元WBA世界ライトフライ級王者の具志堅用高さんは、1976年から13回連続でタイトルを防衛した「怖いもの知らず」のチャンピオンだった。だが26歳で引退してからの44年間、専属トレーナーはいない。特別な筋肉管理も健康管理もしてこなかった結果、体は緩み、生活習慣病が進んだという。71歳になった今、主治医とともに取り組み始めた「筋肉革命」的な生活リズムには、誰でも今日から始められる具体的なヒントがある。
引退後44年で気づいた「筋肉は結果だった」という事実
現役時代の具志堅さんは、筋肉をつけることを目的にトレーニングをしていたわけではなかった。トレーナーに言われるままに練習を重ね、世界チャンピオンになって気づいたときには、鍛え抜かれたボクサーの体ができ上がっていた。筋肉は狙って作ったものではなく、練習の「結果」だったのだ。
ところが26歳で引退してからは、その練習がなくなった。トレーナーもいない44年間で筋肉量は減少し、生活習慣病が進行。身長も低くなり、骨も劣化して、歩行姿勢に衰えが見えるようになったという。「今がチャンス」と、具志堅さん自身が現状を受け止めているところに、この生活改善の出発点がある。筋肉をつけることを目的にしなかった現役時代とは対照的に、引退後の今は自分の意思で体づくりに向き合う段階に入ったといえる。
(参考)具志堅用高さん(6)今から筋肉革命的生活を実践すれば100歳までタレントを目指せます – 日刊ゲンダイDIGITAL
「筋肉革命95」的な16時間の糖質制限
「筋肉革命95」とは、80歳まで働き、95歳までシャキシャキ歩くことを目指す生活メソッドの名称だ。特別な器具や食事制限のメニューを一から覚える必要はなく、1日のうち食べる時間帯を区切るだけという手軽さが特徴になっている。
そこで具志堅さんが取り入れ始めたのが、主治医が提唱する「筋肉革命95」的な生活リズムだ。柱になるのは、1日のうち16時間はブドウ糖(糖質)を摂らないという食事法である。
やり方はシンプルだ。昼12時から夜8時までの8時間は食事もアルコールも自由。残りの8時から翌日12時までの16時間は、水かお茶だけで過ごす。朝10時から午後6時まで食べて、6時から翌朝10時までを断つパターンでもいい。
毎日の飲酒は個人差があるものの脂肪肝をつくり、肝機能を低下させる原因になる。肝機能を改善するには、まずブドウ糖を制限すること。16時間の空腹時間を毎日つくれば、3カ月ほどで脂肪肝や肝機能の改善が見込めるという。仕事先のホテルで一人晩酌をする日が多いという具志堅さんの生活スタイルを踏まえても、飲酒そのものをやめるのではなく食事枠の中に収めるという設計だからこそ、無理なく続けられる。
13回連続防衛を支えた「我慢の哲学」
16時間という制限を毎日続けるのは、決して楽ではない。だが具志堅さんにとって、我慢は現役時代から体に染みついた習慣だった。人生は我慢から始まるというのが、具志堅さんの基本的な考え方だ。
厳しい指導者を恐れながら練習に食らいつき、人を信じてついていった先に世界チャンピオンの座があった。チャンピオンになってからも地位に溺れず、つらくても我慢して防衛を重ねた13回の記録は、その真価そのものだった。一流の1年生では駄目で、一流を継続して初めて本物になるという教えは、今の生活習慣にもそのまま当てはまる。
(参考)具志堅用高さん(6)今から筋肉革命的生活を実践すれば100歳までタレントを目指せます – 日刊ゲンダイDIGITAL
「ほとんど貧乏、ときどき贅沢」が続けるコツ
制限ばかりでは長続きしない。具志堅さんの暮らしぶりは「ほとんど貧乏、ときどき贅沢」という言葉に象徴される。普段は我慢を重ねながら、ここぞという場面ではきちんと楽しむというメリハリだ。
16時間の糖質制限も、残り8時間は食事もアルコールも自由という設計になっている点が続けやすさの鍵になっている。全てを我慢するのではなく、我慢する時間帯と楽しむ時間帯をはっきり分けることが、挫折しないための土台になる。生物が幸せに生きるために大切なこの暮らし方こそ、44年ぶりに体づくりへ本気で取り組む具志堅さんを支えている。

断食の成果を体組成計で確かめる
16時間の糖質制限は、続けているつもりでも「本当に効果が出ているか」が見えにくいという弱点がある。具志堅さんのケースのように、まずは体組成計を使って自分の体の変化を数字で確認する仕組みを作ることが、挫折を防ぐ近道になる。
「16時間」の成果を毎朝同じ条件で記録する
体組成計に乗るタイミングを、断食明けの朝一番、トイレを済ませた後などに固定する。同じ条件で測ることで、日々の数値のブレを減らし、本当の変化だけを追えるようになる。
- 体脂肪率
- 内臓脂肪レベル
- 骨格筋率
- 基礎代謝量
週末に「16時間を守れた日数」と数値を突き合わせる
毎日の数字だけを追うと一喜一憂しやすい。週に1度、記録アプリのグラフを開いて、その週に16時間の制限を守れた日数と体脂肪率・内臓脂肪レベルの推移を並べて見返す習慣をつくる。数字が動いた週と、外食や飲酒が続いた週を照らし合わせるだけでも、自分の生活パターンとの関係が見えてくる。
- アプリのグラフで直近4週間の体脂肪率の推移を確認する
- 16時間を守れた日数をカレンダーに記録して数値と照らし合わせる
数値が動かない週は「時間帯」を疑う
体組成計の数値が2週間以上動かない場合は、断食そのものをやめるのではなく、まず時間帯の運用を見直す。課題を特定し、対応を変えることで再び数値が動き出すことが多い。
- 内臓脂肪レベルが下がらない → 8時間の食事枠の中で間食が夜8時を超えていないか記録を見直す
- 体脂肪率の変化が小さい → 断食明けの最初の一口を野菜やタンパク質から食べる順番に変える
- 骨格筋率が下がっている → 空腹の時間帯に自重スクワットを10回×2セットほど挟む
よくある質問
16時間の糖質制限はどのくらいで効果を感じられますか
具志堅さんのケースでは、毎日の飲酒による脂肪肝や肝機能の低下が、継続すればおよそ3カ月ほどで改善が見込めるとされている。効果の出方には個人差があるため、体組成計などで自分の数値の推移を確認しながら進めるのが望ましい。
食事の時間帯にルールはありますか
紹介されている型は2つある。昼12時から夜8時までを食事枠にする型と、朝10時から午後6時までを食事枠にする型だ。どちらも「16時間の空腹時間」を確保する点は共通しており、自分の生活リズムに合わせて選べる。
毎日の飲酒を続けながら実践できますか
8時間の食事枠の中であればアルコールも自由とされている。ただし飲酒量が多いほど脂肪肝のリスクは高まるため、断食の時間帯を守ることと合わせて、飲酒量そのものを見直すことも改善への近道になる。
高齢者でも安全に取り入れられますか
具志堅さんのように高齢になってから始める場合は、持病の有無や体調によって適した進め方が異なる。持病があったり体調に不安があったりする場合は、自己判断で断食時間を延ばしたりせず、かかりつけ医に相談してから取り入れるのが安全だ。
まとめ
- 具志堅用高さんは26歳の引退後44年間、特別な筋肉管理をせず、筋肉量が減少して生活習慣病が進んだ
- 主治医が勧めるのは1日16時間、食事枠の8時間以外は水かお茶だけで過ごす糖質制限
- 継続すれば3カ月ほどで脂肪肝や肝機能の改善が期待できるとされている
- 13回連続防衛を支えた「我慢の哲学」が、いまの生活習慣の継続にも生きている
- 「ほとんど貧乏、ときどき贅沢」というメリハリのある暮らし方が、挫折しないための土台になっている


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