スポーツエールカンパニー認定1635団体の全数調査|企業の地域差

スポーツエールカンパニー認定1,635団体の全数調査|都道府県別の地域差 スポーツウェルビーイング

スポーツ庁が2026年に認定した「スポーツエールカンパニー」は1,635団体で、その38.8%が東京都に集中していました。ただし事業所数で割った密度で見ると順位は入れ替わり、全国1位は福井県です。

「うちの会社も申請すべきだろうか」「同じ地域の企業はどれくらい取っているのか」。人事や健康経営の担当者からよく出る問いですが、認定団体の一覧は名前と所在地が並んだPDFで公開されているだけで、全体像がつかめる形にはなっていません。

そこで公開されている全1,635団体を集計し、総務省の経済センサスと突き合わせました。地域による差がどれくらいあるのか、認定を受けた企業が実際に何をしているのかを、数字で示します。

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スポーツエールカンパニー2026の認定は1,635団体|7年で3.1倍に増えた

スポーツエールカンパニーは、従業員の運動・スポーツの取り組みを積極的に行っている企業をスポーツ庁が認定する制度です。2026年の認定は1,635団体で、制度が始まった令和元年度の533社から3.1倍に増えました。

伸び方には特徴があります。令和元年度から2024年にかけて2.3倍に急増した後、直近2年は年1割前後の伸びに落ち着いています。制度の認知が一巡し、継続的に申請する企業が積み上がる段階に入ったと読めます。

認定年 認定数 前年からの増加
令和元年度 533社
2024年 1,246社
2025年 1,491社 +245社(+19.7%)
2026年 1,635団体 +144団体(+9.7%)

スポーツ庁の各年度の認定発表より作成。2026年は企業以外の団体を含むため「団体」表記。令和元年度から2023年までの中間年は本表では省略しています。

認定は1回きりではありません。通算5回以上でブロンズ、7回以上でシルバーの区分があり、2026年はこの区分に該当する団体が500を超えて過去最多となりました。単発の申請ではなく、続けている企業が層として育ってきているのがこの制度の現状です。

(参考)「スポーツエールカンパニー2026」過去最多の1,635団体を認定 – スポーツ庁

(参考)「スポーツエールカンパニー2025」過去最多の1491社を認定 – スポーツ庁

Q. スポーツエールカンパニーの認定に費用はかかりますか?

申請は無料です。スポーツ庁が公募し、書類審査で認定されます。ただし社内で運動の取り組みを設計・運営する人件費は発生するため、まったくコストがかからないわけではありません。

認定団体の38.8%が東京都に集中している

認定団体1,635件を所在地の都道府県で分けると、東京都が634件で全体の38.8%を占めます。上位3都府県(東京・大阪・愛知)を合わせると903件、全体の55.2%が3都府県に集まっている計算です。

一方で認定がゼロの県はありませんでした。最も少ない秋田県でも1件あり、47都道府県すべてに認定団体が存在します。数の偏りは大きいものの、制度そのものは全国に届いています。

順位 都道府県 認定団体数 全体に占める割合
1 東京都 634件 38.8%
2 大阪府 146件 8.9%
3 愛知県 123件 7.5%
4 神奈川県 73件 4.5%
5 静岡県 55件 3.4%
6 兵庫県 51件 3.1%
7 埼玉県 49件 3.0%
8 福井県 34件 2.1%
9 北海道 34件 2.1%
10 福岡県 34件 2.1%

対象はスポーツエールカンパニー2026の認定団体1,635件の全数。所在地は認定団体一覧に記載された住所の都道府県を集計しました。同数の場合は認定番号順。出典はスポーツ庁「スポーツエールカンパニー認定団体一覧」。

ただしこの数字をそのまま「東京の企業は運動に熱心だ」と読むのは早すぎます。東京都には全国の事業所の15.4%が集まっているため、母数が大きければ認定数も多くなるのは当然だからです。比べるべきは件数ではなく、母数に対する割合です。

(参考)スポーツエールカンパニー認定団体一覧 – スポーツ庁

スポーツエールカンパニー認定の密度は福井県が全国1位

母数をそろえるために、認定団体数を都道府県別の事業所総数で割り、事業所10万件あたりの認定団体数という指標を作りました。全国平均は32.3で、この値が高いほど「その地域の企業が相対的に多く認定を取っている」ことを意味します。

結果、1位は福井県の101.6でした。全国平均の3.1倍で、件数1位の東京都(81.5)を上回ります。最下位の秋田県は2.8で、福井県との差は35.9倍です。

順位 都道府県 認定団体数 事業所総数 10万件あたり
1 福井県 34件 33,453 101.6
2 東京都 634件 777,841 81.5
3 愛知県 123件 297,676 41.3
4 静岡県 55件 142,012 38.7
5 石川県 18件 49,236 36.6
6 大阪府 146件 418,209 34.9
7 島根県 9件 27,568 32.6
8 新潟県 25件 84,578 29.6
9 熊本県 20件 68,095 29.4
10 岡山県 21件 74,174 28.3
16 神奈川県 73件 308,904 23.6
36 千葉県 26件 193,163 13.5
43 茨城県 9件 98,843 9.1
46 佐賀県 2件 30,919 6.5
47 秋田県 1件 35,317 2.8

認定団体数はスポーツ庁「スポーツエールカンパニー認定団体一覧」(2026年・全1,635件)、事業所総数は総務省統計局「令和6年経済センサス‐基礎調査」の都道府県別事業所総数(全国5,060,494事業所)。上位10位に加え、件数上位でも密度が平均を下回る県と下位3県を抜粋しました。全国平均は32.3です。

なお事業所は支店や工場も1件と数えるのに対し、認定は法人単位で本社所在地に計上されます。この違いから、本社が集まる東京都の密度はやや高めに出ます。それでも東京都は1位ではありませんでした。

福井県の34件は特定の1社グループに偏っていない

密度1位という結果が、たまたま1つの企業グループが大量に申請しただけではないかを確認しました。福井県の34件は福井市22件を中心に県内8市町に分散しており、建設・製造・金融・小売・福祉と業種もばらけています。

同一グループとみられる3社が含まれていたため、これを1社として数え直しても密度は95.7となり、順位は全国1位のままでした。特定の企業に依存した数字ではないと判断できます。

件数の上位県でも密度が全国平均を下回ることがある

件数と密度で最も評価が変わるのが神奈川県です。認定数73件は全国4位ですが、事業所数が30万件を超えるため密度は23.6で全国16位、平均の32.3を下回ります。千葉県も件数7位に対し密度は36位でした。

逆に石川県(18件)や島根県(9件)は件数では目立ちませんが、密度では上位10位に入ります。件数の順位表だけを見ていると、地域の実態を取り違えます。

(参考)令和6年経済センサス‐基礎調査 確報集計結果 – 総務省統計局

Q. 自社の地域に認定企業が少ないと、申請は不利になりますか?

不利にはなりません。認定は都道府県ごとの枠ではなく、申請内容が基準を満たすかどうかで判断されます。認定が少ない地域はむしろ、取得したときに地域内で目立ちやすいという利点があります。

認定団体の86.7%は株式会社が占める

団体名から法人格を分類すると、株式会社が1,418件で全体の86.7%を占めました。制度名に「カンパニー」とある通り、実態としても民間企業が中心の制度です。

残りの内訳を見ると、医療法人が28件、公益・一般法人と協同組合等がそれぞれ37件と続きます。学校法人は3件、合同会社も3件にとどまりました。従業員の運動を制度として設計できる規模の組織に偏っているのが読み取れます。

法人格 団体数 割合
株式会社 1418件 86.7%
その他 75件 4.6%
公益・一般社団/財団法人 37件 2.3%
協同組合等 37件 2.3%
医療法人 28件 1.7%
社会福祉法人 18件 1.1%
有限会社 15件 0.9%
学校法人 3件 0.2%
合同会社 3件 0.2%

団体名に含まれる法人格の表記から分類。1団体が複数に該当しないよう、上位の分類から順に振り分けました。「その他」には法人格の表記がない団体・自治体関連の団体などが含まれます。対象は認定団体1,635件の全数。

認定企業が実際に取り組んでいる内容|1,635件の分類

認定団体一覧には、各団体の取り組みを紹介する短い文が添えられています。この1,635件の文面を分類したところ、最も多かったのはウォーキング・歩数に関する取り組みで148件(9.1%)でした。

次いでストレッチや体操が140件、社内イベント・大会が131件と続きます。特別な設備や外部サービスを前提としない、今日から始められる範囲の取り組みが上位を占めているのが特徴です。

取り組みの種類 該当数 割合
ウォーキング・歩数 148件 9.1%
ストレッチ・体操 140件 8.6%
社内イベント・大会 131件 8.0%
コミュニケーション目的の記述 107件 6.5%
ラジオ体操 70件 4.3%
部活動・サークル 37件 2.3%
アプリ・デジタル活用 31件 1.9%
施設・設備の提供 26件 1.6%
補助・手当・報奨 21件 1.3%
階段利用の促進 15件 0.9%

認定団体一覧の「プレス発表時の取組内容の紹介文」1,635件をキーワードで分類。1件が複数の種類に該当する場合があるため、合計は100%になりません。紹介文の平均は22.5字です。

ここで正直に書いておくべき数字があります。1,635件のうち1,156件(70.7%)は、上記のどの分類にも当てはまりませんでした。紹介文が平均22.5字と短く、「健康なカラダで、いい仕事。」のように具体的な施策名ではなくスローガンで書かれているものが多いためです。

つまりこの一覧から読み取れるのは「何をしているか」の全体像ではなく、あえて具体的な施策名を出した企業に限れば、その多くが歩数・体操・社内イベントだったということになります。この点は数字を使う際に注意が必要です。

Q. 認定を受けるには特別な設備や予算が必要ですか?

必須ではありません。紹介文で具体的な施策を挙げた企業のうち、最も多いのはウォーキングや歩数の取り組みで、ラジオ体操も70件ありました。施設・設備の提供に言及した団体は26件にとどまります。

人事担当者がスポーツエールカンパニー申請にこのデータを使う方法

ここまでの集計は、申請を検討する際の判断材料として3つの使い道があります。自社の位置を知る、取り組みの水準を見積もる、社内の合意を作る、の3つです。

自社の地域の密度から社内説明を組み立てる

密度が高い地域なら「同じ県の企業がこれだけ取っている」、低い地域なら「県内でまだ数社しかいない」と、どちらの方向にも社内説明の材料になります。件数ではなく密度で見ると、神奈川県や千葉県のように大都市圏でも平均を下回る地域があることがわかります。

制度そのものの認定基準や申請の流れは、スポーツエールカンパニーの認定基準と申請方法にまとめています。

あわせて読みたいスポーツエールカンパニーとは?認定基準・申請方法・取得メリットを解説

取り組みは特別なものでなくてよいと見積もる

紹介文の分類で上位に来たのは、ウォーキング、ストレッチ、社内イベントでした。アプリやウェアラブルに言及した団体は31件、施設・設備は26件と少数です。まず必要なのは投資ではなく、続けられる形にすることだと読めます。

スポーツを起点にした施策は、運動そのものより社内の対話量が増えることで定着する例が多く見られます。紹介文でも「コミュニケーション」「交流」に触れた団体が107件ありました。最多だった歩数の取り組みをどう設計するかは、企業のウォーキングイベントの企画事例が参考になります。

健康経営の認定と合わせて社内の合意を作る

スポーツエールカンパニーは運動に特化した制度で、健康経営優良法人とは審査主体も基準も異なります。両方を視野に入れると、業種別の健康経営認定率と合わせて「自社の業種と地域で、どちらが取りやすいか」を比較できます。

稟議では「なぜ今か」が問われます。認定数が令和元年度の533社から1,635団体へ3.1倍に増えている事実は、先行者利益が縮んでいる根拠として使えます。

あわせて読みたい健康経営優良法人2026|業種別認定率で自社の位置を知る

Q. スポーツエールカンパニーと健康経営優良法人はどちらを先に取るべきですか?

運動の取り組みが既にあるならスポーツエールカンパニーが先です。審査は運動・スポーツの取り組みに絞られ、申請も無料のため負担が軽く済みます。健康経営優良法人は健康管理全般が対象で、求められる体制の範囲が広くなります。

まとめ

スポーツエールカンパニー2026の認定団体1,635件を全数集計し、経済センサスと突き合わせた結果を振り返ります。

  • 認定は1,635団体。令和元年度の533社から3.1倍に増え、直近は年1割前後の伸びに落ち着いた
  • 件数では東京都が38.8%、上位3都府県で55.2%を占める。認定ゼロの県はない
  • 事業所数で割った密度では福井県が全国1位(101.6)で、東京都(81.5)を上回る。最下位の秋田県との差は35.9倍
  • 件数4位の神奈川県は密度16位と、件数と密度で評価が逆転する県がある
  • 法人格は株式会社が86.7%。具体的な施策を挙げた企業ではウォーキング・体操・社内イベントが上位

件数の順位表だけを見ると「都市部の制度」に見えますが、母数をそろえると景色が変わります。自社の地域でどれくらいの企業が動いているかは、件数ではなく密度で確認してください。

引用について

本記事に掲載した集計値・表は、出典を明記いただければ自由に引用・転載いただけます(事前のご連絡は不要です)。報道・研究・社内資料のいずれでもご利用いただけます。元データはスポーツ庁および総務省統計局の公表資料で、集計はHuman Soarが行いました。

出典表記の例

出典:Human Soar「スポーツエールカンパニー2026 認定1,635団体の全数集計」(About The New株式会社)
https://www.human-soar.com/method/well-being/sports-yell-company-1635-census-2026/

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About The New株式会社 代表取締役 森永 昂
執筆者
About The New株式会社 代表取締役 森永 昂

新卒で東証プライム上場の社会人教育・コンサルティング企業に入社し、人材育成・組織開発に従事。その後、別企業でメディア・プラットフォーム事業の責任者を務める。

2025年5月に About The New株式会社 を設立。スポーツの現場で培われた知見を組織開発・人材育成の文脈に翻訳し、研修・チームビルディング・イベントの企画運営を行っています。

「知識を得る」で終わらせず「行動が変わる」ところまでを設計することを大切にしています。ご相談は contact@aboutthenew.co.jp まで。

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