地方スポーツクラブの収益源を増やすデータ活用多角化プラン

地方スポーツクラブの収益源を増やすデータ活用多角化プランを表すアイキャッチ画像 ソリューション

月謝の入金確認だけで1日が終わる。そんな地方の小さなスポーツクラブの運営者は少なくありません。会員数が伸び悩む中、値上げは退会につながりかねず、身動きが取れないまま毎月の会費収入だけに頼り続けているのが実情です。

結論として、地方スポーツクラブの収益源を増やす近道は、新規会員の獲得競争に体力を使うことではなく、すでに蓄積している会員データを使って「会費以外の収益メニュー」を作ることです。本記事では、その具体的な設計方法と導入手順、料金モデルを解説します。

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プランの概要

本プランは、出席率・体力測定データ・年代構成といった既存の会員データを分析し、法人向け健康経営プログラムや地域自治体向け事業への展開メニューを設計するものです。

  • 会員の出席傾向・体力データを可視化し、外部提案用の資料を自動生成する
  • 地元企業向けに「健康経営プログラム」としてパッケージ化する
  • 自治体の介護予防事業・部活動地域移行の受け皿として応募する

会費に依存しない収益の柱を、新しい会員を増やさずに作れる点が特徴です。

課題解決の流れ

地方クラブの会費収入への依存を現状の課題・問題の要因・解決策に分解したツリー図
地方クラブの会費収入への依存を課題・要因・解決策に分解した構造

収益源が単一化してしまう理由を整理し、データ活用でどう解決するかを説明します。

現状の課題

多くの地方クラブは会費収入だけに依存しており、少子化や競合の増加で会員数が横ばい、あるいは減少傾向にあります。値上げも退会リスクを伴うため実行しづらい状況です。

問題の要因

要因は「会員データを外部提案に使える形に加工できていないこと」です。出席記録や体力測定の結果は現場に眠ったままで、法人や自治体に見せられる資料になっていません。

解決策

出席率や体力データを月次でグラフ化し、「継続率」「健康改善効果」として法人・自治体向けの提案資料に転用します。データという既存資産を外部提案の武器に変える発想です。

Q. 会員データはどこまで外部に見せてよいのですか?

個人が特定できない形に集計したうえで提示します。氏名や個別の測定値をそのまま渡すのではなく、年代別平均や継続率などの統計値に加工してから提案資料に使います。

3つの理由でデータ活用多角化が効く

模倣されやすさと専門性の2軸でデータに基づく多角化と会費収入依存を比較したマトリックス図
模倣されやすさ×専門性でみるデータに基づく多角化の位置づけ

数ある収益源の増やし方の中で、なぜ会員データの活用から始めるべきか、3つの理由から説明します。

理由1|新規顧客開拓よりコストがかからない

新しい会員を集めるには広告費と時間がかかりますが、既存データの整理は現場の工夫だけで着手できます。

理由2|スポーツ市場の追い風がある

スポーツ庁は第3期スポーツ基本計画のなかで、スポーツ市場を拡大しその収益をスポーツ環境の改善に還元する好循環を政策目標として掲げ、スポーツ市場規模を5.5兆円から2025年までに15兆円へ拡大する方針を示しています。

(参考)スポーツの成長産業化(第3期スポーツ基本計画) – スポーツ庁

理由3|なぜ自社がやるべきか

地域に根ざしたクラブほど、地元企業・自治体との関係が既にあります。この関係性を土台にできるのは、全国チェーンではなく地域クラブ自身の強みです。

プランの具体的な内容

本プランは3つの収益メニューで構成されます。それぞれの内容を表にまとめ、続く見出しで詳しく説明します。

メニュー 内容
法人向け健康経営プログラム 地元企業の社員向けに運動プログラムを提供し、継続率データを報告
自治体の介護予防事業受託 高齢者向け運動教室を自治体事業として受託する
部活動地域移行の受け皿 学校部活動の地域クラブ活動化を受託し、指導料を得る

表1:会員データを活用した3つの収益メニュー

法人向け健康経営プログラム

会員の体力測定データを健康経営の実績報告に転用できる形に整えることで、法人契約の提案材料になります。

自治体の介護予防事業受託

高齢会員の継続率データは、自治体が求める介護予防事業の成果指標としてそのまま使えます。

部活動地域移行の受け皿

国の方針で進む部活動の地域移行は、指導者不足に悩む学校とクラブの双方にとって受け皿を必要としています。

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導入ロードマップ

データ活用多角化導入ロードマップ データ整備・先行提案・本格展開の3フェーズ
導入ロードマップ|データ整備・先行提案・本格展開の3フェーズ

導入は3つのフェーズで進めます。いきなり法人営業に動くのではなく、まず社内のデータを整えることが先決です。

1データ整備(1ヶ月):出席率・体力測定データを集計し、提案資料の型を作る
2先行提案(1ヶ月):関係のある地元企業・自治体1〜2件に絞って提案する
3本格展開(3ヶ月〜):契約実績をもとに提案先を広げ、複数の収益メニューを並行運営する

データ整備(1ヶ月)

まずは既存データを法人・自治体向けに転用できる形式に整えることから始めます。専用のシステム投資は不要で、表計算ソフトでも着手できます。

先行提案(1ヶ月)

面識のある地元企業や自治体の担当者に絞って提案することで、初回の成約率を高めます。

本格展開(3ヶ月〜)

先行事例の実績データを次の提案に使うことで、提案の説得力が回を追うごとに増していきます。

効果・KPIと続行・撤退の判断基準

導入効果は新規収益の額だけでなく、既存会員への負荷が過度になっていないかも合わせて確認します。

主要KPI

主なKPIは「新規収益メニューの契約件数」「提案先の継続率」「既存会員の満足度」の3つです。半年経過時点でこれらに動きがなければ、提案先の選定を見直します。

続行・撤退の判断基準

先行提案から3ヶ月で1件も成約に至らない場合は、提案資料の作り込みが不足している可能性が高く、資料の型を見直したうえで再挑戦すべきです。1件でも成約できれば、その実績を武器に本格展開へ進める合図です。

Q. 専任のスタッフがいなくても始められますか?

始められます。最初のデータ整備は既存スタッフが月数時間を割く程度で対応可能です。契約が増えてきた段階で、提案業務の専任化を検討してください。

料金モデルという選択肢

従来型の会費モデルだけに頼らず、法人・自治体向けの新しい収益は契約形態を柔軟に設計できます。

買い切り型の限界

単発の運動教室を買い切りで提供するだけでは、クラブ側に継続的な収益が積み上がらず、提案の度に営業コストがかかります。

新モデルの仕組み

月額のサブスク型契約を基本とし、自治体事業のように成果指標が明確な場合は成果連動の要素を組み合わせるハイブリッド型が適しています。

導入時の注意点

自治体事業は年度予算に紐づくため、契約更新の時期と予算編成のタイミングを事前に確認しておく必要があります。

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対象となる組織・読者

本プランが特に効果を発揮する組織を2つのタイプに分けて紹介します。

会員数が横ばいの地方スポーツクラブ運営者

会員増加が見込みにくい地域ほど、既存データの多角活用による収益効果が大きく出ます。

部活動地域移行の受け皿を探す教育委員会・学校関係者

指導者不足に悩む学校側にとっても、実績データを持つ地域クラブは信頼できる委託先候補になります。

期待できる効果

導入によって期待できる効果を、クラブ・会員・地域の3つの視点から整理します。

クラブ|会費以外の収益の柱ができる

単一収益に依存しない体質になることで、会員数の増減に左右されにくい経営基盤ができます。

会員|データが可視化され自分の成長が分かる

体力測定や出席のデータが定期的にフィードバックされることで、会員自身のモチベーション維持にもつながります。

地域|健康増進と教育の受け皿が広がる

地元企業の健康経営や学校の部活動を支える存在として、クラブの地域内での役割が広がります。

Q. 小規模なクラブでも法人提案はできますか?

できます。規模の大小より、データを提案資料に落とし込めているかどうかが成約の分かれ目です。まずは面識のある1社への提案から始めてください。

まとめ

  • 会費収入への依存から抜け出すには、既存の会員データを外部提案に転用する発想が有効
  • 法人向け健康経営・自治体の介護予防事業・部活動地域移行が主な収益メニュー
  • 導入はデータ整備→先行提案→本格展開の3フェーズで進める
  • 料金モデルはサブスク型を基本にハイブリッド型を組み合わせる

まずは面識のある1社への先行提案から、収益源の多角化を始めてみませんか。

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About The New株式会社 代表取締役 森永 昂
執筆者
About The New株式会社 代表取締役 森永 昂

新卒で東証プライム上場の社会人教育・コンサルティング企業に入社し、人材育成・組織開発に従事。その後、別企業でメディア・プラットフォーム事業の責任者を務める。

2025年5月に About The New株式会社 を設立。スポーツの現場で培われた知見を組織開発・人材育成の文脈に翻訳し、研修・チームビルディング・イベントの企画運営を行っています。

「知識を得る」で終わらせず「行動が変わる」ところまでを設計することを大切にしています。ご相談は contact@aboutthenew.co.jp まで。

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