現場で培われた知見を組織開発・人材育成の文脈に翻訳し、研修・チームビルディング・イベントの企画運営を行っています。

「知識を得る」で終わらせず「行動が変わる」ところまでを設計することを大切にしています。ご相談は contact@aboutthenew.co.jp まで。

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