試合会場を満員にする熱狂と、グッズやチケットの売上は必ずしも比例しません。「盛り上がっているのに収益が伸びない」というクラブ担当者の悩みは根深く、その背景には、ファンが認知から購買・継続支援に至るまでの道筋が設計されていないという課題があります。
単発のイベントで話題を作っても、そこから収益につながる導線が用意されていなければ、盛り上がりは一過性で終わってしまいます。
この記事では、スポーツマーケティングにおける「ファネル戦略」の考え方と、各段階で取るべき施策を整理します。クラブ・チームのマーケティング担当者に向けた内容です。
なぜスポーツマーケティングにファネル思考が必要か
ファネルとは、見込み顧客が認知・興味・比較・購買・継続支援へと進む過程を、じょうご(漏斗)の形になぞらえた考え方です。一般的な消費財マーケティングでは当たり前に使われますが、スポーツの現場では「熱量があれば自然に応援・購入につながる」という前提で施策が語られがちで、段階ごとの設計が抜け落ちやすい傾向があります。
結果として、認知施策(SNS発信)ばかりに予算を割き、実際の購買・継続支援につながる施策が手薄になっているクラブは少なくありません。
「知っているのに来ない」層を取りこぼさない
チームの存在は知っているが試合には行ったことがない、という潜在ファンは多く存在します。この層に対して認知段階と同じ訴求(存在を知らせる広告)を続けても効果は薄く、「初めての来場のハードルを下げる」施策(初回割引・アクセス情報の充実など)が必要です。ファネルの段階ごとに違う施策を用意することが、取りこぼしを防ぐ鍵になります。
ファネル各段階の施策設計
認知から継続支援までの各段階で、目的と有効な施策は異なります。以下に代表的な施策を整理しました。
| 段階 | 目的 | 有効な施策 |
|---|---|---|
| 認知 | 存在を知ってもらう | SNS露出・地域イベント出展 |
| 興味・比較 | 来場のハードルを下げる | 初回割引・アクセス情報の発信 |
| 購買・継続支援 | リピーター・会員化 | 会員限定コンテンツ・年間チケット |
ファネル段階ごとの目的と有効な施策
認知段階|SNS露出と地域イベント出展
まだチームを知らない層には、日常的に接点のあるSNSや、地域の商店街・企業イベントへの出展が効果的です。試合の勝敗情報だけでなく、選手の人となりが伝わる投稿は接点を増やしやすい傾向があります。地域に根ざした活動を継続することが、長期的なファン層の裾野を広げます。
興味・比較段階|来場ハードルを下げる
「行ってみようかな」と思った人が実際に来場するまでには、チケットの買い方・会場までのアクセス・持ち物といった細かい不安が壁になります。初来場者向けの案内ページや割引を用意することで、この壁を取り除けます。案内は文章だけでなく、写真や動画で会場の雰囲気を具体的に伝えると不安の解消につながります。
購買・継続支援段階|会員限定コンテンツで定着させる
一度来場した人にリピートしてもらうには、会員限定の情報発信や年間チケットの特典設計が効果を発揮します。単発の購買で終わらせず、継続的な関係を築く仕組みが収益の安定化につながります。継続支援者は単価の高いグッズや観戦体験にもお金を使う傾向があり、収益の柱として育てる価値があります。
データに基づく施策改善の重要性
各段階の施策は、勘に頼らず効果を継続的に検証することが重要です。どの段階で見込み客が離脱しているかを把握できれば、限られた予算を最も効果的な施策に配分できます。スポーツ庁は第3期スポーツ基本計画のなかで、スタジアム・アリーナ整備やスポーツ団体と他産業の連携による新しいビジネスモデルの創出を支援する方針を掲げており、データを活用したファン獲得の高度化も今後の重要テーマとされています。
(参考)スポーツの成長産業化(第3期スポーツ基本計画) – スポーツ庁
今週から見直せる3つのチェックポイント
ファネル戦略は大規模なシステム投資がなくても、現状の施策を段階別に整理するだけで改善の糸口が見えてきます。まずは自クラブの現状を棚卸しすることから始めましょう。
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まとめ
- スポーツマーケティングも認知・興味・購買・継続支援のファネルで段階を分けて設計する
- 「知っているが来ない」層には来場ハードルを下げる施策が有効
- 会員限定コンテンツや年間チケットの特典設計がリピーター化を後押しする
- 施策は段階ごとに効果を検証し、勘だけに頼らず改善を続ける
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