結論から言えば、女子プロレス団体マリーゴールドのタッグ王者・後藤智香選手が示しているのは「一時的な増量」ではなく「デカさを維持し続ける仕組み」です。デビュー時62kgから88kg前後まで26kg以上の増量を続け、2026年5月にはタッグ王座を獲得しました。
本記事では、後藤選手自身の体重推移と、国立スポーツ科学センターの一次データをもとに、増量を止めないための食事管理の考え方、そして企業のコンディション施策に応用できる視点を解説します。
後藤智香が62kgから88kgへ|26kgの増量が生んだ「デカさは武器」という発想
後藤選手の体重推移を時系列で追うと、増量は一気に進んだものではなく、王座獲得という結果に到達するまで段階的に積み上げられてきたことがわかります。
| 時期 | 体重 | 出来事 |
|---|---|---|
| 2024年5月 | 約62kg | マリーゴールド旗揚げ戦でデビュー |
| 2026年5月 | 約85kg前後 | 自身初のタッグ王座を獲得 |
| 2026年8月時点 | 約88kg | キャッチコピーを「増強中」に変更 |
後藤智香選手本人の発言・取材記事をもとに編集部作成(出典は本セクション末尾)。
2024年5月|デビュー時62kgで迎えたマリーゴールド旗揚げ戦
後藤選手がマリーゴールドの旗揚げ戦に立った時点の体重は約62kgでした。芸能活動からプロレスへ軸足を移したばかりのこの時期は、体格そのものよりも試合経験を積むことが優先されていた段階です。
この62kgという数字が起点になっているからこそ、その後の26kg以上という増量幅の大きさが際立ちます。デビュー直後から増量を掲げていたわけではなく、キャリアを重ねる中で「デカさ」を武器にする方向へ舵を切ったことが、その後の推移からうかがえます。女子プロレス全体を見渡しても、体格差がそのまま試合の説得力に直結する場面は多く、後藤選手にとって体重は「見た目」ではなく「競技上の武器」として早い段階から意識されていたと考えられます。
2026年5月|85kg前後で獲得した自身初のタッグ王座
約2年で20kg以上を積み増した85kg前後のタイミングで、後藤選手は自身初のタッグ王座を獲得しました。増量が単なる見た目の変化ではなく、リング上での説得力や対戦相手への圧力として結果に結びついたことを示す出来事です。
「デカさは武器なので」と本人が語る通り、体格の変化と実際のタイトル獲得が同じ時期に重なっている点が重要です。増量という投資が、遅れて成果として現れた典型例といえます。プロレスというジャンルでは、体格の変化がそのままファンの評価や対戦カードの説得力に反映されやすく、増量という地道な積み重ねが、目に見える「結果」に変換されるまでに一定の時間がかかることも、このタイミングのずれから読み取れます。
2026年8月時点|キャッチコピーを「増強中」に変更した意味
王座獲得後、後藤選手は自身のキャッチコピーを「増量中」から「増強中」に変えています。これは、体を大きくすること自体が目的だったフェーズから、大きくなった体で結果を出し続けるフェーズへ移ったことを、本人が言葉で示した変化です。
目標が「量」から「結果」に切り替わっても、体づくり自体は止めていない点にも注目したいところです。88kg前後という体重を維持しながら、次の結果を狙う姿勢が読み取れます。キャッチコピーという公の言葉を自ら更新し続けている点も見逃せません。目標を一度設定して終わりにせず、フェーズが変わるたびに言葉を更新することで、周囲にも自分にも「今どの段階にいるか」を明示し続けていると解釈できます。
Q. 後藤智香さんはどれくらい体重を増やしましたか?
デビュー時の62kgから、2026年8月時点で88kg前後まで、26kg以上増量しています。本人は「デカさは武器なので」と語っており、増量を意図的な戦略・キャッチコピーとして掲げています。
(参考)グラビアアイドル→体重26キロ増で人気女子プロレスラーに「デカさは武器なので」後藤智香を変えた”プロレス一本で生きていく”覚悟 – Number Web(文藝春秋)
グラビアアイドルから女子プロレスラーへ|覚悟が固まった転身の背景
後藤選手はデビュー当初からプロレス一筋だったわけではありません。芸能界での活動を経て、遊びの延長に近い「演劇プロレス」から本格的な競技へと軸足を移した経緯があります。

図:グラビアアイドル時代とプロレス転身後で、軸足が「魅せ方」から「本物の技術習得」へ変わったことを比較
グラビアアイドル・芸能活動からプロレス転身までの経緯
高校卒業後にいったん就職した後藤選手は、「やりたいことをやろう」と芸能界に転身し、演劇とグラビア活動を両立していました。「ミスFLASH」のファイナリストに残った経験もあり、当初はプロレスとは畑違いのフィールドで活動していた人物です。
初めての”試合”は2022年8月、「女優によるプロレス」を掲げるアクトレスガールズの公演でした。当時は内容もマイクアピールも事前に決められた、いわば演劇としてのプロレスで、後藤選手自身も当時のインタビューで「プロレスラーになりたいわけではないので」と語っていたといいます。就職・芸能活動・演劇プロレスと、複数のフィールドを渡り歩いてきた経歴自体が、後にプロレス一本に絞る決断の重みを増している要素といえます。
「演劇としてのプロレス」から本物の技術習得への転換
それでも受け身や技の練習は本格的に行っていました。同じユニットの師匠格である澄川菜摘(翔月なつみ)選手はスターダム出身で、技の原理や「本当の痛さ」を後輩に指導する立場にあります。エンターテイメントとして始めたプロレスでも、様々な団体の映像を見るうちに競技としての魅力に引き込まれていったと後藤選手は振り返っています。
台本のある演劇プロレスから、勝敗を競う競技プロレスへ。この移行を経ていたからこそ、後藤選手にとって増量は「見た目づくり」ではなく「競技力の一部」として位置づけられたと考えられます。畑違いの経歴からプロレスに転身した選手だからこそ、体づくりを含めた基礎的な部分から本格的に学び直す必要があり、その過程で増量という発想が競技上の合理的な選択として根づいていったと推測できます。
増量を止めない食事管理|国立スポーツ科学センターのデータでわかる継続の条件
「デカさは武器」という言葉を裏付けるように、後藤選手は日常的な食事量を土台にした増量を続けています。独立行政法人日本スポーツ振興センター(JISS)が公開する体重階級制競技向けのガイドブックと照らすと、そのペースの妥当性が見えてきます。

図:JISSのガイドラインに沿って、摂取エネルギー確保→たんぱく質分割摂取→ペース管理の順に積み重ねる食事設計
消費エネルギー+500〜1000kcal|JISSが示す増量期の摂取目安
JISSのガイドブックによれば、増量期は1日の消費エネルギーよりも500〜1000kcal多く摂取することが目安とされています。これより大幅に多く食べても、増える体重の大半が体脂肪に偏ってしまい、競技パフォーマンスにはつながりにくいとされています。
逆に不足すると、除脂肪量(筋肉量)の増加が進まないまま停滞します。500〜1000kcalという範囲は、脂肪の増えすぎと筋肉量の伸び悩みの両方を避けるための「狭すぎず広すぎない」目安として示されている数字です。体重階級制競技を想定したガイドブックであるため、単純な体重増加ではなく、動ける体のまま大きくなることを重視している点も特徴です。
たんぱく質1.6〜2.4g/kgを1回15〜20g・4〜6回に分割
ガイドブックはさらに、たんぱく質を体重1kgあたり1.6〜2.4gを目安に、1回15〜20gを1日4〜6回、3〜5時間おきに分けて摂取することを推奨しています。一度にまとめて摂るのではなく回数を分けるのは、筋肉の合成が一定時間ごとに区切って働きやすいためです。
この「分けて摂る」という発想は、増量を特別なイベントではなく日常の食事サイクルに組み込む工夫でもあります。後藤選手が特別なメニューではなく普段の食事量を底上げする形で増量を続けてきたことと重なる考え方です。1日3食を基本にしつつ間食や補食で回数を増やす運用は、プロアスリートに限らず一般的な栄養指導でも用いられる手法であり、特別な設備や高額なサプリメントがなくても実践できる点が実務上のポイントです。
数字で見る増量ペース|急がず、止めない設計
ガイドブックが示す除脂肪量の増加ペースは、1週間あたり0.25〜0.5kg程度が現実的な目安とされ、これより急激な増量は体脂肪の増加につながりやすいとされています。後藤選手が26kg以上の増量を実現した具体的な期間は非公開ですが、このペースをそのまま当てはめると、除脂肪量ベースでは1年以上かけて段階的に積み上げてきた計算になります。
急激な増量ではなく、継続を前提にした体づくりだったことがうかがえます。短期間で結果を求めず、止めずに続けることそのものを設計の軸に置いていた点が、このペースの数字から読み取れます。週単位で見れば地味な変化でも、年単位で積み上げると26kgという大きな変化になる、という時間軸の使い方自体が、増量というテーマを超えて参考になる視点です。
Q. 増量期のアスリートはどれくらい食事量を増やすべきですか?
国立スポーツ科学センターのガイドブックでは、消費エネルギーより1日500〜1000kcal多く摂取し、体重1kgあたり1.6〜2.4gのたんぱく質を4〜6回に分けてとることが推奨されています。除脂肪量の増加速度の目安は1週間に0.25〜0.5kgです。
(参考)体重階級制競技のためのウエイトコントロールガイドブック(2019年3月) – 独立行政法人日本スポーツ振興センター 国立スポーツ科学センター
体調不良で一時的に体重が落ちても|後藤智香が示した回復の速さ
増量を続けていても、体調不良でペースが乱れる場面はあります。後藤選手のケースは、その乱れをどう扱うかのお手本になります。
扁桃腺による一時的な体重減少とその背景
後藤選手は最近、扁桃腺を痛めて食事が十分にとれず、体重が一時的に減少しました。増量を継続していても、体調不良によって食事量が落ち込む局面自体は避けられません。長期間にわたって体重を積み上げてきた選手であっても、体調不良のリスクからは逃れられないという事実は、増量計画を立てる上での前提として押さえておく必要があります。
重要なのは、この減少を「増量計画の失敗」として扱わなかった点です。原因が明確な体調不良であれば、それが解消するまでの一時的な落ち込みとして受け止め、慌てて食事量を過剰に増やすような対応はしていません。
通常食に戻すだけで回復した理由|仕組み化された増量の強さ
「治ったらすぐ体重も戻りました」と後藤選手は語っています。特別なリカバリーメニューを組んだわけではなく、普段の食事量に戻すことで体重が回復したという点が、このエピソードの核心です。
これは、増量が「その場しのぎの詰め込み」ではなく、日常的に再現できる食事量の習慣として身についていたことを示しています。普段の基準値そのものがすでに高いカロリー・たんぱく質量に設定されていたからこそ、体調が戻れば自然と元の水準に戻ったと考えられます。継続的な体重・体組成の記録で経過を確認する姿勢も、JISSのガイドブックが推奨する運用と一致します。仮に増量が特別なイベント任せの取り組みだったなら、体調を崩すたびに一から作り直す必要が生じ、回復のたびに時間がかかっていたはずです。
Q. 一時的に体重が減っても増量計画は続けられますか?
短期的な体調不良による減少であれば、原因が解消すれば体重は比較的早く戻ると考えられます。後藤選手も扁桃腺の治療後、食事を戻すとすぐに体重が回復したと語っています。継続的な体重・体組成の記録で経過を確認することが重要です。
増量への挑戦を支えた3つの条件|継続を可能にした体づくりの設計
後藤選手のエピソードとJISSのガイドラインを重ねると、増量を止めずに続けるための条件は大きく3つに整理できます。単発の頑張りではなく、仕組みとして繰り返せる形にしている点が共通しています。
条件①|目的をキャッチコピーにする「デカさは武器」という合言葉
「デカさは武器なので」という言葉は、単なるキャッチコピーではなく、増量を続ける理由を本人が繰り返し言語化したものです。目的が曖昧なまま増量だけを続けると、途中で「何のためにやっているのか」が見えなくなり、挫折しやすくなります。
後藤選手は増量の意味を短い言葉に落とし込み、取材のたびに語ることで、自分自身にも周囲にも目的を再確認させる仕組みをつくっていたと考えられます。言葉にして繰り返し語ることは、コストのかからない継続支援策でもあります。
条件②|特別なメニューに頼らず日常の食事量を基準にする
増量というと特別な高カロリー食を思い浮かべがちですが、後藤選手が続けてきたのは、普段の食事量そのものを底上げする方法です。JISSのガイドブックが示す「4〜6回に分けて摂る」という設計とも整合し、日常生活の中で無理なく繰り返せる形になっています。
特別な日だけ頑張るのではなく、毎日の基準値を上げておくことで、体調が乱れて食事量が一時的に落ちても、戻る先の基準がもともと高い位置にあるという利点も生まれます。準備や特別な調達が要らない分、継続のハードルそのものが下がる設計だといえます。
条件③|一時的な後退を許容し、原因解消後の回復を待つ
増量を継続する上で難しいのは、体重が落ちた瞬間に「計画が崩れた」と焦ってしまうことです。後藤選手は、扁桃腺による一時的な減少を過度に問題視せず、原因が解消すれば体重は自然に戻るという前提で経過を見ていました。
短期の変動に一喜一憂しないという姿勢が、結果として26kg以上という長期的な増量を止めずに続けられた理由の一つになっています。日々の増減にいちいち計画を修正していては、かえって継続そのものが疲弊してしまうという教訓も読み取れます。
企業のコンディション施策への応用|経営者・人事担当者が学べる継続設計
後藤選手の増量エピソードが企業の人材育成・健康施策に示唆するのは、「目標を言語化し、日常業務の延長線上で継続できる形に落とし込む」という発想です。

図:典型的な失敗パターンの言語化から、行動目標への分解、効果測定へと積み上げる企業向けの応用設計
健康経営施策が定着しない典型パターンと後藤選手の対照
企業の健康経営施策でよくある失敗パターンは、月1回のウォーキングイベントや単発の測定会のように、日常から切り離された特別な取り組みとして設計してしまうことです。イベントの日だけ意識が高まり、翌日には元の生活に戻ってしまいます。担当者からすれば「やった実績」は残っても、社員の行動そのものは変わっていないという状態です。
後藤選手のやり方はその逆で、特別なメニューを組むのではなく、普段の食事量という「日常の基準値」そのものを底上げしていました。健康経営施策でも、特別なプログラムを単発で導入するより、日々の業務や習慣に組み込んだほうが定着しやすいという点は共通しています。
小さな行動目標への分解|再現性を担保する設計
社員の運動習慣づくりを月1回のイベントで終わらせず、日常の中で継続できる小さな行動目標に落とし込む設計は、後藤選手が特別なメニューではなく普段の食事量を底上げしたやり方と重なります。体重を落とす方向でも同じ発想は使えます。
例えば、ボクシング世界王者・寺地拳四朗選手の減量と回復食のように、増減の方向が違っても「日常の習慣として体づくりを継続させる」という設計思想は共通しています。
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水泳の北島康介選手が2大会連続で金メダルを獲得した背景にある筋トレ習慣も、体づくりを特別な行事にせず日常の一部として継続させてきた点で、後藤選手のアプローチと重なる部分があります。サッカーの大塚達宣選手がセリエA挑戦で環境が変わっても体づくりの基本を継続させている姿勢も、同じ発想の延長線上にあるといえます。
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体重・体組成の定期記録が示す、施策の効果測定という視点
後藤選手のエピソードでもう一つ注目したいのは、体重や体調の変化を継続的に記録し、原因と結果を後から振り返れる状態にしていたことです。扁桃腺による減少も、記録があったからこそ「一時的な落ち込み」と判断でき、過剰な対応を避けられたと考えられます。
企業の健康経営施策でも同じことがいえます。年1回の健康診断だけでは、施策のどの部分が効いていて、どの部分が効いていないのかを切り分けられません。月次・週次のような短いサイクルで簡易的な指標(歩数・睡眠時間・体調の自己申告など)を記録し続ける仕組みを持つ企業ほど、施策の微調整がしやすくなります。数字を追う頻度そのものが、継続を支える設計の一部になるという点は、後藤選手の増量管理から学べる実務上の示唆です。
Q. 企業がアスリートの増量の考え方から学べることは何ですか?
短期間の変化に一喜一憂せず、数週間単位で記録・振り返りを行う仕組みそのものが継続の土台になる点です。健康経営施策でも、単発の測定ではなく、定点観測の仕組みを用意することが定着率を左右します。
Q. 健康経営施策を社員に定着させるコツは何ですか?
特別なイベントを単発で行うのではなく、日常業務の中で無理なく続けられる小さな行動目標に分解することです。後藤選手が特別なメニューではなく普段の食事量を底上げしたように、基準値そのものを日常レベルで引き上げる設計が定着率を左右します。
まとめ|後藤智香の増量エピソードから学べること
- 後藤智香選手はデビュー時62kgから88kg前後まで26kg以上を増量し、2026年5月にタッグ王座を獲得した
- 「デカさは武器なので」という言葉が、増量を継続する目的そのものになっている
- JISSのガイドブックでは、増量期は1日500〜1000kcal多く摂取し、除脂肪量は週0.25〜0.5kgのペースが目安とされる
- 体調不良で一時的に体重が減っても、原因解消後に自然に回復する設計を持っていた
- 企業のコンディション施策でも、単発の取り組みより日常業務に組み込んだ継続設計が定着を左右する
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