見延和靖に学ぶピーキング法|企業の心身整え方

見延和靖のピーキング理論を象徴するフェンシング競技の写真 スポーツアスリート

東京五輪でフェンシング団体金メダルを獲得した見延和靖選手は、「心を整え、身体を整え、技術を整える」という順番でピークをつくるピーキング理論を大切にしています。本記事では、その考え方と、企業のパフォーマンス管理に活かせる視点を解説します。

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東京五輪団体金メダルの立役者・見延和靖とは

見延和靖選手は、2016年リオデジャネイロ五輪で個人6位入賞、2018-2019シーズンには世界ランキング1位となり日本フェンシング界史上初の年間王者に輝いた選手です。東京五輪ではキャプテンとしてチームをまとめ、仲間とともに団体戦での金メダルを掴みました。

高校時代に父の勧めでフェンシングを始め、大学入学後にエペへ専念。NEXUS入社後はイタリアへ単身武者修行に出るなど、力をつけるための行動を早くから重ねてきた選手でもあります。

心・身体・技術の順で整えるピーキング理論

見延選手が「アスリートの仕事として一番大事」と語るのが、ピークをつくるピーキングです。波を上げていくときは、まず心を整えて、身体を整えて、技術を整えて、という順番でつくっていくといいます。この考え方を3つの要素に分けて整理しました。

見延和靖が実践する心・身体・技術の順で整えるピーキング理論の図解

図:見延和靖選手が実践するピーキングの3ステップ

①心を整える

ピークづくりの最初の段階として、見延選手はメンタルをまっさらな状態に整えるために包丁を研ぐようにしているそうです。刃物の街として知られる福井県越前市の出身で、地元の縁で包丁を譲り受け、実際に作られる現場も見学したことがあるといいます。包丁には応援してくれる人たちの気持ちや魂が込められていると考え、研ぐことで自分の気持ちも研ぎ澄まされていく感覚があるそうです。

②身体を整える

心が整った状態を土台にして、次に身体面の調整を進めていきます。心の状態が整っていないまま身体だけを仕上げようとしても、本来のパフォーマンスにはつながりにくいという考え方が背景にあります。

③技術を整える

最後に技術面の仕上げに入ります。フェンシングのエペという種目は、動きの速さや力の強さだけで勝てるわけではなく、経験を活かして勝てる場面も多いため、技術を最後に整えるという順番そのものに意味があるといいます。

見延和靖のこれまでの主な戦績

心・身体・技術の順で整えるピーキングを重ねてきた結果、見延選手はキャリアを通じていくつもの節目を刻んできました。主な戦績を年表として整理すると、着実に実績を積み上げてきた過程が見えてきます。

出来事
2016年 リオデジャネイロ五輪で個人6位入賞
2018-2019年 世界ランキング1位・日本フェンシング界史上初の年間王者
2020年 JOCシンボルアスリートに選出
2021年 東京五輪でキャプテンとして団体金メダルを獲得

出典:JSPO Plus「【フェンシング・見延和靖選手インタビュー】」掲載のプロフィールをもとに作成

2016年リオデジャネイロ五輪での個人6位入賞

リオでは同種目(エペ)の男子が見延選手のみだったため個人戦のみの出場でしたが、団体戦に出場する他国選手たちがリラックスして楽しむ様子を見て、チームで戦う大切さに気づいたと振り返っています。

2018-2019年シーズンの世界ランキング1位と年間王者

ワールドカップ1勝、グランプリで2勝という成績を積み重ね、世界ランキング1位・年間王者という日本フェンシング界史上初の実績を打ち立てました。

2020年のJOCシンボルアスリート選出

実績を積み重ねてきたことが評価され、JOCシンボルアスリートに選出されました。日本のトップフェンサーとしての立場を確立した時期でもあります。

2021年東京五輪での団体金メダル

東京五輪ではキャプテンとしてチームをまとめる役割を担い、若い選手たちと支え合うチームづくりを心がけたといいます。「エペジーン」という合言葉のもと、仲間とともに団体戦での金メダルを掴みました。

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Q. 見延和靖選手が試合前に包丁を研ぐのはなぜですか?

刃物の街として知られる福井県越前市の出身で、地元の縁で譲り受けた包丁に応援してくれる人たちの気持ちが込められていると考えているためです。包丁を研ぐことで自分の気持ちも研ぎ澄まされる感覚があるといいます。

見延和靖が語る「史上最強のフェンサー」という目標

世界ランキング1位や金メダル獲得という実績を持ちながらも、見延選手が最終的な目標として掲げるのは「史上最強のフェンサー」になることです。勝ち負けだけにとらわれず、フェンシングというスポーツそのものを突き詰めていく姿勢は、職人の仕事にも通じるといいます。

フェンシングのエペは、まだ誰も完全には理解できていないからこそ、意外な選手が優勝することがある競技だと見延選手は捉えています。大会本番に向けたコンディション調整を積み重ねてきたアスリートにも共通しますが、結果を積み重ねながらも、その先にある「まだ突き詰めきれていない領域」を意識し続ける姿勢が、長く第一線で活躍できる理由の一つだと感じます。

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(参考)【フェンシング・見延和靖選手インタビュー】 一歩踏み出す勇気を大切に。その先にあるワクワクする気持ちを楽しんでほしい – JSPO Plus(日本スポーツ協会)

ピーキングの発想を企業のパフォーマンス管理に活かす方法

見延選手のピーキング理論で興味深いのは、身体や技術より先に「心を整える」ことから始めている点です。企業のパフォーマンス管理でも、業務スキルや業務量の調整ばかりに目が向きがちですが、本人の気持ちの状態が整っていない状態でスキル研修だけを重ねても、成果にはつながりにくいことが多いと感じます。

データ分析力を武器に転身したアスリートの事例のように、心の状態を整える仕組みを先に作ってから、身体的な負荷管理、そして専門スキルの向上という順番で人材育成を設計することは、重要な商談やプロジェクトの前に社員の状態を整える「社内版ピーキング」として応用できる考え方だと思います。

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Q. 見延和靖選手のピーキング理論を企業でも応用できますか?

応用できると考えられます。心・身体・技術の順で整えるという考え方は、本人の気持ちの状態を先に整えてから業務スキルの向上に取り組むという順番として、企業の人材育成にも置き換えることができます。

まとめ|見延和靖のピーキングに学ぶこと

  • 見延和靖選手はリオ五輪個人6位、世界ランキング1位、東京五輪団体金メダルという実績を持つ
  • ピーキングは「心を整え、身体を整え、技術を整える」という順番で行っている
  • 心を整える具体的な行動として、地元・福井の包丁を研ぐ習慣を大切にしている
  • 目標は勝敗を超えた「史上最強のフェンサー」になること
  • 心の状態を整えてから業務スキルを高める順番は、企業のパフォーマンス管理にも応用できる

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About The New株式会社 代表取締役 森永 昂
執筆者
About The New株式会社 代表取締役 森永 昂

新卒で東証プライム上場の社会人教育・コンサルティング企業に入社し、人材育成・組織開発に従事。その後、別企業でメディア・プラットフォーム事業の責任者を務める。

2025年5月に About The New株式会社 を設立。スポーツの現場で培われた知見を組織開発・人材育成の文脈に翻訳し、研修・チームビルディング・イベントの企画運営を行っています。

「知識を得る」で終わらせず「行動が変わる」ところまでを設計することを大切にしています。ご相談は contact@aboutthenew.co.jp まで。

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