ヴァンラーレ八戸のスポンサー289社|30区分349枠、料金は1万円から

ヴァンラーレ八戸のスポンサー289社と30区分349枠 スポーツビジネス

ヴァンラーレ八戸のパートナーページを開くと、区分がひたすら続きます。ユニフォーム、トレーニングウェア、ビブス、ベンチバナー、LEDリボンビジョン、ピッチボード、スタグル。数えたら30区分ありました。

階層で分けるのではなく、掲出する媒体ごとに枠を売る。この連載で見てきたクラブとは設計がまるで違います。そして同じ会社が、いくつもの媒体をまとめて買っていました。

ヴァンラーレ八戸のスポンサー・パートナーは、30区分・延べ349枠・実数289社

ヴァンラーレ八戸の区分別の掲載枠数

クラブ公式サイトのパートナーページを2026年9月23日に取得して集計しました。ヴァンラーレ八戸は協賛企業を「パートナー」と呼んでいます。以下、区分名はクラブの表記に合わせます。掲載区分は30。合計で延べ349枠になります。

最も多いのがブロンズパートナーの69枠、次いでピッチボードパートナーの64枠、シルバーパートナー38枠、LEDリボンビジョンパートナー24枠、ゴールドパートナー20枠、メインスタンドボードパートナー17枠と続きます。

ここから法人格の表記ゆれを揃えて重ねると、実数は289社でした。つまり60枠ぶんが重複、同じ企業が複数の区分に入っているということです。

この連載では、階層ごとに金額が決まっていて1社が1つの階層に属するクラブが大半でした。ヴァンラーレ八戸はmedia単位で枠を買い足していく形で、構造がまったく違います。ゴールド・シルバー・ブロンズという階層制の区分も持っていますが、それは30区分のうちの3つにすぎません。

Q. メインパートナーやトップパートナーという区分はありますか。

ありません。最上位に相当するのはユニフォームパートナー9社で、エプソンアトミックス、大興、サンデー、プライフーズ、MISTsolution、デーリー東北新聞社、三八五グループ、上十コンサル、北日本造船が並びます。別枠でオフィシャルサプライヤーとしてhummelが入っています。「メインパートナー」という呼び方はクラブの表記には出てきません。

(参考)パートナー – ヴァンラーレ八戸FCオフィシャルサイト

ホームタウンの16市町村は、協賛ではない

数えるときに気をつけたのがここです。

パートナーページには「ホームタウン」という区分があり、八戸市、十和田市、三戸町、五戸町、階上町、南部町、おいらせ町、田子町、新郷村、三沢市、七戸町、六戸町、東北町、野辺地町、横浜町、六ヶ所村の16市町村が並んでいます。

ただしこれはクラブのホームタウン、つまり活動地域の表示です。クラブ自身が「ヴァンラーレ八戸は青森県三八上北全域を含む全16市町村をホームタウンとしています」と説明しています。協賛の枠ではないので、349枠にも289社にも含めていません。

一方で、八戸市はLEDリボンビジョンパートナーとして別に名前が出ています。ホームタウンとしての関係とは別に、広告の枠を買っているということです。この1枠は349枠に含めました。

連載では、掲載一覧に自治体が混ざっているクラブをいくつも見てきました。FC岐阜は岐阜県と42市町村すべてがパートナー、高知ユナイテッドSCは最上位に「高知家」つまり高知県。ヴァンラーレ八戸はホームタウンと協賛を分けて表示しているぶん、数えやすい形です。

Q. なぜホームタウンを協賛に数えてはいけないのですか。

金銭の対価がある広告枠と、地域の指定は別のものだからです。これを混ぜると社数が実態より大きく出ます。この連載では以前、包括連携協定の相手先を協賛に混ぜて数えてしまった例を経験しました。クラブが同じページに並べていても、見出しが違えば性質も違うと考えて分けています。

(参考)ホームタウン – ヴァンラーレ八戸FCオフィシャルサイト

同じ会社が何枠も買う。プライフーズは7枠

289社が349枠を持っているということは、平均すると1社1.2枠です。ただし分布はかなり偏っています。

保有枠数ごとの企業数と、3枠以上を持つ企業
保有枠数 企業数 該当する企業
7枠 1社 プライフーズ
5枠 3社 エプソンアトミックス/環境技術/ナナヨウ
4枠 4社 サンデー/上十コンサル/トータルカーショップラッキー/吉田産業
3枠 7社 大興/デーリー東北新聞社/八戸製錬/まごのて/伊藤商事/東京鉄鋼/ライズエキスプレス
2枠 16社 —
1枠 258社 —

出典:ヴァンラーレ八戸FCオフィシャルサイト「パートナー」(2026年9月23日取得)を筆者集計。法人格の表記ゆれを揃えたうえで同一企業とみなした

289社のうち258社、89.3%は1枠だけです。その一方で、上位の企業は媒体をまたいで買っています。

最多のプライフーズは7枠。ユニフォームパートナー、スタッフ着用ジャージ、普及スタッフ着用ジャージ、スタジアム企業CM、LEDリボンビジョン、ピッチボードなどに名前があります。同社はこの後に出てくるスタジアムの命名権も持っています。

この買い方ができるのは、区分が細かく分かれていて、それぞれを単品で選べるからです。階層制のクラブなら「ゴールドからプラチナへ上げる」という選択肢しかありませんが、ここでは「ピッチボードに加えてLEDも」という積み上げ方ができます。

Q. 枠を分けると管理が大変ではないですか。

契約の本数は増えます。ただ、企業の側から見れば「今年はピッチボードだけ」「来年はLEDも足す」と細かく調整できるので、入口が低くなります。ヴァンラーレ八戸の販売費および一般管理費は2億3400万円で、J3平均の2億3200万円とほぼ同じ。売上規模が平均の65.2%であることを考えると、営業や管理の手間は相対的に重い可能性があります。

(参考)パートナー – ヴァンラーレ八戸FCオフィシャルサイト

公開されている料金は、1万円と3万円だけ

「ヴァンラーレ八戸 スポンサー 料金」で調べる人が多いので、確認できたことを書いておきます。

30区分の広告枠について、金額はどこにも公開されていません。パートナーページは一覧だけで、料金表も特典表もありません。

金額が出ているのは、別の2つのメニューです。

ヴァンラーレ八戸で金額が公開されている支援メニュー
メニュー 金額 対象 契約期間
地域共創パートナー 1口10,000円(税込) 法人・個人 2025年2月1日〜2026年1月31日
サポートショップ 年会費30,000円 加盟店(店舗) 同上
30区分の広告枠 公開なし 法人 —

出典:ヴァンラーレ八戸「2025ヴァンラーレ八戸地域共創パートナー募集のご案内」より筆者作成。金額・期間は2025年度の募集内容

地域共創パートナーは1口1万円で、個人でも申し込めます。クラブがこのメニューで打ち出しているのは広告効果ではなく、ホームタウン活動そのものです。募集案内には、ホームタウンジュニア招待支援で2023年に1,200枚のチケットを進呈したこと、サッカー教室や農業支援活動、清掃活動などが並びます。

サポートショップは年会費3万円で、飲食店や小売店が加盟する仕組みです。

この連載では、ファジアーノ岡山が年5万円、徳島ヴォルティスが年5万5000円(税込)、鹿児島ユナイテッドFCが年6万6000円(税込)を下限として公開していました。1万円はそれよりさらに低い入口になります。

Q. 協賛金は経費としてどう扱われますか。

国税庁は、不特定多数への宣伝的効果を意図した費用は広告宣伝費、特定の取引先などを接待・供応する費用は交際費等にあたるという区分を示しています。ヴァンラーレ八戸の30区分はいずれも掲出型なので前者に寄りますが、金額と掲出内容が書面で確定していることが前提になります。一覧に料金が出ていない以上、契約書で何がいくらなのかを明確にしておく必要があります。実際の処理は顧問税理士に確認してください。

(参考)No.5260 交際費等と広告宣伝費との区分 – 国税庁

決算は売上5億7500万円。スポンサー収入は3億円だった

決算の主な項目をJ3平均と並べます。

ヴァンラーレ八戸の2025年度決算とJ3平均
項目 ヴァンラーレ八戸 J3平均
売上高 5億7500万円 8億8200万円
スポンサー収入 3億円 4億9800万円
入場料収入 3000万円 9100万円
物販収入 4600万円 7800万円
Jリーグ配分金 2200万円 2800万円
その他収入 1億5200万円 9900万円
トップチーム人件費 1億6900万円 2億7600万円
販売費および一般管理費 2億3400万円 2億3200万円
営業利益 ▲2500万円 ▲3300万円
当期純利益 100万円 ▲2800万円

出典:公益社団法人日本プロサッカーリーグ「2025年度 J3 クラブ決算一覧」より筆者作成。対象期間は2025年2月から2026年1月。J3平均は数値を開示した16クラブの平均で、鳥取・讃岐・高知・北九州は決算期の関係で非開示

売上高5億7500万円はJ3平均の65.2%、スポンサー収入3億円は同60.2%。売上に占めるスポンサー収入は52.2%で、開示16クラブのなかでは8番目にあたります。極端に高くも低くもありません。

目を引くのは損益です。営業損益は▲2500万円でしたが、営業外収益3000万円があったことで経常利益は100万円、当期純利益も100万円の黒字になりました。J3平均が当期純損失▲2800万円ですから、赤字クラブが多いなかで黒字を確保した形です。純資産は5700万円で、債務超過ではありません。

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Q. トップチーム人件費が平均より低いのはなぜですか。

1億6900万円はJ3平均2億7600万円の61.2%です。売上が平均の65.2%なので、規模に見合った水準と言えます。一方で販管費2億3400万円はJ3平均とほぼ同額でした。売上が小さいぶん、販管費の比重が重くなっています。前の見出しで触れたとおり、30区分に分かれた契約を管理する手間も、この中に含まれているはずです。

(参考)2025年度 J3 クラブ決算一覧(PDF) – 公益社団法人日本プロサッカーリーグ

その他収入が売上の26.4%。J3で最も高い

J3クラブの売上高に占めるその他収入の割合

決算をもう少し細かく見ると、このクラブの特徴が出ている項目があります。その他収入1億5200万円です。

売上高に占める割合は26.4%。数値を開示した16クラブのなかで最も高い比率でした。2位がツエーゲン金沢の21.0%、3位がAC長野パルセイロの17.3%。J3平均は11.2%です。

逆に入場料収入は3000万円で、売上の5.2%しかありません。スポンサー収入・入場料・物販・配分金という主要4項目の合計は売上の69.2%にとどまり、残りの大半をその他収入が埋めている構造になります。

Jリーグの資料はその他収入の内訳を示していないので、何が入っているのかは分かりません。一般にはスクール事業、受託事業、指定管理料などが該当します。ヴァンラーレ八戸の場合、パートナーページに掲載されている「ヴァンラーレタイム」のような学校での出張授業や、ホームタウン16市町村での活動がこの中に含まれている可能性があります。ただしクラブは内訳を公表していないため、確認はできません。

Q. スポンサーを検討する立場では、この数字はどう見ればよいですか。

収入源が広告料だけに偏っていない、という読み方ができます。スポンサー収入3億円が売上の52.2%で、残りの半分を入場料・物販・配分金・その他が分け合っている。1本の柱に頼っていないぶん、単年で協賛が減ってもクラブが即座に傾く形ではありません。一方で、その他収入の中身が公表されていないので、その安定性までは外から判断できません。

(参考)2025年度 J3 クラブ決算一覧(PDF) – 公益社団法人日本プロサッカーリーグ

スポンサー1社あたりは約104万円、1枠あたりは約86万円

本連載で調べたクラブのスポンサー1社あたり単純平均

スポンサー収入3億円を実数289社で割ると、単純平均で1社あたり約104万円です。

この連載で調べた20クラブのなかでは下から4番目。ロアッソ熊本の約110万円、鹿児島ユナイテッドFCの約106万円とほぼ同じ水準で、J3のクラブが並ぶ帯に収まります。

ただしこのクラブでは、もうひとつの割り方のほうが実態に近いかもしれません。延べ349枠で割ると、1枠あたり約86万円。企業は枠を単位で買っているので、検討するときの目安としてはこちらのほうが使えます。

もっとも、30区分の価格差は相当あるはずです。ユニフォームの胸とブロンズパートナーが同じ値段ということはありません。86万円はあくまで全体の重心であって、実際の見積もりは区分によって上にも下にも大きく振れると考えてください。

Q. いくらから始められそうですか。

公開されている範囲では、地域共創パートナーの1口1万円が最も低い入口です。店舗であればサポートショップの年会費3万円があります。ロゴ掲出を伴う30区分の枠は金額が公開されていないため、問い合わせが必要です。ブロンズパートナーに69社が入っていることを踏まえると、小規模な事業者でも入れる価格帯の区分が用意されていると考えられますが、具体的な数字は確認できませんでした。

(参考)2025ヴァンラーレ八戸地域共創パートナー募集のご案内 – ヴァンラーレ八戸FCオフィシャルサイト

スタジアムの名前も、7枠を持つプライフーズだった

ホームスタジアムはプライフーズスタジアム。正式名称は八戸市多賀多目的運動場天然芝球技場です。

八戸市が公開しているネーミングライツ事業の一覧に、金額まで出ています。

八戸市のネーミングライツ実施施設
愛称(正式名称) スポンサー 年額(税込) 期間
YSアリーナ八戸(長根屋内スケート場) 吉田産業 2200万円 令和5年10月〜令和10年9月
SG GROUPホールはちのへ(市公会堂・市公民館) 東北医療福祉事業協同組合 770万円 令和6年10月〜令和11年9月
プライフーズスタジアム(多賀多目的運動場天然芝球技場) プライフーズ 440万円 令和7年1月〜令和11年12月
テクノルアイスパーク八戸(新井田インドアリンク) テクノル 110万円 令和6年8月〜令和11年7月
三八五・こども館(子ども交流館) 三八五流通 50万円 令和6年4月〜令和11年3月

出典:八戸市「ネーミングライツ事業について」より筆者作成

サッカーのホームスタジアムであるプライフーズスタジアムは年440万円で、市内5施設のうち3番目。スケートの拠点であるYSアリーナ八戸の2200万円が最も高くなっています。

注目したいのは、この2社がどちらもヴァンラーレ八戸のパートナーでもあることです。プライフーズは7枠で最多、吉田産業は4枠。クラブに協賛しつつ、市から施設の名前も買っているという構図になります。

連載ではファジアーノ岡山のJFEスチール、宇都宮ブレックスの栃木銀行、高知ユナイテッドSCの技研製作所が同じ形でした。地域の有力企業が、クラブと施設の両方に名前を出す。規模は違っても、繰り返し現れるパターンです。

Q. 440万円という金額は高いのですか。

この連載で確認した自治体の命名権のなかでは低いほうです。新潟県のデンカビッグスワンスタジアムが年4730万円、岡山県のJFE晴れの国スタジアムが年3000万円、高知県の春野総合運動公園陸上競技場が年550万円でした。440万円は高知県の例に近い水準です。施設の規模と、その施設で開催される試合の集客がそのまま反映されます。

(参考)ネーミングライツ事業について – 八戸市

顔ぶれを見ると、県南の産業と全国企業が混ざっていた

最後に、289社の顔ぶれから見えることを書いておきます。

ユニフォームの9社は地元の主力企業

ユニフォームパートナー9社は、エプソンアトミックス、大興、サンデー、プライフーズ、MISTsolution、デーリー東北新聞社、三八五グループ、上十コンサル、北日本造船。製造、流通、小売、新聞、造船と業種が散らばっていて、八戸周辺の産業構成がそのまま出ています。

全国企業はLEDリボンビジョンに集まっている

24枠あるLEDリボンビジョンパートナーには、DMM、NTTドコモ、川崎近海汽船などが入っています。地域連携パートナーのdocomoも含めて、全国企業はスタジアム内の映像媒体に集中している傾向があります。試合中継に映る枠だから、という読み方ができます。

医療機関と飲食店がブロンズに並ぶ

69社のブロンズパートナーには、耳鼻科クリニック、動物病院、整形外科といった医療機関や、地域の小規模事業者が多く名を連ねます。ここが289社という数を支えている層です。1枠だけを持つ258社の多くが、この区分に含まれます。

Q. 結局、ヴァンラーレ八戸の協賛構造はどう見ればよいですか。

階層ではなく媒体の集合だと考えるのが近いと思います。30区分のカタログがあり、企業は必要な枠を選んで買う。プライフーズのように7枠まとめて押さえる会社もあれば、258社のように1枠だけの会社もある。入口は地域共創パートナーの1万円まで下がっていて、そこからロゴ掲出、映像、ユニフォームへと段階が続きます。金額が公開されていないのは難点ですが、選択肢の刻みは連載で見たどのクラブより細かいクラブです。

(参考)パートナー – ヴァンラーレ八戸FCオフィシャルサイト

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About The New株式会社 代表取締役 森永 昂
執筆者
About The New株式会社 代表取締役 森永 昂

新卒で東証プライム上場の社会人教育・コンサルティング企業に入社し、人材育成・組織開発に従事。その後、別企業でメディア・プラットフォーム事業の責任者を務める。

2025年5月に About The New株式会社 を設立。スポーツの現場で培われた知見を組織開発・人材育成の文脈に翻訳し、研修・チームビルディング・イベントの企画運営を行っています。

「知識を得る」で終わらせず「行動が変わる」ところまでを設計することを大切にしています。ご相談は contact@aboutthenew.co.jp まで。

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