スポーツスクール業界とは|主要10社と企業の活用法

スポーツスクール・育成業界の主要企業と企業の活用ポイント スポーツビジネス

少子化が進むなかでも、子ども向けスポーツスクール市場は拡大を続けています。結論から言うと、その最大の推進力は学校部活動の地域移行であり、企業側にも福利厚生や地域貢献の切り口でこの市場と関わる余地が広がっています。本記事では、主要10社の事業内容と、企業目線での活用ポイントを解説します。

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  1. 部活動の地域移行と少子化のなかで、なぜスクール市場は伸びているのか
  2. スクール市場を押し上げる2つの構造変化|地域移行と非認知能力需要
    1. 学校部活動の地域移行が生んだ「受け皿」需要
    2. 非認知能力(自己肯定感・グリット)教育としての運動需要
  3. 国内主要10社の一覧比較|スポーツスクール・育成ビジネスの勢力図
    1. リーフラス|部活動支援受託でインフラ化する国内最大級スクール
    2. セントラルスポーツ|フィットネスと一体運営する総合型スクール
    3. ルネサンス|上場フィットネス大手が展開するスイミング・体操教室
    4. コナミスポーツクラブ|グループの技術基盤を活かすキッズスクール
    5. イトマンスイミングスクール|水泳専門で関西・関東を押さえる老舗
    6. ミズノスクール|用品メーカーが指導知見を還元するモデル
    7. やる気スイッチグループ「忍者ナイン」|FC展開で急拡大する運動能力開発
    8. biima sports|大学研究者と組んだ非認知能力開発プログラム
    9. EXPG STUDIO|芸能事務所の育成機能を一般開放するダンススクール
    10. スポーツクラブNAS|首都圏フィットネス網を活かすキッズスイミング
  4. 事業モデルで見る4つのタイプ|種目特化と直営・FCの2軸で分類する
    1. 種目特化×直営型|専門性で選ばれるモデル
    2. 複数種目・運動能力開発×直営型|会員基盤を横断活用するモデル
    3. 種目特化×FC・提携型|地域密着の教室がブランド力を借りるモデル
    4. 複数種目・運動能力開発×FC型|非認知能力プログラムを全国展開するモデル
  5. 企業がスポーツスクール市場と関わる2つの視点|福利厚生とCSR
    1. 従業員向け福利厚生としての活用
    2. 地域貢献・シティプロモーションとしての活用
  6. 参入・提携を検討する企業が確認すべき3つの実務ポイント
    1. 対象エリアの子ども人口と競合スクールの需要調査
    2. 有資格・経験豊富な指導者の確保体制
    3. 傷害保険・安全管理のルール整備
  7. まとめ|スポーツスクール業界は部活動改革を追い風に企業接点が広がる

部活動の地域移行と少子化のなかで、なぜスクール市場は伸びているのか

子ども向けスポーツスクール市場は、少子化にもかかわらず拡大しています。矢野経済研究所の調査によると、子ども関連ビジネス市場(37分野計)の2023年度の市場規模は10兆6,962億円で、前年度比2.2%増となりました。市場が縮小するどころか、1人の子どもにかける教育・習い事支出が増える「少子化×支出増」の構図が定着しつつあります。

この流れをさらに後押ししているのが、国が進める学校部活動の地域移行です。スポーツ庁と文化庁は2022年12月に「学校部活動及び新たな地域クラブ活動の在り方等に関する総合的なガイドライン」を策定し、休日・将来的には平日の部活動運営を地域のクラブや民間事業者へ委ねる方針を打ち出しました。2026年度予算案では部活動の地域展開に57億円が計上され、2025年度補正予算の82億円と合わせて実質139億円の予算規模になっています。学校が担ってきた運動機会の一部が、民間のスポーツスクール・地域クラブという「受け皿」に置き換わろうとしているのです。

Q. 部活動の地域移行とは何ですか?

公立中学校を中心に、休日や将来的には平日の部活動運営を学校から地域のスポーツクラブや民間事業者に委ねる国の施策です。スポーツ庁と文化庁が2022年12月にガイドラインを策定し、2026年度予算案では地域展開に57億円を計上しています。

(参考)部活動改革ポータルサイト - 子供たちのスポーツ活動の充実に向けた未来への挑戦 – スポーツ庁

(参考)2023年版 こども市場総合マーケティング年鑑 – 株式会社矢野経済研究所

スクール市場を押し上げる2つの構造変化|地域移行と非認知能力需要

市場拡大の背景には、大きく2つの構造変化があります。1つは学校からの受け皿需要、もう1つは「非認知能力」を育てる場としての運動需要の高まりです。この2つが重なることで、単なる習い事市場ではなく、教育・福祉・地域政策にまたがる産業へと性格を変えつつあります。

学校部活動の地域移行が生んだ「受け皿」需要

教員の働き方改革を背景に、休日部活動の指導を学校教員だけに頼る体制は限界を迎えています。地域移行が進むほど、指導者派遣・拠点運営のノウハウを持つ民間スクール事業者への業務委託や連携の機会が増えます。実際にリーフラス株式会社のように、スクール運営に加えて学校の部活動支援を受託する企業も出てきており、単独の習い事事業から「地域スポーツのインフラ」への役割拡大が進んでいます。

非認知能力(自己肯定感・グリット)教育としての運動需要

もう1つの変化は、保護者が運動系の習い事に求める価値そのものの変化です。特定競技の技術向上だけでなく、挑戦する力・粘り強さ・コミュニケーション力といった「非認知能力」を育てる場として運動を選ぶ保護者が増えています。biima sportsのように、早稲田大学の研究者と共同開発したプログラムを掲げ、特定競技に絞らない運動能力開発を打ち出すスクールが支持を集めているのは、この需要変化の表れです。

子ども関連ビジネス市場規模の推移を示す棒グラフ

2022年度から2023年度にかけての市場拡大は率にすると2.2%増ですが、少子化で子どもの母数自体が減っているなかでの増加という点で、1人あたり支出の伸びを裏付けるデータといえます。この「地域移行という政策的な追い風」と「非認知能力需要という保護者の意識変化」という異なる系統のデータが同じ方向を指している点が、この市場が一時的なブームではないと考える根拠です。

国内主要10社の一覧比較|スポーツスクール・育成ビジネスの勢力図

スポーツスクール・育成業界には、フィットネスクラブ系列からスポーツ用品メーカー系、エンターテインメント企業系まで、出自の異なる企業が参入しています。まずは主要10社を一覧で比較し、そのあとに各社の特徴をH3で個別に解説します。

社名 主な種目・領域 展開規模 特徴
リーフラス サッカー・野球等 多種目 47都道府県・約4,500スクール 部活動支援受託も展開する国内最大級
セントラルスポーツ スイミング・体操 直営91店舗・会員約35万人 フィットネス事業と一体運営
ルネサンス スイミング・体操 全国のクラブに併設 東証プライム上場フィットネス大手
コナミスポーツクラブ スイミング・体操 全国のクラブに併設 コナミグループのスポーツ事業
イトマンスイミングスクール 水泳専門 直営・提携あわせ約50施設 関東・近畿中心の水泳専門大手
ミズノスクール 陸上・水泳等 全国拠点で展開 用品メーカーが自社知見を指導に還元
やる気スイッチグループ「忍者ナイン」 運動能力開発 全国400以上のラボ FC展開で短期間に拠点拡大
biima sports 運動能力・非認知能力開発 全国250教室以上 早稲田大学研究者監修プログラム
EXPG STUDIO(LDH JAPAN) ダンス・パフォーマンス 国内外11校 芸能事務所の育成機能を一般開放
スポーツクラブNAS スイミング等 首都圏中心に展開 フィットネスクラブ併設型

各社公式サイトの公開情報をもとにHuman Soarが作成(2026年9月時点)。

リーフラス|部活動支援受託でインフラ化する国内最大級スクール

リーフラス株式会社は、サッカーや野球など多種目のスポーツスクールを47都道府県・約4,500スクールで展開し、会員数は約70,700名にのぼります(2026年時点)。近年は学校部活動の指導・運営を受託するなど、単なる習い事事業にとどまらず地域の運動インフラとしての役割を強めています。

セントラルスポーツ|フィットネスと一体運営する総合型スクール

株式会社セントラルスポーツは、直営91店舗・フィットネスとスクール合計で約35万人の会員基盤を持つ総合スポーツクラブ運営企業です。スイミング・体操などのキッズスクールを、大人向けフィットネス事業と同じ拠点で一体運営することで、親子二世代での利用や送迎の効率化につなげています。

ルネサンス|上場フィットネス大手が展開するスイミング・体操教室

株式会社ルネサンスは東証プライム上場のフィットネスクラブ大手で、各クラブにスイミングスクールや体操教室を併設しています。大人向け会員基盤と子ども向けスクールを組み合わせることで、地域単位での会員定着率を高めるモデルを取っています。

コナミスポーツクラブ|グループの技術基盤を活かすキッズスクール

コナミスポーツ株式会社は、コナミグループのスポーツクラブ事業としてキッズ向けのスイミング・体操教室を全国のクラブに併設しています。エンターテインメント企業グループならではのプログラム開発力を、指導カリキュラムに反映している点が特徴です。

イトマンスイミングスクール|水泳専門で関西・関東を押さえる老舗

イトマンスイミングスクールは、直営・提携をあわせて全国に約50施設を展開する水泳専門スクールです。関東に14施設、近畿に28施設と関西を地盤にしつつ関東でも拠点を広げており、水泳指導のノウハウに特化することで専門性を打ち出しています。

ミズノスクール|用品メーカーが指導知見を還元するモデル

株式会社ミズノが運営するミズノスクールは、陸上競技や水泳などでスポーツ用品メーカーとしての知見を指導プログラムに還元しています。用具開発で培ったフォーム分析・動作研究のノウハウを子ども向け指導に活かせる点が、他業種からの参入企業にはない強みです。

やる気スイッチグループ「忍者ナイン」|FC展開で急拡大する運動能力開発

株式会社やる気スイッチグループが運営する「忍者ナイン」は、特定競技に絞らない運動能力開発プログラムをフランチャイズ形式で展開し、2016年からの7年間で550拠点を突破、全国400以上のラボを運営しています。グループ全体では国内外2,300教室以上の運営実績を持ち、学習塾事業で培ったFC運営のノウハウを運動分野に転用しています。

biima sports|大学研究者と組んだ非認知能力開発プログラム

biima sportsは、早稲田大学の広瀬統一教授・前橋明教授と共同開発したプログラムを掲げ、サッカー・野球・バスケットボール・体操など複数競技の要素を組み合わせて全国250教室以上を展開しています。特定競技の技術ではなく、挑戦する力やコミュニケーション力といった非認知能力の育成を前面に打ち出している点が特徴です。

EXPG STUDIO|芸能事務所の育成機能を一般開放するダンススクール

株式会社LDH JAPANが運営するEXPG STUDIOは、国内外合わせて11校を展開するダンス・パフォーマンススクールです。アーティストオーディションの母体としての育成機能を一般の子ども・学生にも開放しており、スポーツスクールというよりパフォーミングアーツ人材の裾野拡大という性格を持っています。

スポーツクラブNAS|首都圏フィットネス網を活かすキッズスイミング

株式会社スポーツクラブNASは首都圏を中心に展開するフィットネスクラブ運営企業で、キッズスイミングなどのスクール事業をクラブ併設型で提供しています。大人会員の送迎動線上に子どものスクールを配置することで、家族単位での継続利用を促す設計になっています。

Q. スポーツスクール市場は少子化でも成長していますか?

はい。矢野経済研究所の調査では、子ども関連ビジネス市場(37分野計)は2023年度に10兆6,962億円となり、前年度比2.2%増と拡大を続けています。少子化による1人あたりの教育・習い事支出の増加が背景にあります。

(参考)スポーツスクール事業 – リーフラス株式会社

(参考)セントラルスポーツ公式サイト – 株式会社セントラルスポーツ

(参考)イトマンスイミングスクール公式サイト – 株式会社イトマン

(参考)忍者ナインが全国で400ラボを突破 – 株式会社やる気スイッチグループ

(参考)biima sports公式サイト – 株式会社ビーマ

(参考)EXPG STUDIOについて – 株式会社LDH JAPAN

事業モデルで見る4つのタイプ|種目特化と直営・FCの2軸で分類する

10社を種目の広さと運営形態という2つの軸で整理すると、業界の構造がより見えやすくなります。ここではHuman Soarが独自に「種目特化⇄複数種目・運動能力開発」と「直営中心⇄FC・業務提携型」の2軸で4つの事業モデルに分類しました。

スポーツスクール事業モデルの2軸4象限分類図

種目特化×直営型|専門性で選ばれるモデル

イトマンスイミングスクール、コナミスポーツクラブ、ミズノスクールのように、水泳や体操など特定の種目に絞り、直営体制で指導品質を管理するモデルです。専門競技団体や用品メーカーとしての知見をそのまま指導に反映できる点が強みです。

複数種目・運動能力開発×直営型|会員基盤を横断活用するモデル

セントラルスポーツ、ルネサンス、リーフラスのように、複数種目のスクールを直営網で全国展開し、フィットネス会員や既存スクール会員の基盤を横断して活用するモデルです。親子二世代・きょうだい間での回遊がしやすい設計になっています。

種目特化×FC・提携型|地域密着の教室がブランド力を借りるモデル

地域の個人経営教室が、水泳や武道など特定種目のブランドにフランチャイズ・業務提携する運営形態です。指導者個人の関係性という地域密着の強みを保ちながら、ブランドの集客力・カリキュラムを取り入れられます。

複数種目・運動能力開発×FC型|非認知能力プログラムを全国展開するモデル

やる気スイッチグループ「忍者ナイン」、biima sportsのように、特定競技に絞らない運動能力・非認知能力開発プログラムをパッケージ化し、フランチャイズで短期間に拠点数を拡大するモデルです。学習塾業界のFC運営ノウハウが応用されているケースもあります。

Q. スポーツスクール市場の成長は今後も続きますか?

部活動の地域移行が2026年度以降も「改革実行期間」として続く見込みのため、少なくとも中期的には受け皿需要が増える方向にあります。ただし地域や種目によって需要には差があるため、進出前の需要調査が欠かせません。

企業がスポーツスクール市場と関わる2つの視点|福利厚生とCSR

Human Soarの読者である企業の人事・経営者にとって、スポーツスクール業界は「わが子を通わせる先」であるだけでなく、事業連携の対象にもなり得ます。ここでは福利厚生と地域貢献という2つの活用視点を紹介します。

従業員向け福利厚生としての活用

子育て世代の従業員が多い企業では、提携スクールの受講料補助や送迎支援を福利厚生に組み込む動きがあります。仕事と子育ての両立支援としてだけでなく、地域のスクール運営企業にとっても法人契約による安定収益源になるため、双方にメリットがある連携です。

地域貢献・シティプロモーションとしての活用

地方に拠点を持つ企業が、地域のスポーツスクールや部活動地域移行の受け皿づくりに協賛・人材派遣で関わるケースも増えています。将来的な採用ブランディング(自社がスポーツを応援する企業だという認知形成)にもつながる取り組みです。

あわせて読みたいフィットネスクラブ・ジム運営企業の比較

参入・提携を検討する企業が確認すべき3つの実務ポイント

スポーツスクール市場への参入や提携を検討する場合、思いつきで動くと需要とのミスマッチが起きやすい領域です。ここでは検討時に必ず確認すべき3つのポイントを解説します。

対象エリアの子ども人口と競合スクールの需要調査

地域の子ども人口の将来推計と、既存スクールの会員充足状況を確認しないまま出店・提携を決めると、部活動の地域移行という追い風があっても需要を取り切れません。自治体の人口統計と既存スクールの体験会予約状況を組み合わせて確認することをおすすめします。

有資格・経験豊富な指導者の確保体制

指導者の質は保護者の継続利用を左右する最大の要因です。日本スポーツ協会の公認資格保有者や競技経験者をどう確保・育成するか、既存スクール運営企業との提携であればその教育体制がどこまで整っているかを確認する必要があります。

傷害保険・安全管理のルール整備

運動を伴う以上、けがのリスクは避けられません。参入・提携にあたっては、傷害保険の加入状況、事故発生時の対応フロー、施設の安全点検体制が整備されているかを契約前に確認することが欠かせません。

あわせて読みたい長期育成モデル(LTAD)の考え方

スポーツ業界全体の構造改革の文脈については、日本スポーツ業界の8つの課題|15兆円市場とDX動向でも部活動の地域移行を含めて解説しています。

Q. 企業がスポーツスクール事業と関わるメリットは何ですか?

従業員の子育て支援として福利厚生に組み込んだり、地域貢献・シティプロモーションの一環としてスクール運営企業と連携したりする方法があります。スポーツ経験者の採用ブランディングにもつながります。

Q. スポーツスクールに参入・提携する際に企業が確認すべきことは何ですか?

対象エリアの子ども人口と競合スクールの需要調査、有資格指導者の確保体制、傷害保険や安全管理のルール整備の3点を最初に確認する必要があります。

まとめ|スポーツスクール業界は部活動改革を追い風に企業接点が広がる

スポーツスクール・育成業界は、少子化のなかでも部活動の地域移行という政策的な追い風を受けて拡大を続けています。ポイントを振り返ります。

  • 子ども関連ビジネス市場は2023年度に10兆6,962億円、前年度比2.2%増と拡大している
  • 部活動の地域移行により、民間スクールが学校の運動機会の「受け皿」としての役割を強めている
  • リーフラス、セントラルスポーツ、biima sportsなど出自の異なる10社が、種目特化⇄複数種目、直営⇄FCの2軸で異なるモデルを展開している
  • 企業にとっては福利厚生・地域貢献・採用ブランディングの切り口でこの市場と接点を持てる
  • 参入・提携時は需要調査・指導者確保・安全管理の3点を必ず確認する

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About The New株式会社 代表取締役 森永 昂
執筆者
About The New株式会社 代表取締役 森永 昂

新卒で東証プライム上場の社会人教育・コンサルティング企業に入社し、人材育成・組織開発に従事。その後、別企業でメディア・プラットフォーム事業の責任者を務める。

2025年5月に About The New株式会社 を設立。スポーツの現場で培われた知見を組織開発・人材育成の文脈に翻訳し、研修・チームビルディング・イベントの企画運営を行っています。

「知識を得る」で終わらせず「行動が変わる」ところまでを設計することを大切にしています。ご相談は contact@aboutthenew.co.jp まで。

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