五十嵐カノアのメンタル集中法|本番で崩れない考え方

五十嵐カノア選手のメンタル集中法を紹介するアイキャッチ画像 スポーツアスリート

東京五輪銀メダリストの五十嵐カノア選手が本番で崩れない理由は、結果ではなく「自分の100%のサーフィンを見せられたか」というプロセスに評価の軸を置いている点にある。10年間で100%を出せたと思えたのはわずか10回という本人の告白は、頂点を走り続ける選手ほど基準が高いことを物語る。本記事ではその考え方を解説する。

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「100%を出せたのは10回だけ」という現実から見える集中の基準

WSLチャンピオンシップツアー参戦10年目という節目について、五十嵐選手は「頭の中では、世界チャンピオンになる自信がついたのはここ3年くらい」と語る。最初の2、3年はCTのレベルに圧倒され、その後何年も「優勝できるのかな」という迷いがあったという。

そんな五十嵐選手が現在最も強く意識しているのは、「結果よりも、自分の100%のサーフィンを見せられたか」ということだ。「10年間で、自分の100%を出せたと心から思えるのは、10回くらいしかない」と語り、その事実を「悔しい」と受け止めている。トップ選手ほど、結果ではなく自分自身の基準に対して厳しい評価を下していることが分かる。

(参考)五十嵐カノア、愛知・名古屋アジア大会への出場を正式に表明。CT10年目の節目とアスリートとしての現在地。SPインタビュー。 – SURFMEDIA

結果を追う思考とプロセスを追う思考の違い

五十嵐選手の発言を整理すると、評価の軸を「結果」から「プロセス」へ移したことが、長くトップを走り続ける支えになっていることが読み取れる。次の表は、2つの思考の違いを整理したものだ。

観点 結果を追う思考 プロセスを追う思考
集中の対象 順位・勝敗 自分の100%のパフォーマンス
評価の基準 他者・相手との比較 自分自身の納得感
次への行動 結果が出ないと迷いが生まれやすい 再現性を高める作戦を練り続けられる

表:五十嵐カノア選手の発言をもとに筆者が整理した2つの思考の違い

集中の対象|順位ではなく自分の100%を見る

五十嵐選手は「結果よりも、自分の100%のサーフィンを見せられたか」を意識の中心に置いている。順位という他者比較の指標ではなく、自分自身のパフォーマンスの完成度に焦点を当てることで、本番でのブレを減らしている。

評価の基準|他者比較ではなく自分自身の納得感

「なぜ、もっと出せないのか」と自問し続ける姿勢は、他者との比較ではなく自分自身の基準に対する厳しさから来ている。10年で10回という数字を「悔しい」と語れるのは、この基準の高さゆえだ。

次への行動|再現性を高める作戦を練り続ける

五十嵐選手はフィジカルだけでなく、試合運びやメンタルも含めたトータルパッケージとしての「100%」を、毎試合コンスタントに出すための作戦を練っている。結果に一喜一憂せず、次の改善に意識を向け続ける発想だ。

Q. 結果よりプロセスを重視すると成績は落ちませんか?

五十嵐選手の実績を見る限り、逆に安定した成績につながっています。結果だけを追うと不調時に迷いが生まれやすい一方、自分の基準を持つことで、毎試合の再現性を高める改善に集中できるためです。

参戦10年間で「結果思考」から「プロセス思考」へ変化した歩みを図解する

五十嵐選手の発言を時系列で辿ると、評価の軸を「結果」から「プロセス」へ移した転機を境に、集中力の持続力が変わっていったことが分かる。

1参戦1〜3年目|結果への迷い:CTのレベルに圧倒され、「優勝できるのか」という迷いが続いた時期
2転機|評価軸をプロセスへ移す:「結果よりも、自分の100%のサーフィンを見せられたか」に評価の軸を移した
3参戦10年目・現在:100%を出せたと思えたのは10回ほどと自己評価は厳しいままだが、その基準の高さが長くトップを走り続ける集中力を支えている

図:五十嵐カノア選手のCTツアー参戦10年間における思考の変遷

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CT参戦10年で培われた集中力を支える2つの習慣

五十嵐選手の発言からは、日々の小さな積み重ねが本番での集中力を支えていることも読み取れる。ここでは、その習慣を2つに整理する。

毎日1%前に進む意識を持つ

「人間は自分が考えている以上のことができる」と語る五十嵐選手は、自身の限界に蓋をせず「毎日1%前に進む」ことを大切にしている。一気に結果を求めるのではなく、日々の小さな前進を積み重ねる発想が、長期的な集中力の土台になっている。

経験値を超えた挑戦を恐れない

ハーバード大学のビジネススクールで学ぶなど、サーフィンの枠を超えて自身の可能性を広げ続けてきた五十嵐選手。競技以外の挑戦を続けることが、かえって本番での視野の広さにつながっている。

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Q. 本番で崩れないメンタルはどう鍛えればよいですか?

結果ではなく自分自身の基準を明確に持つことが出発点になります。五十嵐選手のように「自分の100%を出せたか」という問いを持つことで、結果に左右されずに次への改善に集中できるようになります。

本番に強い集中力は競技を問わず応用できる

結果ではなくプロセスに評価軸を置く考え方は、サーフィンに限らず、本番の緊張と向き合うあらゆる場面に応用できる。日々の小さな前進を積み重ねる発想は、代表合宿という本番続きの環境で睡眠管理を徹底する比江島慎選手にも通じる姿勢だ。

「17歳」という若さで家族との時間を大切にしながら実力を伸ばす成田実生選手のように、自分なりの基準を持つ姿勢は年齢を問わず本番での強さにつながっている。

Q. 五十嵐カノア選手が次に見据えている目標は何ですか?

2028年ロサンゼルス五輪への3度目の挑戦です。故郷カリフォルニアでの開催という特別な舞台に向けて、日々の1%の前進を積み重ねる姿勢を続けています。

五十嵐カノアのメンタル集中法から学べる3つのポイント

  • 結果ではなく自分自身の100%を出せたかという基準を持つことで、本番でのブレを減らせる
  • 高い基準を持つほど「まだ出せていない」と感じる回数は増えるが、それが次への改善意欲になる
  • 一気に完璧を求めず「毎日1%前に進む」という積み重ねが、長期的な集中力を支える

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About The New株式会社 代表取締役 森永 昂
執筆者
About The New株式会社 代表取締役 森永 昂

新卒で東証プライム上場の社会人教育・コンサルティング企業に入社し、人材育成・組織開発に従事。その後、別企業でメディア・プラットフォーム事業の責任者を務める。

2025年5月に About The New株式会社 を設立。スポーツの現場で培われた知見を組織開発・人材育成の文脈に翻訳し、研修・チームビルディング・イベントの企画運営を行っています。

「知識を得る」で終わらせず「行動が変わる」ところまでを設計することを大切にしています。ご相談は contact@aboutthenew.co.jp まで。

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