辞めた元社員に、もう一度声をかけたい。でも連絡先は手元になく、戻ってもらうときの条件も決まっていない。そんな状態のまま、アルムナイ採用(退職者の再入社)を始めようとしていませんか。Jリーグが選手を別のクラブに出すときの決まりをもとに、退職の日から再入社の後までの道筋を制度にします。
対象となるお客さま
- アルムナイ採用を始めたいが、何から決めればよいか定まっていない人事責任者
- 欠員を、仕事を知っている人で早く埋めたい事業責任者
- 社外で経験を積んだ人を、経営人材の候補として迎えたい経営者
よくあるお悩み
- 辞めた人の顔は浮かぶが、連絡先が手元にない
- 再入社を認めるかどうかや処遇が、そのたびに変わる
- 戻った人の処遇に、在籍している社員が不満を持たないか心配
課題|戻りたい人は約3人に1人なのに戻る道がない
欠員が出たとき、辞めた元社員の顔が浮かぶ。ところが連絡先は分からず、声をかけてよいかの決まりもない。戻れそうな人がいるのに、戻る道がない。アルムナイ採用は、この状態を変えることから始まります。
総務省統計局の労働力調査(詳細集計)2025年平均では、転職者は330万人でした。前年より1万人減ったものの、1年間に300万人を超える人が勤め先を変えています。転職者は、いまは別の勤め先で働いている人たちです。
(参考)統計メールニュースNo.1836 労働力調査(詳細集計:2025年平均) – 総務省統計局
企業と個人の両側の数字もあります。マイナビキャリアリサーチLabの調査では、アルムナイ採用を実施している企業の中途採用担当者は40.9%でした(2024年1月度)。転職経験のある個人では、過去に退職した会社に戻りたいと思ったことがある人が32.9%いる一方、アルムナイネットワーク(退職者と企業がつながる場)に参加している人は15.3%でした(いずれも2024年6月度)。
原因|退職の日に戻る道を何も残していない
戻りたい人がいても戻れないのは、退職の手続きが「関係の終わり」として作られているからです。原因は次の3つです。
- 退職の日に連絡の同意を取っていない:退職の手続きが事務処理で終わり、辞めた後も連絡してよいかを確かめる場面がありません。
- 再入社の基準と処遇が決まっていない:応募できる条件や処遇の考え方が見えないため、戻りたい人が自分で判断できません。
- 戻った後の役割が決まっていない:元の部署に戻すだけでは、社外で得た経験を活かす場がありません。
同じ調査では、アルムナイ採用を実施している企業が挙げた課題で最も多かったのは「既存社員との処遇差に対する不満の発生」でした。出戻り転職を今後検討している個人の不安で最も多かったのも「適正な賃金や評価を設定して貰えるか分からないこと」です。企業も個人も、処遇が決まっていないことに引っかかっています。
スポーツ知見|Jリーグは外に出す時点で戻り方を書面に残す
Jリーグには、選手を一定の期間だけ別のクラブに出す「期限付移籍」という仕組みがあります。Jリーグは2024年10月29日の理事会で、国内の期限付移籍の規則の設定を決議しました。
中心にあるのは、外に出す時点で戻り方を書面に残すことです。移籍先クラブとの選手契約書に「期限付移籍であること」を明記し、期間は最長1年とします(延長の合意は可能)。移籍先クラブが一方的に契約を解除した場合には、選手が移籍元クラブに戻る権利と、移籍元クラブが選手を復帰させる義務を定めています。
貸し出せる人数の上限をFIFA規則の6名より緩めて10名にした理由として、Jリーグは、日本では下部リーグなどへの期限付移籍が有効に働いていることを挙げています。外に出しても関係を切らず、戻るときの手続きを先に決めておく。これが、選手が外で積んだ経験を自分のクラブに持ち帰れる土台になっています。
(参考)2025シーズンの選手登録・移籍ルールに関する改定について – 公益社団法人日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)
ただし、選手の移籍と社員の退職は同じではありません。期限付移籍は契約が続き、戻ることが前提です。退職は雇用が終わり、戻る約束もありません。そのため、戻ることを約束してもらうのではなく、連絡の同意と再入社の条件だけを退職の日に残し、戻るかどうかは本人が選べる形にします。
解決策|退職から再入社までに4つの仕組みを置く
新しい採用部署はつくりません。いまある退職の手続きと中途採用の手続きに、次の4つの仕組みを足します。
- 退職の日:退職面談で、辞めた後の連絡の希望と利用目的を確かめ、同意した人だけを名簿に載せる
- 社外にいる間:年2回、会社の近況や募集の情報を伝える。参加するかどうかは本人が決める
- 再入社を考えるとき:応募資格・選考の流れ・処遇の考え方を「再入社ガイド」にまとめ、社内にも示す
- 戻ってから90日:社外での経験を活かす役割、期待する成果、相談先を、復帰前に伝える
後回しにされやすいのが再入社ガイドです。処遇の考え方が見えないままでは、戻りたい人は応募をためらい、在籍している社員は不公平だと感じます。社外での経験を自社の等級にどう当てはめるかを先に決め、社外にも社内にも同じ説明をします。
進め方|過去3年の退職者の棚卸しから始める
名簿も基準もないまま募集を出しても、応募は集まりません。まず過去の退職者と社内の規程を確かめ、1つの部門で試してから全社に広げます。
診断では、過去3年の退職者の人数と退職理由、退職の手続きの流れ、再入社に関する規程があるかを一緒に確かめます。設計・試行では、退職面談に連絡の同意を組み込み、再入社ガイドの案をつくり、1回目の近況共有を開きます。定着では全社の退職者に広げ、年2回の近況共有と、再入社した人の90日の役割設計を人事の通常業務にします。
期間は目安です。診断だけ、再入社ガイドづくりだけといった始め方もご提案します。Human Soarは様式の用意・聞き取り・文書化・近況共有の企画を担い、御社には退職者データの共有と、試す部門の決定をお願いします。雇用条件や就業規則の変更、退職者の個人情報の扱いは、社会保険労務士や弁護士など専門家の確認を前提に進めます。
成果物|人事だけで回せる4つの文書
成果物は、御社の規程と実際の退職者をもとに一緒に作ります。支援が終わった後は、人事だけで回せる形にします。
最初に整えるのが「退職面談の同意確認シート」です。退職面談の最後に、連絡の希望と利用目的を確かめ、同意を記録します。同意した人の情報は「アルムナイ名簿の運用ルール」に沿って管理します。管理する担当者、見られる範囲、年2回の近況共有の進め方まで決めておくので、担当者が替わっても続きます。
戻りたい人が応募を決めるときに読むのが「再入社ガイド」です。応募資格、選考の流れ、処遇の考え方を載せ、社外向けと社内向けの説明をそろえます。再入社が決まったら「復帰後90日の役割設計シート」で、任せる役割、期待する成果、相談先を受け入れ部署と一緒に決め、復帰前に本人へ伝えます。
期待できる効果|欠員が出たとき最初に声をかけられる相手ができる
経営にとっては、社外で経験を積んだ人を、採用や経営人材の候補として迎える入り口ができます。経済産業省の人材版伊藤レポート2.0(令和4年5月)も、社員が社外で有効な経験を積んで自社に戻ることを奨励し、アルムナイネットワークの活用等を検討することを経営陣に求めています。
人事は、再入社を認めるかどうかや処遇を、そのたびに決めずに済みます。現場の責任者は、欠員が出たときに、仕事を知っている人へ最初に声をかけられます。
見る数字は「退職面談で連絡の同意を得た割合」と「再入社の相談件数」です。再入社は時期の巡り合わせに左右されるため、まず同意の割合が上がっているかで、制度が回っているかを確かめます。スライド下のセルフチェックで2つ以上当てはまれば、退職の手続きを見直す時期です。
Human Soarからのコメント
Jリーグの期限付移籍は、選手を外に出すときに、戻り方まで書面で決めておく仕組みです。社員の退職も、離れる日に戻る道を残しておくことができます。それは、採用の入り口を1つ増やすことでもあります。御社の退職の手続きと処遇の規程に合わせて、一緒に設計します。
よくあるご質問
Q. アルムナイ採用とは何ですか?
自社を退職した人を、もう一度採用することです。出戻り採用やカムバック採用とも呼ばれます。制度にする目的は、退職後も関係を保ち、欠員が出たときに声をかけられる状態をつくることです。
Q. 再入社した人の処遇に、在籍している社員が不満を持ちませんか?
処遇の考え方が見えないと、不満につながりやすくなります。そのため再入社ガイドで、社外での経験を自社の等級にどう当てはめるかを先に決め、社内にも同じ説明をします。再入社した後の評価は、在籍している社員と同じ基準で行います。
Q. 退職者の少ない小さな会社でも依頼できますか?
できます。退職者が少ない会社では、年2回の近況共有を省き、退職面談の同意確認と再入社ガイドだけを整える形もご提案します。
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