「格闘技ジムをフランチャイズで開業したいが、月謝の相場も回転率の考え方もよく分からない」。キックボクシングジムの新規出店を検討する事業者からよく聞かれる悩みです。結論として、格闘技ジムはFC型・直営型・セミパーソナル型の3モデルに分かれ、必要な自己資金と回転率の考え方が大きく異なります。本記事では主要11社を比較し、開業前に経営者が見るべき収益構造を整理します。
格闘技ジム市場が伸びる背景|国のスポーツ産業拡大方針
キックボクシング・格闘技ジムの出店が増えている背景には、国全体でスポーツ産業を成長分野と位置づける政策があります。スポーツ庁は第3期スポーツ基本計画のなかで、スポーツ市場規模を5.5兆円から2025年までに15兆円に拡大することを目標として掲げています。市場を拡大し、その収益をスポーツ環境の改善に還元してスポーツ参画人口を増やすという好循環を政策目標にしている点がポイントです。
この方針のもと、民間ノウハウを活用したスポーツ施設の収益化が後押しされており、格闘技という一見マニアックに見えるジャンルにも、フィットネス目的・護身目的・ダイエット目的といった幅広い入口からの参入が進んでいます。ダンススタジオと同様にサービス・施設分野の一角を占め、業界全体はスポーツビジネスの裾野拡大の一例といえます。
(参考)スポーツの成長産業化(第3期スポーツ基本計画) – スポーツ庁
Q. 格闘技ジムの利用者は競技志向の人が中心ですか?
いいえ、現在はダイエットやストレス発散を目的にした未経験者が中心の店舗が多数派です。9ROUNDやWINMEのように「30分完結」「ダイエット特化」を打ち出すブランドが増えており、競技志向は一部にとどまります。
キックボクシング・格闘技ジム運営11社の一覧|FC・直営の主要プレイヤー
格闘技ジムの運営会社は、全国規模でフランチャイズ展開する企業から、特定エリアで直営店を構える企業まで幅が広く、ターゲット層も競技志向からダイエット志向まで多様です。公式サイトで事業内容を確認できた主要企業のうち、直近の情報発信があるものを11社選び、運営形態と特徴を整理しました。
| 社名 | 運営形態 | 主な対象 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| Refinas | 直営 | 初心者〜競技志向 | 大阪発、国内最大級の38店舗を展開 |
| トイカツ道場 | 直営 | 初心者〜総合格闘技志向 | 全国57店舗、定額で通い放題 |
| 9ROUND(ナインラウンド) | FC | ダイエット目的の女性中心 | 1回30分のサーキット型キックボクササイズ |
| レンジャージム | FC | 初心者〜柔術志向 | セミパーソナル指導が主体、千葉・東京中心 |
| RIKIX | 直営 | 初心者〜競技志向 | 元プロ選手が創業、東京・神奈川に複数店舗 |
| FAITH | 直営 | 初心者中心 | 元王者が指導、日本橋・人形町の小規模ジム |
| WINME | FC | ダイエット目的 | 最小限の初期投資で開業できる設計 |
| Aimhighグループ | FC | ダイエット・フィットネス目的 | パーソナルジムとキックボクシングの併設型 |
| ベストキッド | FC(1人開業型) | 未経験者・運動習慣のない層 | 「日本一やさしい」を掲げる超初心者向け設計 |
| KICKY FITNESS | 直営 | 女性 | 女性専用、大阪の心斎橋・本町等に展開 |
| STYLE(kick box style) | 直営 | 初心者〜競技志向 | 大阪のキックボクシング専門ジム、複数拠点 |
公式サイトで事業内容を確認できた国内企業のうち、直近1年に情報発信の更新があるものを11社掲載(2026年9月時点)。
Refinas|国内最大級の38店舗を展開する直営チェーン
大阪発で全国38店舗を展開する国内最大級のキックボクシングジムです。初心者からアマチュア競技志向まで幅広いクラス設計を持ち、大都市圏を中心に出店エリアを広げています。多店舗展開による講師育成の仕組み化が、直営でここまでの規模を実現できた要因になっています。
トイカツ道場|定額通い放題で全国57店舗を展開
打撃・寝技・柔術・総合格闘技を1つの月謝で習い放題にする定額モデルを掲げ、全国57店舗まで拡大しています。競技を1つに絞らず「格闘技全般に触れられる場所」というポジショニングを取ることで、飽きにくさを訴求点にしている点が他社との違いです。
9ROUND(ナインラウンド)|30分完結のサーキット型FC
1回30分で完結するサーキット型のキックボクササイズを提供するフランチャイズブランドです。対人スパーリングを行わない設計のため、格闘技未経験の女性層でも心理的ハードルが低く、短時間で通えることを軸にした店舗設計になっています。
レンジャージム|セミパーソナル指導を軸にしたFC
千葉・東京を中心に、セミパーソナルトレーニングを主体としたクラス設計でフランチャイズ展開しています。パーソナル・レディス・キッズ・柔術など複数のクラス体系を持ち、1つのジムで複数の客層を取り込める設計を本部が用意している点が特徴です。
RIKIX|元プロ選手が創業した直営ジム
2003年に元プロキックボクサーが創業し、東京都大田区の大岡山を本部に神奈川県内へも展開しています。プロレッスンを一般料金で受けられる価格設定を打ち出し、指導者の知名度と実績を集客の軸にしている直営モデルです。
FAITH|元王者が指導する小規模直営ジム
2019年に日本橋・人形町で開業した小規模ジムで、元王者が直接指導にあたります。多店舗展開はせず、指導の質と立地の良さで単店の集客力を高めるモデルであり、大規模チェーンとは対照的な戦略を取っています。
WINME|最小投資での開業を訴求するFC
ダイエット特化のキックボクシングジムとしてフランチャイズ展開しており、最小限の初期投資で開業できる設計を打ち出しています。設備投資を抑えたコンパクトな店舗フォーマットにより、未経験の事業者でも参入しやすいハードルの低さが特徴です。
Aimhighグループ|パーソナルジムと併設するFC
パーソナルトレーニングジムとキックボクシング体験を組み合わせたフランチャイズを展開しています。ダイエット目的の顧客を、パーソナルとキックボクシングの両方で囲い込む複合型のビジネスモデルです。
ベストキッド|1人開業も可能な超初心者向けFC
有限会社ティムコーポレーションが運営し、「日本一やさしいキックボクシングジム」を掲げ、運動習慣のない未経験者を主要ターゲットにしています。1人でも開業できる規模のフォーマットを用意しており、副業的な小規模開業のニーズにも対応しています。
KICKY FITNESS|女性専用で展開する大阪発ブランド
大阪の心斎橋・本町など複数拠点で女性専用のキックボクシングスタジオを展開しています。男性利用者がいない環境を明確に打ち出すことで、格闘技系ジムに入りにくいと感じる女性層を取り込んでいます。
STYLE(kick box style)|大阪の専門ジムとして複数拠点展開
大阪を拠点にキックボクシング専門ジムとして複数拠点を展開しています。天満橋など駅近立地を中心に出店し、通いやすさを軸にした店舗網の拡大を進めています。
Q. 女性専用の格闘技ジムはどのくらいありますか?
KICKY FITNESSのように女性専用を明確に打ち出すブランドは増加傾向です。男性の視線を気にせず通えることを訴求点にし、格闘技系ジムに抵抗感を持つ女性層の新規開拓につなげています。
3つの出店モデルで見る参入ハードルの違い
11社を分類すると、格闘技ジムの出店モデルは大きく3つに整理できます。フランチャイズ型・直営型・セミパーソナル型では、必要な指導者の専門性と初期投資の大きさが異なります。どのモデルを選ぶかで、開業までのスピードも撤退リスクも変わってきます。
フランチャイズ型|格闘技未経験でも開業しやすい設計
9ROUNDやWINME、ベストキッドのように加盟募集を行う本部と契約し、既存のカリキュラム・店舗フォーマット・研修体制を使って開業する方式です。対人スパーリングを行わないサーキット型など、指導者に高度な競技経験を求めない設計を採用する本部も多く、異業種からの参入ハードルが下がっています。一方で加盟金・ロイヤリティが発生するため、単体店舗の利益率は直営より下がります。
直営型|指導者の知名度で単店の競争力を作る
RIKIXやFAITHのように、元プロ選手や実績のある指導者が自ら店舗を構える方式です。加盟金・ロイヤリティが発生しない分、教室が軌道に乗れば利益率は高くなります。ただし指導者個人のブランド力に依存する部分が大きく、多店舗展開する際は指導品質を均一に保つ仕組み作りが課題になります。
セミパーソナル型|少人数指導で客単価を高める
レンジャージムのように、少人数制のセミパーソナル指導を軸にする方式です。1人あたりの対応時間が長くなる分、月謝単価を高く設定しやすく、初心者でも挫折しにくい手厚い指導を訴求できます。一方でトレーナー1人が同時に対応できる人数が限られるため、大人数を一度に収容する店舗設計とは回転率の考え方が根本的に異なります。
Q. 格闘技ジムをフランチャイズで開業する場合、加盟金の相場はいくらですか?
加盟金・保証金・ロイヤリティの金額は本部ごとに公開条件が異なるため一律には言えません。各本部のFC説明会や加盟店募集ページで開示される個別条件を必ず確認し、複数本部を比較したうえで判断することをおすすめします。
開業判断に使う3つの数字|初期費用・月謝・回転率
出店モデルを決めた後、実際に採算が合うかどうかを判断するには、初期費用・月謝相場・回転率という3つの数字を押さえておく必要があります。格闘技ジムは対人指導が発生する業態のため、レッスン枠あたりの人数上限が収益の天井を決める点がダンススタジオ等と異なります。
初期費用|サンドバッグ・マット等の専用設備費が上乗せされる
格闘技ジムの初期費用は、物件の保証金・敷金、内装工事費に加え、サンドバッグ・マット・グローブなどの専用設備費が上乗せされる点が他の運動系施設と異なります。フランチャイズ型の場合はこれに加盟金・研修費が加わり、直営型はすべて自己資金または融資で賄う必要があります。
月謝相場|対人指導かサーキット型かで単価が変わる
月謝は、少人数のセミパーソナル指導か、大人数のサーキット型トレーニングかで水準が大きく変わります。セミパーソナル型は手厚い指導を理由に単価を上げやすく、サーキット型は回転数を確保することで低めの月謝でも採算を取る設計になります。競合の価格帯を調べたうえで、自社がどちらの方向で差別化するかを決める必要があります。
回転率|レッスン枠あたりの上限人数が収益の天井になる
格闘技ジムは、トレーナー1人が安全に指導できる人数に上限があるため、単純に会員数を増やしても収益は比例して伸びません。1コマあたりの適正人数を超えて詰め込むと、指導の質低下や安全面のリスクにつながります。開業判断の全体像はグラウンド整備会社の比較記事で扱った施設系ビジネスの収益構造とも通じる部分があり、箱の稼働率だけでなく「1枠あたりの適正収容人数」を先に決めてから出店計画を立てることが重要です。
Q. 格闘技ジムは1レッスンあたり何人まで対応できますか?
安全に指導できる上限人数は形態によって異なり、一律の基準はありません。少人数のセミパーソナル型は数名、サーキット型は設備台数に応じて十数名程度まで対応する店舗が一般的で、開業前にトレーナー1人あたりの適正人数を本部・自社基準で決めておく必要があります。
企業の健康経営・護身研修としての格闘技活用
格闘技ジムは個人向け習い事としてだけでなく、企業側から見ても活用の余地があります。体を大きく動かすキックボクシングは、デスクワーク中心の従業員のストレス発散手段として企業の健康経営施策に取り入れられる例が出てきています。
サンドバッグを打つ動作は運動強度が高く、短時間でも心拍数を上げやすいため、限られた休憩時間や就業後の時間でも運動効果を得やすいという利点があります。護身術としての側面から、女性社員向けの安全研修の一環として外部の格闘技ジムと連携するケースも見られ、施設を持つ運営会社にとっては個人向けレッスン以外の法人向け収益源になり得ます。
Q. 企業が格闘技ジムを健康経営に取り入れるメリットは何ですか?
短時間で高い運動強度を得られるため、忙しい従業員でも効率的にストレス発散・運動不足解消につなげられる点がメリットです。あわせて護身術としての実用性もあり、安全研修の一環として導入する企業も出てきています。
まとめ|出店モデルと回転率の設計で判断する
格闘技ジム運営市場は、フランチャイズ型・直営型・セミパーソナル型という3つのモデルが併存し、それぞれ参入ハードルとリターンが異なります。要点を振り返ります。
- 国はスポーツ市場規模を15兆円へ拡大する方針を掲げており、格闘技ジムもその追い風を受けている
- 主要11社はダイエット特化・競技志向・女性専用など、対象層で明確にポジションが分かれている
- 出店モデルはフランチャイズ型・直営型・セミパーソナル型の3つに整理でき、必要な専門性と投資額がトレードオフになる
- 開業判断には初期費用・月謝相場・回転率の3指標をセットで見る必要がある
- 企業側にとっても格闘技は健康経営・護身研修としての活用余地がある
FREE DOCUMENT
関連する資料を無料でダウンロード
ご質問・ご相談はお気軽にどうぞ
お問い合わせはこちら →




コメント