多田修平の日誌ルーティン|集中力を生む目標設定術

多田修平選手の日誌ルーティンと集中力を紹介するアイキャッチ画像 スポーツアスリート

陸上男子100メートルで東京五輪代表を勝ち取った多田修平選手の集中力の土台は、高校入学時に始めた「日誌」による目標設定にある。目的も目標もなく練習していた中学時代から一変し、毎日の目標を書き続けたことが東京五輪代表という結果につながった。本記事ではその中身を解説する。

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タラタラ練習していた多田修平が日誌で変わった理由

多田選手は自身の中学時代を「目的や目標もなく、タラタラただ練習をやっていただけの選手」だったと振り返っている。転機は高校進学後、原田隆史氏が提唱する「原田メソッド」を学び、日誌をつけて毎日目標を書く習慣を始めたことだった。

「高校に入って毎日、目標を書くようになり、それが今につながっている」と本人が語るとおり、日誌は単なる記録ではなく、自己管理のツールとして機能した。9秒台の実力者4人が顔をそろえた2021年の陸上日本選手権男子100m決勝を、自己ベスト10秒01の多田選手が制した背景には、この積み重ねがある。

(参考)タラタラ練習していた多田修平を五輪代表に導いた「日誌の力」 – 日経ビジネス電子版

原田メソッドに基づく日誌の書き方3つのポイント

多田選手が実践してきた日誌の使い方を整理すると、単に感想を書くのではなく、目標を更新し続ける仕組みとして機能させていることが分かる。

毎日、具体的な目標を1つ書く

日誌の起点は、その日に達成したい具体的な目標を1つ書くことにある。抽象的な「頑張る」ではなく、練習の中で達成できる小さな目標を設定する点が、原田メソッドの特徴だ。

達成したら次の目標をすぐ更新する

目標を達成したら、それで満足せずすぐに新しい目標を立てる。多田選手自身も「それを達成したら、また新しい目標が生まれ、それを達成したら、また次と」日々更新し続けていたと語っている。

ポジティブな言葉で振り返りを締めくくる

日誌は反省だけで終わらせず、前向きな言葉で締めくくることが重視される。小さな達成を積み重ねる感覚を持続させることが、長期的な集中力の土台になっている。

Q. 日誌に書く目標はどのくらい具体的にすべきですか?

「今日中に達成できるか判断できる」レベルの具体性が目安です。多田選手も抽象的な決意ではなく、その日の練習で確認できる小さな目標を積み重ねる書き方を続けています。

中学時代とプロ入り後で変わった練習への向き合い方

多田選手自身の発言を時期で比較すると、目標の有無が練習の質そのものを変えていたことが読み取れる。次の表は、発言をもとに練習への向き合い方の変化を整理したものだ。

時期 練習への向き合い方
中学時代 目的・目標がなく「タラタラ」と練習をこなすだけだった
高校入学後(現在まで) 日誌で毎日目標を書き、達成のたびに次の目標を更新し続ける

表:多田修平選手の発言をもとに筆者が整理した練習への向き合い方の変化

中学時代|目標のない練習が続いた時期

「言葉は悪いですが」と本人が振り返るとおり、中学時代は目的意識のないまま練習をこなす日々だった。能力があっても、目標がなければ集中力が続かないことを示す事例といえる。

高校入学後|日誌が目標を可視化した時期

高校入学を機に日誌をつけ始めたことで、練習の1つ1つに意味が生まれた。目標を達成する→新しい目標が生まれる、というサイクルが、練習の密度と集中力を大きく変えている。

Q. 日誌の効果はどのくらいの期間で表れますか?

短期間で劇的な変化を求めるものではありません。多田選手も高校入学から東京五輪代表になるまで数年単位で積み重ねており、毎日の小さな目標更新を継続すること自体が効果につながっています。

日誌が生む「目標更新サイクル」を図解する

多田選手の発言を一つの仕組みとして整理すると、目標を書く・達成する・次の目標が生まれる・また書く、という循環が繰り返されていることが分かる。この循環そのものが集中力を持続させる装置になっている。

多田修平選手の日誌による目標更新サイクル図解

図:多田修平選手の発言をもとに整理した日誌の目標更新サイクル

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集中力を支える日誌習慣は競技を問わず応用できる

日誌による目標設定は陸上競技に限らず、継続的な取り組みが求められる場面全般に応用できる考え方だ。目標を持たずに反復するだけの時間を、小さな達成の連続に変える発想には汎用性がある。

睡眠管理という別の切り口で代表合宿を支える比江島慎選手や、平日のメンテナンス習慣を続ける金丸晃輔選手のように、日々の小さな習慣を積み重ねる発想は競技を問わず共通している。

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Q. 日誌を続けるコツはありますか?

達成できなかった日も否定的な言葉で終わらせず、次の目標につなげる書き方を意識することです。多田選手の日誌も、反省で終わらせず新しい目標の設定へつなげる循環として機能している点が継続の鍵になっています。

多田修平の日誌習慣から学べる3つのポイント

  • 目標のない反復練習は、能力があっても集中力が続きにくい
  • 日誌で毎日1つの具体的な目標を書き、達成したらすぐ次の目標に更新する循環が集中力を生む
  • 反省だけで終わらせず、前向きな言葉で締めくくる書き方が習慣の継続を支える

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About The New株式会社 代表取締役 森永 昂
執筆者
About The New株式会社 代表取締役 森永 昂

新卒で東証プライム上場の社会人教育・コンサルティング企業に入社し、人材育成・組織開発に従事。その後、別企業でメディア・プラットフォーム事業の責任者を務める。

2025年5月に About The New株式会社 を設立。スポーツの現場で培われた知見を組織開発・人材育成の文脈に翻訳し、研修・チームビルディング・イベントの企画運営を行っています。

「知識を得る」で終わらせず「行動が変わる」ところまでを設計することを大切にしています。ご相談は contact@aboutthenew.co.jp まで。

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