長崎ヴェルカのパートナー一覧を開くと、いちばん上に出てくるのはジャパネットではありませんでした。TOP PARTNERはアンカー・ジャパン。親会社のジャパネットはその下のPREMIUM PARTNERに、イオンディライト、大王製紙と並んでいます。
数えると実数268社。そして金額が公開されているのは、10区分のうちたった1つ、年10万円のアシストカンパニーだけでした。ここに77社が入っています。
長崎ヴェルカのスポンサー・パートナーは、10区分・延べ282枠・実数268社

クラブ公式サイトのパートナーリストを2026年9月23日に取得して集計しました。長崎ヴェルカは協賛企業を「パートナー」と呼んでいます。以下、区分名はクラブの表記に合わせます。区分は10で、合計延べ282枠です。
いちばん多いのがASSIST COMPANYの77社。次いでBRONZE PARTNER 60、SILVER PARTNER 58、PLATINUM PARTNER 32、OFFICIAL PARTNER 21、SPECIAL SEAT COMPANY 18、SUPPLIER 11、PREMIUM PARTNER 3、TOP PARTNER 1、UNIFORM SUPPLIER 1という並びになります。
ここから法人格の表記ゆれを揃えて重ねると、重複は14件。除くと実数268社です。近い名前で別会社かどうか迷ったのは谷川建設と永川建設の組み合わせだけで、これは別法人として分けました。
B1のクラブとしては標準的な規模です。この連載では千葉ジェッツが303社、宇都宮ブレックスが380社、アルビレックス新潟が252社でした。268社はその帯に収まります。
Q. ロゴで載る区分と名前だけの区分がありますか。
あります。TOP、PREMIUM、OFFICIAL、PLATINUM、SILVERの5区分(計115枠)と、SUPPLIERの一部、UNIFORM SUPPLIERはロゴ掲載です。BRONZE PARTNER 60社、SPECIAL SEAT COMPANY 18社、ASSIST COMPANY 77社は企業名のテキストのみでした。社名テキストの区分に155枠、つまり過半が入っています。
最上位はアンカー・ジャパン。ジャパネットはその下に並ぶ
上位3区分、合わせて25社の顔ぶれです。
| 区分 | 枠数 | 企業 |
|---|---|---|
| TOP PARTNER | 1 | アンカー・ジャパン |
| PREMIUM PARTNER | 3 | ジャパネット/イオンディライト/大王製紙 |
| OFFICIAL PARTNER | 21 | ユーキャンアド/プロロジス/レンゴー/アールトーヨー(廃車王)/松藤グループ/冨士機材/長崎トヨタ/日本ベネックス/ニコニコのり/扇精光/ケイアンドビィホールディング/啓正会/林兼石油/長崎船舶装備/エレナ/藤本グループ/鶴田歯科医院/ダスキンオークス/三井住友カード/JTB/扶桑工業 |
出典:長崎ヴェルカ「パートナーリスト」より筆者作成
この並びは、連載で見てきたどのクラブとも違います。
ひとつは最上位が親会社ではないこと。長崎ヴェルカを運営するのはジャパネットグループですが、TOP PARTNERの枠はアンカー・ジャパンが取っています。ジャパネットは2番目の区分で、イオンディライト、大王製紙と横並びです。
もうひとつは地元金融機関の位置です。長崎の十八親和銀行は、上位3区分のどこにもいません。BRONZE PARTNERとSPECIAL SEAT COMPANYに名前があります。連載ではファジアーノ岡山が中国銀行・トマト銀行・おかやま信用金庫の3行を最上位に置き、徳島ヴォルティスも阿波銀行・四国銀行・徳島大正銀行を法人プラチナに並べていました。長崎ヴェルカは地銀が上位にいない珍しい形です。
全国企業が多いのも特徴です。プロロジス、レンゴー、三井住友カード、JTB、大王製紙、イオンディライト。21社のOFFICIAL PARTNERのうち、長崎県内を主な地盤としない企業がおよそ半分を占めます。
Q. なぜ全国企業が多いのですか。
クラブは理由を説明していないので推測になりますが、ホームが長崎スタジアムシティという大型複合施設の中にあることが関係しているかもしれません。ジャパネットグループが手がけたこの施設には、サッカースタジアム、アリーナ、ホテル、商業施設が入っています。クラブ単体ではなく、施設全体に関わる形の協賛が成立しやすい環境だと考えられます。ただし契約の内容は公開されていないため、確認はできません。
SPECIAL SEAT COMPANYは、席を買う別メニューだった
重複14件の内訳を見ると、この区分の性格が分かります。
| 組み合わせ | 件数 |
|---|---|
| BRONZE PARTNER + SPECIAL SEAT COMPANY | 6件 |
| PLATINUM PARTNER + SPECIAL SEAT COMPANY | 5件 |
| OFFICIAL PARTNER + SPECIAL SEAT COMPANY | 2件 |
| SILVER PARTNER + SUPPLIER | 1件 |
出典:長崎ヴェルカ「パートナーリスト」を筆者集計。法人格の表記ゆれを揃えたうえで同一企業とみなした
SPECIAL SEAT COMPANY 18社のうち13社が、別の区分にも入っています。残る5社だけがこの区分に単独で載っている形です。
これは、SPECIAL SEAT COMPANYが協賛の階層ではなく座席を買うメニューだからだと読めます。BRONZE PARTNERでありながら特別席も買う、PLATINUM PARTNERで特別席も持つ、という組み合わせが自然に成立します。
逆に言えば、階層を上げるのではなく、別メニューを足すという買い方が長崎ヴェルカにもあるということです。前回取り上げたヴァンラーレ八戸は30区分を媒体ごとに売っていましたが、長崎ヴェルカは階層5つに座席とアシストカンパニーを足した構成になっています。
Q. 重複を除かないとどうなりますか。
延べ282枠を社数として書いてしまうと、実際より14社多く見えます。差は5%ほどですが、区分をまたいだ重複は一覧を上から順に数えるだけでは気づけません。この連載では以前、カテゴリー内の重複だけを除いてカテゴリー間を見落とし、社数を誤って公開したことがあります。以後、必ず全区分を通して名寄せしています。
金額が公開されているのは、年10万円のアシストカンパニーだけ
「長崎ヴェルカ スポンサー 金額」で調べる人が多いので、確認できたことを書きます。
TOPからSILVERまでの5区分と、SUPPLIER、SPECIAL SEAT COMPANYの金額は公開されていません。パートナーシップのページには、アリーナ内やメディアでの露出、ファンへのアプローチといったベネフィットの説明はありますが、料金表はありません。
金額が明記されているのはアシストカンパニーだけです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 年会費 | 100,000円(税別) |
| 契約期間 | 2026年7月1日〜2027年6月30日 |
| 呼称権 | 「◯◯は長崎ヴェルカを応援しています」「◯◯は長崎ヴェルカのアシストカンパニーです」と広告等で表示できる |
| 専用ロゴ | 名刺、ノベルティ、チラシに使用可能 |
| 掲出物 | 専用ステッカー/卓上のぼり(通常サイズへの変更も可)/サイン入りタペストリー |
| Web | Web用バナーの提供と相互リンク |
| 早期申込特典 | 開幕(9月23日)までの申込で限定デザインシャツ5枚と、平日17試合のシート購入権利 |
出典:長崎ヴェルカ「アシストカンパニーのご案内」より筆者作成
特徴は、特典が「自社で使えるもの」に寄っている点です。アリーナの看板やユニフォームではなく、自社の名刺、チラシ、店頭のぼり、Webサイト。クラブの露出をもらうのではなく、クラブの名前を自社で使う権利が中心になっています。
年10万円という水準は、この連載では中位です。ヴァンラーレ八戸の地域共創パートナーが1口1万円、ファジアーノ岡山が年5万円、徳島ヴォルティスが年5万5000円(税込)、千葉ジェッツが年15万円(税別)でした。
Q. 協賛金は経費としてどう扱われますか。
国税庁は、不特定多数への宣伝的効果を意図した費用は広告宣伝費、特定の取引先などを接待・供応する費用は交際費等にあたるという区分を示しています。アシストカンパニーは呼称権とロゴ使用が中心で自社の宣伝に使うものなので前者に寄ります。一方でSPECIAL SEAT COMPANYのように座席を伴うものは、誰を招くかによって扱いが変わりやすくなります。実際の処理は顧問税理士に確認してください。
(参考)No.5260 交際費等と広告宣伝費との区分 – 国税庁
決算は営業収入16億4036万円、スポンサー収入8億6089万円
B.LEAGUEが開示した2024-25シーズンの決算を、B1平均と並べます。
| 項目 | 長崎ヴェルカ | B1平均 |
|---|---|---|
| 営業収入 | 16億4036万円 | 21億8954万円 |
| スポンサー収入 | 8億6089万円 | 10億7604万円 |
| 入場料収入 | 4億6844万円 | 5億2465万円 |
| 物販収入 | 1億7113万円 | 1億7415万円 |
| ユース・スクール関連収入 | 4017万円 | 8595万円 |
| 配分金 | 5545万円 | 5960万円 |
| トップチーム人件費 | 9億9480万円 | 8億3356万円 |
| 試合関連経費 | 4億7437万円 | 4億3312万円 |
| 販売費および一般管理費 | 5億7700万円 | 5億1912万円 |
| 営業利益 | ▲7億3360万円 | 4252万円 |
| 当期純利益 | ▲428万円 | 4964万円 |
出典:公益社団法人ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ「2024-25シーズン(2024年度)クラブ決算概要 B1クラブ」より筆者作成。長崎ヴェルカは3月決算のため、決算期間とシーズンは完全には一致しない。B1平均は24クラブの平均。金額は万円未満を四捨五入
営業収入16億4036万円はB1平均の74.9%、スポンサー収入8億6089万円は同80.0%。スポンサー収入の額としては24クラブ中14位で、中位に位置します。
費用側は逆です。トップチーム人件費9億9480万円はB1平均の119.3%、試合関連経費もB1平均を上回っています。収入が平均以下で費用が平均以上という形になっています。
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Q. 入場料収入は多いほうですか。
4億6844万円はB1平均5億2465万円の89.3%で、営業収入の比率(74.9%)よりは平均に近い数字です。長崎スタジアムシティのハピネスアリーナが2024年秋に開業したシーズンなので、ここから伸びる余地がある項目だと考えられます。ただし将来の数字は開示されていないので、確認はできません。
(参考)B.LEAGUE 公式サイト – 公益社団法人ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ
収入の内訳を見ると、スポンサー依存度は52.5%だった

営業収入に占めるスポンサー収入の割合は52.5%です。B1の24クラブのなかでは9番目にあたります。
最も高いのがサンロッカーズ渋谷の72.8%、次いでファイティングイーグルス名古屋の72.6%、アルバルク東京の70.3%。低いのは琉球ゴールデンキングスの30.8%、宇都宮ブレックスの31.3%です。B1でも40ポイント以上の開きがあります。
図を見ると、長崎ヴェルカがB1平均に届いていない項目がはっきりします。スポンサー収入、入場料収入、ユース・スクール関連収入、そしてその他収入です。その他収入は4426万円で、B1平均2億6913万円の16.4%しかありません。
逆に物販収入1億7113万円はB1平均1億7415万円とほぼ同水準。グッズだけは平均に並んでいることになります。
Q. 依存度52.5%は高いのですか。
B1の真ん中あたりです。この連載では徳島ヴォルティスがJ2で61.0%と最も高く、ヴァンラーレ八戸がJ3で52.2%でした。長崎ヴェルカの52.5%はそれに近い水準です。スポンサーだけに偏っているわけではなく、入場料が28.6%を占めているのが特徴で、これはアリーナの規模が効いていると考えられます。
(参考)B.LEAGUE 公式サイト – 公益社団法人ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ
営業損失7億3360万円を、特別利益7億3000万円が打ち消した
この決算でいちばん目を引くのはここです。
営業損失は▲7億3360万円。営業外を加えた経常損失が▲7億2965万円。ところが特別利益を7億3000万円計上したことで、税引前当期利益は34万円のプラスになり、法人税等を差し引いた当期純損失は▲428万円にとどまりました。
B.LEAGUEの資料は特別利益の内訳を示していません。したがってこの7億3000万円が何なのかは、公表資料からは分かりません。分かるのは、金額がちょうど営業損失を打ち消す規模だったということだけです。
クラブライセンスの財務基準では、債務超過と3期連続赤字が問題になります。当期純損失▲428万円という着地は、その観点では小さい数字です。本業の赤字が7億円を超えていた事実と、最終赤字が428万円だった事実は、どちらも同じ決算に載っています。どちらか一方だけを見ると、このクラブの状態を読み違えます。
スポンサーを検討する立場からは、費用の水準が収入を大きく上回っていた年があるという事実を知っておく意味があります。2024-25シーズンはハピネスアリーナの開業年で、試合関連経費もトップチーム人件費もB1平均を超えていました。次のシーズン以降にどう変わるかは、まだ開示されていません。
Q. 親会社からの支援ということですか。
断定はできません。B.LEAGUEの決算概要は特別利益の内訳を開示しておらず、クラブも説明を公表していないためです。言えるのは、長崎ヴェルカがジャパネットグループの「スポーツ・地域創生事業」に位置づけられており、同じ区分にV・ファーレン長崎と長崎スタジアムシティが並んでいるということまでです。それ以上は推測になります。
(参考)B.LEAGUE 公式サイト – 公益社団法人ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ
スポンサー1社あたりは約321万円

スポンサー収入8億6089万円を実数268社で割ると、単純平均で1社あたり約321万円になります。
この連載で調べた21クラブのなかでは9番目。B1では千葉ジェッツの約707万円、宇都宮ブレックスの約263万円の間に入ります。B1のクラブとしては標準的な水準です。
ただし実態はもっと偏っているはずです。ASSIST COMPANYの77社は年10万円と分かっているので、この77社ぶんは合計770万円。これを引いた8億5319万円を残り191社で割ると、1社あたり約447万円になります。
さらにTOP PARTNER 1社、PREMIUM PARTNER 3社が大きな比重を占めているはずなので、中位の区分の実勢はこれより下がります。321万円も447万円も、あくまで全体の重心を示す数字として読んでください。
Q. いくらから検討できますか。
公開されている範囲では、アシストカンパニーの年10万円(税別)が唯一の明示された金額です。ロゴ掲出を伴うSILVER以上の区分は金額が公開されていないため、問い合わせが必要になります。ただしクラブはホームゲーム観戦付きの商談会を用意していて、実際にアリーナ内の広告を見ながら説明を受けられます。金額が出ていないぶん、この場で確認するのが早いはずです。
商談会と顔ぶれから見えること
最後に、協賛を検討する立場から見ておきたい点を3つ書きます。
ホームゲーム観戦付きの商談会がある
クラブはパートナー商談会を定期的に開いています。ハピネスアリーナに試合開始1時間前までに到着し、会場内の広告を実際に見ながらパートナーシップの説明を受け、そのまま試合を観戦するという流れです。参加は最大4名まで、申込は希望試合の1か月前までとされています。2026年10月から12月にかけて8試合分の日程が公開されていました。
アシストカンパニーは「自社で使う」設計
年10万円のアシストカンパニーは、看板やユニフォームへの掲出ではなく、専用ロゴ、呼称権、ステッカー、卓上のぼり、Web用バナーが中心です。クラブから露出をもらうのではなく、自社の営業活動にクラブの名前を使うという設計になっています。店舗や事業所を持つ企業に向いた形です。
SPECIAL SEAT COMPANYは接待の枠に近い
18社のうち13社が他の区分と重なっていたSPECIAL SEAT COMPANYは、広告というより座席の確保に近いメニューです。協賛としての露出はSILVER以上で取り、接遇の枠はSPECIAL SEATで取るという使い分けが、重複の内訳から読み取れます。税務上の扱いも変わりやすい部分なので、契約時に内容を整理しておく価値があります。
Q. 結局、長崎ヴェルカの協賛構造はどう見ればよいですか。
5階層の上に全国企業が並び、下にアシストカンパニー77社という裾野があり、横に座席のメニューがある、という三方向の構成です。地元金融機関が上位にいないぶん、全国企業と親会社グループの比重が大きくなっています。金額が公開されているのは年10万円の1メニューだけなので、それ以外は商談会か問い合わせで確かめるしかありません。
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