スポーツAIとは、試合や練習の映像、体に付けたセンサー、チケットの販売記録などのデータをAIで分析し、フォームの比較、判定の確認、ケガの兆しの把握、席ごとの価格設定、ハイライト動画の作成などに使う技術の総称です。調査会社のMordor Intelligenceは、世界のスポーツ向けAIの市場規模を2025年に76億3,000万ドルと推計しています。
企業が使うときに結果を分けるのは、技術の新しさよりも、データを誰が使えるのか、顔や体の情報をどう扱うのか、どの条件で何割当たるのかを導入前に確かめているかどうかです。用途ごとの公表された導入例と、導入・選定で確かめること、守るべき法律と指針、始める手順を順に整理します。
スポーツAIとは|スポーツのデータから予測や判定を出す技術

スポーツAIは、入力データとAIモデルを組み合わせて、予測や判定などの出力を作る仕組みです。入力データは映像・センサー・販売記録、AIモデルはデータで学習して作った計算の仕組み、出力は予測・判定・推奨・動画です。上の図は、この関係を1つの式にまとめたものです。
国の指針が引く国際規格はAIを予測や推奨を出すシステムとする
総務省と経済産業省が2026年3月31日に公表した「AI事業者ガイドライン(第1.2版)」は、AIシステムを、さまざまなレベルの自律性をもって動作し学習する機能を持つソフトウェアを含むシステムとしています。参考として載せている国際規格の定義では、人が決めた目標に対して、コンテンツ、予測、推奨、意思決定などの出力を作るシステムとされています。スポーツで言えば、ハイライト動画がコンテンツ、ケガの兆しや需要が予測、練習メニューやチケット価格が推奨、判定の確認が意思決定の支援に当たります。
同じガイドラインは、AIに関わる事業者を、AIを作る「AI開発者」、AIを組み込んだサービスを提供する「AI提供者」、事業でAIを使う「AI利用者」の3つに分けています。クラブや協賛企業がサービスを契約して使う場合は、多くがAI利用者に当たります。第1.2版では、センサーで集めた情報をもとに機械を動かす「フィジカルAI」の定義も加わりました。
(参考)AI事業者ガイドライン(第1.2版) – 総務省・経済産業省
世界の市場は2031年に約333億ドルと推計されている
スポーツ向けAIの市場規模は、調査会社が独自に推計した数字が公表されています。Mordor Intelligenceの推計では、スポーツ向けAIの市場規模は2025年に76億3,000万ドル、2026年に97億6,000万ドルで、2031年には333億2,000万ドルに達し、2026〜2031年の年平均成長率は27.85%とされています。同じ推計では、2025年の地域別シェアは北米が37.95%で最大です。
推計の範囲や数字は調査会社ごとに違うため、投資や参入の判断に使うときは、どの用途を含めた数字かを確かめてから使います。国内のアナリティクス市場の見方は日本のスポーツアナリティクス市場と参入判断で整理しています。
(参考)スポーツにおける人工知能市場 規模・シェア分析(2026年〜2031年) – Mordor Intelligence
Q. スポーツAIとは簡単に言うと何ですか?
映像やセンサー、販売記録などのデータをAIで分析し、予測・判定・推奨や動画などを出す技術の総称です。フォームの比較、審判の判定の確認、ケガの兆しの把握、チケットの価格設定、ハイライト動画の作成などに使われています。最終的な判断を人が行う使い方が基本です。
スポーツAIの活用事例|5つの用途で見る企業と団体の導入例
スポーツAIの活用は、映像解析、審判支援、コンディション、チケット価格、ファン向け動画の5つに分けると、どの企業が何に使えるかが見えやすくなります。下の表は、用途ごとにAIがすることと主な使い手、公式に発表された導入例を並べたものです。
| 用途 | AIがすること | 主な使い手 | 公表された例 |
|---|---|---|---|
| 映像解析 | 骨格を推定し、フォームをお手本と比べる | スクール・部活動・スポーツ用品の事業者 | ソフトバンク「AIスマートコーチ」(2022年3月提供開始) |
| 審判支援 | ボールの位置や軌道を計測して判定を確かめる | リーグ・大会の運営者 | MLB(2026年から)、大阪市が支援した実証実験(2025年11月) |
| コンディション | 体調・睡眠・負荷の記録から疲労やケガの兆しを示す | チーム・健康経営の担当 | NECとユーフォリアの実証実験(2019年6月から) |
| チケット価格 | 需要を予測して席ごとの価格を変える | クラブ・施設・興行主 | 日本サッカー協会の代表戦(2024年3月) |
| ファン向け動画 | 試合の場面を見つけて動画を自動で編集する | リーグ・クラブ・協賛企業 | Jリーグ「モーメント動画」(2024年10月発表) |
出典:ソフトバンク、MLB、大阪市、日本電気、日本サッカー協会、Jリーグの公式発表をもとに Human Soar 作成
映像解析|骨格を推定してフォームをお手本と比べる
映像解析は、スマートフォンなどで撮った動きから体の関節の位置を推定し、フォームを数字や線で示す使い方です。ソフトバンクは2022年3月31日、筑波大学との産学連携で開発した「AIスマートコーチ」の提供を始めました。部活動やアマチュアの選手向けで、骨格推定AIを使って自分のフォームとお手本動画を比べられます。提供開始時の種目は野球、バスケットボール、ダンス、サッカーで、利用料は無料です。
このサービスは、指導者が足りない離島や過疎地域にも学ぶ機会を届けた点が評価され、日本財団が主催する「HEROs AWARD 2025」の企業部門に選ばれています。スクールやスポーツ用品の事業者にとっては、指導の質を保ちながら教える人数を増やす手段になります。骨格推定の仕組みと、撮影の条件で精度が変わる点は姿勢推定AIのフォーム分析で解説しています。
(参考)スポーツ支援サービス「AIスマートコーチ」を提供開始 – ソフトバンク株式会社
(参考)AIスマートコーチで「HEROs AWARD 2025」を受賞 – ソフトバンク株式会社
審判支援|判定は人に残して機械で確かめる
審判支援では、機械にすべてを判定させず、人の判定を機械で確かめる方式を選んだ例があります。MLBは2025年9月23日、ストライクとボールの自動判定を、選手が異議を申し立てたときだけ使う「チャレンジ方式」で、2026年からすべての春季キャンプ、公式戦、ポストシーズンに導入すると発表しました。決めたのは、オーナー6人、現役選手4人、現役審判1人でつくる競技委員会です。選手が全投球を機械で判定する方式よりチャレンジ方式を強く望んだことが、決め手の1つになったとしています。
国内では大阪市が、AIを使った「ロボット審判」の実証実験を支援しました。2025年11月14日に南港の野球場で、3Dカメラの画像とAIを組み合わせてボールの位置と軌道を解析し、ストライクを判定する実験です。投手・捕手の判断との一致率80%以上を目標に掲げていました。背景には、少年野球などで審判員が足りないという課題があります。サッカーで使われている判定支援は半自動オフサイド判定の仕組みで紹介しています。
あわせて読みたいAI審判とは|スポーツ大会運営者が導入前に確かめる3点›
(参考)アマチュア野球におけるAIを活用した「ロボット審判」の実証実験を支援します – 大阪市
コンディション|体調と負荷の記録から疲労の兆しを示す
コンディションの用途では、睡眠や体調、練習の負荷の記録をAIで分析し、疲労やケガの兆しを数字で示します。NECとユーフォリアは2019年9月18日、ウェアラブル端末で取った生体情報と選手が入力した日々の体調データを集め、NECのAIで分析して、疲労・熱ストレス・睡眠の質を指標にする取り組みを発表しました。2019年6月から、Vリーグのチームとジャパンラグビートップリーグのチームで実証実験を行っています。
分析の前提になるのは、毎日の記録を集める仕組みです。青森県は国民スポーツ大会に向けて、選手の睡眠時間、体調、疲労感、体重、食事、運動負荷などを記録するアプリを強化策に採用し、異常があるとアラートで知らせる機能を使っています。企業が社員の健康づくりに同じ考え方を使う場合も、まず記録を続けられる形をつくることが出発点です。AIによるケガの予測がどこまで当たるかはAI傷害予測モデルの精度と現場での使い方で解説しています。
(参考)ユーフォリアとNEC、アスリート向けコンディション管理サービス分野で実証実験を実施 – 日本電気株式会社
(参考)ONE TAP SPORTSの導入について – 青森県 スポーツ健康課
チケット価格|需要を予測して席ごとの価格を変える
チケット価格の用途では、需要を予測して席ごとの価格を変えるダイナミックプライシングが使われています。日本サッカー協会は、2024年3月25日のU-23日本代表とU-23ウクライナ代表の試合で、一部の席種を除いてダイナミックプライシングによる販売を行いました。販売ページでは、試合日程、席種、市況、天候などのデータ分析をもとに試合ごとの需要を予測し、価格を自動的に変える仕組みと説明しています。車椅子席は価格を変える対象から外しています。
ヤフーとパスレボは2019年11月22日の発表で、ダイナミックプライシングをAI技術で需要と供給に応じて価格を変える仕組みとし、国内ではプロ野球やプロサッカーなどスポーツを中心に導入が進んでいると説明しています。販売データから来場者数や売れ行きを予測する使い方はスポーツAIの需要予測で整理しています。
あわせて読みたいAIチケット価格変動|スタジアム運営者の収益戦略›
(参考)チケット(国際親善試合 U-23日本代表 対 U-23ウクライナ代表) – 公益財団法人日本サッカー協会
(参考)Yahoo!チケットがダイナミックプライシングでのチケット販売を実施 – ヤフー株式会社・パスレボ株式会社
ファン向け動画|試合の場面をAIが見つけて切り出す
ファン向けの用途では、試合映像からプレーの場面をAIが見つけ、動画を自動で編集して配信します。Jリーグは2024年10月31日、選手名やプレーの種類など試合中のすべての動きをAIが分析して自動で索引を付け、スマートフォン向けの縦型に自動編集する「モーメント動画」を順次導入すると発表しました。利用者は、お気に入り選手を1クラブにつき3名まで登録でき、その選手のプレー集を試合後に見られます。
Jリーグは、利用者ごとに合わせた動画を届けることで、スタジアムへの来場を後押しすることを期待しているとしています。協賛企業にとっては選手の場面と組み合わせた発信の機会が増えますが、試合の映像を自社の発信に使える範囲は、リーグやクラブとの契約で先に確かめます。大会の映像を多言語で自動編集する海外の動きは生成AIによる多言語ハイライト動画の制作で紹介しています。
(参考)Jリーグが新たにユーザーごとにカスタマイズされた「モーメント動画」を導入 – 公益社団法人日本プロサッカーリーグ
Q. スポーツAIは日本でどんな企業や団体が使っていますか?
公表されている例では、ソフトバンクが部活動向けにフォームを比べるアプリを無料で提供し、Jリーグが試合のハイライト動画をAIで自動編集して配信しています。日本サッカー協会は代表戦の一部の席でダイナミックプライシングを使い、大阪市はAIのロボット審判の実証実験を支援しました。スポーツ団体だけでなく、通信会社や電機メーカーなどの企業が技術の提供側として関わっています。
スポーツAIの導入で確かめる4つのこと|データの権利・個人情報・精度・費用

スポーツAIを導入・選定するときは、データの権利、個人情報、精度、費用の4つを契約前に確かめます。用途によって集めるデータが違うため、確かめる点の重みも変わります。
集めるデータは、映像解析なら選手や利用者の映像、審判支援ならボールの位置と軌道、コンディションなら体調・睡眠・負荷の記録、チケット価格なら席種と販売の状況、ファン向け動画なら試合の映像です。上の図は、それぞれについて、顔や動きの特徴の扱い、一致率と判定の速さ、取扱規程と本人の同意、価格を変えない席、映像を使える範囲の契約というように、先に確かめる点を並べたものです。
データの権利|誰が使えるかを契約で決める
AIで集めた映像や分析結果を誰が使えるかは、契約で決めておく必要があります。経済産業省の「AI・データの利用に関する契約ガイドライン」は、日本の法律ではデータに所有権を考えることはできず、「データ・オーナーシップ」という言葉は、契約でデータの利用権限を取り決めた立場を指すと考えられると説明しています。
実務では、元の映像や記録に加えて、それを加工・分析して生まれた「派生データ」を誰がどこまで使えるかを決めます。たとえば、クラブが協賛企業の機材で集めた選手のデータを、企業が自社の製品開発に使えるのか、契約が終わった後にデータをどうするのかを、書面で決めておきます。
(参考)AI・データの利用に関する契約ガイドライン 1.1版 – 経済産業省
個人情報|顔や歩き方の特徴も個人情報になる
スポーツAIが扱う映像やセンサーのデータには、個人情報が多く含まれます。個人情報保護委員会のガイドラインによると、顔の骨格や部位の形、歩くときの姿勢や腕の動きなどの特徴を、本人を見分けられるようにコンピューター用に変換したデータは「個人識別符号」に当たり、それだけで個人情報になります。健康診断などの結果は「要配慮個人情報」に当たり、法律で決められた場合を除き、取得する前に本人の同意が要ります。
社員の運動や体調のデータを使う健康経営の施策では、厚生労働省の指針が参考になります。指針は、健康診断などで事業者が得る社員の心身の状態の情報のほとんどが要配慮個人情報に当たる機微な情報だとし、衛生委員会などを活用して労使で取扱規程を定めるよう求めています。スポーツ団体で個人情報の事案が起きたときに協賛企業が確かめる点はスポーツ団体の不正アクセスと協賛企業の確認点でまとめています。
(参考)個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編) – 個人情報保護委員会
(参考)労働者の心身の状態に関する情報の適正な取扱いのために事業者が講ずべき措置に関する指針 – 厚生労働省
精度|どの条件で何割当たるかを数字で確かめる
精度は「高い」という説明ではなく、どの条件で、何と比べて、何割一致したかを数字で確かめます。大阪市が支援したロボット審判の実証実験では、投手・捕手の判断との一致率、投球を認識してから判定を出すまでの時間、夜間など暗い環境で判定に失敗する割合の3つを検証項目にしていました。一致率だけでなく、速さと環境による失敗まで見ている点が、導入する側の確かめ方の手本になります。
AI事業者ガイドラインも、AIを使う事業者に対して、AIの出力の精度とリスクの程度を理解し、提供者が想定した範囲の中で使うよう求めています。導入先の事業者には、精度を測ったときの条件(撮影の角度、明るさ、対象の年齢や競技など)を書面で出してもらい、自社の使い方と合っているかを比べます。
(参考)AI事業者ガイドライン(第1.2版) – 総務省・経済産業省
(参考)アマチュア野球におけるAIを活用した「ロボット審判」の実証実験を支援します – 大阪市
費用|機材・利用料・人手を分けて見積もる
費用は、カメラやセンサーなどの機材、サービスの利用料、データの保存、分析結果を現場に伝える人手に分けて見積もります。スマートフォンで使える無料のアプリから、競技場にカメラを置く大がかりな仕組みまで幅があるため、合計額だけを比べると判断を誤りやすくなります。
特に見落としやすいのが人手です。記録を毎日入力する人や、分析結果を練習や施策に落とし込む人がいないと、仕組みを入れても使われなくなります。サービスごとの違いと選ぶときの観点はAIコーチングサービスの比較で、データ分析を担う仕事の中身はスポーツのデータ分析の事例と仕事内容で紹介しています。
Q. スポーツAIの問題点やデメリットは何ですか?
おもな問題点は、データを誰が使えるかが曖昧になりやすいこと、顔や体の情報を扱うこと、使う条件によって精度が変わること、人手を含めた費用が見えにくいことの4つです。データの利用権限は契約で決め、顔の特徴や健康の情報は法律と指針に沿って扱い、どの条件で何割当たるかを試験導入で確かめると、問題を抑えられます。費用は機材・利用料・人手に分けて見積もります。
スポーツAIのルール|AI推進法・AI事業者ガイドライン・個人情報保護法の改正

スポーツAIのルールは、法律、国のガイドライン、各社の契約の3層で考えると整理しやすくなります。土台にAI推進法と個人情報保護法があり、その上に事業者の取り組みを示すAI事業者ガイドライン、いちばん上に、データの利用権限や派生データの扱いを決める各社の契約が乗ります。
AI推進法|活用に努め国の施策に協力する
AI推進法(正式名称は人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律。e-Gov法令検索での略称は「AI法」)は、2025年6月4日に公布され、2025年9月1日に全面施行されました。AIを事業で使う「活用事業者」に対しては、積極的にAIを活用して事業の効率化や新しい産業の創出に努めるとともに、国や地方公共団体の施策に協力しなければならないと定めています。
この法律に罰則の規定はありません。一方で国は、AIの研究開発と活用が適正に行われるよう指針を整え、AIの不適切な使い方で権利が侵害された事案を分析して、事業者に指導や助言を行うと定めています。罰則がないことは、何をしてもよいという意味ではない点に注意が必要です。
(参考)人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律(令和7年法律第53号) – e-Gov法令検索
AI事業者ガイドライン|利用する企業にも取り組むことがある
AI事業者ガイドラインは法律ではありませんが、AIを使う企業が何に取り組むかを示す国の指針です。AI利用者に求める取り組みとしては、前の節で触れた精度とリスクの理解、提供者が想定した範囲での利用に加えて、個人情報を不適切に入力しないこと、提供者から受け取った文書を保管し規約を守ることなどを挙げています。
スポーツの現場では、選手や社員をAIの出力で評価するときの扱いが特に関わります。ガイドラインは、その場合にAIを使っていることを本人に知らせ、本人の求めに応じて説明できるようにしておくよう求めています。
(参考)AI事業者ガイドライン(第1.2版) – 総務省・経済産業省
個人情報保護法の改正|顔特徴データは周知が義務になる
個人情報保護法を改正する法律が2026年7月10日に成立しました。施行は原則として公布の日から2年を超えない範囲とされています。スポーツAIに関わるのは、顔の特徴を本人の識別に使えるようにした「顔特徴データ」の規律です。扱う事業者は、顔特徴データを扱うことや利用目的などを周知することが義務になり、本人の求めによる利用停止も認められやすくなります。
改正法は、統計の作成などにだけ使う場合(統計の作成と整理できるAIの開発を含む)には、個人データを第三者に提供する際の本人の同意を不要にしています。16歳未満の本人については、同意の取得や通知の相手を法定代理人とすることも明文化されました。スタジアムの顔認証や、ジュニア世代の映像解析を考えている場合は、施行までに運用を見直す準備が要ります。
(参考)個人情報保護法等の一部を改正する法律について(令和8年7月) – 個人情報保護委員会事務局
スポーツAIを導入する手順|目的を1つに決めて小さく試す
スポーツAIを導入する手順は、目的と測る数字を決める、範囲を区切って試す、相談先を決めて広げる、の3段階です。いきなり全試合や全社員に広げず、結果を数字で確かめてから範囲を広げます。
目的と測る数字を先に決める
最初に、5つの用途のうちどれを使うかと、何が変われば成功とするかを決めます。指導の質を上げたいなら映像解析とフォームの変化、審判の負担を減らしたいなら判定の一致率、来場者を増やしたいならチケットの販売数と単価、ファンとの接点を増やしたいなら動画の再生と会員登録というように、用途と数字を1対1で結びつけます。
あわせて、集めるデータの種類と、その利用権限、個人情報としての扱いを決めます。社員のデータを使う場合は、取扱規程を決めてから測り始めます。
範囲を区切って試し精度と運用を確かめる
次に、1つのチームや部署、一部の試合や席種に範囲を区切って試します。日本サッカー協会が車椅子席を価格を変える対象から外しているように、AIを使わない範囲を最初から決めておくと、利用者の不安を抑えられます。
試す期間には、精度を測った条件が自社の現場と合っているか、入力や確認の手間が続けられる量かを確かめます。国内のスポーツテック企業を目的別に探す場合はスポーツテック企業16社の一覧が、他業種での使い方を知りたい場合はスポーツ×AIのビジネス応用が参考になります。
相談先を決めて範囲を広げる
範囲を広げるのは、試した結果を数字で確かめ、データの扱いで迷ったときの相談先を決めてからです。個人情報の扱いに迷ったときは、個人情報保護委員会の個人情報保護法相談ダイヤル(03-6457-9849)に相談できます。社員の健康に関わるデータは、産業医や保健師、衛生委員会が最初の相談先です。試した結果を社内で説明するときは、スポーツ業界全体の課題と市場の流れを日本のスポーツ業界の課題とDXの動向で押さえておくと、投資の理由を伝えやすくなります。
Q. スポーツAIを導入するとき、どこに相談すればよいですか?
個人情報の扱いは、個人情報保護委員会の個人情報保護法相談ダイヤル(03-6457-9849)に相談できます。社員の健康に関わるデータを扱う場合は、産業医や衛生委員会に先に相談します。契約や判定の精度は、導入先の事業者に評価の条件を書面で出してもらって確かめます。
スポーツAIのまとめ
スポーツAIは、競技の現場だけでなく、スクール、施設、協賛企業、健康経営の担当者が使える技術になっています。要点は次のとおりです。
- スポーツAIは、映像・センサー・販売記録などのデータから、予測・判定・推奨・動画を出す技術で、世界の市場はMordor Intelligenceの推計で2031年に333億2,000万ドルとされています
- 用途は映像解析、審判支援、コンディション、チケット価格、ファン向け動画の5つに分けられ、ソフトバンク、MLB、日本サッカー協会、Jリーグなどが公式に導入例を発表しています
- 導入前には、データの利用権限を契約で決め、顔や体の情報を法律と指針に沿って扱い、どの条件で何割当たるかを数字で確かめ、費用を機材・利用料・人手に分けて見積もります
- ルールはAI推進法と個人情報保護法、AI事業者ガイドライン、各社の契約の3層で、2026年7月に成立した改正個人情報保護法では顔特徴データの周知が義務になります
- 導入は、目的と測る数字を1つ決め、範囲を区切って試し、相談先を決めてから広げます
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