講演依頼の進め方|アスリート講演の依頼書文例と費用相場

講演依頼の進め方と依頼書文例、費用相場の解説 スポーツ研修

社内研修やキックオフに、外部から講師を呼びたい。ところが、誰にどう連絡すればよいのか、依頼書には何を書くのか、講演料はいくらを見込めばよいのか。初めて講演依頼を担当すると、この3つで手が止まります。

この記事では、アスリートを含む外部講師に講演を依頼する流れ、依頼書と依頼メールの文例、公的機関の講師謝金基準を使った費用の目安、源泉徴収の計算までを1本にまとめます。

講演依頼の流れ|目的の整理から当日対応までの順番

講演依頼の流れを示す図(準備、打診、契約・当日の3段階)

講演依頼は、準備、打診、契約・当日の3段階で進みます。どの段階でも、先に社内で決めておくべきことと、講師側に確認すべきことが分かれています。アスリート講演の企画そのものはアスリート講演で企業研修を変える企画のコツで詳しく扱っています。

準備|目的・聴衆・予算を先に決める

最初に決めるのは、講演で何を変えたいかです。「新入社員に挑戦する姿勢を伝えたい」「管理職のチームづくりのヒントがほしい」のように目的を一文にし、聴衆の人数・年代・開催形式・予算の上限をそろえます。ここが曖昧だと、講師を選ぶ基準も、依頼書の中身も定まりません。

打診|講師候補に依頼書か依頼メールで連絡する

候補は2〜3人に絞り、所属先や所属事務所、講演会社などの窓口に連絡します。初回の打診では、日程の可否と概算の見積もりを確認するのが目的です。日程の候補は複数出し、回答期限も添えておくと、やりとりが早く進みます。

契約・当日|条件を書面で確認して進行を共有する

見積もりに合意したら、謝礼、交通費・宿泊費、キャンセル規定、録画・配信・資料配布の可否を書面で確認します。当日は控室、会場までの導線、質疑応答の運用、集合写真の有無まで事前に共有しておくと、講師も社内も落ち着いて当日を迎えられます。

Q. 講演依頼はいつまでにすればよいですか

日程が決まったら、できるだけ早く打診するのが基本です。人気のある講師ほどスケジュールが先まで埋まります。具体的な必要期間は講師や窓口で異なるため、まず日程の仮押さえができるかを尋ねてください。

講演依頼書に書く項目と記載例

依頼書に書く項目は、ほぼ共通です。講師側が「受けられるか」「いくらで受けるか」を判断するのに必要な情報を、漏れなく入れます。

項目 書く内容 記載例
依頼の目的 何のための講演か 新入社員研修の一環として、挑戦と継続について話していただきたい
テーマ・希望内容 話してほしい内容と方向性 競技経験を踏まえた目標設定とチームづくり
日時 候補日と所要時間 2027年1月の平日、講演60分と質疑15分
会場・形式 対面かオンラインか 本社会議室(対面)。オンラインの場合は配信方法を別途相談
聴衆 人数・属性・年代 約80人、入社1〜3年目の社員
謝礼・費用 講演料の予算と交通費の扱い 講演料は貴殿の規定をうかがいたい。交通費・宿泊費は当社が負担
回答期限 返信の目安日 ◯月◯日までにご返信をお願いします
録画・配信・撮影 録画や社内共有、広報利用の可否 社内限定のアーカイブ配信を予定

出典:Human Soarが、一般的な講演依頼書の項目を整理した例です。記載例は想定の文例であり、実在の依頼内容ではありません。

依頼書の形式にこだわる必要はありません。A4で1枚に収まる程度に、上の8項目を並べれば十分に用が足ります。

講演依頼メールの文例|初回の打診は短く具体的に

初回のメールは、長い依頼書を添付するより、要点を短く伝えるほうが返信をもらいやすくなります。次の文例をベースに、自社の状況へ書き換えてください。

件名:【講演のご依頼】◯◯株式会社 新入社員研修(2027年1月開催予定)

◯◯様

突然のご連絡失礼いたします。◯◯株式会社 人事部の△△と申します。

2027年1月に開催する新入社員研修(対面・約80名)にて、競技での目標設定とチームづくりのご経験を、60分ほどお話しいただけないかとご連絡いたしました。

候補日は1月上旬から中旬の平日です。ご都合の可否と、講演料・交通費のお取り扱いについてお知らせいただけますと幸いです。

◯月◯日までにご返信をいただければ助かります。ご不明点があればお気軽にご連絡ください。どうぞよろしくお願いいたします。

メールのやりとりは、可否の返信、概算の見積もり、条件の確認という順で進むのが一般的です。見積もりが届いたら、その場で承諾せず、社内の予算と照らして条件を詰めましょう。

Q. 講演依頼書は必ず必要ですか

必須ではありませんが、書面で残しておくほうが安全です。初回はメールで可否を確認し、条件が固まった段階で依頼書や契約書に落とし込むと、謝礼・日程・録画の扱いなどの行き違いを防げます。

講演料の相場|公的機関の謝金基準で予算の物差しをつくる

講演料に定価はなく、講師の知名度や拘束時間、移動によって大きく変わります。とくにアスリートは実績や話題性で幅が出るため、相場を1つの数字で示すのは難しいのが実情です。そこで、公的な機関が公表している講師謝金の基準を、予算の桁感をつかむ物差しとして使います。

区分 1時間あたりの謝金 備考
日本スポーツ協会|講演者(専門的講話) 50,000円 同協会の規程。専門的な講話が対象
日本スポーツ協会|講師(実技指導者を含む) 15,000円 スポーツドクターや弁護士などは別扱い
日本スポーツ協会|パネリスト・司会者 各15,000円 講師と同額
大阪市|教授相当(民間部長級以上を含む) 基本額7,100円、上限11,400円 市職員向けの講習会等が対象
大阪市|講師相当(民間の専門技術者など) 基本額5,200円、上限7,600円 座談会形式は上記の8割以内

出典:公益財団法人日本スポーツ協会「講師及び原稿執筆等謝金に関する規程」、大阪市「講師に係る謝礼金の取扱基準について」(令和7年5月改正)をもとにHuman Soarが整理しました。

これらは団体や自治体が自らの事業で支払う基準で、民間企業が著名なアスリートに依頼するときの相場ではありません。実際の見積もりはこれより大きくなることも少なくありません。それでも、「1時間あたり5万円」を1つの目安にしておくと、社内で予算の桁感を共有しやすくなります。

交通費・宿泊費・資料作成費が別途になるケースも多いため、依頼書の段階で「込みか別か」を確認します。外部の研修・講師に払う費用全体の考え方はスポーツ研修の外部委託費用と業者選定ガイドも参考になります。

(参考)講師及び原稿執筆等謝金に関する規程 – 公益財団法人日本スポーツ協会

(参考)講師に係る謝礼金の取扱基準について – 大阪市

講演料の源泉徴収|支払額ごとの税額を計算する

講演料を個人に支払うときは、報酬・料金等として源泉徴収が必要です。国税庁の案内では、支払額が100万円以下の場合は「支払額×10.21%」、100万円を超える場合は「(支払額−100万円)×20.42%+102,100円」で計算します。所得税と復興特別所得税は一体で源泉徴収されます。

講演料の支払額 源泉徴収税額 計算
10万円 10,210円 100,000円×10.21%
30万円 30,630円 300,000円×10.21%
50万円 51,050円 500,000円×10.21%
100万円 102,100円 1,000,000円×10.21%
150万円 204,200円 (150万円−100万円)×20.42%+102,100円

出典:国税庁「No.2795 原稿料や講演料等を支払ったとき」の税率をもとに、Human Soarが計算しました。消費税の扱いなど個別の条件は反映していません。

国税庁は、令和9年分以後は防衛特別所得税が加わる予定であることも案内しています。支払時点の最新の税率は、国税庁の案内で確認してください。講演会社や事務所(法人)宛の請求になる場合は取り扱いが異なることがあるため、契約形態を決めたら経理に確認しておくと安心です。

Q. 講演料の源泉徴収は必要ですか

個人に講演料を支払うときは、報酬・料金等として源泉徴収の対象になります。100万円以下の部分は支払額の10.21%(所得税と復興特別所得税の合計)です。法人宛の請求では扱いが異なる場合があるため、経理や税理士に確認してください。

(参考)No.2795 原稿料や講演料等を支払ったとき – 国税庁

依頼先の選び方|直接依頼と講演会社経由の違い

直接依頼と講演会社経由の違いを比べた図

依頼先は大きく、講師の所属先や事務所へ直接頼む方法と、講演会社・講演依頼サイトを通す方法に分かれます。どちらが正解ということはなく、候補探しにかけられる手間と、調整を任せたい範囲で選びます。講師が決まっていて条件交渉を自社で進めたいなら直接依頼、候補探しから日程調整までまとめて任せたいなら講演会社経由が向いています。

あわせて読みたいスポーツを活用した企業研修の成功事例|効果・費用・プログラム設計のポイント›

社内稟議と効果測定まで見据えて講演依頼を設計する

講演は、開催して終わりにすると費用対効果が見えません。稟議の段階で「何をもって成功とするか」を決めておくと、講演後のアンケートや行動の変化を測りやすくなります。たとえば、受講後アンケートの満足度、研修後1か月の目標設定の提出率など、測れる指標を1〜2個決めておくだけで十分です。

考え方の土台には、人材を「コスト」ではなく「投資」と捉える視点があります。効果の測り方はスポーツ研修の効果測定とROIの算出方法で詳しく解説しています。

あわせて読みたい人的資本投資とは?スポーツを活かした事例と効果を出す戦略›

まとめ|講演依頼は目的と条件を先にそろえる

ここまでの内容を、5つのポイントに絞って振り返ります。

  • 講演依頼は、準備、打診、契約・当日の3段階で進め、目的・聴衆・予算を最初に決めます。
  • 依頼書は目的、テーマ、日時、会場、聴衆、謝礼、回答期限、録画の扱いの8項目があれば十分です。
  • 講演料に定価はありません。日本スポーツ協会の「1時間あたり50,000円」などの公的基準を、予算の物差しとして使えます。
  • 個人に支払う講演料は源泉徴収の対象で、100万円以下は10.21%です。
  • 依頼先は直接依頼と講演会社経由を比べ、稟議の段階で効果測定の指標まで決めておきます。

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About The New株式会社 代表取締役 森永 昂
執筆者
About The New株式会社 代表取締役 森永 昂

新卒で東証プライム上場の社会人教育・コンサルティング企業に入社し、人材育成・組織開発に従事。その後、別企業でメディア・プラットフォーム事業の責任者を務める。

2025年5月に About The New株式会社 を設立。スポーツの現場で培われた知見を組織開発・人材育成の文脈に翻訳し、研修・チームビルディング・イベントの企画運営を行っています。

「知識を得る」で終わらせず「行動が変わる」ところまでを設計することを大切にしています。ご相談は contact@aboutthenew.co.jp まで。

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