スポーツテック企業16社一覧|法人導入の目的別に選ぶ

日本のスポーツテックスタートアップ一覧2026 スポーツビジネス

「健康経営の一環で、何かスポーツ関連のサービスを入れられないか検討しておいて」。会議の終わりぎわにそう振られて、検索窓に「スポーツテック」と打ち込んでみたものの、出てくるのは市場規模の話と海外の事例ばかり。社名が並んでいるページを開いても、それが自社で使えるものなのか、そもそも法人に売っているのかが分からない。気づけば30分が過ぎている、という経験はないでしょうか。

この記事では、日本国内のスポーツテック企業16社を「何のために導入するのか」という用途で4分野に整理しました。各社が何をしているサービスなのか、企業の現場ではどこで使えそうなのかを一社ずつ説明し、最後に自社に合う1社をどう絞り込むかまで扱います。投資家向けの銘柄紹介ではなく、導入を検討する立場の方が候補を絞るための一覧です。

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  1. スポーツテックが企業の経営課題とつながりはじめた背景
  2. この一覧の作り方|16社の選定基準と調査時点
  3. コンディション管理と動作分析を担う7社
    1. ユーフォリア|バラバラの体調データを1か所に集める
    2. Sportip|姿勢と動きをAIで見て運動指導につなげる
    3. ORPHE|足元のセンサーで歩き方と走り方を測る
    4. ネクストベース|野球の動作解析で培った知見を広げる
    5. SPLYZA|専用機材のいらない3D動作解析
    6. RUN.EDGE|見たい場面をすぐ呼び出す映像分析
    7. AuB|腸内環境という切り口からコンディションを見る
  4. 従業員の健康づくりを支える3社
    1. TENTIAL|睡眠と回復から健康施策に入る
    2. hacomono|運動施設の運用をまとめて回す
    3. Runtrip|走ることを続けさせる仕組みを持つ
  5. 体験型プログラムでチームを動かす2社
    1. meleap|運動が得意でなくても土俵に乗れるARスポーツ
    2. GLOE|身体的な条件に左右されにくいeスポーツ
  6. 情報基盤とファン接点をつくる4社
    1. ookami|試合をリアルタイムで追える場をつくる
    2. スポーツブル|学生・アマチュアの現場をデジタル化する
    3. Link Sports|チーム運営の事務作業を軽くする
    4. HALF TIME|スポーツ業界の人材と情報をつなぐ
  7. 自社に合う1社の選び方|目的から候補を4通りに絞る
    1. 不調の兆候を早くつかみたい場合|測る対象を先に1つ決める
    2. 休養と運動習慣を底上げしたい場合|行動を変えなくて済む施策から入る
    3. 部署をまたいだ関係性をつくりたい場合|経験差が出ない競技を選ぶ
    4. スポーツを通じた発信や地域連携をしたい場合|既存の基盤に乗る
  8. まとめ

スポーツテックが企業の経営課題とつながりはじめた背景

スポーツテックが「スポーツ好きのための技術」から「企業が検討する対象」へ移ってきた背景には、国の政策が置いた明確な方向づけがあります。スポーツ庁は、スポーツを成長産業として位置づけ、市場規模の拡大を政策目標に掲げています。

スポーツ庁は「スポーツの成長産業化」として、スポーツ市場規模5.5兆円を2025年までに15兆円に拡大することを目指す、としています。その手段として同庁が挙げているのが、スタジアム・アリーナ改革推進事業(コストセンターからプロフィットセンターへの転換)と、スポーツオープンイノベーション推進事業(スポーツ界と他業界の共創による新事業の創出)の2つです。

ここで押さえておきたいのは、後者が「スポーツ界と他業界の共創」を掲げている点です。つまり国の設計上、スポーツ産業の伸びしろは、スポーツ業界の内側ではなく、スポーツと他の産業が接続する境界線に置かれています。企業がスポーツテックを検討するという行為そのものが、この政策が想定している動きの内側にあるわけですね。

なお、産業としての実際の経済規模については、株式会社日本政策投資銀行 産業調査部が「わが国スポーツ産業の経済規模推計 日本版スポーツサテライトアカウント 2011~2022年推計」を2026年3月6日に発行しています。年次ごとの推計値を確認したい場合は、こちらが一次資料にあたります。

(参考)スポーツの成長産業化(第3期スポーツ基本計画) – スポーツ庁

(参考)わが国スポーツ産業の経済規模推計 日本版スポーツサテライトアカウント 2011~2022年推計(2026年3月6日発行) – 株式会社日本政策投資銀行

この一覧の作り方|16社の選定基準と調査時点

企業一覧の記事は、どう作られたかが書かれていないと、読む側は数字や社名をどこまで信じてよいか判断できません。そこで先に、この一覧をどうやって組み立てたかを開示しておきます。

対象にしたのは、日本国内を拠点として、スポーツまたは身体活動に関わる技術・サービスを提供しており、かつ法人・団体向けの提供実態が公開情報から確認できる企業です。掲載順は評価の順位ではなく、用途分野ごとの並びです。

そして今回は、各社の設立年・資本金・導入社数といった数値をあえて載せていません。これらは公式サイトの表示形式によっては機械的に取得できず、二次情報を経由すると誤りが混ざりやすいためです。裏づけの取れない数字を並べるくらいなら、確実に説明できる「何をするサービスか」「法人ではどこで使えそうか」に絞ったほうが、検討材料として役に立つと判断しました。数値を明記しているのは、各社が自ら公表している内容を確認できたものだけです。

分野 主な導入目的 掲載社数
コンディション管理・動作分析 体調やケガのリスクを数値で把握する 7社
従業員の健康づくり 働く人の回復・運動習慣を支える 3社
体験型プログラム 人を集めて関係性をつくる 2社
情報基盤・ファン接点 チームや競技の運営・発信を支える 4社

本記事で扱う4分野の内訳(2026年8月時点で公開情報から確認できた企業を分類)

なお、この16社は日本のスポーツテック企業を網羅したものではありません。公開情報から用途と法人利用が確認できた範囲での整理であり、記載内容はいずれも2026年8月時点のものです。導入を具体的に進める段階では、必ず各社の公式サイトと最新の提供条件をご確認ください。

コンディション管理と動作分析を担う7社

この分野は、人の身体の状態や動きをデータとして取得し、ケガの予防やパフォーマンスの改善につなげる領域です。もともと競技スポーツ向けに発達してきましたが、測っている対象が「働く人の身体」に置き換わるだけで、企業の健康施策やリハビリ・介護の現場にそのまま接続できるものが多いのが特徴です。

企業名 主なサービス 何を測る・支えるか
株式会社ユーフォリア ONE TAP SPORTS 選手のコンディションデータの集約と管理
株式会社Sportip Sportip Pro/リハケア/Sportip Motion AIによる姿勢・動作の解析と運動指導
株式会社ORPHE ORPHE CORE/ORPHE TRACK/ORPHE ANALYTICS 足元のセンサーによる歩行・走行の計測
株式会社ネクストベース BACS/BASS 野球を中心とした動作解析とデータ活用
株式会社SPLYZA SPLYZA Motion/SPLYZA Teams マーカーレスの3D動作解析と映像分析
RUN.EDGE株式会社 FL-UX/PITCH BASE 映像のシーン検索・分析
AuB株式会社 aub/GUT PARTNER 腸内環境の分析とコンディション設計

コンディション管理・動作分析の7社と、それぞれが扱う対象

ユーフォリア|バラバラの体調データを1か所に集める

株式会社ユーフォリアが提供する「ONE TAP SPORTS」は、選手のコンディションに関するデータを集約して管理するプラットフォームです。日々の体調、練習量、けがの履歴といった、担当者ごとに散らばりがちな情報を1か所にまとめ、変化を追えるようにするという発想に立っています。

企業の視点で見ると、この「担当者ごとにバラバラに持っている状態の情報を、時系列で1か所に集める」という設計思想は、健康経営でつまずきやすいポイントとちょうど重なります。健康診断は総務、ストレスチェックは人事、日々の残業時間は各部署、というように情報の持ち主が分かれていると、異変の兆候に気づくのが遅れます。まず何を集約すべきかを考える段階で、参考になる考え方です。

Sportip|姿勢と動きをAIで見て運動指導につなげる

株式会社Sportipは、AIによる姿勢解析・動作解析を軸にしたサービスを展開しています。「Sportip Pro」は適切なフォームや運動の指導を支援するアプリで、このほか介護・デイサービス向けの「リハケア」、より専門的な計測に向けた「Sportip Motion」といった形で、対象者に応じた展開がなされています。

注目したいのは、同じ動作解析の技術が、競技者向けからシニアのリハビリ支援まで幅を持って提供されている点です。従業員の年齢構成が幅広い企業ほど、「アスリート向けの高度な機能」よりも「運動が苦手な人でも扱えるか」が導入の分かれ目になります。製品群の広さは、その相談がしやすいかどうかの目安になります。

ORPHE|足元のセンサーで歩き方と走り方を測る

株式会社ORPHEは、靴に取り付けるセンサー「ORPHE CORE」と、計測データをもとにフォームの改善やトレーニング方法の助言を提供するアプリ「ORPHE TRACK」を展開しています。手持ちの靴をスマートシューズ化するという考え方で、ランニングだけでなく歩行の計測にも対応しています。

加えて同社は、法人向けの動作分析ソリューションとして「ORPHE ANALYTICS」を提供しています。特別な機材を持たない企業でも、まず「歩く」という日常動作からデータを取り始められる点は、運動習慣のない従業員が多い職場にとって現実的な入口になります。

ネクストベース|野球の動作解析で培った知見を広げる

株式会社ネクストベースは、スポーツ科学とITを組み合わせたデータプラットフォーム事業を進めており、プロ選手・指導者向けの「BACS」、アマチュア向けの「BASS」といったシステムを提供しています。野球を軸に、投球や打撃の動作を計測・解析する領域で知見を積み上げてきた企業です。

競技特化型のサービスは、一見すると企業の健康施策とは遠く見えます。ただし「特定の動作を精密に分解して、改善点を言語化する」という手法自体は、製造や物流の現場で作業動作を見直す場面と発想が近い領域です。自社の課題が身体の使い方そのものにある場合には、検討の余地があります。

SPLYZA|専用機材のいらない3D動作解析

株式会社SPLYZAは、AIを活用したマーカーレスの3D動作解析アプリ「SPLYZA Motion」や、選手自身が課題の発見から解決まで行える映像分析ツール「SPLYZA Teams」などを提供しています。同社の公表によれば、これらのサービスは約200組織で活用されており、スポーツ団体だけでなく教育機関、医療施設、製造業といった業種にも広がっています。

マーカーレスというのは、身体に反射マーカーを貼らずに動きを解析できるという意味です。専用のスタジオや装着作業が不要になるぶん、現場に持ち込むハードルが下がります。導入先に製造業が含まれているのは、この扱いやすさが競技以外の現場にも通用していることの表れといえます。

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RUN.EDGE|見たい場面をすぐ呼び出す映像分析

RUN.EDGE株式会社は、スポーツ分野の映像検索・分析サービスを提供しています。フィールドスポーツ向けのリアルタイム映像分析・コミュニケーションツール「FL-UX」や、野球チーム向けの映像分析アプリ「PITCH BASE」がその中心です。

同社は、スポーツ向けのサービスに加えて、産業向けのDX支援サービスも手がけています。膨大な映像の中から必要な場面だけを取り出す技術は、競技の振り返りに限らず、研修映像の整理や現場作業の記録の活用にも応用が利く領域です。

AuB|腸内環境という切り口からコンディションを見る

AuB株式会社は、アスリートの腸内細菌の研究をもとに、腸ケア商品を扱うブランド「aub」や、腸内環境を分析してオーダーメイドのレポートを作成する「GUT PARTNER」を展開しています。医療機関向けのブランド「aub for medical」も立ち上げており、研究知見を用途別に届ける形をとっています。

体調管理というと運動と睡眠に目が行きがちですが、この分野は食事と消化という別の入口からアプローチしています。運動施策が定着しにくい職場では、生活習慣のうち先に手をつけやすい部分から入るという選択肢もあります。

従業員の健康づくりを支える3社

ここからは、競技者ではなく「働く人・生活者」を主な対象にしている企業です。健康経営の文脈でもっとも直接的に接続しやすいのがこの分野で、休養・運動習慣・施設利用といった日常に近いところを扱います。

企業名 主なサービス 企業での使いどころ
株式会社TENTIAL BAKUNE ほかコンディショニング製品 睡眠・回復に着目した健康施策
株式会社hacomono hacomono 運動施設の予約・決済・入館の運用
株式会社Runtrip Runtrip アプリ ほか 走る習慣づくりと継続の後押し

働く人を主な対象とする3社と、企業での想定用途

TENTIAL|睡眠と回復から健康施策に入る

株式会社TENTIALは、「BAKUNE」シリーズをはじめとするコンディショニング製品を、SLEEP・WORK・FOOTの3領域で展開しています。同社の公表情報によれば、米国のCES 2026においてSports & Fitness部門の「Best of Innovation」を受賞しており、またNTT東日本との共同検証実験を通じて、従業員の睡眠課題の解決に向けた製品活用が確認されています。

この「大企業と組んで従業員の睡眠を検証する」という動きは、健康施策の中で睡眠が扱いやすいテーマであることを示しています。運動を習慣づけるには本人の行動変容が必要ですが、休養環境の見直しは物理的に整えられる部分が大きく、施策として着手しやすいためです。

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hacomono|運動施設の運用をまとめて回す

株式会社hacomonoは、ウェルネス・運動施設向けのマネジメントシステム「hacomono」を提供しています。リアル店舗における予約・決済やセルフチェックインをオンラインで完結できるクラウドサービスで、フィットネスクラブやスクールなどの運営側を支える立ち位置です。

従業員向けに運動の機会をつくろうとすると、実施そのものより「誰がいつ来るかの管理」で現場が止まりがちです。自社に運動施設を持つ企業や、福利厚生として施設と提携する企業にとっては、運用の負荷をどう下げるかという観点で関わってくる領域といえます。

Runtrip|走ることを続けさせる仕組みを持つ

株式会社Runtripは、ランナー向けのアプリ「Runtrip」を中心に、ランニングコースを探せるサービスや情報メディアを運営しています。走る場所を見つけて、記録し、他のランナーとつながるという体験を一続きで提供している点が特徴です。

健康施策で最も難しいのは、始めることではなく続けることです。走行距離を競わせるのではなく「どこを走るか」という楽しみ方の側から入る設計は、社内で運動を推進する際の組み立て方としても参考になります。

体験型プログラムでチームを動かす2社

身体を動かす体験そのものを商品にしている企業です。個人の健康数値を改善するというより、人を集めて関係性をつくる目的で使われることが多く、研修やイベントの企画と近い距離にあります。

企業名 主なサービス 体験の性質
meleap inc. HADO AR技術を使った体感型スポーツ
GLOE株式会社 eスポーツ大会・施設の企画運営 画面越しに参加できる競技体験

体験型プログラムを提供する2社と、それぞれの体験の性質

meleap|運動が得意でなくても土俵に乗れるARスポーツ

meleap inc.は、頭にヘッドマウントディスプレイ、腕にアームセンサーを装着して行うAR技術を活用した体感型スポーツ「HADO」を展開しています。モンスターバトルやシューティングなど、複数の競技形式が用意されています。

チームで身体を動かす機会をつくろうとすると、運動経験の差がそのまま参加意欲の差になってしまうという壁があります。ルールが新しく、全員が初心者から始められる競技は、この差を最初から取り除けるという点で、既存のスポーツにはない利点を持っています。

GLOE|身体的な条件に左右されにくいeスポーツ

GLOE株式会社は、PC・モバイル・コンソールにまたがるゲームおよびeスポーツの大会・施設の企画運営を行い、プロゲーマーやストリーマーのマネジメント・キャスティングも手がけています。

eスポーツをスポーツテックの一覧に含めるかは議論がありますが、企業側の目的が「関係性をつくること」である場合、有力な選択肢になります。年齢や体力、勤務地の違いに影響されにくく、リモート勤務が混在する組織でも同じ場に集まりやすいためです。

情報基盤とファン接点をつくる4社

最後は、競技やチームの運営・発信そのものを支える企業です。自社でスポーツチームを持つ企業や、スポーツを通じた地域連携・広報を検討する企業にとって関係の深い領域になります。

企業名 主なサービス 支えている対象
株式会社ookami Player! 試合情報とファンの視聴体験
スポーツブル株式会社(旧・株式会社運動通信社) SPORTS BULL/ANYTEAM/BUKATSU ONE 学生・アマチュアスポーツの発信と運営
株式会社Link Sports スポーツチーム向けITソリューション チーム運営の事務・連絡
HALF TIME株式会社 スポーツビジネス領域の人材・情報サービス スポーツ業界で働く人と組織

情報基盤・ファン接点を担う4社と、それぞれが支えている対象

ookami|試合をリアルタイムで追える場をつくる

株式会社ookamiは、スポーツエンターテインメントアプリ「Player!」の開発・運営と、スポーツ情報インフラの構築を手がけています。競技団体との連携を通じて、試合の情報とファンの体験をつなぐ役割を担っています。

企業がスポーツチームを保有したりスポンサードしたりする場合、露出の量そのものより「誰にどう届くか」が問われます。ファンが集まる場所がどこにあるのかを把握しておくことは、協賛の費用対効果を考えるうえでの前提になります。

スポーツブル|学生・アマチュアの現場をデジタル化する

スポーツブル株式会社(2026年5月1日に株式会社運動通信社から社名変更)は、学生・アマチュアスポーツのライブ配信を中心としたスポーツメディア「SPORTS BULL」を運営しています。あわせて、アマチュアのチームとファンに向けたコミュニティサービス「ANYTEAM」、部活動を支援する自治体向けDXソリューション「BUKATSU ONE」を提供しています。

部活動の地域移行が進むなかで、学校・自治体・民間の役割分担は各地で組み替えが起きています。地域貢献や採用広報の観点でこの領域に関わろうとする企業にとって、どこがすでにデジタル基盤を持っているかを知っておく意味は小さくありません。

Link Sports|チーム運営の事務作業を軽くする

株式会社Link Sportsは、ITを通じてスポーツをする人と支える人の双方が楽しめる環境をつくることを掲げ、スポーツチーム向けのITソリューションを提供しています。

企業の実業団やクラブ活動を続けるうえで負担になるのは、競技そのものより連絡・日程調整・記録管理といった事務作業です。担当者の善意に依存した運営は引き継ぎで途切れやすいため、こうした基盤をどう用意するかは組織側の課題として残ります。

HALF TIME|スポーツ業界の人材と情報をつなぐ

HALF TIME株式会社は、スポーツビジネス領域における人材サービスと情報発信を手がけています。スポーツ業界の求人情報を扱うプラットフォームを運営しており、業界で働きたい人と組織との接点をつくる立ち位置にあります。

スポーツ関連の事業を新たに始めようとする企業にとって、最初の壁になるのは技術ではなく、その領域を分かっている人がいないことです。人材の流れがどこに集まっているかを知っておくと、内製と外部委託のどちらで進めるかの判断がしやすくなります。

自社に合う1社の選び方|目的から候補を4通りに絞る

ここまで16社を並べてきましたが、検討の実務でつまずくのは「どれが良いか」ではなく「自社は何を解きたいのか」が曖昧なまま比較を始めてしまう点にあります。目的が定まれば、候補は自然に4通りのどれかに落ち着きます。

解きたい課題 主な対象者 見るべき分野
不調やケガの兆候を早くつかみたい 従業員全般・選手 コンディション管理・動作分析
休養と運動習慣を底上げしたい 従業員全般 従業員の健康づくり
部署をまたいだ関係性をつくりたい チーム・部門横断 体験型プログラム
スポーツを通じた発信・地域連携をしたい 社外・地域・ファン 情報基盤・ファン接点

解きたい課題から見るべき分野を絞り込む4通りの整理

不調の兆候を早くつかみたい場合|測る対象を先に1つ決める

この目的で失敗しやすいのは、測れるものを片端から測ろうとして、データは集まったが誰も見ないという状態に陥るパターンです。睡眠なのか、歩行なのか、主観的な疲労感なのか、最初に追う指標を1つに絞ってから製品を選ぶほうが、結果的に早く進みます。

指標が決まっていれば、コンディション管理と動作分析の7社のうち、どこが自社の測りたいものを扱っているかはすぐに判別できます。逆に指標が決まっていない段階でデモを見比べても、機能の多さで印象が決まってしまいます。

休養と運動習慣を底上げしたい場合|行動を変えなくて済む施策から入る

運動習慣の施策は、本人が行動を変えないと成立しないため、最初から高い参加率を求めると続きません。寝具や休養環境のように、本人の努力を必要とせず環境の側を変えられる施策から入ると、抵抗が少なくなります。

そのうえで、走る・通うといった能動的な取り組みを重ねていく順番が現実的です。従業員の健康づくりを担う3社は、それぞれ入口の負荷が異なるため、自社の現状に合う段階から選ぶとよいでしょう。

部署をまたいだ関係性をつくりたい場合|経験差が出ない競技を選ぶ

この目的での判断軸は、運動強度でも費用でもなく「参加者の間に経験差が出ないか」です。既存のスポーツを使うと、経験者が主役になり未経験者が見学に回るという構図が生まれやすく、目的と逆の結果を招きます。

体験型プログラムの2社が扱う競技は、いずれも歴史が浅く、全員が同じ地点から始められるという共通点があります。関係性づくりを目的にするなら、この点は費用より優先してよい条件です。

スポーツを通じた発信や地域連携をしたい場合|既存の基盤に乗る

この領域は、自社で場をつくろうとすると費用も期間も膨らみます。すでにファンや競技者が集まっている基盤があるなら、そこに乗るほうが立ち上がりは早くなります。

情報基盤・ファン接点の4社は、それぞれ集めている対象が異なります。学生・アマチュアなのか、特定競技のファンなのか、業界で働く人なのかを見極めてから接触すると、話が具体化しやすくなります。

あわせて読みたいスポーツDX推進に学ぶデータ分析基盤導入の3視点

まとめ

日本のスポーツテック企業16社を、企業側の導入目的から4分野に整理してきました。要点を振り返ります。

  • スポーツ庁は「スポーツの成長産業化」として、市場規模5.5兆円を2025年までに15兆円へ拡大する目標を掲げ、他業界との共創を施策の柱に置いている
  • コンディション管理・動作分析の7社は、競技向けに発達した計測技術を持ち、対象を働く人に置き換えることで健康施策や現場改善に接続できる
  • 従業員の健康づくりを担う3社は、休養・施設運用・運動習慣という異なる入口を持ち、自社の現状に合う段階から選べる
  • 体験型プログラムの2社は、経験差が出にくい新しい競技を扱うため、関係性づくりを目的とする場合に適している
  • 情報基盤・ファン接点の4社は、集めている対象がそれぞれ異なるため、発信したい相手を先に決めてから接触するとよい
  • 製品を比較する前に「何を解きたいのか」を1つに絞ることが、検討を早く進めるうえで最も効く

本記事の内容は2026年8月時点で公開情報から確認できた範囲のものです。掲載した16社は日本のスポーツテック企業を網羅したものではなく、また各社のサービス内容や提供条件は変わる可能性があります。具体的な導入検討に進む際は、必ず各社の公式サイトで最新の情報をご確認ください。

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About The New株式会社 代表取締役 森永 昂
執筆者
About The New株式会社 代表取締役 森永 昂

新卒で東証プライム上場の社会人教育・コンサルティング企業に入社し、人材育成・組織開発に従事。その後、別企業でメディア・プラットフォーム事業の責任者を務める。

2025年5月に About The New株式会社 を設立。スポーツの現場で培われた知見を組織開発・人材育成の文脈に翻訳し、研修・チームビルディング・イベントの企画運営を行っています。

「知識を得る」で終わらせず「行動が変わる」ところまでを設計することを大切にしています。ご相談は contact@aboutthenew.co.jp まで。

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