スポーツイベントの収益化モデル|企業協賛を最大化する設計法

スポーツイベントの収益化モデルと企業協賛 スポーツビジネス

スポーツイベントへの協賛を検討しているものの、「どのくらいの効果が見込めるのか分からない」「協賛メニューの作り方が分からない」と悩んでいる企業担当者は少なくありません。

この記事では、スポーツイベントの収益化モデルの基本構造から、企業協賛を最大限に引き出すための設計のポイント、そして実際に使えるアクションプランまでを順を追って解説します。

スポーツイベントの収益化が今、企業から注目される理由

スポーツイベントは、単なる「協賛金の受け皿」から「企業のマーケティング投資先」へと位置づけが変わりつつあります。背景には、テレビ中継だけでなくSNSや配信を通じて協賛企業の露出が可視化しやすくなったことがあります。

さらに、地域住民や来場者と直接接点を持てる場として、単なる看板露出以上の体験価値を提供できる点も注目される理由の一つです。企業にとっては、単発の広告出稿よりも記憶に残りやすい接点になりやすいという特徴があります。

こうした流れは国の政策とも連動しています。スポーツ庁は第3期スポーツ基本計画のなかで、スポーツ市場規模を遅くとも2030年までに15兆円へ拡大する目標を掲げており、イベント運営側と協賛企業の双方にとって収益機会が広がる局面にあります。

(参考)スポーツの成長産業化(第3期スポーツ基本計画) – スポーツ庁

スポーツイベント収益化の基本構造(3つの収益源)

スポーツイベントの収益は、大きく分けて「チケット・入場料収入」「企業協賛・スポンサーシップ収入」「物販・飲食・周辺サービス収入」の3つで構成されます。それぞれの特性を理解したうえで、協賛メニューを設計することが重要です。

収益源 特徴
チケット・入場料収入 来場者数に直結する基本収益。天候やチーム成績の影響を受けやすい
企業協賛・スポンサーシップ収入 安定的な収益源になりやすく、露出設計次第で単価を高められる
物販・飲食・周辺サービス収入 来場者単価を底上げする収益。体験価値の向上にも寄与する

表:スポーツイベントの主な収益源とその特徴

①チケット・入場料収入

チケット・入場料収入は最も基本的な収益源ですが、天候や対戦カード、チームの成績によって大きく変動しやすいという弱点があります。単独では安定した事業計画を立てにくいため、他の収益源と組み合わせる設計が欠かせません。

②企業協賛・スポンサーシップ収入

企業協賛は、複数年契約を組みやすく、イベント運営側にとって最も安定した収益源になり得ます。協賛企業側にとっても、露出内容やレポーティングの精度次第で投資対効果を明確に示せるため、継続的な関係構築につながりやすい収益源です。

③物販・飲食・周辺サービス収入

グッズ販売や飲食、体験ブースなどの周辺サービスは、来場者一人あたりの単価を底上げする役割を持ちます。協賛企業のブース出展と組み合わせることで、来場者との接点をさらに増やすことも可能です。

企業協賛を引き出すための設計のポイント

協賛企業に「投資する価値がある」と感じてもらうには、協賛メニューの設計段階から工夫が必要です。ここでは3つの具体的なポイントを紹介します。

①協賛メニューの段階設計

協賛メニューは、単一の価格帯だけでなく、複数の階層(例:メインパートナー/オフィシャルパートナー/サポーター)に分けて設計することで、幅広い予算規模の企業が参加しやすくなります。各階層で得られる露出内容や権利を明確に線引きすることも欠かせません。

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②露出効果の可視化とレポーティング

協賛企業が最も気にするのは「協賛した効果が見えるかどうか」です。来場者数、SNSでの言及数、メディア掲載本数などを協賛後にレポートとしてまとめて提供することで、次年度以降の継続協賛につながりやすくなります。

特に中小企業の協賛担当者は社内稟議のために定量的な根拠を求められることが多いため、簡易でも構わないので数値で示す資料を用意しておくことが大切です。

③具体例:地域密着型スポーツイベントでの協賛設計

ある地域密着型のマラソン大会では、協賛メニューを「冠協賛」「給水ステーション協賛」「完走メダル協賛」のように、大会の構成要素ごとに細分化して提供しました。これにより、大企業だけでなく地元の中小企業も参加しやすい価格帯の協賛枠が生まれ、協賛企業数が前年より増加しました。

このように、大会の運営コストを要素ごとに切り分けて協賛メニュー化する設計は、協賛企業の予算規模に合わせた提案がしやすくなる点で有効です。

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協賛効果を高めるための工夫

協賛メニューを整えるだけでなく、実際の効果を高めるための運用面の工夫も重要です。ここでは2つのポイントを紹介します。

①デジタル計測との組み合わせ

会場での看板露出だけでなく、公式SNSや配信映像でのロゴ露出、ハッシュタグキャンペーンの参加者数など、デジタル上の指標も合わせて計測することで、協賛効果をより立体的に示せます。近年はスタジアム・アリーナ自体を「コストセンターからプロフィットセンターへ」転換する動きが進んでおり、デジタル計測の重要性はさらに高まっています。

(参考)スタジアム・アリーナ改革ガイドブック<第3版> – 経済産業省

②中小企業でも導入しやすい協賛メニューの設計

予算規模が限られる中小企業向けには、金銭協賛だけでなく、自社商品やサービスを提供する「現物協賛」の選択肢を用意すると参加のハードルが下がります。地域の飲食店や小売店が協賛しやすくなり、大会全体の地域密着感を高める効果も期待できます。

すぐ使えるアクションプラン:協賛提案書に盛り込む3ステップ

ここまでの内容を踏まえ、協賛提案書を作成する際にすぐ使える3ステップを紹介します。イベント主催者・協賛担当者のどちらの立場でも活用できる内容です。

1課題の言語化と目標設定:イベント側は運営課題(集客・収益)、協賛企業側は獲得したい認知・接点を明確にする
2協賛メニューの設計と価格設定:階層別のメニューと現物協賛の選択肢を用意し、幅広い予算規模に対応する
3効果測定計画の明示:来場者数・SNS指標・メディア露出などの計測項目を事前に提示し、事後レポートの提供を約束する

まとめ

  • スポーツイベントの収益は「チケット」「協賛」「物販」の3本柱で構成される
  • 協賛メニューは階層化し、幅広い予算規模の企業が参加できる設計にする
  • 効果測定とレポーティングが継続協賛のカギを握る
  • 現物協賛など中小企業でも参加しやすい選択肢を用意する

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About The New株式会社 代表取締役 森永 昂
執筆者
About The New株式会社 代表取締役 森永 昂

新卒で東証プライム上場の社会人教育・コンサルティング企業に入社し、人材育成・組織開発に従事。その後、別企業にてメディア・プラットフォーム事業の責任者を務める。
現在は独立し、About The New株式会社を設立。教育コンテンツの研究・開発を行い、スポーツの知見を活かした人材育成プログラムを提供している。

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