血中酸素(SpO2)を測るアプリ11選|健康経営に活かす選び方

血中酸素SpO2を測定するスマートウォッチとパルスオキシメーターの比較アイキャッチ スポーツDX

血中酸素(SpO2)を測るデバイスは、単なる健康グッズではなく、「装着のしやすさ」と「医療機器認証の有無」という2つの軸で使い分けるのが正解です。この記事では、スマートウォッチからパルスオキシメーターまで11製品を比較し、健康経営担当者が導入判断に使える選び方を解説します。

SELF CHECK

その疲れは、
どこから来ているのか

12の質問で、いま自分に効いている負荷を「量とペース/裁量/人間関係/回復」の4つに切り分けます。約2分・登録不要、回答は保存されません。

セルフチェックをする ▶
  1. 血中酸素(SpO2)を測るとは「見えない不調」を数値化すること
  2. 健康経営担当者がSpO2データに注目すべき3つの理由
    1. ①感染症・睡眠時無呼吸症候群の早期発見につながる
    2. ②出張・多忙期のコンディション崩れを可視化できる
    3. ③産業保健施策のエビデンスとして使える
  3. 血中酸素(SpO2)を測る11製品を比較する
    1. Apple Watch|血中酸素ウェルネスアプリで日常の傾向を追う
    2. Garmin|スポーツウォッチの実績を背景にしたPulse Ox機能
    3. Withings ScanWatch|医療機器認証と常時装着を両立する数少ない選択肢
    4. Masimo MightySat|医療現場のセンサー技術を採用した高精度機種
    5. Fitbit|睡眠中の自動計測でトレンドを把握する
    6. Oura Ring|指輪型で睡眠時の呼吸の規則性まで確認できる
    7. Samsung Galaxy Watch|Samsung Healthに一元管理できる安心感
    8. Amazfit|心拍・ストレス・呼吸数を一度に確認できる複合測定
    9. Wellue O2Ring|睡眠時無呼吸の兆候を継続的に追う専用機
    10. Nonin Onyx Vantage 9590|医療機関でも使われるスポットチェック機
    11. iHealth Air|Bluetoothでスマホと連携する家庭用オキシメーター
  4. 精度重視型・生活密着型・価格重視型|SpO2デバイスの選び方は2軸で決まる
    1. 生活密着型|日常の傾向把握に向くウェアラブル群
    2. 医療認証×常時型|信頼性と装着性を両立する希少な選択肢
    3. 簡易スポット型|必要な時だけ測る家庭用オキシメーター
    4. 医療グレード型|精度を重視する場面向けの専門機器
  5. SpO2データを健康経営施策に活かす3つのステップ
    1. ステップ①日常的にSpO2を測定し傾向値を把握する
    2. ステップ②安静時から数値が継続して低下した従業員を検知する
    3. ステップ③産業医面談・受診勧奨につなげ、必要な休養や配置転換を検討する
  6. 医療機器認証と一般ウェルネス機器の違いに注意する
  7. まとめ

血中酸素(SpO2)を測るとは「見えない不調」を数値化すること

血中酸素飽和度(SpO2)とは、血液中のヘモグロビンがどれだけ酸素と結合しているかを示す割合です。健康な状態ではおおむね95〜99%で推移し、この数値が継続的に下がると、呼吸器や循環器に何らかの負荷がかかっているサインになります。

体調不良は本人の自覚よりも先に、呼吸や睡眠の質の変化として現れることが少なくありません。SpO2はその変化を「数値」として捉えられる指標のひとつであり、主観的な申告に頼らないコンディション把握の手段として注目されています。

スポーツの現場でも、低酸素環境での運動時にSpO2が指標として使われてきました。公益財団法人日本スポーツ協会のガイドラインでは、低酸素施設を利用したトレーニングにおいて、運動負荷の増加に伴いSpO2が低下し、トレーニングの経過とともに同一負荷での低下幅が小さくなっていく過程が報告されています。運動生理学の分野で蓄積されてきたこの指標が、いまは一般の健康管理にも応用されている形です。

Q. 血中酸素(SpO2)とは何ですか?

血液中でヘモグロビンに結合している酸素の割合を示す指標です。健康な状態では95〜99%程度で推移し、値が継続的に低下すると呼吸や循環に何らかの負荷がかかっているサインになります。

(参考)ガイドラインのスポーツ医科学的背景 低酸素施設の利用 – 公益財団法人日本スポーツ協会

健康経営担当者がSpO2データに注目すべき3つの理由

SpO2は個人の体調管理だけでなく、企業の健康経営施策においても活用の余地がある指標です。ここでは、担当者が押さえておきたい3つの理由を整理します。

①感染症・睡眠時無呼吸症候群の早期発見につながる

睡眠中にSpO2が繰り返し低下する場合、いびきや睡眠時無呼吸症候群の兆候である可能性があります。日中の強い眠気や集中力低下の背景に睡眠の質の問題が隠れているケースは多く、SpO2データはその一次的な気づきのきっかけになります。

あわせて読みたい従業員の睡眠改善に取り組む企業の実践法

②出張・多忙期のコンディション崩れを可視化できる

長距離移動や不規則な勤務が続くと、自覚のないまま睡眠や呼吸の質が落ちていることがあります。ウェアラブル端末で日常的にSpO2を記録しておけば、繁忙期の前後で数値の変化を比較し、コンディションの崩れを客観的に把握できます。

③産業保健施策のエビデンスとして使える

SpO2のような生体データは、健康経営の取り組みを社内外に説明する際の裏付けとしても機能します。「感覚的に負担が大きい」ではなく「特定の時期にSpO2の低下傾向がみられた従業員が◯名いた」という形で示せれば、産業医面談や配置転換の判断材料としての説得力が増します。

Q. スマートウォッチのSpO2測定は医療用途で使えますか?

使えません。市販のスマートウォッチのSpO2機能は医療機器として認証されておらず、あくまで健康管理の参考値(ウェルネス用途)です。数値による自己判断は避け、継続的な低下がみられた場合は医師の受診につなげることが推奨されています。

血中酸素(SpO2)を測る11製品を比較する

今回取り上げる11製品は、公式サイトで仕様を確認できた国内外の主要なスマートウォッチ・パルスオキシメーターです。日常装着できるウェアラブル型と、必要な時だけ使うスポット測定型の両方を含め、価格帯・用途の異なる選択肢を並べています。

製品名 提供元 測定方式 医療機器認証 特徴
Apple Watch Apple オンデマンド+バックグラウンド なし(ウェルネス用途) Series 6以降・Ultraが対応、18歳以上限定
Fitbit(Charge 4/5/6) Google(Fitbit) 睡眠中の自動測定 なし 80〜100%の範囲で表示
Garmin(Venu・fēnixシリーズ等) Garmin 常時・睡眠時トラッキング(Pulse Ox) なし 2021年4月から対応機種を順次拡大
Oura Ring(Gen3・Gen4) Oura Health 睡眠3時間以上で自動測定 なし Ring4で測定精度を約30%改善
Withings ScanWatch/ScanWatch 2 Withings オンデマンド(約30秒) 一部モデルで取得 腕時計型で常時装着しながら医療機器認証も両立
Samsung Galaxy Watch(Watch3以降) Samsung LED・赤外線によるオンデマンド なし Samsung Healthアプリに記録・蓄積
Amazfit(Balance・Balance 2等) Zepp Health オンデマンド(約45秒) なし 心拍・ストレス・呼吸数を同時測定
Wellue O2Ring/O2Ring S Wellue(Viatom) 睡眠中の指輪型連続測定 なし(個人向け) 無呼吸兆候の継続モニタリングに特化
Masimo MightySat Masimo(国内はニプロが販売) 指先スポット測定 医療現場実績のあるSET技術搭載 灌流指数(Pi)も同時計測
Nonin Onyx Vantage 9590 Nonin Medical 指先スポットチェック 医療機関で使用される機種 PureSAT技術、4年保証・約6,000回測定可能
iHealth Air iHealth Labs Bluetooth対応スポット測定 仕向地により異なる(家庭向け) 専用アプリでトレンドを記録・共有

Human Soarが各社公式サイトの仕様情報をもとに作成した比較表(2026年8月時点)

Apple Watch|血中酸素ウェルネスアプリで日常の傾向を追う

Apple Watch Series 6以降とUltraシリーズは、血中酸素ウェルネスアプリを搭載し、オンデマンドでの測定に加えてバックグラウンドでの自動測定にも対応しています。iPhoneとの連携で睡眠データや心拍データと合わせて確認できる点が強みです。ただしSEシリーズは非対応で、利用には18歳以上という年齢制限があります。

あわせて読みたい心拍・自律神経(HRV)を測るアプリ・デバイス比較

(参考)Apple Watchで血中酸素ウェルネスアプリを使う方法 – Apple公式サポート

Garmin|スポーツウォッチの実績を背景にしたPulse Ox機能

GarminはVenuシリーズやfēnixシリーズなどで「Pulse Ox」と呼ばれる血中酸素トラッキング機能を提供しています。2021年4月から対応機種を順次拡大しており、ランニングやトレイルなど高強度の運動時のデータと組み合わせて確認できる点が、他のライフスタイル系ウェアラブルとの違いです。常時トラッキングと睡眠時トラッキングの両方を選べる機種が多く、用途に応じた設定が可能です。

(参考)血中酸素トラッキング機能 – Garmin公式サイト

Withings ScanWatch|医療機器認証と常時装着を両立する数少ない選択肢

Withings ScanWatch/ScanWatch 2は、腕時計型でありながら一部モデルで医療機器としての認証を取得している点が特徴です。オンデマンドで約30秒という短時間でSpO2を測定でき、PPG(光電式容積脈波)センサーが赤色光と赤外光の反射差から数値を算出します。日常使いのしやすさと測定の信頼性を両立したい場合の候補になります。

(参考)ScanWatch – What is SpO2? – Withings公式サポート

Masimo MightySat|医療現場のセンサー技術を採用した高精度機種

Masimo MightySatは、病院など医療現場で広く採用されているMasimo SET(信号抽出技術)を搭載した指先クリップ型のパルスオキシメーターです。SpO2と脈拍数に加えて、末梢の血流状態を示す灌流指数(Pi)も測定できます。日本国内ではニプロ株式会社が取り扱っており、精度を重視する用途に向いています。

(参考)MightySat 製品情報 – Masimo Japan公式サイト

Fitbit|睡眠中の自動計測でトレンドを把握する

Fitbit Charge 4/5/6は、睡眠中にSpO2を自動測定し、朝起きたときにタイル表示で確認できる仕組みです。表示範囲は80〜100%で、それ以下は「80%未満」とだけ表示されます。あくまで一般的な健康管理を目的とした機能であり、医療用途では利用できません。

Oura Ring|指輪型で睡眠時の呼吸の規則性まで確認できる

Oura Ring(Gen3・Gen4)は、睡眠が3時間以上続いた場合に自動でSpO2を測定する指輪型デバイスです。平均的な血中酸素レベルに加えて睡眠中の呼吸の規則性も分析します。最新のGen4ではセンシング精度が従来比で約30%向上しており、指輪型ならではの装着感の軽さも評価されています。

Samsung Galaxy Watch|Samsung Healthに一元管理できる安心感

Galaxy Watch3以降のモデルは、LEDと赤外線を使ったオンデマンド測定でSpO2を確認でき、結果はSamsung Healthアプリに記録されます。心拍数・睡眠・ストレスなど他の指標と同じアプリで一元管理できるため、Android・Galaxyユーザーにとっては導入のハードルが低い選択肢です。

Amazfit|心拍・ストレス・呼吸数を一度に確認できる複合測定

Amazfit BalanceやBalance 2は、BioTracker技術により心拍数・血中酸素・ストレス・呼吸数を約45秒で同時に測定できます。異常値を検知すると通知が届く機能も備えており、価格帯を抑えつつ複数の指標をまとめて確認したい場合に適しています。

Wellue O2Ring|睡眠時無呼吸の兆候を継続的に追う専用機

Wellue O2Ring/O2Ring Sは、指に装着するリング型の連続測定機で、1秒ごとにデータを記録し続けます。夜間の低酸素状態や無呼吸の兆候を継続的にモニタリングする用途に特化しており、いびきや睡眠の質が気になる人向けの専用機という位置づけです。

Nonin Onyx Vantage 9590|医療機関でも使われるスポットチェック機

Nonin Onyx Vantage 9590は、病院や介護施設など医療現場でも使用されているスポットチェック型のパルスオキシメーターです。PureSAT技術により体動時にも安定した測定が期待でき、単4電池2本で約6,000回の測定が可能、保証期間も4年と長い点が特徴です。

iHealth Air|Bluetoothでスマホと連携する家庭用オキシメーター

iHealth Airは、Bluetoothでスマートフォンと接続できる家庭用のパルスオキシメーターです。専用アプリでSpO2と脈拍数のトレンドを記録・共有でき、価格を抑えながらスポット測定を行いたい場合の選択肢になります。仕向地によって医療機器としての位置づけが異なる点には注意が必要です。

精度重視型・生活密着型・価格重視型|SpO2デバイスの選び方は2軸で決まる

11製品を並べると種類が多く見えますが、実際は「医療機器認証の有無」と「測定形態(常時装着か、必要な時だけのスポット測定か)」という2つの軸で整理すると選びやすくなります。Human Soarではこの2軸をもとに、11製品を4つの型に分類しました。

SpO2測定デバイス11製品を医療機器認証の有無×測定形態の2軸で分類した図

生活密着型|日常の傾向把握に向くウェアラブル群

Apple Watch、Fitbit、Garmin、Oura Ring、Samsung Galaxy Watch、Amazfitが該当します。医療機器認証はありませんが、日常的に装着したままデータを蓄積できるため、体調変化の「傾向」をつかむ用途に向いています。

医療認証×常時型|信頼性と装着性を両立する希少な選択肢

Withings ScanWatchシリーズが該当します。腕時計型で日常装着できながら、一部モデルで医療機器としての認証を取得している点が他のスマートウォッチとの違いです。

簡易スポット型|必要な時だけ測る家庭用オキシメーター

iHealth AirやWellue O2Ringなどが該当します。常時装着ではなく、気になったタイミングで手軽に測定したい場合に向いています。

医療グレード型|精度を重視する場面向けの専門機器

Masimo MightySatやNonin Onyx Vantage 9590が該当します。医療現場での実績があるセンサー技術を採用しており、数値の信頼性を優先したい場面に向いています。

Q. 企業が従業員向けに導入するならどのタイプを選ぶべきですか?

まずは装着のハードルが低い「生活密着型」のスマートウォッチで傾向を把握し、数値の低下が続く従業員には「医療グレード型」の測定器や産業医面談で精査する、という2段階の運用が現実的です。

SpO2データを健康経営施策に活かす3つのステップ

SpO2デバイスを導入しても、数値を眺めるだけでは施策になりません。データを実際の健康経営施策につなげるための3つのステップを整理します。

企業がSpO2データを測定から産業医面談につなげる3ステップの図解

ステップ①日常的にSpO2を測定し傾向値を把握する

まずは対象者が無理なく続けられるウェアラブル型のデバイスで、日常のSpO2を記録することから始めます。1回の数値ではなく、数週間単位の傾向値として捉えることが重要です。

あわせて読みたい活動量・消費エネルギーを測るアプリ比較

ステップ②安静時から数値が継続して低下した従業員を検知する

個人差が大きい指標であるため、他者との比較ではなく「その人自身の平常値からの変化」を基準にします。安静時の数値が数日にわたって下がり続けている場合は、体調変化のサインとして扱います。

ステップ③産業医面談・受診勧奨につなげ、必要な休養や配置転換を検討する

数値の変化が確認できた段階で、産業医面談や受診勧奨につなげます。SpO2の数値そのもので疾患を診断することはできないため、あくまで「気づきのきっかけ」として位置づけ、最終的な判断は医療専門職に委ねる運用が前提です。

医療機器認証と一般ウェルネス機器の違いに注意する

SpO2デバイスを導入する際にもっとも注意したいのが、「パルスオキシメータ」と名乗れる製品と、ウェルネス用途の製品の違いです。この違いを理解しないまま数値だけを見て自己判断すると、健康リスクにつながる可能性があります。

厚生労働省に提出された「パルスオキシメータの適正広告・表示ガイドライン」では、「パルスオキシメータ」という一般的名称は、認証等を受けた医療機器に限り使用できるとされています。また、家庭等で一般市民が利用する場合には、医師の指導なく数値によって疾患の自己判断を行わないことや、低酸素血症の兆候による受診判断は医師の指導を受けたうえで行うことが求められています。

企業がSpO2デバイスを健康経営施策に取り入れる場合も同様です。スマートウォッチなどウェルネス用途の機器で得られた数値は、あくまで傾向把握のための参考値として扱い、体調不良を訴える従業員がいれば、数値の解釈も含めて産業医や医療機関につなげる運用を徹底する必要があります。

Q. パルスオキシメータという名称は誰でも使えますか?

使えません。厚生労働省に提出された適正広告・表示ガイドラインにより、「パルスオキシメータ」の名称は医療機器として認証を受けた製品にのみ使用が認められています。

(参考)「パルスオキシメータの適正広告・表示ガイドライン」について – 厚生労働省

まとめ

血中酸素(SpO2)を測るデバイスは、医療機器認証の有無と測定形態という2軸で整理すると選びやすくなります。最後に、この記事の要点を振り返ります。

  • SpO2は血液中の酸素飽和度を示す指標で、継続的な低下は体調変化のサインになりうる
  • 今回紹介した11製品は「生活密着型」「医療認証×常時型」「簡易スポット型」「医療グレード型」の4つに分類できる
  • スマートウォッチ等のSpO2機能は医療機器ではなく、あくまでウェルネス用途の参考値である
  • 企業が活用する場合は、日常測定→数値の低下検知→産業医面談という3ステップで運用するのが現実的
  • 「パルスオキシメータ」の名称は医療機器認証を受けた製品に限られる点に注意する

ご質問・ご相談はお気軽にどうぞ

お問い合わせはこちら →
About The New株式会社 代表取締役 森永 昂
執筆者
About The New株式会社 代表取締役 森永 昂

新卒で東証プライム上場の社会人教育・コンサルティング企業に入社し、人材育成・組織開発に従事。その後、別企業でメディア・プラットフォーム事業の責任者を務める。

2025年5月に About The New株式会社 を設立。スポーツの現場で培われた知見を組織開発・人材育成の文脈に翻訳し、研修・チームビルディング・イベントの企画運営を行っています。

「知識を得る」で終わらせず「行動が変わる」ところまでを設計することを大切にしています。ご相談は contact@aboutthenew.co.jp まで。

コメント

タイトルとURLをコピーしました