役員会議で「来期のスポンサー投資をどこに振り向けるか」という議題が上がったとき、担当者が手元に持っているのは3年前の市場調査データだけだったーーそんな場面に心当たりがある経営企画担当者は少なくないはずだ。
スポーツスポンサーシップ市場は、国の成長産業化政策と連動しながら拡大を続けている。「今後の市場成長を踏まえて投資戦略をどう立てるべきか」を考える上で、まず押さえておきたいのが市場規模の推移と成長要因だ。本記事では、市場成長予測の全体像と成長要因、投資戦略への活用ポイントを解説する。
スポーツ市場規模の推移と成長予測
スポーツ庁が2022年3月に策定した第3期スポーツ基本計画では、スポーツ市場規模を2025年までに15.2兆円へ拡大するという目標が掲げられた。2012年時点の5.5兆円から、大きな成長目標が設定された形だ。
| 年 | 市場規模 |
|---|---|
| 2012年 | 5.5兆円 |
| 2019年(コロナ禍前) | 10.2兆円 |
| 2025年(目標) | 15.2兆円 |
表:スポーツ市場規模の推移(スポーツ庁・第3期スポーツ基本計画等より作成)
2012年から2019年にかけて、国の名目GDP成長率0.9%を大きく上回る年率4.2%の成長を遂げた実績がある。この成長率の高さこそが、他業種と比較してスポーツ市場への投資が相対的に有望とみなされる根拠になっている。
また、コロナ禍で一時停滞した観客動員数も、無観客対応から通常運営への回復とあわせて持ち直しており、リアルなスタジアム体験への投資意欲が再び高まっている点も見逃せない。
市場成長を後押しする3つの要因
スポーツ市場の拡大は、単一の要因ではなく複数の政策・産業動向が重なって進んでいる。
①官民連携によるスタジアム・アリーナ整備
スタジアム・アリーナを核とした地域経済の活性化を狙う整備事業が各地で進んでおり、収益性の高い複合施設への投資が市場拡大を牽引している。
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②他産業とのオープンイノベーション
スポーツ団体と異業種が連携し、新しいビジネスモデルを創出する取り組みが増えている。国の支援事業を通じた実証も進み、スポーツ単体では生まれにくかった収益源が広がりつつある。
③デジタル技術による収益機会の多様化
配信・データ活用・ファンエンゲージメントアプリなど、デジタル技術を活用した新たな収益機会が生まれている。従来の入場料・放映権収入に依存しない収益構造への転換が進んでいる。
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投資戦略への活用ポイント
市場成長予測を実際の投資判断に落とし込む際は、成長要因のどこに自社の強みを重ねられるかを見極めることが重要になる。
成長領域を見極めてから投資規模を決める
市場全体の成長率だけでなく、スタジアム関連・デジタル関連など成長を牽引する個別領域のどこに自社の事業が接続できるかを見極めたうえで、投資規模を検討することが望ましい。
短期的なスポンサー効果と長期的な市場成長を分けて評価する
スポンサーシップの投資対効果は、単年の露出効果だけでなく、市場全体の成長トレンドに乗れているかという長期的な視点でも評価する必要がある。両者を分けて評価軸を設計することで、投資判断の精度が高まる。
具体的には、四半期ごとにスポンサー先の露出データと自社の認知度調査を突き合わせ、投資判断の材料として蓄積していく運用が効果的だ。単発の効果測定で終わらせず、市場成長のトレンドと自社の投資対効果を継続的に照らし合わせる姿勢が求められる。
よくある質問
Q. スポーツ市場の成長予測はどれくらい信頼できますか
国の政策目標として設定された数値であり、達成に向けた具体的な施策が伴っている点で一定の信頼性はあるが、外部環境の変化により進捗が前後する可能性はある。定期的な最新データの確認が推奨される。
Q. 中小企業でもスポーツスポンサーシップに投資する価値はありますか
大規模なスポンサー契約でなくても、地域密着型のクラブへの協賛など、規模に応じた投資機会は存在する。自社の事業領域と親和性の高い領域を選ぶことが重要だ。
Q. どの成長要因に注目すべきですか
自社が接続しやすい領域を優先すべきだが、デジタル技術を活用した収益機会は業種を問わず参入しやすい傾向にあるため、まず検討する価値がある。
まとめ
- スポーツ市場規模は2025年に15.2兆円という目標に向けて拡大を続けている
- 2012年から2019年にかけて年率4.2%という高い成長率を記録した実績がある
- スタジアム整備・産業連携・デジタル技術の3要因が市場成長を後押ししている
- 投資戦略では自社の強みと接続できる成長領域を見極めることが重要だ
- 短期的な露出効果と長期的な市場成長を分けて評価する視点が投資判断の精度を高める
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